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アイツとの出会い

Penulis: 古紫汐桜
last update Tanggal publikasi: 2026-03-07 21:30:09

彼との出会いは、職場の転勤がきっかけだった。

地元駅にある営業所から、業務改革の影響で私が本社へ異動することになった、その初日のことだ。

駅の改札口で、定期を持った青年と私のタイミングが偶然ぶつかった。

見上げた先にいたのは、整った顔立ちの、二十代後半から三十代前半くらいの男だった。

彼は無表情のまま私を見つめると、手で「どうぞ」と先を促す。

私は軽くぺこりとお辞儀をして先に通り、そのまま人混みの中へ紛れていった。

オフィス街にあるこの駅は、会社へ向かう人でごった返している。

地元駅でのんびり通勤していた私は、独身時代以来の満員電車に思わず溜め息を吐いた。

やっと自分の会社が入っているビルに着き、エレベーターへ乗り込む。

押し込まれるように中へ入り、降りる階を押そうとボタンへ指を伸ばしたその時だった。

同時に、同じ階のボタンを押した人物がいた。

顔を上げる。

そこに立っていたのは、さっき駅で会ったあの男だった。

二度あることは、なんとやら。

配属先の部署へ行くと、なぜか私のパソコンが用意されていない。

この電子化の時代に、パソコンがなければ仕事にならない。

困っていると、上司が申し訳なさそうに声を掛けてきた。

「ごめんね。今日だけパソコンルームで作業してくれる?」

だったら、別に今日から配属じゃなくても良くない?

そう思いながらも、私は黙ってパソコンルームへ向かった。

「ったく……なんで用意してないのよ」

怒り半分。

そして、本当は私に来てほしくなかったんじゃないかという疑心半分。

小さく呟いた、その時だった。

「あー、すんません。パソコン間に合わなくて」

突然、背後から声がした。

振り向くと、そこには今朝見たあの整った顔の男が立っていた。

「でも、こっちも急に言われたんで……」

どこか迷惑そうに言われて、私はムッとする。

「それでも、配属が決まった時点で用意するべきなんじゃないの?それが情シスの仕事でしょ?」

思わず言い返すと、彼は気だるそうに肩をすくめた。

「はぁ……でも急だったんで。無理なものは無理ですよね」

(なんなの、この人!)

心の中で文句を言っていると、

「あんまりカリカリしてると嫌われますよ。もしかして……欲求不満ですか?」

バカにしたように言われた。

(ムカつく!!!!)

私はそいつを睨みつけた。

「大きなお世話!」

そう叫んで、私はパソコンルームを後にした。

これが、アイツ――三島健人と

私、鮫島彩花の出会いだった。

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