Se connecter2026/01/21…今更ながら誤字脱字等の修正をしました。
「苗代、織田を連れて今日はもう帰れ。そんな状態じゃ無理だろうし邪魔になるだけだ」 部屋に戻って来た拓ちゃんが言う。俺は怖くて翔ちゃんの胸に顔を埋めてた。 「あぁ、わかった。そうする」 翔ちゃんの手が俺を落ち着かせるように何度も背中を撫でていく。でもそれも意味がない。 「夜、行くから待ってろ」 耳元で囁かれて驚いて拓ちゃんを見たらいつもの優しい顔で俺の頭を一撫でした。なんで?どうして?本当の俺を知ったんでしょ?なんでそんなこと言うの?「苗代、後でメールする」 「おう、わかった」 翔太は拓ちゃんの言葉を聞き返事をして俺を抱き上げて生徒会室を出た。教室に戻る間も俺はずっと翔太に抱きついたまま。こうしておかないと暴走してしまう…自分が止められなくなってしまう…結局、俺たちは強制的に帰ることになった。俺は翔太に送られる形で家に帰ってきた。 「もう少し一緒にいるか?」 翔太が聞いてくるけど 「大丈夫」 俺は首を振り答える。これ以上は迷惑かけられないからさ。 「そっか。じゃぁ、また明日な」 翔太は俺の頭を撫でて帰っていく。俺はそんな翔太の背を見送ってから家の中に入った。自分の部屋に入り制服を着替えてベッドに座る。蘇るのはさっきの出来事。あと少し…あと少し遅ければ俺は殺していただろう。「は…ははは…」俺はそのまま横に倒れた。もう傍にいられない…もう…一緒にいられない…これで拓真にも完全にばれたよね…俺には闇が付きまとう。そんな俺には幸せなんてこない… ピンポーンチャイムの音で俺は目を覚ました。慌てて下に行き玄関の扉を開ければ拓真がいた。 「あがってもいいか?」 そう聞かれるから俺は躊躇いながら頷いた。拓ちゃんは俺が頷いたのを見て俺の部屋へとあがっていく。俺も鍵をかけて急いで後を追った。拓ちゃんはベッドに座り 「おいで」 両手を広げて俺に言う。俺はそれに誘われるように拓ちゃんの方に行けば 「もう我慢しなくていいから」 俺を抱きしめ優しく頭を撫でてくれる。どれだけこの人は俺のことを見てるの?どれだけ俺のことを知ってるの?「…っ…ふっ…たくぅ…拓真ぁ…」 いつもそうだ。闇の俺が現れた後は必ず俺を甘やかす。まるで狙ったかのように現れて…散々俺を甘やかす…どうしてあなたにはわかるんだろう?ねぇどうして?なんで
自分の格好なんて構わずに自分のクラスに戻り一目散に翔太に駆け寄り抱きついた。「蒼樹?おまっ…」 翔太は一瞬驚いた声を出したけどすぐに俺の異変に気付いた。 「山根悪い。俺と蒼樹ちょっと生徒会室に行く。事件だ」 翔太は抱き着いたままの俺を軽々抱き上げて山根に告げる。 「わかった」 山根の返事を聞くと翔太は足早に教室を出た。 「殺したのか?」 生徒会室に向かう途中に翔太が聞いてくる。 「殺してない…けど…危なかった…」 俺の言葉にホッと息を吐く。俺は翔太に抱きつく腕に力をこめた。「生徒会に行く前にちょっと寄り道するぞ」 翔太はそういいながら行き先を変える。翔太が来たのは誰も使ってない教室。ここは西棟でも誰も来ない場所。扉に凭れながら床に座り込んで優しく俺を抱きしめてくれる。わかってる俺を落ち着かせるためだって…「やったやつの目的は?」 俺の背中を優しくあやすように叩きながら静かに聞いてくる。わかってるよ。言わなきゃいけないの… 「…拓真絡み…でも…」 翔太のシャツをギュッて握りしめる。 「大丈夫だ。金城にはなんもしねぇよ」 そんな言葉と共に優しく頭を撫でられ額に目元に頬に優しいキスが降りてくる。いつも翔太が俺を落ち着かせてくれる行為。それでも今日の俺には効果がない。翔太もそれをわかってる。それでもそれを今この場所でやるのはこれ以上俺が酷くならないため。 「蒼樹。あいつは今日のことを知れば自分で動く。金城はそういうやつだ。だから俺は動かない。動く必要がない」 優しい音色が耳の奥に流れ込む。