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第21話(25)

Author: 北川とも
last update publish date: 2026-03-24 17:00:44

 今まさに、中嶋の肉を食らおうとしているのだ。

「うっ、うあっ」

 和彦の上で、中嶋が背をしならせる。それと同時に、繋いだ手をぐっと握り締められた。

 内奥深くに収まっている中嶋のものが脈打ったのを感じ、和彦は小さく呻き声を洩らす。すると中嶋も、苦しげに息を吐く合間に呻き声を洩らした。見ることはできないが、中嶋の体に何が起こっているのかは、感じることができた。

「――……ひどい奴だな、君の〈オトコ〉は」

 和彦がそっと囁くと、眉をひそめていた中嶋が口元に微苦笑を浮かべる。

「物騒な男ばかり相手にしている先生にそう言われると、なんだか胸を張りたくなりますよ」

 ここで中嶋の腰が大きく揺れ、和彦の内奥で熱い欲望も蠢く。秦が、己の快感のために律動を繰り返すと、その動きに合わせて中嶋の腰は揺れ、必然的に和彦の内奥で動くことになる。

 とんでもなくふしだらで、淫らな行為に及んでいるという興奮が、和彦を狂わせる。種類の違う快感を同時に味わっている中嶋は、それ以上かもしれない。
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  • 血と束縛と   第21話(26)

     思いがけず苦々しげな秦の口調がおかしくて、つい和彦は笑ってしまう。「つまり中嶋くんは、秦静馬という男に、そこまでのフォローは最初から期待していないということだな。さすが、君のことをよくわかっている」「ひどい言われようだ……」 肩をすくめた秦が立ち上がる。まだ何も身につけていない後ろ姿を見て、反射的に和彦は視線を逸らす。理屈ではなく、秦の体は中嶋のものだと咄嗟に思ってしまったのだ。「――中嶋の側にいてやってください。わたしはこれからちょっと、仕事の電話をしないといけないので」 手早く服を着込んだ秦が、携帯電話を片手に部屋を出ていく。ドアが閉まるのと同時に、眠っていると思っていた中嶋がパッと目を開いた。いつから起きていたのかは知らないが、和彦と秦の会話を聞いていたのは確かなようだ。「君の恋人は薄情だな。ことが終わったら、さっさと仕事の電話をしに行ったぞ」 和彦がわざと意地悪く言ってみると、中嶋は食えないヤクザの顔でこう答えた。「照れているんですよ、あれで。外見も言動も甘い人だけど、中身はそうじゃありませんから。いざとなると、人をどう甘やかしていいかわからないんです」「……どうして君があの男じゃいけないのか、わかった気がする。秦にとって、君じゃないといけないんからだな」 素直に感心して見せると、中嶋は短く声を洩らして笑った。「買いかぶりですよ、先生。俺と秦さんの関係は、映画や小説のように素敵なものじゃない。気が合ううえに、互いに利用し合う価値があって、今日確認できましたが、運よく体の相性も合ったというだけです」 それだけ合えば十分だろうと、和彦は心の中でそっと呟く。すると突然、中嶋が体を起こしたかと思うと、次の瞬間には和彦にのしかかってきた。「先生にも同じことが言えますね」「何、が……?」「俺と気が合って、互いに利用し合う価値があって、体の相性も合っている」「……君の主観だな。ぼくが同じことを思っているとは限らないだろ」 素直に賛同するのも癪で、ささやか

  • 血と束縛と   第21話(25)

