Beranda / BL / 血と束縛と / 第1話(7)

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第1話(7)

Penulis: 北川とも
last update Tanggal publikasi: 2025-10-15 09:00:49

 さきほど首筋に押し付けられたのは、スタンガンだろう。痺れて動かない体をシートに押さえつけられたまま和彦は、今となってはどうでもいいことに結論を出す。体では、車の振動を感じていた。思考がまとまらないながらも、頭に浮かぶのは最悪の状況だけだ。

 理由もわからないまま、重しでもつけられて海に沈められるのだろうか。それとも山中で生き埋めにされるのか。自殺に見せかけて首を吊らされることも――。

 自分で自分の想像に吐き気がしてきた。和彦が思わず身じろぐと、有無を言わさず体をまた押さえつけられた。

 車内には、和彦を除いて四人の男が乗っていた。運転席と助手席に二人、後部座席で和彦を押さえているのが二人。他の車に仲間がいるのかもしれないが、咄嗟の状況で和彦が把握できたのはこれだけだ。

 男たちの行き先はすでに決まっているらしく、車中では一切会話を交わさない。

 おそらくもう一時間近く車を走らせているが、外の様子も見えない中で、時間の感覚など簡単に麻痺してしまう。もしかすると三十分も経っていないのかもしれないし、実はとっくに一時間など過ぎているのかもしれない。

 それに、どこか遠くに連れて行かれているようで、本当は同じところをぐるぐると回っているような気もしてくる。

 和彦は懸命に考え続ける。脱力感と、体を押さえつけられているせいで全身が痛いが、せめて思考ぐらい働かせていないと、恐怖のあまり声を上げてしまいそうだ。声を上げると、きっとこんな扱いでは済まないだろう。だから和彦も黙り続けているしかない。

 いつまでこんな時間が続くのか。和彦がぐっと奥歯を噛み締めたとき、車がカーブを曲がり、少しまっすぐ走ったあと、ふいに体が浮くような感覚を味わった。何事かと思ったが、音が反響しているのを聞き、どこかの地下に入ったのだと推測する。

 地下駐車場だとわかったのは、車のエンジンが切られてスライドドアが開けられたからだ。和彦は車から降ろされ、また荷物のように引きずられる。

 エレベーターに乗せられて何階かまで上がるが、その途中の階で停まることはなかった。目隠しをして両手を拘束された男を引きずって歩くぐらいだ、普通のビルやマンションではないのかもしれない。

 通路らしい場所を引きずられてから、どこかの部屋に連れ込まれた。前触れもなく体を放り出されたが、マットレスらしい感触に受け止められる。

 和彦は小さく呻き声を洩らしてから、全身の神経を研ぎ澄ませて辺りの気配をうかがう。ピリピリと突き刺すような空気が漂っていた。マットレスの周囲に何人かの人の気配は感じるが、無闇に和彦を威嚇するようなことをしないため、かえって不気味だ。

 ゆっくりと強張った息を吐き出し、和彦は拉致されてから初めて口を開いた。

「――……誰なんだ。どうして、こんなことをする」

 いきなり殴られるかもしれないと覚悟したうえでの発言だったが、そうはならなかった。ただし、和彦の問いかけに対する答えもない。

 本当に自分を取り囲んでいるのは人間なのだろうかと、あまり現実的とはいえない不安が和彦を襲う。実際に和彦をここに連れてきたのは、確かに人間――男たちだった。

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