Beranda / BL / 血と束縛と / 第16話(32)

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第16話(32)

Penulis: 北川とも
last update Tanggal publikasi: 2026-02-16 11:00:34

 次第に道は細くなり、車も通れないほどになる。道に積もった雪は、人が踏んだ様子もなく、この先には建物もないのだろう。とにかく静かで、木の枝から落ちる雪の音すら大きく聞こえる。

 歩きながら和彦は、頭上を見上げる。今にも雪が降り出しそうな空模様だ。

 散歩にしては、なかなかハードだと思っていると、ふいに千尋に腕を取られる。うかがうように見つめられ、仕方なく腕を組むことを許可した。

「先生、こういう状況になる前にさ、二人きりで旅行とか行きたかったよね。できれば、海外旅行」

「お前と一緒に海外旅行か……。何も知らなかった頃なら、楽しかったかもな」

「かっこいい美容外科医と、気楽なフリーターの組み合わせだったもんね。つき合い始めたばかりの頃は、本当に、何するのも自由だったよ。どこにでも行けたし」

 千尋の口調にほろ苦いものを感じる。和彦は、千尋と知り合ったばかりのことを思い出し、すでにもう、ほろ苦さや切なさより、懐かしさを覚えるようになっていた。

「まあ、今だって、こんなところに連れてきても
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  • 血と束縛と   第26話(27)

    『先生は薄情だ。離れてしまうと、もう目の前にいる男以外、どうでもよくなるんだろ』 ドキリとするようなことを言う賢吾だが、口調はあくまで楽しげだ。電話越しの和彦の反応をおもしろがっているのだろう。『四日間、のんびりできたようだな。その辺りは、自然だけはたっぷりあるが、言い換えるなら、それぐらいしかないような場所だ。退屈はしなかったか?』「いや……。三田村や中嶋くんに、ずいぶん気をつかってもらったから、楽しかった。連休中だから、車で少し出かければ、あちこちで何かしらイベントもやっていたし」『なんだったら、連休が終わるギリギリまでそこに滞在してもいいぞ』「その口ぶりだと、もしかして部屋の工事は終わったのか?」『とっくに。千尋だけじゃなく、俺もそろそろ先生の顔が見たくなった』 こういう場合、なんと答えればいいのだろうかと考えている間に、タイミングを失ってしまう。結局黙り込んでしまうと、電話の向こうで賢吾が低く笑い声を洩らした。『先生はそうでもないだろうが、やっぱり、側にいないと落ち着かないもんだ。――明日、戻ってこい』「……ああ」 電話を切った和彦は、いつの間にか自分にとって、長嶺の男の側が〈戻る場所〉になったのだと、唐突に実感していた。 連休が終わるまで別荘に滞在していいと言ったすぐあとに、当然のように、明日戻って来いと命令する賢吾の傲慢さに、ちらりと苦い表情を浮かべる。「ぼくの反応を、試したな……」 ギリギリまで滞在したいと和彦が言ったとしたら、賢吾はどう返事をしたのか、興味がある。もちろん、大蛇の化身のような男の反応を試す度胸は、和彦にはないが。 携帯電話をパンツのポケットに突っ込んだところで、気配を感じる。デッキチェアから身を乗り出して窓のほうを見ると、三田村が立っていた。窓は開けていたため、和彦が電話で話している声は聞こえていただろう。「――明日帰ってこいと言われた」 和彦が話しかけると、三田村もテラスに出て、側にやってくる。「先生のおかげで、のんびりと過ごせた」

  • 血と束縛と   第26話(26)

