เข้าสู่ระบบ内奥深くを小刻みに突き上げながら、ふいに賢吾がそんなことを言う。和彦は賢吾の逞しい腰に両足を絡ませながら、頭上の枕を握り締めて嬌声を堪える。大きく呼吸を繰り返してやっと、言葉を紡ぐことができた。
「どういう、意味だ……」「心底嫌いな男に感じさせられて、悔しい反面、ひどく興奮しているんじゃないのか。脅されて言うことを聞かされたはずなのに、体はしっかり、その嫌な男から与えられた快感で悦ぶ。淫奔な体と、下手なヤクザより肝が据わって、したたかな性質を持った先生らしい色気だ」 賢吾には当然、レストルームの個室で鷹津に何をされたのかすら、報告してある。正確には、組み敷かれながら報告させられたのだ。 和彦と鷹津の間にセクシャルな行為が行われることを、賢吾は楽しんでいるようだった。それだけでなく、興奮もしている。 大蛇が熱い。賢吾の汗で濡れた背を何度もてのひらで撫でながら、和彦は心の中で呟く。賢吾の興奮が移ったのか、鷹津との口づけを思い出し、和彦の体に強烈な疼きが駆け抜けていた。 そんな和彦を見下返事の代わりに和彦は顔を背けたが、すぐに南郷にあごを掴まれて唇を塞がれる。痛いほど唇を吸われたあと、恫喝するように求められた。「舌を出せ、先生。ケダモノみたいな、下品でいやらしいキスをしようぜ」 自分の今の発言が、南郷の中に変化をもたらしたことを和彦は感じ取っていた。それは、怒りや不快さというわかりやすいものではなく、もっと複雑で、ドロドロとした感情だ。 南郷の、力強くて粗野で無遠慮な眼差しは、和彦の中にある賢吾の存在を抉り出そうとしてくる。それが嫌で、和彦は南郷に従っていた。 おずおずと舌を差し出し、南郷に搦め捕られる。大胆に舌を絡め、唾液すらも交わし、啜り合う。余裕なく浅ましい口づけを交わしながら、南郷に手首を掴まれて促され、太い首に両腕を回していた。南郷の両手に胸や背を手荒く撫でられて、再び胸の突起を弄られる。指先で弾かれ、和彦が微かに喉の奥から声を洩らすと、武骨そうな指で摘み上げられて執拗に刺激される。 ようやく唇が離され、南郷の荒い息遣いが顔に触れたかと思うと、次の瞬間にはTシャツを大きくたくし上げられて、今度は胸に触れる。あっと思ったときには、胸の突起を口腔に含まれ、きつく強く吸い上げられていた。「あっ、あっ……」 和彦は控えめに声を上げながら、南郷の肩を軽く押し退けようとする。しかし、大きな体を窮屈そうに屈めている南郷はまるで岩のようで、ビクともしない。舌先で突起を嬲りながら上目遣いで見つめてきたが、殺気を帯びているとも言える眼差しの鋭さに、和彦の抵抗は形だけのものとなっていた。「あんたは、汗までいい匂いだな。むせ返るような雄の匂いがしないから、触れることに抵抗がない。だから、こんなこともできる――」 胸元を伝い落ちる汗を、南郷が舌でじっくりと舐め上げる。そのまま顔を上げ、二人はまた濃厚に舌を絡め合っていた。舌先を通して、自分の汗と、南郷の唾液が混じり合った味を知る。 吐き気のあとに襲いかかってきたのは、眩暈だった。逃げ出したい気持ちと、身震いがしそうな官能の高まりに、和彦の頭は混乱する。ただ、南郷は冷静だった。和彦の両足の間をまさぐり、無反応ではないと確認すると、ためらいもなくスウェットパンツと下
背後から、揶揄するように声をかけられる。ビクリと身を竦めた和彦は振り返ることすらできなかったが、傍らに立たれると無視するわけにもいかない。ゆっくりと顔を上げると、目の前に大きな手が差し出された。「怪我はしてないか、先生」「……手が汚れてますから。一人で立てます」 和彦が立ち上がろうと身じろいだ瞬間、強い力で腕を掴まれ、無理やり引き立たされた。驚いた和彦は目を見開き、南郷の顔を真正面から見つめる。南郷が、ニヤリと笑った。「ツンケンしたあんたが泥で汚れている姿は、実に加虐的なものを刺激される」 その発言に不穏なものを感じ、咄嗟に南郷の手を振り払おうとしたが、それ以上の力で引き寄せられる。後頭部に手がかかり、暴力性を秘めた南郷の目を間近で見てしまうと、それだけで和彦は息苦しくなる。 