Beranda / BL / 血と束縛と / 第16話(40)

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第16話(40)

Penulis: 北川とも
last update Tanggal publikasi: 2026-02-17 20:00:29

『脇腹を刺されたということです。刺された本人が、自分で車を運転して事務所に戻ってきたということなんですが……』

 事情を聞く前に刺された本人は気を失い、傷口もひどい有り様だということで、和彦を呼ぶことになったらしい。

 患者の様子を聞きながら和彦は、治療に必要なものを組員に告げる。

 自分のクリニックだからといって、納入された薬や医療用品を自由に持ち出せるわけではない。むしろ、すべての在庫を管理して、常に詳細な数を把握しておく必要がある。表向きは健全なクリニックとしては、これは当然の処理だ。一方で、組関係の仕事のために、帳簿に載らない仕入先も押さえてある。こちらの管理は組で行ってもらい、和彦の求めに応じて運び出される手順になっていた。

「人目につきたくないという気持ちはわかるが、無茶をする……。血管が裂けていたら、運転の途中で大量出血だってありうるのに」

『大事になって、自分の組の名前が表に出るのを嫌がったんでしょう。揉め事の相手によっては、上の者が乗り出す事態にもなりかねま
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  • 血と束縛と   第26話(11)

     玄関のドアが閉まる音を聞いて、一気に緊張が緩む。和彦は安堵の吐息を洩らすと、次に鷹津を睨みつけた。「南郷を挑発してどうするんだ」「俺が相手をしなかったら、あいつはネチネチとお前に絡み続けたぞ」「だからといって――……」 鷹津と長嶺組は、反目しつつも利用し合うという関係を築いているが、だからといって同じ手法が他の組織に通じるとは限らない。特に、手駒が多いであろう総和会には。南郷のあの余裕は、たかが一介の刑事など恐れていないという自信の表れだ。だからこそ、その南郷を挑発したあとのことを考えると、和彦は空恐ろしくなるのだ。 和彦の側にやってきた鷹津が顔を覗き込んでくる。揶揄するようにこう声をかけてきた。「なんだ。俺の心配をしてくれてるのか?」「……あんたを狂犬だと、よく言ったものだと感心していたんだ。誰彼かまわず噛みつく」 鷹津が左手で頬に触れてこようとしたので、その手を邪険に振り払う。すかさずその手を握り締められた。「――やけにあの男と会話が弾んでいたな」 思いがけない鷹津の発言に、和彦は眼差し同様、刺々しい声を発する。「それは、皮肉で言っているのか?」「いや、本気で言っている。俺の知らないところで、南郷と何かあったみたいだな。傍で聞いていて、ムカついた」 南郷との間に、『何か』は確かにあった。だが、口には出せない。理由の一つは単純で、盗聴器を通して、長嶺組の男たちに知られるからだ。その男たちは、賢吾に隠し事は絶対にしない。すべて、報告される。 そして今、和彦の目の前にいるのは、蛇蝎の片割れである、鷹津だ。 すでに複数の男たちと同時に関係を持っている身でありながら、いまさら体に触れられたぐらい、と鷹津に言われたくなかった。事実ではあるが、きっと自分は屈辱感に苛まれると、和彦には予測できる。 さらに、鷹津が南郷への敵意を募らせる状況を恐れてもいた。 揉め事を恐れて二人を部屋に上げたのだが、予想以上に険悪さが増した状況に、和彦は後悔を噛み締める。南郷が気を悪くしようが、迂闊に花束など受け取るべきではなかったのだ

  • 血と束縛と   第26話(10)

