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【第一章】地雷系ホスト・みおん 6

ผู้เขียน: すずかん
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-12 17:03:06

ホストって、すごい――。

私はただ、心の中でそうつぶやいた。

これも、演技なのかもしれない。

でも、なんだろう……まるでそれが“嘘じゃない”ように感じてしまう。

この「可愛い」は、リップサービス?

でもトーンが軽くない。

どこか本気にも聞こえてしまう。

いや、違う違う。私は自分に言い聞かせる。

ホストは仕事でやってるんだ。

“色恋”ってやつ。

甘い言葉で心を溶かして、また来てもらうための営業トーク。

私みたいな、地味で取り柄のない女を、こんなイケメンが本気で「可愛い」なんて思うはずがない。

こんなリップサービスに、まんまと照れて、ドキドキして……。

――私って、ほんとに、ちょろい。

***

これが、いわゆる“色恋営業”ってやつなんだろう。

きっと、私が彼のことを気に入ってるのを見抜いて、全力で応えてくれているだけ。

“指名”してもらうための戦略。

それだけ。……そう、きっと。

そう思い直そうとしていた、その時。

***

「ねえねえ」

不意に視線を感じて顔を向けると、心愛くんが、じっと私の顔を見ていた。

「メイク、すごく可愛い」

また心臓が跳ねる。

反射的に目を逸らしながら、なんとか返す。

「え……そうかな……?」

「うん。ねえ、もしよかったらなんだけどさ――」

彼は少し声を潜めるようにして言った。

「もうすぐ、制服イベントがあってね。僕、その日、女装するんだ」

「当日……メイク、してくれない?」

***

「えっ!?」

あまりに予想外の言葉に、思わず大きな声が出てしまった。今のって、どういう意味?

ホストイベントの一環? お店の中の話?

それとも――プライベートの約束……?

どこまでが“仕事”で、どこからが“本気”なのか。

私にはもう、境界線がまったく見えなかった。

胸の中がざわざわしてくる。

ときめき、疑い、戸惑い、そして――期待。

自分でも信じたくないほど、その“誘い”に心が揺れてしまっている。

とりあえず、これは“ノリ”だろう。

軽くかわすのが正解な気がして、私は笑顔の裏に戸惑いを隠したまま、こう答えた。

「え、機会があれば……」

そのとき、内勤さんが時間を知らせにきて、会話は自然と区切られた。

みおんは「また後で会おうね♪」と余裕たっぷりの笑みを浮かべて、すっと立ち上がる。

彼の背中が遠ざかっていくのを見送りながら、私は深く息をついた。

さっきまでの高鳴りが嘘のように、今はただ、心が静かに波打っている。

夢みたいだった。でも、これは現実だ。

***

「で、誰がよかったの?」

店にいるホストたちがひと通り席を回り終えたタイミングで、ユウトが軽い調子で聞いてきた。

私は、声にならないほど小さく、ぼそっと呟いた。

「……みおんくん、で」

するとすぐに、ゆりちゃんの大きな声が弾けた。

「やっぱりね〜! さーちゃん、みおんくんにだけ態度ちがいすぎたもん! めっちゃわかりやすかった〜!」

きゃははと笑いながら手を叩く彼女に、私は苦笑いを返すしかなかった。

しばらくすると、店の内勤さんが再びやってきて、送りをお願いする人の名前を尋ねてきた。

私はもう一度、小さく「みおんくん」と口にした。

***

少しして――。

「おまたせ〜」

さっきよりも近い距離で、その声はやってきた。

みおんくんが、ニヤッとした笑みを浮かべながら、まるで風をまとったように登場した。

目が合った瞬間、心臓が跳ねる。

好きバレしてしまったような、なんとも言えない照れくささが全身を包み込む。

私は思わず視線を逸らしてしまった。

「僕を選んでくれて、ありがとね♪」

言葉と同時に、彼は当たり前のように隣に座る。

距離が、さっきよりも近い。彼の目が、真正面から私を見つめている。

その視線に、私はもう顔を向けられなかった。

頬が、いや、全身が赤く染まっていくのが自分でもわかる。

「ぷはっ……! さーちゃん、可愛すぎるんですけど〜!」

隣でゆりちゃんが面白がるように笑っているのが聞こえる。だけど、それどころじゃない。

今、私は目の前の彼の一挙手一投足に、感情を引っ張られすぎていた。

***

「ねね、LINE交換しようよ」

みおんくんがスマホを差し出してきた。

画面にはQRコードが表示されている。

私は戸惑いながらも、自分のスマホをかざす。

――交換してしまった。

彼のLINEの名前には、文字はなく、蝶々の絵文字だけがぽつんと並んでいた。

夜の仕事をしている人たちは、身バレを防ぐために、あえて名前ではなく絵文字にしているらしい。

そこにリアルを感じて、私は小さく息を呑んだ。

「たくさんLINEしようね」

彼は愛嬌たっぷりに笑って、そう言った。

その顔が、あまりにも無邪気で、あまりにも眩しくて、思わずドキリとしてしまった。

***

「ねえ、あのさー」

彼の声色が、少しだけ変わった。

「今度、店に来て指名してくれたらさ――3万円で営業時間内ずっと一緒にいられて、その後アフターでカラオケとか、朝まで一緒にいられるんだけど。……どうかな?」

***

その瞬間、背筋に冷たいものが走った。

まるで音楽が止まったような感覚。

さっきまでのときめきが、スッと色を失っていく。

ああ、私は今、現実に引き戻されたんだ。

この人はホストだ。“営業”をしている。

私を“客”として見ている。

LINE交換も、甘い言葉も、「可愛い」も、「気に入った」も、全部……そういう仕事。

そう思った途端、目の前の彼の姿が、ほんの少しだけ遠く感じた。

本当は、さっきまでの言葉にすべて心が動いていた。

胸が鳴って、期待して、浮かれていた。

でも――やっぱり、私が踏み込んでいい世界じゃない。

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