     連休中はどこかに出かけるのかと尋ねられ、まさか今のような状況になるとは思ってもいなかった和彦は、自宅でのんびりと過ごすと返信したのだ。一方の里見は、仕事が忙しくて休みどころではないらしい。 のんびり過ごすと返信した手前、いつ里見から連絡がきても応対できるようにと、こうして携帯電話を持ってきたのだが、三田村もともに過ごしているこの場所で、果たしてこれは正しい行動だったのだろうかと思わなくもない。「本当にぼくの生き方は、そういうことで成り立っているな。厄介で物騒な男たちの事情に雁字搦めになって、受け入れて、身を委ねて……」「そんなふうに言われると、俺の目の前にいる人は、自分の意思がなくて、弱いのかと思えますが、違いますよね。先生は、したたかでタフだ」「昔から、鍛えられているからな」 自分でもわかるほど素っ気なく応じて、携帯電話をナイトテーブルの上に戻すと、仰向けで再びベッドに横になり、窓の外に目を向ける。「……今は、甘やかされていると思っている。それに、いろいろと不便で窮屈なところもあるが、少なくとも、佐伯和彦という存在は認識されているし、必要ともされている」「その言い方だと、認識すらされていないときがあったみたいだ。――総和会も長嶺組も、徹底して先生のことは調べ上げているはずなのに、先生には秘密があるんじゃないか、なんてことを考えてしまいますよ」「そうだ。ぼくには、大きな秘密がある」 軽い口調で応じた和彦は、ニヤリと中嶋に笑いかける。虚をつかれたように目を丸くした中嶋だが、同じような笑みを返してきた。「聞いたところで、教えてくれないんでしょう。その様子だと」「冗談だ。本気にしないでくれ。ぼくは、長嶺の男に目をつけられるまでは、普通の暮らしをしていた、遊び好きの美容外科医だった。それだけだ……」 ふうん、と意味ありげに声を洩らして、中嶋が和彦の隣に横になる。ごろりと転がってうつ伏せになると、やはり窓のほうを見て目を細めた。「昼寝するには最高の陽気ですね。午前中は体を動かしたし、昼メシも食ったあとだし。俺も、釣ってきた魚の下処理

  • 血と束縛と   第26話(25)

     今回の別荘の滞在で、中嶋は世話係として本当にうってつけの人材だと、改めて感心する。一応、一人暮らし歴は長かったため、料理以外のことはソツなくこなせる和彦だが、三田村も中嶋も、器用さとマメさのレベルが違う。「君と三田村が側にいると、ぼくは一人暮らしでなんの経験を積んできたのか、という気になる……」 和彦の言葉に、中嶋は楽しげに声を上げて笑いながら、針に餌をつける。釣り竿を差し出されたので仕方なく受け取ると、無様な姿勢で湖に向けて仕掛けを投げた。「――先生は、それでいいんですよ。てきぱきと患者を治療して、クリニックの切り盛りまでして、そのうえ家事まで完璧にこなされると、世話を焼く人間がつまらない。少しぐらい隙があるほうが、かえって周囲から愛されるものです」 だったら自分は隙だらけだなと言いかけた和彦だが、それがとんでもなく自惚れた発言になることに気づく。寸前のところで別の言葉に言い換えた。「周囲にいるのがデキる男ばかりで、たっぷり甘やかされてるよ」 和彦の背後で中嶋が、クスッと笑い声を洩らした。もしかすると三田村も、唇を緩めるぐらいはしたかもしれないが、浮きの動きに集中する和彦には、そこまで確かめる余裕はなかった。** 開けた窓から入ってくる風があまりに心地よくて、スリッパを脱いだ和彦はベッドに転がる。そこで視界に飛び込んできたのは、ゆっくりと雲が流れていく青空と、緑豊かな山々だ。 ぼんやりと眺めていると、日ごろの多忙さや、自分の厄介な立場すらも遠いことのように思えてくる。今こうしてのんびりできるのは、その多忙さや、厄介な立場があってこそのものなのだが。 マンションの部屋の工事は進んでいるだろうかと、ふと気になった和彦は、寝返りを打った勢いで起き上がり、ナイトテーブルに置いた携帯電話に手を伸ばそうとする。このとき、部屋の前に立っている中嶋に気づいた。一方の中嶋も、驚いたように目を丸くしている。「……すみません。ドアが開いていたので」「風通しがよくなるから、開けておいたんだ。さすがに知らない人間がウロウロしているなら気をつかうが、そうじゃないし

  • 血と束縛と   第26話(24)