     ふっとそんなことを考えた和彦は、患者の治療をしたあと、仮眠室で一泊したときの出来事を思い返す。あのとき、守光の行動に倣うように顔に薄布をかけられ、それだけで和彦は抵抗を封じられたのだ。「――俺のわからない話を、いつまで続けるつもりだ」 唐突に鷹津が、不機嫌そうな声を発する。我に返った和彦は、このときばかりは鷹津に感謝していた。南郷のペースに巻き込まれる寸前だった。「番犬は、おとなしく飼い主の足元に身を伏せているもんだろ。会話に割って入るのは、無作法だぜ、鷹津さん」「佐伯がイライラしているのがわかったから、その番犬としては知らん顔はできないんだ。あとで、気が利かないと叱られたくない」 鷹津の言葉に納得したように南郷は頷き、意味ありげに和彦を一瞥した。「俺はすっかり、先生に嫌われているようだからな」「ほお。つまり、それだけのことをしたということか?」「先生に聞いてみたらどうだ」 南郷の発言に動揺しかけた和彦を救ったのは、電話の呼出し音だった。反射的に立ち上がった和彦はリビングを出ると、ダイニングで電話に出る。『先生、大丈夫ですか?』 切迫した声の主は、いつも和彦の護衛についている長嶺組の組員だ。ついさきほどまでマンションの前で、第二遊撃隊の男たちと睨み合っていた。和彦がマンションに入ったからといって、彼らの仕事はまだ終わっていないのだ。 和彦はリビングの気配をうかがいつつ、小声で尋ねた。「鷹津がいるから、ぼくのほうは心配いらない。それより、まだマンションの前に?」『遊撃隊の連中は、車で待機しています。こちらは、マンションから少し離れた場所に車を移動させました。何かあれば、すぐにでも部屋に駆けつけられます』「いや……、何もないだろう。向こうはあくまで、見舞いだと言っているんだ。今晩はもう、護衛の仕事はいい」 仮に何かあったとしても、盗聴器を通して危険は伝わる――とは、さすがに口には出せない。とにかく和彦は、心配されるような事態にはならないと確信があった。「何があったか、組長に報告だけはしておいてくれ」 そう頼んで電話を切った

  • 血と束縛と   第26話(9)

    「俺が凄んだところで、屁でもないだろ。総和会第二遊撃隊を率いる、南郷ともあろう男が」「……長嶺組長だけでなく、うちのオヤジさんにとっても大事な先生を、警察の人間が守っているんだ。何事かと気にもなるってもんだ」「そういうお前は、どうしてこいつにつきまとう。大事な『オヤジさん』の側についていなくていいのか?」 口元に笑みを湛えたまま、南郷は凄むように鷹津に視線を定める。傍で見ていて息を詰めてしまうほど、冷たく鋭い目だった。 二人の男のただならぬ雰囲気が伝わったのか、それとも、そんな男たちの間で戸惑っている和彦の様子から何か感じたのか、南郷の護衛についている男たちだけではなく、和彦の護衛として、鷹津の車の背後からついてきていた長嶺組の男たちが、互いに威嚇し合うように静かに距離を縮めていた。 友好的とは言いがたい空気を無視できなくなった和彦は、ため息交じりに南郷に提案する。「――まだ話したいなら、場所を移動してもらえませんか。ここで立ち話をされると、迷惑になります」「だったら、先生の部屋に。前にも言ったが、長嶺組長がオンナを住まわせている部屋を見てみたい」 こういう流れになるのは予測していた。和彦がそっと目配せすると、心得たように鷹津も応じた。「コーヒーぐらい出せよ」** ソファに腰掛けた二人の前にコーヒーを出した和彦は、少し迷ってから、鷹津との間に一人分のスペースを空けて隣に腰掛ける。 足を組んだ南郷は、ソファの背もたれに腕をかけ、賢吾の好みで統一されたリビングを見回す。一方の鷹津は、そんな南郷を不躾なほど観察していた。刑事としての習性なのかもしれない。「思った通り、長嶺組長は先生にいい暮らしをさせている。――金をかける価値のあるオンナ、ということだな」 この部屋に入れた時点で、事情を知る男たちが何を思うか、和彦は容易に想像できるし、覚悟もしている。明け透けすぎる南郷の言葉に、眉一つ動かさずにこう答えた。「堅気としてのぼくの人生を、めちゃくちゃにした対価だと思うようにしています。どれだけ金をかけるかは、あの人の自由です」 この

  • 血と束縛と   第26話(8)