当然の権利のように南郷が唇を塞いできた。南郷の肩を押し退けようとして和彦は、自分の手が泥で汚れていることを思い出し、躊躇する。その一瞬の隙を、南郷は見逃さなかった。深い口づけで和彦を威圧してくる。「んっ、うぅ……」 熱い舌が強引に口腔に押し込まれ、我がもの顔で蠢く。不快さに総毛立つが、口腔を隈なく舐め回された挙げ句に、舌を搦め捕られてきつく吸い上げられているうちに、身の内を這い回るある感覚に襲われる。 肉の疼きだった。 おかげで、昨夜南郷の手で感じさせられた事実を改めて直視することになり、それが耐え難い苦痛となる。 和彦は、不自然な形で止まっていた手をようやく動かし、南郷の肩を押し退ける。服を汚してしまうなどとためらっている場合ではなかった。 一度は南郷から体を離し、後退りながら周囲を見回す。道の真ん中でなんてことをと思ったのだが、和彦の恥じらいを南郷は嘲笑った。「こんなところに、いまさら誰が来るっていうんだ。ぬかるんだ地面を見てわかっただろ。俺たち以外の新しい足跡がついてないことを。何をしようが、どんな声を上げようが、自由ってわけだ」 和彦は踵を返して駆け出そうとしたが、その動きを待っていたように南郷に背後から抱きかかえられ、引きずられる。そして、道の脇に建つ空き
「あんたは、いかにも都会育ちという感じだが、俺がガキの頃に住んでいたのは、こういうところだった。俺が生まれてすぐに母親が育児放棄ってやつをして、そんなロクでなしの母親を育てた連中――つまり、俺の祖父母が仕方なく俺を引き取ったんだ。物心ついたときには、もう厄介者扱いされていたな。俺としても、こいつら早く死なねーかなと思っていたから、お互い様というんだろうな。この世界じゃ、珍しくない話だ。ロクでもない環境で育って、ロクでもない人間が出来上がったというだけだ」 南郷の話を聞きながら和彦は、自分が育った環境は非常に恵まれていたのだろうなと思いはするものの、だからといって幸福であるとは限らないのだと、ささやかな毒を心の中に溜める。 すると、南郷に指摘された。「優しげな色男のあんたは、ときどきゾクリとするような冷たい目をするときがある。人を殺しそうな目というわけじゃなく……、なんというんだろうな。自分と、それ以外の存在を切り離したような、孤高――っていうのか。俺は学がないから、上手い表現が思いつかない」 とぼけたような口調の南郷だが、和彦に向けてくる眼差しは、心の奥底までまさぐってくるかのように鋭い。 物騒な世界で生きる男たちは、共通した勘のよさを持っているのかもしれない。いつだったか、賢吾にも似たようなことを指摘されたことを思い出し、和彦は苦々しい気持ちになる。「……あなたの生い立ちの話をしてたんじゃないですか?」 露骨に話題を逸らされたとわかったのだろう。南郷は微苦笑のようなものを唇に浮かべた。「生い立ちなんて立派なものじゃない。まさに絵に描いたような、ありがちなヤクザの成り上がり話だ。俺はとっとと田舎を飛び出し、ささやかな伝手を頼って仕事にありつき、そこから実入りのいい仕事へと転々としていく中で、オヤジさんに出会った」「長嶺会長ですか」「俺が知り合ったときは、長嶺組長だった。……ヤクザらしくない見た目で、惚れ惚れするほど鋭くて、優しかった。が、怖くもあった。俺はまだ十代のガキだったが、声をかけられただけで舞い上がって、組に入れてほしいと、頭を下げて頼み込んだ。そこで