少しだけ和らいでいく俺の気分。それでも今の俺には意味がない。翔太もそれをわかってる。だから生徒会に行く前にここに来たんだ。 「あんまり長くここにいるわけにはいかねぇからもう行くぞ」 「…ん…」 判ってる。報告しないといけないもんね。 「大丈夫だ」 翔太の優しい声がもう一度、耳の奥に吹き込まれて額に目元に頬に優しいキスを落され最後に唇に落されるもの凄く優しいキス。子供がじゃれ合うようなキス。俺と翔太の儀式。「おし、行く」 翔太はそう宣言して俺を抱き上げたまま立ち上がり生徒会室に向かうために教室を出た。あぁ、これで全部あの人に知られちゃうんだね…俺の大切な恋は終わっちゃうんだね…あの人にサヨナラしなきゃいけないんだね…やっぱり俺は
「差し入れ」眼の前にオレンジジュースが差し出されて驚いて見れば美咲ちゃんだった。俺はそれを受け取り「ありがとう。みんな、なんか言ってた?」聞いてみる。「働き過ぎだって」美咲ちゃんはそれだけ言うと戻っていった。俺は壁に凭れオレンジジュースを見つめる。「って」突然の痛みに声を上げる。「眉間に皺。なに考えてんだ」翔太が聞いてくる。「オレンジジュース苦手だなぁ~っと…」小さく笑い答える。実際本当のことだし…。ジュースはダメだけどお酒は平気って俺も変だよね。「あぁ、そういえばジュースはダメだったな。変えてやろうか?」翔太も納得して聞き返す。「いいよ。このままで。みんなに悪いからね」俺は一気にそれを飲み干した。「無理しやがって…」翔太は俺の手からコップを取って頭を撫でて戻っていった。「織田、写真いいか?」佐伯が訊いてくる。「ほいほ~い」俺は呼ばれて海馬の方へと戻っていく。どれだけこなしたのかなぁ~??気が遠くなるほど写真を撮りまくってたよ俺?「織田、休憩にいってこい」なんて言われる。「は~い。じゃぁちょっと行ってくる~」俺はそう返事をして教室を出ていく。俺は特に行く場所がないからボーっと歩いてた。ホント俺は別に行く場所がないからダラダラと歩いてた。「先輩ちょっと付き合ってよ」不意に声をかけられて振り返れば見覚えのある顔。拓ちゃん絡みか…。「はいはい。いいけど…」俺はそう返事をして後輩の後についていった。俺が連れてこられたのは誰もいない東棟の教室。ドンっていきなり後ろから押されて勢い余って教室の中に倒れ込む。教室の中には数人の男。あぁ、そういうこと。「男のわりにはキレイじゃん」「上玉じゃん」「だよな」なんて言葉が交わされ押さえ込まれる。はぁ~。俺ってつくづくこういうパターンが多いな。ビリビリと破られていく服。はぁ~めんどくせぇ~「なんか言えよ」「つまんねぇジャン」「怖がってみろよ」あ~あ。今ので完全に変なスイッチ入っちゃったよ俺。「てめぇら邪魔」思いっきり相手を振り解く。「なっ」「てめぇ」「なにしやがる」お決まりのセリフ。俺はゆっくりと立ち上がり「こいよ。相手してやるから」冷たく言い放つ。「貴様!」「舐めんなや!」「くらいやがれ!」男たちは俺に殴りかかってく
本日は晴天。気分は土砂降り。やってられっかぁ~!!!とか思うものの文化祭が始まってしまったわけです。みんな楽しみにしてたね…。 俺はというと…白いセーラー服に身を包み背中まであるストレートのカツラに淡いピンク色のリップ付。 しかもクラス看板にはしっかりと織田蒼樹と写真撮影。1回200円。なんて文字が…逃げてぇ~!マジで逃げてぇ~!!!でもさ、条件反射というものは恐ろしいもので…気づいたときにはもう 「あの…写真いいですか?」 なんて聞かれれば 「は~い。大丈夫だよ~」 なんてニッコリスマイルで答えちゃうわけで…これで何人目よ?海馬が写真部員だからせっせと撮ってるんだけどね。 あぁ、勿論インスタントカメラだからすぐに写真は出来上がるんだよ。だから撮ったらすぐにお客さんにあげられるんだ。 「あの…ついでにオーダーもお願いしてもいいですか?」 