     今まさに、中嶋の肉を食らおうとしているのだ。「うっ、うあっ」 和彦の上で、中嶋が背をしならせる。それと同時に、繋いだ手をぐっと握り締められた。 内奥深くに収まっている中嶋のものが脈打ったのを感じ、和彦は小さく呻き声を洩らす。すると中嶋も、苦しげに息を吐く合間に呻き声を洩らした。見ることはできないが、中嶋の体に何が起こっているのかは、感じることができた。「――……ひどい奴だな、君の〈オトコ〉は」 和彦がそっと囁くと、眉をひそめていた中嶋が口元に微苦笑を浮かべる。「物騒な男ばかり相手にしている先生にそう言われると、なんだか胸を張りたくなりますよ」 ここで中嶋の腰が大きく揺れ、和彦の内奥で熱い欲望も蠢く。秦が、己の快感のために律動を繰り返すと、その動きに合わせて中嶋の腰は揺れ、必然的に和彦の内奥で動くことになる。 とんでもなくふしだらで、淫らな行為に及んでいるという興奮が、和彦を狂わせる。種類の違う快感を同時に味わっている中嶋は、それ以上かもしれない。 秦が動くたびに声を上げる中嶋は、快感に酔いしれた表情を隠そうともしていない。繋いでいた手を解くと、和彦は中嶋の頭を引き寄せて深い口づけを与える。「羨ましいですね。わたしも仲間に入れてもらいたいのですが――」 舌を絡ませている最中に、わずかに息を弾ませた秦が声をかけてくる。和彦は、一瞬息を詰めた。中嶋と繋がっている部分に、秦が指を這わせてきたのだ。堪らず内奥を収縮させると、中嶋の欲望が一層逞しさを増す。 秦が声を洩らして笑った。「……すごいな。わたしと先生が繋がっているわけじゃないのに、先生の中の動きが、中嶋を通して伝わってきますよ。わたしの動きも、先生には伝わっていますよね?」 秦が大胆に腰を使い、中嶋が掠れた声を上げる。和彦の内奥では中嶋の欲望が力強く脈打ち、秦の律動に合わせて動く。 中嶋のものを受け入れているのは和彦だが、まるで中嶋を犯しているような感覚だった。おそらく、律動を繰り返す秦に、和彦は自分の欲望を重ねているのだ。 和彦の内奥深くを抉るように突き上げて、息を

  • 血と束縛と   第21話(24)

    「中嶋の中のことは、今はまだ先生のほうがよく知っているんですよ。だから、頼みます」 そう囁いてきた秦に手を取られ、たっぷりの唾液を絡めるようにして指を舐められた。和彦は秦と場所を入れ替わると、中嶋の片足を抱え上げ、内奥の入り口を濡れた指でまさぐる。中嶋は息を喘がせながら、唇だけの笑みを向けてきた。「一息に入れてもらってかまいませんよ」「乱暴なのは、ぼくの趣味じゃない。……多分、この男も」 和彦がちらりと背後を振り返ると、秦は意味ありげに自分の指を舐めていた。その行為の意味を即座に理解した和彦は、全身を羞恥で熱くする。まさかと思ったが、今のこの状況では、どんな淫らな行為が行われても不思議ではない。 何より、和彦は期待している――。「先生?」 中嶋に呼ばれて我に返った和彦は、前に一度そうしたように、狭い内奥に慎重に指を挿入する。できる限り綻ばせて、苦痛が少ないようにしてやりたかった。「うっ、うぅっ」 ゆっくりと指を動かすと、ビクビクと体を震わせながら中嶋が声を上げる。覚えのある感触が指にまとわりつく。戸惑いつつも中嶋の襞と粘膜は、愛撫に応えようとしているのだ。 中嶋の内奥がひくつき始め、和彦の指の動きに合わせて収縮を繰り返す。強気に見つめ返してくる中嶋を煽るように、和彦はそっと囁いた。「……いやらしいな。初めてのときは、こんなに物欲しげな反応はしなかったのに」「いやらしさなら、先生も負けていないと思いますよ」 秦が、背後から和彦の肩に唇を押し当ててくる。ハッとしたときには、和彦の秘裂に秦の指が入り込み、内奥をまさぐられる。「やっ、め……」 和彦は慌てて身を捩ろうとしたが、強引に秦の指が内奥に挿入されてくる。異物感に呻いたときには、秦の指をしっかりと咥え込んで締め付けていた。「いい反応ですね、先生。この調子で中嶋をしっかりと、可愛がってやってください」 秦の指が巧みに内奥で蠢き、和彦は息を弾ませる。すると中嶋が片手を伸ばし、頬に触れてきた。「先生、気持ちいいですか?」

  • 血と束縛と   第21話(23)