「そう慌てるな。今、風呂を掃除しているところだ。散歩して汗をかいて帰ったぐらいで、ちょうどいい頃だ」「……だったら、部屋で待ってます」「なら、俺もつき合おう。なんなら、添い寝してやろうか?」 小馬鹿にしたような口調で南郷に言われ、和彦は唇を引き結ぶ。あからさまに昨夜の行為を匂わされると、ムキになって断ることすら、屈辱感に襲われる。引き返したところで、南郷なら本当に部屋に押しかけてきそうだと思い、仕方なく和彦は折れた。 この状況で南郷との力関係ははっきりしており、和彦ができるのは、南郷を怒らせない程度にささやかな抵抗を示すことだけなのだ。 痛い目には遭いたくないと、無意識のうちに和彦は、自分の左頬に触れていた。 昨日、英俊に撲たれた頬は、とっくに痛みは消えているが、受けた衝撃を蘇らせるのは容易い。憂うつな気持ちに、投げ遣りな心境も加わった。 和彦が沈黙したことを承諾と受け取ったらしく、南郷が歩き出す。向かったのは、昨日、ここを訪れたときに気づいた、建物の傍らにある石造りの階段だった。「――ここを下りていくと、村があった場所に出る」 ゆったりとした足取りで階段を下りつつ南郷が言う。後ろからついて歩きながら、和彦は話を聞く。興味がないからと、耳を塞ぐのはあまりに大人げがなさすぎる。「村があった?」「ずいぶん前に廃村になった。山が寂れて、村を出ていく人間が増えて、残った人間も生活が不便になって、やむなく山を下りる。そんな場所の家を嬉々として買うのは、俺たちのような者というわけだ」「……南郷さん、ここに来るのは初めてじゃないようですね」 南郷が、肩越しにちらりと振り返る。「あの家を使うときは大抵、目が離せない人間を閉じ込めて、息が詰まるような時間を過ごすんだが、今回は、違う意味で緊張する。あんたに怪我でもさせたら、俺は指を落として謝罪しなきゃいけなくなるからな」「謝罪って、誰に……」「もちろん、長嶺の男たちに。それ以外にも、あんたのファンは多いからな。どれだけ恨まれるか」 ここで階段が終
** 寝起きの気分は最悪だった。全身に倦怠感が残り、終始眠りが浅かったせいか、頭が重い。「暑……」 緩慢に寝返りを打った和彦は、思わず呟く。部屋の空気がいつもと違うと感じ、ここで、自分が今置かれている状況を思い出し、ひどく暗澹とした気持ちにもなる。 汗のべたつく感触が不快で、ようやく体を起こしたところで、腰の辺りに残る鈍く重い感覚に気づいた。和彦にとってはある意味、馴染み深いともいえる感覚だ。 なぜ、と思った次の瞬間に、体中の血が凍りつきそうになる。それは、強い羞恥と屈辱感によるせいだ。 動揺を抑えながら、慎重に室内を見回す。カーテンの隙間から差し込んでくる陽射しのおかげで、電気をつけなくても室内は十分明るい。そこに、不穏な影は見当たらない。 ぎこちなく緊張を解こうとした和彦だが、ある変化に気づき、顔を強張らせる。昨夜つけたままにしておいたテレビが、消えていた。リモコンは、ベッドから離れた場所に置かれたテーブルの上にある。 悪夢などではなかったのだと、和彦は嫌でも現実を受け入れるしかなかった。 ベッドに座り直して、自分の格好を見下ろす。昨夜ベッドに入ったときと同じ、Tシャツとスウェットパンツで、その上からガウンを着込んではいるのだが、違和感がある。わかりやすいのは、ガウンの紐の結び目だ。明らかに和彦が結んだものではない。 和彦は大きく息を吐き出すと、乱れた髪に指を差し込む。そうやって、南郷に体を自由に扱われたという事実を受け止める。そうするしかなかった。 昨日は兄の英俊と会って話したうえに、さらに衝撃的な出来事に見舞われて、和彦の頭は混乱していた。何から整理していけばいいのかすら、判断がつかない。ただ、猛然と腹が立ってきた。 怒りの矛先は、当然南郷に向いている。 何かに急かされるようにベッドから出た和彦は、ガウンを脱ぎ捨てると、部屋を出る。廊下には人気はなく、不気味なほど静まり返っていた。とりあえず、部屋の前で和彦を見張るという無粋なマネはしていなかったらしい。 和彦は慌しく一階に下りる。長嶺組と連絡を取り、とにかくすぐに迎えを寄越してもらおうと思
「やめろっ」 このとき、南郷の目つきが変わった。鋭く、殺気を帯び、射竦めるように和彦を凝視してくる。南郷のこの変化は一体なんなのかと思ったが、それが狂おしい欲情だと理解した瞬間、和彦は上体を捩って逃げ出そうとしたが、南郷に体をうつ伏せにされて押さえつけられ、腰を抱え上げられる。「うああっ――……」 内奥をこじ開けられる。挿入されたのは、三本の指だった。「今の俺に許されているのは、ここまでだ。――我慢してくれ、先生。