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第16話(5)

Penulis: 北川とも
last update Terakhir Diperbarui: 2026-02-10 20:00:50

 着替えて少し休みたいと思っていたが、本宅の前を通りかかったとき、それは無理だとすぐに諦めた。大晦日ほどではないが、本宅の前には高級車がずらりと並び、いかつい男たちが辺りを睥睨するように視線を向け、警戒している。

 午後から夜にかけて、長嶺組から盃を受けている組が、新年の挨拶のため本宅を訪れるのだという。当然、組長である賢吾は、そのすべてに応対しなければならない。

 昔は三が日が明けてから、新年の挨拶を受けていたそうだが、〈働き者〉揃いの総和会のおかげで、慌しい正月につき合う習慣になったのだという。

 混乱を避けるため、長嶺組の身内扱いである和彦は裏口に車を回してもらい、そこから家の中に入る。

 その足で客間に向かおうとしたが、待ちかねていた組員に呼び止められ、応接間へと案内される。着物姿の賢吾がソファに腰掛けていた。

「ご苦労だったな、先生。楽しい正月だっていうのに」

「……表の光景を見たあとで、あんたのその言葉を聞くと、笑えない冗談としか思えない」

「俺は、人望があるんだぜ。誰も
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  • 血と束縛と   第18話(13)

    「先生と二人きりだから、ついうっかりしてました」「それをつけたのは――」「秦さんです」 和彦は大きく息を吐き出すと、中嶋の隣に再び腰掛ける。「……上手くいっているみたいだな」「慣らされている最中です。今のところ秦さんは、紳士ですよ」 臆面もなく言い切られ、和彦は返事に詰まる。中嶋は、酔いのせいだけとも思えない、妖しい流し目を寄越してきた。「先日は、いいものを見せてもらいました。長嶺組長と先生の絡み合う姿に、すごく興奮したんです。……俺は、あんなふうに秦さんに抱かれたい。でも同じぐらい、先生をあんなふうに抱いてみたいとも思いました。もちろん、先生に抱かれることにも興味がある」 話しながら、中嶋がペットボトルを差し出してくる。受け取った和彦も水を飲み、喉を通る冷たい感触を堪能する。あまり意識していなかったが、アルコールのせいか、暑いぐらいの暖房のせいか、顔が火照っていた。 ペットボトルをテーブルに置いて、頬に手の甲を押し当てていると、ふいに中嶋が身を乗り出してくる。あくまで自然に、唇を塞がれた。 軽く目を見開いた和彦だが、瞬間的に胸の奥で湧き起こった衝動のまま、中嶋との口づけを受け入れ、応える。最初はぎこちなく互いの唇を吸い合っていたが、欲望の急速な高まりに背を押されるように、積極的になる。 舌先を触れ合わせたかと思うと、すぐに余裕なく絡ませ、唾液を交わす。舌を吸い合いながら、中嶋の手が和彦が着ているセーターを捲り上げてきたので、和彦も中嶋のワイシャツを引き出してボタンを外していた。 引っ張られるままソファに倒れ込み、和彦は中嶋を真上から見下ろす格好となる。「――……長嶺組長が、先生と仲良くしてやってくれと言ったのは、こういう意味も含めてですよね?」 そんなことを言いながら、中嶋のてのひらが脇腹から背へと這わされる。くすぐったいような、焦れったいような刺激に、和彦は軽く体を震わせていた。「さあ……」「俺は、そういう意図だと理解して、楽しみにしているんですよ。秦さんだ

  • 血と束縛と   第18話(12)

    「見たまま、怖いですよ。生粋のヤクザというやつです。冷たく歪に固まった鉄のよう――という表現がしっくりくるんです。遊撃隊なんてものを指揮しているぐらいですから、当然、頭は切れる。だからといって慎重というわけでもなく、必要とあれば、ブルドーザーみたいに強引に物事を進める。……不気味で、怖い人です」「そして、総和会会長のお気に入り」「会長の手足となって動く人間は、もちろんいます。ただ、第二遊撃隊の一部の人間しか関わらせないようにして、南郷さんは会長から秘密の仕事を請け負っているようです。そういう意味で、本当にお気に入り――信頼されているんでしょうね」 料亭での、守光と南郷の姿を思い返す。守光が普段、組員たちにどんな態度で接しているのかは知らないが、少なくとも、南郷に寄せる信頼を感じることはできた。南郷にしても、守光には長年世話になっているという口ぶりから、畏怖と尊敬以外に、親愛の情めいたものが滲み出ているようだった。 一方で、その守光の息子である賢吾を語るとき、南郷の口調は変化した。 あれは一体――。和彦は無意識に眉をひそめていたが、突然、眼前にグラスが突きつけられた。驚く和彦に、中嶋が首を傾げながら言う。「これ、飲みませんか?」「えっ、ああ、でも君の――」「飲みすぎました。俺には半分残してくれればいいですよ」 いつの間にか、中嶋との距離が近くなっている。和彦が気づかないうちに、間を詰めてきたらしい。 部屋で二人きりになるとわかったときから、意識しないわけにはいかなかったが、こうも間近に中嶋の存在を感じると、もう、強く意識するしかない。 和彦が水割りを一口、二口と飲んだところで、さりげなく、しかし待ちかねていたようなタイミングで中嶋が問いかけてきた。「で、南郷さんをたぶらかしたんですか?」 和彦は唇をへの字に曲げて、グラスを突き返す。そんな和彦の反応に、中嶋はニヤリと笑う。「読めないなー。先生のその反応だと、何があったのか」「……ぼくはどれだけ、誤解されてるんだ」「周囲にいる人間のほうが、物事を正しく認識しているなんてこ