     そう中嶋から言葉をかけられると同時に、秦にベッドに引き上げられる。 二人がかりでワイシャツを脱がされ、スラックスと下着を引き下ろされる頃には、和彦は形だけの抵抗の空しさを味わっていた。本当に嫌なら逃げ出せばいいのだ。二人は決して、和彦に無理強いはしない。 和彦に覆い被さってきた中嶋が唇を重ね、剥き出しになっている欲望同士を擦りつけてくる。そんな二人を眺めながら、秦は悠然とシャツを脱いでいた。 広いベッドの上で、何も身につけていない体をしっかりと重ねているうちに、羞恥心が少しずつ剥ぎ取られていくようだった。まるで獣同士が無邪気にじゃれ合っているようで、なんだか楽しくさえなってくるが、次第に中嶋の体が熱くなってくるのを感じて、これは儀式のようなものだと悟る。「……緊張していたのか?」 思わず和彦が尋ねると、〈女〉の顔をした中嶋は頷いた。「先生がいてくれてよかった。そうじゃないと俺は多分、ベッドに転がったまま、初心な乙女みたいに体を震わせていましたよ」「経験豊富な元ホストが、何言ってるんだ」「経験じゃ、先生と秦さんには負けます――」 ここで中嶋がビクリと体を震わせ、唇を引き結ぶ。楽しげに和彦と中嶋の会話を聞いていた秦が、ようやく動いたのだ。 和彦に覆い被さっている中嶋の両足の間で、差し込まれた秦の手が妖しく動いていた。小さく声を洩らした中嶋の髪を掻き上げてから、和彦は唇を啄んでやる。すぐに互いの唇を吸い合い、舌を絡め合っていたが、ふっと和彦の上から中嶋の重みがなくなる。ベッドの上に座った秦の両腕の中に、中嶋はいた。 今度は秦と中嶋が、濃厚な口づけを交わし始める。胸元をまさぐられた中嶋が大きく息を吸い込むのを見て、和彦は体を起こす。すかさず秦が目配せしてきて、中嶋の足を左右に開かせた。一瞬、逡巡はしたものの、好奇心と欲情が入り混じった衝動に和彦は勝つことができなかった。 和彦は、中嶋の欲望に手を伸ばすと、てのひらに包み込む。緩やかに上下に扱いてやると、切なげな声を上げた中嶋が腰を震わせる。 快感に身を震わせる〈女〉の姿に、和彦はゾクゾクするような興奮を覚えた。自分に快感を与えてくれる男

  • 血と束縛と   第21話(22)

    「ぼくはこれでも、モラリストのつもりなんだ。妖しい空気の中、平然となんてしてられない」「……冗談ですか?」「本気で言ってるんだっ。君らはぼくを、なんだと思ってるんだ」 和彦がムキになって抗議すると、秦と中嶋は顔を見合わせたあと、大仰に神妙な顔つきとなる。これならまだ、笑ってもらったほうがよかったと、和彦は顔を背けてワインを飲む。 からかわれた仕返しというわけではないが、ここを訪れる前に賢吾と電話で交わしたことについて、中嶋に質してみた。「――組長に、しっかり報告してくれたそうだな」「先生と、鷹津という刑事との夜景デートの件ですね」 顔を背けたばかりの和彦だが、たまらずじろりと中嶋を見る。「本当に、そういう表現をしたのか……?」「見たままを正直に。長嶺組長からは、そう言いつかっていますから」「ぼくの側にいて見聞きしたことは、なんでも、か」「なんでも、ですよ」 和彦と中嶋のやり取りを聞きながら、秦は楽しそうにワインを味わっている。それどころか、こんなことを言った。「本当に仲がいいですね、先生と中嶋は。なんだか、どちらにも妬けてきますよ」「……何言ってるんだ」「職業どころか、本来なら住む世界も違う二人が、わたしの部屋で砕けた様子で話しているのを見ると、今の生活は恵まれていると思えてくるんです」 秦の殊勝な言葉に、すかさず中嶋が乗る。「それもこれも、全部先生のおかげですよ。俺の頼みを聞き入れて、秦さんを助けてくれたからこそ、今こうしていられる」 その秦は、賢吾と繋がりを持ちたいがために、自分に何をしたか――。ふと思い出した和彦は、どうしても複雑な心境になる。少なくとも、いい思い出とは言い難い。だが、知らず知らずのうちに胸の奥で妖しい衝動がうねっていた。 酔うほどまだ飲んでいないはずなのに、頬の辺りが熱い。和彦は視線を伏せて、ぼそぼそと応じた。「そのせいで、ぼくはいろいろと大変な目に遭った。……下手をしたら、組長に縊り殺され

  • 血と束縛と   第21話(21)