    **** 男三人が、静かな別荘地で何をして過ごすか――。 密かに和彦は、この問題をどうするべきなのかと心配していたのだが、意外なほどあっさりと解決した。主に、中嶋の働きによって。 垂らしていた糸がピンと張り詰め、両手でしっかりと持った釣り竿がしなる。和彦は半ば反射的に、隣で同じく釣り糸を垂らしている中嶋を見る。「先生、魚がかかるたびに、そう動揺しないでください。適当にリールを巻いて、魚の引きが弱ったら、釣り上げるだけです」「適当ってなんだっ……。その適当の加減がわからないんだ」 和彦が反論する間にも、掛かった魚が激しく暴れる。慣れない手つきで慌ててリールを巻き、竿を立てようと奮闘していると、背後で苦しげな息遣いが聞こえてきた。振り返ると、顔を伏せた三田村が肩を震わせている。「三田村、笑っているんなら、交代してくれ」「ダメですよ、先生。掛かった魚は、責任を持って本人が釣り上げないと」 和彦はじろりと、横目で中嶋を見る。言っていることはもっともだが、明らかに中嶋も笑っている。「……ぼくがオロオロしているのを見て、二人とも楽しんでいるだろ」「普段マイペースの先生が、おっかなびっくりで釣りをしている姿が、なんだか可愛くて。つい、からかってしまうんです。三田村さんも同じ気持ちですよね?」 中嶋に問われ、三田村は曖昧な返事をする。さらに言い合うのも大人げないので、まずは掛かった魚を釣り上げることに専念する。初心者ながら、さきほどから意外に釣果は悪くないのだ。 やや物騒な理由から、総和会が所有する別荘で連休を過ごすことになったが、別に和彦個人が狙われているわけではなく、身を隠しておく必要はない。賢吾からも、護衛をつけておく限り、自由にしていいと言われている。 では、自由に何をするか、という話題になったとき、朝食の後片付けを終えた中嶋が、別荘近くの湖で釣りをしないかと提案してきたのだ。道具一式は揃っており、冷蔵庫には餌になりそうなものものが入っていると言われれば、断る理由はなかった。「先生は、

  • 血と束縛と   第26話(23)

    「ぼくのオトコの感触だ……」 意識しないまま和彦が呟くと、三田村は口づけで応えてくれる。緩やかに舌を絡め合い、もっと互いを味わいたいとばかりに唾液を交わし、啜り合う。そんな口づけを交わす間にも、和彦の内奥は猛った欲望の感触に馴染み、強い刺激を欲し始める。 腰をわずかに揺らすと、それだけですべてを察した三田村が律動を刻み始める。内奥の襞と粘膜を擦り上げられ、鳥肌が立つほど和彦は感じてしまう。「うっ、ううっ、うあっ――」「……俺は、こういう先生も見たかった。首筋まで真っ赤に染めて、感じている先生を……」 三田村の唇が首筋に這わされ、ささやかな愛撫の感触にすら狂わされる。三田村に触れられる悦びで、体が蕩けてしまいそうだ。 うわ言のように三田村を呼び続けながら、必死に背にすがりつく。そんな和彦を惜しみなく三田村は愛してくれる。淫らな蠕動を繰り返す内奥の深い場所にまで欲望を突き込まれ、呻き声を洩らして和彦は感じる。「あっ、あっ、三田村っ……。奥、すご、い……」「ああ。よく締まってる。先生が、俺を欲しがっている」 狙い澄ましたように最奥を突き上げられ、そのたびに痺れるような法悦が溢れ出し、全身に行き渡っていく。内奥と欲望を擦りつけ合うだけの行為だというのに、気がつけば和彦は、二度目の絶頂を迎え、今度は自分だけではなく、三田村の下腹部も濡らしていた。 このとき恥知らずな嬌声を上げていたかもしれないが、惑乱した和彦には気にかける余裕もなく、ただすがるように三田村を見つめるのが精一杯だった。誘われたように三田村が目元に唇を押し当て、滲んでいた涙を吸い取ってくれる。 熱い吐息がこめかみに触れ、反射的に和彦は目を閉じる。内奥深くで三田村の欲望が爆ぜ、たっぷりの精を注ぎ込まれる。満たされる悦びに、浸っていた。 三田村の筋肉の強張りが一気に解ける。全身の血がめまぐるしく駆け回っているのか、熱い体から汗が噴き出し、流れ落ちていく。まるで、何かから解放されたようだなと思いながら、和彦は優しく三田村の体を撫でてい

  • 血と束縛と   第26話(22)