  • 血と束縛と   第18話(11)

    ** 世の中には意外にマメな男が多いのだろうかと、中嶋が作ってくれた酒のつまみを眺め、和彦は素直に感心していた。 マンションに向かう途中、深夜営業しているスーパーに立ち寄ったのだが、和彦がビールを選んでいる間に、中嶋はさっさと野菜などをカゴに入れてきた。つまみを作ると言っていたが、こうして出来上がったものを目の前にすると、料理が一切できない自分が少しばかり恥ずかしくなってくる。「ホストになる前に、メシ屋で働いていたことがあるんです」 寛いだ様子でソファに腰掛けた中嶋が、缶ビールを片手に教えてくれる。へえ、と声を洩らした和彦は、さっそくトマト炒めを口に運ぶ。酸味がほどよくて、手早く作ったものとは思えないほど美味しい。「見た目によらず、いろいろ経験しているな」「いろいろ、というほどじゃないですよ。少しばかり極端な道は歩んでいるかもしれませんが」「だったら、ぼくもだな」 和彦の言葉に、中嶋はニヤリと笑う。「先生こそ、まさに極端ですね」「……君と違うのは、ぼくの場合、自分が選んだわけじゃないということだな」 中嶋はわずかに目を丸くしたあと、和彦のグラスにワインを注いでくれる。「医者という職業は、先生がなりたくてなったんじゃ……?」「物心がついたときには、医者になれと言われていた。そういうものかと思って、ぼくも逆らわなかった。佐伯の人間は、意地でもぼくを官僚にしたくなかったらしい。だが、名門である佐伯家の評判を落とすことは許さない。――ぼくに才能があったら、芸術家でもよかったのかもな。とにかく、家を出て自由になれるなら、なんでもよかった」「でも、先生が医者になったおかげで、こうして俺たちは一緒に飲めるわけです」 和彦が手にしたグラスに、中嶋は缶を軽く当ててくる。和彦は、隣に座った中嶋をまじまじと見つめてから、淡く笑む。「ヤクザのくせに、変な気のつかい方をするんだな。いや……、優しいんだな、と言うべきか」「素直にそう受け止められる先生こそ、優しいですよ。野心のあるヤクザ

  • 血と束縛と   第18話(10)

    「ショックだなー。俺、そんなに弱そうに見えますか?」「違う。――相手を半殺しにするんじゃないかと、そっちを心配したんだ。……よく考えたら、君がそんな素人みたいなマネをするわけがないな」 心配して損をした、とぼやきながら、和彦も支払いを済ませる。隣に立った中嶋の肩が微かに震えている。和彦の気遣いに感動している――わけではなく、必死に笑いを堪えているのだ。 ビルの一階に降りたところで、二人は並んで外を眺める。不本意な形で楽しい時間を中断してしまい、正直物足りない。別の店に移動しようという流れになりそうなものだが、今夜は天候に見放されている。 雨の降りはますます強くなっており、開け放っている扉から吹き込んでくる風は、凍りつきそうなほど冷たい。 和彦が丁寧にマフラーを巻く姿を見て、中嶋は苦笑に近い表情を浮かべた。「このビルの中に、他にいくらでも店がありますから、適当に入って飲みますか?」「君のお薦めの店が、他にあるのなら」 中嶋は軽く肩をすくめたあと、和彦に向かって頭を下げた。「すみません。俺から誘っておきながら、俺のせいで店を出ることになって」「気にしないでくれ。あのまま酔っ払いに喚き続けられてたら、どっちにせよ店を出ることになっていた。それに――君の怖い面も見られた」「怖い? にこやかだったでしょう、俺」 澄ました顔で言うのが、なんとも白々しい。和彦は露骨に聞こえなかったふりをして、腕時計を見る。夜遊びを堪能したというには、まだ早い時間だ。「先生、今夜はお開きにしましょう。タクシーを停めてきますから、ここで待っていてください。あっ、知らない奴についていかないでくださいね」「ぼくは子供か……。――どうせ送ってくれるんだから、ついでに部屋に寄っていかないか? 店ほどじゃないが、そこそこの酒が揃っている」 軽く目を見開いた中嶋が、次の瞬間には嬉しそうに目元を和らげる。さきほど、酔っ払い相手に見せた凄みのある笑みとは、まったく違う表情だ。 先日、賢吾を挟んで自分と中嶋との間にあった出来事を考えれば、抵抗がないわけではないが、だか