    ** わざわざ雑居ビルの一階で待っていてくれた中嶋は、酒屋の袋を手にした和彦を見て申し訳なさそうな顔をした。「……誘ったのはこちらなのに、なんだか気をつかわせてしまったようですね」 そう言って中嶋は、さりげなく袋を持ってくれる。「こちらこそ、ちょうど気分転換をしたくて、相手を探していたところだったんだ。誘ってくれてありがたい」 和彦は背後の車を振り返り、運転席の組員に向けて軽く手を上げる。中嶋と一緒にいるところを確認して、今日の護衛の役目は一旦終わりだ。 エレベーターで最上階まで上がると、ドアを開けて秦が待っていた。浮かべている笑みが普段以上に艶やかに見え、なんとなく秦の顔を直視しがたい。 ここで和彦は、ピクリと肩を揺らす。自然な動作で中嶋に腕を取られたのだ。思わず隣に目をやると、中嶋の柔らかな表情に〈女〉を感じ取る。漠然と予期していたものが確信へと変わり、この瞬間から和彦の心臓の鼓動は、わずかに速くなっていた。 部屋に招き入れられると、不躾だと思いつつも和彦の視線はつい、部屋の一角に置かれたベッドに向く。和彦の部屋のベッドほど幅はないが、それでも男二人が寝るには十分な広さだろう。「そう、まじまじと見つめられると、恥ずかしいものがありますね」 グラスを準備しながらの秦の言葉に、和彦のほうが恥ずかしくなってくる。「……新しいベッドを見てもらいたいと言ったのは、君だろ」「まさか、先生があっさり誘いに乗ってくれるとは、思っていませんでした」「ぼくも、ベッドで釣られるとは思わなかった。……理由はなんでもよかった。気分転換したかったんだ。――気心が知れた相手と」 和彦が買ってきたワインをさっそくグラスに注いだ秦が、芝居がかった優雅な仕種で首を傾げる。「何かありましたか?」「仕事のことで、ちょっとややこしい立場になった、かもしれない」「先生はいままでも、十分にややこしい立場だったでしょう」 率直な意見を述べてくれたのは、中嶋だ。促

  • 血と束縛と   第8話(18)

     唇を引き結んだ和彦を、賢吾が意地の悪い笑みを浮かべてからかってきた。「なんだ、フォローはなしか、先生。やっぱり俺は腹黒いか?」「人に聞かなくても、自分でわかっているだろっ」 機嫌を損ねたふりをして、さりげなく賢吾から離れようとしたが、それを許すほど甘い男ではない。反対に、さらに引き寄せられた挙げ句、あごを掴まれて唇を塞がれた。熱い舌に無遠慮に唇をこじ開けられ、口腔に押し込まれる。和彦は一瞬だけ体を強張らせたが、すぐに力を抜き、身を委ねた。 たっぷり口腔の粘膜を舐め回され、引き出された舌を吸われたかと思うと、甘噛みされる。身震いしたくなるよ

    last updateLast Updated : 2026-03-23
  • 血と束縛と   第6話(34)

    「この人は、組とは一切関係ない」 和彦は、男にきつい眼差しを向ける。男の言葉には悪意が満ちており、それが和彦を不快にする。言葉だけではない。所作の一つ一つが、何もかもが生理的に受け付けられない。 男はスッと目を細め、和彦を見据えてくる。冷たく凍りつくような目だった。そのくせ、粘つき、ぎらつくようなものが微かに覗き見えたりもしている。どこか賢吾の持つ冷たさと似ているが、あの男の持つ冷たさは不純物が一切ない。だが、目の前に立つ男は、さまざまなものが混じり合い、濁っている。「――善良な一般人を巻き込みたくなかったら、これから俺と二人きりで話をしろ。お前にはい

    last updateLast Updated : 2026-03-22
  • 血と束縛と   第7話(24)

     動揺は、鷹津に対する嫌悪感が押し殺してくれる。それほど和彦は、鷹津という刑事が苦手――というより、生理的に受け付けられない。理屈を必要としないほど、嫌いなのだ。「何か用でしょうか、刑事さん」 素っ気なく問いかけた和彦の目の前に、携帯電話が突き出される。和彦が落としたものだ。思わず鷹津を睨みつけると、笑って言われた。「わざわざ届けてやったのに、いらないのか?」 仕方なく受け取ろうとしたが、寸前のところで躱された。このときにはもう、鷹津は笑みを消し、恫喝するような鋭い表情となっていた。「ここで何をしている?」 今度は、

    last updateLast Updated : 2026-03-22
  • 血と束縛と   第8話(21)

    **「……お宅の組長、何か企んでいるのか?」 走り去る車を見送りながら、傍らに立つ三田村に声をかける。表情を変えないまま三田村は首を横に振った。「俺程度の人間が読み切れる人じゃない」「だったら、ぼくはなおさら無理だな」 三田村が何か言いたげな顔をしたので、和彦は素早く釘を刺した。「そんなことはない、なんて言うなよ。そこは素直に、同意してくれ」 こんなことでムキになる和彦がおもしろかったらしく、三田村は微笑を浮かべる。賢吾の凄みのある笑みを見たあとだと、ほっと

    last updateLast Updated : 2026-03-23
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