なんて聞かれればにっこりスマイルで 「どうぞ~♪」 なんて答えてクラスのやつに受け渡してしまう自分が怖い。いやさ、俺の瞳って蒼じゃない?だからどんなカッコをしてもわかっちゃうわけよ。 それに今日はメガネしてないし。みんなに取られちゃったんだもん。 しかもさ誰が選んだのかこのカツラって蒼色なわけよ。 だから俺だってバレバレじゃん!「あ~!織田せんぱ~い!キレイ!」 「ほんとだぁ~!」 「せんぱ~い。写真いいですかぁ~!」 なんて団体でこられたりね… 「はいはい。一人で?それともみんなで?」 一応聞いてみる。聞かなくてもわかってるけど… 「みんなのとも欲しいけど一人のも欲しぃ!」 「だよねぇ~」 「だよなぁ~」 なんてね。これお決まりのパタ~ン。 「ほいじゃぁ、団体は一人100円で一人は200円で~す」 なんて軽く説明をしてお金を入れるための小さな箱を差し出す。 「はい!了解です!」 なんて返事が返ってきてお金を入れてくれる
「じゃぁ、悪いがまた放課後に頼む」拓ちゃんは俺の頭を撫でて自分のクラスに入っていった。俺たちも自分たちのクラスに入って自分の席に着く。「メガネ変えたのか?」いきなり翔ちゃんに聞かれちゃった。「拓ちゃんがね、俺のヤツつけてんだ。拓ちゃんが俺のためにって拓ちゃんなりのアピール」カバンを置いて椅子に座ってメガネを外してそれを見て答えた。「なるほどな。わかるやつにはわかるからな。それでいいんじゃねぇ?」翔ちゃんが優しく俺を撫でてくれる。「あっ…翔太お前、拓ちゃんになんてメールしたんだよ」ふと思い出して聞けば「ん?いや別に?ただお前が落ち込んでるってメールしただけだぜ」この人はほんとに…きっと俺の状態を全部伝えてんだろうな。「頼むからあんま変なメールするなよ」強くは言わずただ呟いただけ。「言わなきゃ伝わらないことだってあるだろうが。特にお前は隠すんだから。それに言っただろ?あいつは今までのやつらとは違うって…信じろって」翔太は俺の頭を何度も撫でてくれる。翔太の言ってることはわかるんだ。「そうだけどさ…でもさ…やっぱり怖いんだ…」一度味わった恐怖は拭いきれないんだ…「そんなのわかってる。でもあいつは違うそれは信じろ。だからな?少しは素直になってみな?っというか十分素直だよな最近。ただ本当の自分が曝け出せないだけで…」うぅ。痛いところをついてくる。さすが翔太だ。「これでも努力してるんだもん。でもやっぱりストッパーがかかっちゃう。どうしても最後の一歩が踏み出せない。もう少し時間がかかりそう」努力はしてるんだ。本当の自分を見せようって。本当の自分を知ってもらおうって。でも最後の一歩が踏み出せない。怖くて…あの人を失うのが怖くて…「あんま無理すんな。あいつはお前のことホントに待っててくれるから」翔太はそう言ってくれる。翔太じゃなきゃわからない俺。翔太に
pipipipipiいつものように携帯のアラームで目を覚ます。ゴソッと動いて違和感に気付く。あるはずのない温もり。 俺は目を開けてその存在を確かめる。あぁ…やっぱり拓ちゃんだ…俺はその胸にすり寄った。この場所にいるときだけ俺だけのもの…俺だけのものでいられる瞬間…すり寄ったらギュッと抱きしめられた。 「おはよ」 俺は拓ちゃんの胸に顔を埋めたままいえば 「おはよう」 拓ちゃんは抱きしめる腕に少しだけ力を込める。俺…やっぱり拓ちゃんが好き…誰よりも…拓ちゃんが好き…「朝飯、作るか」 拓ちゃんは携帯で時間を確認して言う。 「ん」 俺は小さく頷いた。本当はもっとこうしてたい。でも学校だしね。 拓ちゃんは俺を離すとベッドから降り部屋を出て行った。ほんと…俺が好きでいいのかな?闇を纏う俺が好きでいていいのかな…あなたは太陽のような人なのに…俺は…俺は闇そのもの。ねぇ拓ちゃん…あなたは俺の何を知っているの?あなたは俺のどこまでを知っているの?全部知ってるの?あなたは本当の俺を知っても傍にいてくれるの?俺は拓ちゃんの作ってくれたご飯を食べて二人で一緒に学校に行くために家を出た。