  • 血と束縛と   第18話(9)

     頷いた直後に、数人の緊迫した声が上がる。振り返ると、さきほどまで楽しそうに飲んでいたグループの一人に、いかにも泥酔したスーツ姿の男が詰め寄っていた。今にも掴みかかりそうで、周囲の人間が止めようとするが、それがかえって男を煽ったようだ。とうとう揉み合いとなり、騒ぎが大きくなる。「……まったく、いい歳したおっさんが、みっともない……」 苦い口調で洩らした中嶋が立ち上がり、揉み合いの中心へとスッと近づく。何をするのかと和彦が見守っている中、中嶋は有無を言わせない手つきで、スーツ姿の男のジャケットを掴み上げた。 咄嗟に、中嶋が男を殴るのではないかと危惧して、和彦も立ち上がる。何かあれば自分が間に入ろうと思ったのだが、事態はあっさりと収拾した。 中嶋が笑いながら、男の耳元で何かを囁く。それから二、三言会話を交わしていたが、その間に、怒気でぎらついていた男の目つきが変わり、明らかに怯えの色が浮かぶ。紅潮していたはずの顔から、血の気まで失せていた。対照的に、中嶋は笑ったままだ。 酔っ払いのあしらい方は水商売で鍛えたものかもしれないが、男の顔つきの変化からして、耳元で囁く言葉は、おそらくとてつもなく物騒なものだろう。表面上は穏やかに、しかし実際は容赦なく物事を進めるのは、ヤクザのやり口だ。 中嶋が親しげに男の肩を叩き、こちらに戻ってくる。「先生、出ましょうか」 何事もなかったようにコートを取り上げ、中嶋が声をかけてくる。和彦は困惑しつつ、男のほうを見た。さきほどまで威勢がよかった酔っ払いは、急におどおどしたように周囲を見回し、ぎこちない動きで自分のテーブルに戻っている。 あっという間に騒動は収まったが、店内の客たちの視線は、今度はこちらに――正確には中嶋に向けられていた。物腰の穏やかな普通の青年が、声を荒らげることなくどうやって酔っ払いをおとなしくさせたのか、興味津々といった様子だ。 確かにこんな空気の中、気楽に飲み続けるのは不可能だろう。即座にそう判断した和彦は、自分もコートとマフラーを取り上げ、中嶋とともにレジへと向かう。二人で飲むときは、基本的にワリカンなのだ。「――先生もしかして、

  • 血と束縛と   第18話(8)

     思わず語気を荒くすると、中嶋が驚いたように目を丸くする。和彦はウィスキーを一口飲んでから、ほっと息を吐き出した。ついでに、言い訳がましく説明する。「別に……、総和会の仕事を受けたくないわけじゃない。ただ、たまたま君が待機組だったというだけで、いつ怪我をしてもおかしくない環境だから、心配になっただけだ」「こんな世界にいて、甘いですね、先生は。ただ俺は、先生の甘さが大好きですよ。きっとこれは、俺だけの意見じゃないと思いますけど」「ぼくの甘さに対して、きちんと見返りをくれる男ばかりだからな。損はしてない――と思う」 悪党ぶって言ってはみたが、返ってきたのは、中嶋の楽しげな笑い声だった。「けっこう、悪辣な世界に染まってきましたね」「全然、そう思ってないだろ……」 ひとしきり笑ったあと、中嶋がふっと我に返ったように真摯な顔つきとなる。隣のテーブルの客が帰ったところを狙っていたように、実にさりげなく和彦の手に触れてきた。「――俺が怪我したら、先生が治療してください」「その前に、怪我をしないよう気をつけることだな」「ヤクザに、無茶言いますね」 和彦は、重ねられた中嶋の手を軽く握ってやる。「せっかく、大きな傷跡のないきれいな体をしているんだ。そんな君の体を縫うところは、あまり考えたくないな」「でも、いつかは現実になるかもしれない」「……そうなったら、せめて箔がつくように、立派な縫い跡を作ってやる」 従業員がやってきて、隣のテーブルを片付け始めたので、二人は何事もなかったように手を離す。 我ながら不埒だなと思うが、中嶋との会話も、ささやかな肌の触れ合いも、適度に気分を高揚させられて心地いい。妖しい胸のざわつきを覚えながらも、反面、強い肉欲を意識するまでには至らない。 和彦は深い吐息を洩らして夜景に視線を向ける。さきほどより雨の降りが強くなってきたようで、ますます景色が霞んで見える。 ガラスを伝って流れ落ちる水滴に見入っていると、背後からにぎやかな歓声が上がる。いかにも学生らしいグル

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