     さらに和彦の興奮を煽るように、三田村の指が内奥の入り口を軽く擦り始める。刺激に弱いその部分はすぐに物欲しげにひくつき、押し込まれる指を少しずつ呑み込み始める。和彦自身の汗と、三田村の唾液が垂れて湿っているせいもあり、引き裂かれるような痛みはなかった。何より、三田村が慎重だということもある。 挿入された指が円を描くように内奥で蠢き、自分でもどうしようもない反応として和彦は、引き絞るように内奥を収縮させた。その感触を楽しむように指を出し入れされ、そうしているうちに、三田村を受け入れる態勢ができてくる。 指の数を増やされて、内奥の浅い部分をある意図を持って押さえられる。三田村の口腔で和彦のものが完全に熟し、あとは破裂する瞬間を待つだけとなる。すると三田村が口腔での愛撫をやめて顔を上げ、内奥からは指を引き抜いた。「三田村……?」 声を発した瞬間、和彦は羞恥で燃え上がりそうになる。甘ったるくてすがりつくような自分の声が信じられなかったのだ。三田村も気づいたはずだが、何も言わず、口元に微かに笑みめいたものを浮かべてすぐに、表情を引き締めた。 片足をしっかりと抱え上げられて、綻んだ内奥の入り口に猛った欲望が押し当てられる。指とは比較にならない大きさと熱を持ったものが、内奥を押し広げていく。 息苦しくなるような異物感に、眩暈がするほどの高揚感を覚え、たまらず和彦はきつく目を閉じる。瞼の裏では鮮やかな色彩が点滅し、飛び交っていたが、それもわずかな間だ。一気に真っ赤に染まった。 混乱するほど強烈な感覚――快感が和彦に襲いかかっていた。「んあっ……」 ビクビクと体中を震わせながら目を開けると、三田村は食い入るように和彦の下肢を見つめていた。三田村の欲望を内奥に受け入れながら、和彦は絶頂に達していたのだ。迸らせた精で、下腹部が濡れている。「――〈これ〉を、見たかったのか?」 和彦が抑えた声で問いかけると、ふっと眼差しを和らげて三田村が頷く。「ああ」 三田村が腰を進め、内奥深くまで逞しい欲望を埋め込まれる。息を詰めて重々しい衝撃に耐えていると、三田村が覆い被さってきた。和彦は

  • 血と束縛と   第11話(11)

    「すまない、びっくりさせてしまったようだね。わたしは、君のお父さんの後輩なんだ。君が高校生ぐらいの頃まで、仕事の関係でよく、佐伯家にお邪魔していたよ」「そう、でしたか……」「まあ、記憶になくても仕方ないかな。わたし一人じゃなく、何人もの人間が佐伯家に出入りさせてもらっていたから。しかも、『勉強会』なんて堅苦しい名前の集まりだったし。確か君は、お医者さんになられたんだよね。医大を受験したと、君のお父さんから聞かされたときは、びっくりしたよ。佐伯家といえば、代々――」 この場から立ち去るタイミングを探っていた和彦は、男の話を遮る

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-27
  • 血と束縛と   第11話(5)

    「いまさら慌てることもないだろ。この色男は、先生が俺のオンナだとよく知っている。それを承知で、先生に手を出したんだからな」 怖く感じるほど、賢吾の声は朗らかだった。この男の場合、それは相手を威嚇しているようなものだ。言葉の端々から、凄みが伝わってくる。「先生に手を出したこと以外にも、この男に対してはいろいろと腹に据えかねることがある」「どんな?」 和彦の問いかけに対する賢吾の返事は、言葉ではなかった。いきなりあごを掴み上げられ、噛み付くようなキスをされる。 驚いてなんの反応もできない和彦の眼前で、賢吾はひどく優しい顔をした。

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-27
  • 血と束縛と   第11話(20)

     外から男二人のにぎやかな話し声が聞こえてくる状況で、求められるまま、やむをえず舌を絡め合い、唾液を交わす。引き出された舌を痛いほど吸われると、たまらず和彦は鷹津の肩にすがりついていた。 ますます鷹津の腕の力が強くなり、和彦の中で奇妙な変化が起こっていた。鷹津のことがどうしようもなく嫌いで、嫌悪しているのに、そんな男にねじ伏せられるように口づけを交わしていると、高揚感に襲われ、体の奥深くから強引に官能を引き出される。 官能に形を借りた、サソリの毒かもしれないと、ふとそんな考えが脳裏を過る。鷹津の毒を注入され、体も心も侵されていくのだ。 思わず身じろごう

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-27
  • 血と束縛と   第11話(22)

     さすがの賢吾も、和彦の心を煩わせるものすべてを見通すことは不可能らしい。「……最初にぼくを狙って、あんなことをした人間が、どんな顔をして、そんなことを言うんだ」「俺はいい。俺は、許されるんだ」 さすがに図々しい発言だと思って和彦が顔を上げると、待っていたようなタイミングで唇を軽く吸われた。「先生を狙って自分のものにして――見事に、骨抜きにされたんだ。そんな哀れなヤクザを、愛情深い先生なら、たっぷり甘やかしてくれるだろ?」 本当に図々しいと思いながらも、和彦はつい笑みをこぼしてしまう。 自

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-03-27
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