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8話「ちぐはぐ」

Author: 団紡るう
last update publish date: 2026-06-23 07:00:43

灯が来る日に規則性はなかった。

三日続けて来ることもあれば、十日以上来ないこともあった。本人は「本が読みたい時に来ます」と言っていた。どうやら本当らしかった。来る理由が本で、来ない理由は本が読みたくないから、それだけだった。

今日は玄関に革靴があった。それだけでわかるようになっていた。-

夕食の支度を始めると、灯がスーパーの袋を台所に置いた。珍しかった。持ってきたのは初めてだった。

受け取って中を確認した。

値引きシールの貼られた総菜が一つ。豆腐が一丁。卵が六個入り。全部特売か見切り品だった。

豪邸の主が持ってきた買い物袋の中身とは思えなかった。服も同じだった。くたびれたスーツ。長く使い込まれた革鞄。ブランド品は何一つ見当たらなかった。財布も先週チラリと見えたが、量販店で売っているような黒い二つ折りだった。

三階建ての豪邸に数万冊の本を持っている人間が、見切り品の総菜を買ってくる。

噛み合わなかった。
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