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第84話

作者:
大輔が眉をひそめ、何かを言いかけたその時。突如として、女性の甲高い悲鳴が宴会場に響き渡った。

「どうしよう!私のネックレスがないわ!」

その悲鳴はあまりにも鋭く、会場にいたすべての招待客の視線が一斉に彼女へと注がれた。

スタッフたちが慌てて詩織の元へ駆け寄る。ネックレスが紛失したと聞くや否や、彼らはすぐに照明を全開にし、宴会場は真昼のように明るく照らし出された。

「東山様、どうかご安心ください。ただちにスタッフを総動員して捜索いたします。会場内に落とされたのであれば、すぐに見つかるはずです」

詩織はパニックに陥ったような顔で訴えかけた。

「監視カメラを確認してちょうだい!そうすればすぐに見つかるはずよ。私、絶対にここで落としたんだから!」

スタッフは申し訳なさそうに頭を下げた。

「申し訳ございません、東山様。このチャリティーパーティーはお客様のプライバシーと安全を最優先にしているため、宴会場内に監視カメラは設置されていないのです」

もちろん、詩織は初めからそんなこと百も承知だった。彼女はただ、自分がどれほど切羽詰まっているかを周囲にアピールしたかっただけなのだ。

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