腰が抜けるほど、感じさせてやるから」 淫靡な湿った音を立てながら、南郷の指が内奥から出し入れされる。襞と粘膜を強く擦り上げられ、否応なく肉欲を引きずり出されてしまうと、和彦は脆かった。シーツを握り締め、腰を揺らして感じてしまう。「あっ、あっ、んんっ……、んっ、くうっ」 南郷に腰を抱き寄せられ、指で内奥を犯されながら、反り返ったままの欲望を手荒く扱かれる。すでに先端から透明なしずくを滴らせていたため、たったそれだけの愛撫でも愉悦で喉を鳴らす。すると、南郷が笑い声を洩らした。「いいみたいだな、先生。尻が締まったまま、痙攣してる。ビクビクッ、ビクビクッてな。……だったら、ここを弄ってやると、もっといいんじゃないか?」 柔らかな膨らみを揉みしだかれ、和彦は声も出せずに絶頂に達する。シーツに向けて、精を迸らせていた。 南郷に乱暴に体を仰向けにされ、緩みきっただらしない顔を覗き込まれる。和彦は南郷の顔を押し退けようとしたが、簡単にいなされた挙げ句、ガウンの太い紐を使って、頭上で両手首を縛られた。そのうえで、南郷から濃厚な口づけを与えられる。縛められた両手を南郷の頭に振り下ろすことは可能だが、快感に浸った体に力が入らない。それはつまり、南郷に屈服したということかもしれない。「……いい顔になってきたな、先生」 南郷に囁かれ、再び内奥に指が挿入される。「んうっ……ん」 鼻にかかった甘い声が洩れ、誘われたように南郷に軽く唇を吸われる。付け根までしっかりと指が埋め込まれ
「頼むから、部屋の外でそんなことを冗談でも言わないでくれ。ここの組員たちに睨まれたくない」 ヤクザの組長からこんなことを言われると、冗談とわかっていながらも心臓に悪い。ただ、憂鬱さに捕らわれそうになった気持ちは、賢吾のその冗談でふっと軽くなっていた。 コーヒーを啜った和彦が何げなく視線を上げると、賢吾がこちらを見つめていた。そして、自分が腰掛けているソファを指さした。こちらに座り直せと言いたいのだ。わずかにうろたえた和彦だが、結局、賢吾の指示に従う。 案の定、賢吾の隣に座った途端、肩を抱かれて引き寄せられた。 賢吾の大きな手が、ワイシャツの
「これが、総和会会長と長嶺組組長が会うということだ。話した内容なんて関係ない。会ったという事実が、重いんだ。……俺が、ここに近づきたがらないのも納得できるだろ?」 車が走り出してすぐに、和彦の手を握った賢吾が、皮肉っぽい口調で言った。完全に気が抜けた和彦は、シートに深く身を預ける。「だったら、会長が長嶺の本宅を訪ねてくることは?」「帰ってくる、という表現のほうが正しいんだろうな。あの家を建てたのはオヤジだ。俺は、長嶺組を継いだと同時に、あの家も継いだ。……まあ、総和会会長の肩書きがある間は、オヤジ
普通なら、侵入者だと警戒するところだが、生憎、和彦の生活は普通とは言いがたい。部屋の主である和彦の意思に関係なく、自由に出入りできる人間が何人もいる。そしてその人間たちは、和彦に害を及ぼすことは絶対しない。「この落ち着きのなさは――」 和彦は、一人の男の名を呟く。寝室を出て迎えてやろうかとも思ったが、ようやく温まったベッドの中に、夜の訪問者を招き入れるほうが効率的かもしれないと、多少情緒に欠けたことを考えて、じっとしておくことにする。 つまり和彦は、ベッドを出て寒さに震えるのが嫌だったのだ。 それから十分ほどして、ようやく寝室のドアが控え
** 自分の車に千尋を乗せて和彦が向かったのは、繁華街の中にある、飲食店ばかりが入った雑居ビルだった。とにかく人目を避け、なおかつ人に紛れ込みたかったのだ。これだけ飲食店があれば、仮に尾行がついていたとしても、二人の姿を容易に見つけ出せないはずだ。 もっとも、千尋と二人きりになった時点でアウトな気もするが、肝心の千尋が和彦から離れないのだから仕方ない。 混み合うエレベーターを途中で降り、階段を使って上がる。入ったのは、個室が使える居酒屋だった。すでに盛り上がっているグループやカップルを横目に、二人は黙り込んだまま個室に案内してもらう