いつもなら一人なのに今日は拓ちゃんと一緒…なんか不思議…「バスだけどいい?」 俺は拓ちゃんに聞いてみた。 「あぁ、それでいい」 拓ちゃんはそう返事をしてくれる。 俺たちはバスに乗り込み学校へと向かった。もっと…もっと拓ちゃんの傍にいたい…もっと…傍に…バスに揺られ俺は隣に立ってる拓ちゃんを盗み見る。信じていいのかな…拓ちゃんの言葉…「どうした?」 俺の視線に気が付いた拓ちゃんが訊いてくる。 「ううん、なんでもないよ」 俺はそう誤魔化した。実はさ今、拓ちゃんがつけてるメガネね俺のやつなんだ。俺がつける前に拓ちゃんに取られて掛けられちゃった。 で、俺の方が拓ちゃんのやつ。これさ、拓ちゃんの心遣い。気付くやつは気付くんじゃないのかな?俺と拓ちゃんのメガネが違うの。ホントはすごく嬉しいんだ…たったこれだけのことだけど俺にはすごく嬉しいこと…これだけで幸せを感じられるんだ…バスを降りて溜め息をつく。俺が俺じゃなくなる瞬間。 「行くぞ」 拓ちゃんが声をかけてくるから 「あっ…うん」 俺は返事をして拓ちゃんの後をついていく。門を入っ
「あっ、金狼さんの香り…」 部屋に入ってふわりと香る金狼さんが付けていた柑橘系のコロン。さっきまで彼がこの家にいたんだ。夢じゃなくて…あぁ、ヤバいな俺…マジかも…もうあんな思いはしたくないのに…「ダメダメ! 考えたらダメぇ~!!!」 一人叫ぶとクローゼットの中から制服を取り出し着替える。って言っても右腕は悪化させないために吊るしてあるからブレザー着られないんだよね。まぁ、左腕は通すから着られるけどさ。着替えるだけ着替えて、ノートと筆箱しか入ってないカバンを持って俺はため息をつき、学園に行くために家を出た。いつもの時間に、いつものバスに乗り込んだ。バスに揺られながら考えるのは朝ま
「ありがとう金狼さん」 片づけを終えた金狼さんに俺は頭を下げた。お礼はちゃんと言わないとさ。 「着替えなきゃいけないから帰るけど大丈夫か?」 そんな俺に金狼さんが聞いてくる。それは怪我のこと? それとも昨夜の涙のこと?「大丈夫。金狼さんの作ってくれた美味しいオムライスのおかげでメッチャ元気出たから」 ニカって笑って答えた。だってこれは嘘じゃないもん。 「そうか、ならいい」 俺の言葉を聞きソファに掛けてあった上着を取り袖を通す。 「あっ、金狼さん煙草いる? 俺さ、あんまり吸わないから余ってるんだけど…いるならもらって帰ってよ」 俺はふと煙草の存在を思い出して聞いてみた。金狼さ
「んっ」 俺が目を覚ますとそこはベッドの上。金狼さんの姿はなかった。 「あのまま寝ちゃったんだ俺…」 身体を起こし呟く。いつも以上に寝られた気もする。色々と金狼さんに迷惑かけちゃったなぁ。ちゃんとお礼を言わないと…。俺はベッドから降りて部屋を出ようと扉を開けて疑問に思う。下から漂う美味しそうな香り。この家には俺しかいないはずなのになんで?疑問に思いながら1階に降りてキッチンに入って驚いた。 「金狼さん! 帰ったんじゃないの?」 だってキッチンで金狼さんがご飯を作ってるんだもん。俺の声に気付いた金狼さんが振り返り 「勝手に作らせてもらった。その手だと料理とかできないだろうと思
「…っ…ここは?」 目を覚ませば見慣れぬ天井。消毒臭い場所。 「病院だ」 その声に驚き飛び起きた。そこには金狼さんの姿があった。 「えっと…どうして?」 思わず聞いちゃった。 「お前が帰るときに変な奴らが付いていったからな。気になって追いかけて行ったらこの様だ。俺がもう少し早く気が付いて追い付けられたら良かったんだけどな」 金狼さんは少しだけ渋い顔をして教えてくれた。そうなんだ…「ありがとう。俺って帰ってもいいの?」 取り敢えずどうしていいかわかんないから聞いてみた。 「ん? あぁ、殴られた頭は検査して異常がないから大丈夫だ。ただ、右腕はヒビが入ってる。2週間ぐらいで治る