     車から降りた和彦は、警戒しながら南郷に歩み寄る。マンション前に花束を持って立っていて、和彦以外の人間を待っているとは考えにくい。知らん顔をして通りすぎるなど不可能だった。 それに――、和彦よりも先に状況を把握したのだろう。鷹津までもが歩道脇に車を停めて降り、険のある視線を前方に向ける。目を凝らしてみてみると、街灯の明かりを避けるようにして車が一台停まっていた。「大丈夫だ。あれは、うちの隊の人間だ。佐伯先生の見舞いに行くと言ったら、何を心配したんだか、ついてきたんだ」 声を荒らげているわけでもないのに、南郷の声は夜の空気を震わせる。和彦はハッとして、再び南郷を見た。「……見舞いって、なんのことですか……?」「襲われたと聞いた」「誰がそんなことを言ったのか知りませんが、ぼくはこの通り、なんともありません」 和彦は、南郷が持っている花束を渡されたくない一心で、冷ややかに言い放つ。一方の南郷は、和彦の反応を楽しんでいるかのように口元を緩めた。 夜ということもあり、人通りはほとんどないのだが、それでも、マンションを出入りする人間に、明らかに堅気ではない男と話している場面を見られたくない。 和彦が半ば強引に会話を打ち切ろうとしたところで、嫌なタイミングで南郷が切り出した。「――長嶺組の動きが慌ただしいという報告だけは、すぐに耳に入っていたんだ。だが、一体何が起こったのか、総和会になかなか情報が上がってこなかった。見舞いが遅くなったのは、そういう理由からだ」「長嶺組と総和会の情報のやり取りについては、ぼくにはなんとも……。連絡役になっているのは、中嶋くんでは?」「もちろん、長嶺組の本宅に中嶋を向かわせた。が、何も知らされず、聞いたところで答えをはぐらかされたようだ」 それなのに南郷は、襲撃の件も、その場に和彦がいたという事実も把握している。どうやって知ったのか、と考えてまっさきに頭に浮かんだのは、秦の存在だ。秦と中嶋の関係を思えば、情報のやり取りが皆無とも考えにくい。 しかし、和彦の心の内を読んだように、すかさず南郷に言われ

  • 血と束縛と   第26話(7)

    「この調子なら、連休中にでも抜糸できそうだ」 連休、と小声で呟いた鷹津が、傷口の消毒を始めた和彦に問いかけてくる。「このクリニックも、連休があるのか?」「一週間ほど休むことになっている。ぼくはカレンダー通り開けていてもいいんだが、組長に言われると、何も言えない」「ヤクザは優雅なものだな。そのオンナも」 鷹津が左手を伸ばし、頬に触れてこようとしたので、咄嗟に払い除ける。触れられることが嫌だというより、賢吾から言われた言葉が蘇ったのだ。 鷹津に情を移すなと、賢吾は言った。それがどういうことなのか和彦にはよくわからない。鷹津は相変わらず嫌な男だし、好意的な感情を抱いていないつもりだ。だが、それだけで鷹津との関係は割り切れない。そう、単純なものではないのだ。「……治療中だ。邪魔するな」 あえて鷹津の顔を見ないで注意すると、和彦は黙々と手を動かす。治療とは言っても、傷の様子を診たかっただけで、あとは消毒をして、ガーゼと包帯を取り替えるだけだ。 手早く包帯を巻き終え、立ち上がった和彦は片付けを始める。「また何日かしたら連絡をする。そのとき、傷が化膿していなかったら抜糸をする。――用は済んだから帰ってくれ」 鷹津に背を向けて素っ気なく告げると、突然、肩に手がかかる。驚いて振り返ると、いつの間にか鷹津が目の前に立っていた。怖いほど真剣な顔で見つめられ、察するものがあった和彦は後退ろうとしたが、うなじに手がかかって反対に引き寄せられる。「おいっ――」「長嶺に、何か言われたか? えらくピリピリしているな」 和彦は思わず視線を逸らしたが、肯定したも同然だ。鷹津は鼻先で笑い、顔を寄せてきた。「〈あれ〉で、餌を食わせ終えたなんて思ってないだろうな? 俺はお前の命を助けたんだぜ。せめて、この怪我が治るまで、好きなだけ食わせてもらうぞ」「そこまで恩着せがましいことを言うと、せっかくの善行も価値がなくなるぞ。助けられたほうも、うんざりしてくる」 睨みつけながら和彦が言うと、鷹津は意外なほどあっさりと身を引いた。「腹が減った。これからメシを食いにいくぞ」

  • 血と束縛と   第26話(6)

     しっかりと腰を抱え込まれて、内奥で賢吾の欲望が脈打ち、爆ぜる。熱い精をたっぷりと注ぎ込まれ、その感触に和彦は軽い絶頂状態に陥る。きつく目を閉じ、眩暈に耐える。 内奥から賢吾のものが引き抜かれ、体をひっくり返される。手荒く頬を撫でられて、ようやく和彦は目を開けることができた。顔を覗き込んできた賢吾に唇を吸われ、ぎこちなく応える。優しい声で問われた。「俺が今言ったこと、しっかりと頭に叩き込んだか?」 頭がぼうっとしているが、それでも和彦は頷く。「お前は、俺の大事で可愛いオンナだ」「あ、あ……。ぼくは、あんたのオンナだ。ぼくは、あんたには逆らえないし、逆らうつもりもない」「そういう言われ方をすると、俺がまるで暴君みたいだな」 声同様、優しい表情を見せた賢吾にもう一度唇を吸われ、そのまま舌を絡め合う。その間に、賢吾の指が内奥に挿入され、注ぎ込まれたばかりの精を掻き出される。発情している和彦の内奥は、物欲しげにその指を締め付けていた。「本当に、お前はいいオンナだ……」 指が引き抜かれ、まだ硬さを失っていない賢吾の欲望が、閉じきっていない内奥の入り口に押し当てられる。すぐにまた挿入されるのだと思って喉を鳴らした和彦に、怜悧な笑みを浮かべた賢吾はこう囁いた。「欲しかったら、俺の見ている前で――漏らしてみろ」 ハッとして和彦は顔を強張らせる。〈何を〉漏らしてみろと言っているのか、問い返すまでもない。求められるのは初めてではないが、だからといって慣れることはない行為だ。「……ここ、で……?」「心配するな。二人分の浴衣があれば、吸い取ってくれるだろ。お前一人の――」 耳元に露骨な単語を注ぎ込まれ、和彦は羞恥と屈辱を覚えると同時に、異常な高ぶりを感じていた。 賢吾に両足を広げた格好を取らされ、手慰みのように柔らかな膨らみを揉まれる。ときおり弱みを指先で刺激され、早くしろと無言で急かされる。 何度目かの攻めで、和彦の理性は陥落した。 賢吾が見ている前で『漏らした』のだ。

  • 血と束縛と   第17話(35)

     口腔に差し込まれた鷹津の舌に軽く噛みつきはしたものの、すぐに濡れた音を立てて吸ってやる。表情には出さないものの、鷹津はこの口づけに興奮していた。和彦は片手を取られ、すでに熱く高ぶった欲望を握らされる。 言われなくても、何をすればいいのかはわかる。和彦は鷹津のものに指を絡め、緩やかに扱いてやる。鷹津が苦しげに眉をひそめ、荒く息を吐き出した。「サービスがいいな」「……一応、助けてもらったからな」「お前、いつも護衛を張り付かせてるくせに、どうしてあんな、見るからにヤバそうな男と二人きりになった。俺が現れなかったら、今

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-03
  • 血と束縛と   第17話(27)

     思案するように声を洩らした守光が、和彦の傍らに歩み寄ってきたかと思うと、なんの前触れもなくあごを掬い上げた。「……確かに、少し顔色が悪い。やはり、賢吾や千尋と一緒に過ごすほうがよかったようだ」「いえっ、そんなことはありません。お忙しい立場なのに、気にかけていただいて感謝しています」「次に会うときは、もっと打ち解けてくれ」 守光の指がさりげなくあごの下をくすぐる。極度の緊張を強いられた和彦が動けないでいる間に、守光は座敷を出て、廊下にいる南郷に話しかけた。二人の会話が和彦の耳に届く。「――南郷、先生を

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-03
  • 血と束縛と   第17話(44)

     首を傾げて返事を待つ賢吾の顔をまじまじと見つめてから、とうとう和彦は笑ってしまう。実家を見せられ、なんの嫌がらせかと思ったが、そうではないとわかった。 賢吾は、和彦の心の内を見たかったのだ。今の生活をどう感じているか、和彦が本当に佐伯家を忌避しているかどうか。もちろん、それだけではないだろう。受け取り方によっては、これは恫喝にもなりうる。ヤクザの組長に、実家の場所と状況を把握されているというのは、ある意味で恐怖だ。 賢吾が声をかけ、車が走り出す。実家前を通り過ぎるとき、スモークフィルムの貼られたウィンドー越しに眺めてはみたが、和彦の中で懐かしいという感情が込み上

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-03
  • 血と束縛と   第17話(16)

     普通なら、侵入者だと警戒するところだが、生憎、和彦の生活は普通とは言いがたい。部屋の主である和彦の意思に関係なく、自由に出入りできる人間が何人もいる。そしてその人間たちは、和彦に害を及ぼすことは絶対しない。「この落ち着きのなさは――」 和彦は、一人の男の名を呟く。寝室を出て迎えてやろうかとも思ったが、ようやく温まったベッドの中に、夜の訪問者を招き入れるほうが効率的かもしれないと、多少情緒に欠けたことを考えて、じっとしておくことにする。 つまり和彦は、ベッドを出て寒さに震えるのが嫌だったのだ。 それから十分ほどして、ようやく寝室のドアが控え

    last updateTerakhir Diperbarui : 2026-04-03
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