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第21話(25)

Auteur: 北川とも
last update Date de publication: 2026-03-24 17:00:44

 今まさに、中嶋の肉を食らおうとしているのだ。

「うっ、うあっ」

 和彦の上で、中嶋が背をしならせる。それと同時に、繋いだ手をぐっと握り締められた。

 内奥深くに収まっている中嶋のものが脈打ったのを感じ、和彦は小さく呻き声を洩らす。すると中嶋も、苦しげに息を吐く合間に呻き声を洩らした。見ることはできないが、中嶋の体に何が起こっているのかは、感じることができた。

「――……ひどい奴だな、君の〈オトコ〉は」

 和彦がそっと囁くと、眉をひそめていた中嶋が口元に微苦笑を浮かべる。

「物騒な男ばかり相手にしている先生にそう言われると、なんだか胸を張りたくなりますよ」

 ここで中嶋の腰が大きく揺れ、和彦の内奥で熱い欲望も蠢く。秦が、己の快感のために律動を繰り返すと、その動きに合わせて中嶋の腰は揺れ、必然的に和彦の内奥で動くことになる。

 とんでもなくふしだらで、淫らな行為に及んでいるという興奮が、和彦を狂わせる。種類の違う快感を同時に味わっている中嶋は、それ以上かもしれない。
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  • 血と束縛と   第43話(22)

     守光は、浴衣に着替えてはいるものの、相変わらずの端然とした佇まいで待っていた。部屋に入った和彦を見るなり、頬を緩める。「髪がまだ濡れているな。慌てなくてもかまわないから、脱衣所で乾かしてくればいい」「……いえ」 入浴後すぐに部屋に来いと言われたわけではないのだが、ゆっくりと髪を乾かそうなどと思いつきもしなかった。 ふいに沈黙が訪れ、立ったままの和彦と、コタツに入ったままの守光との視線が交わる。柔らかな微笑を浮かべていた守光の表情が瞬きする間に変化した。 静かにコタツから出た守光が襖を開ける。奥は思ったとおり寝室となっており、すでに床が延べられていた。 振り返った守光に軽く手招きをされ、反射的に半歩だけ後退った和彦だが、自分がこの部屋に来た覚悟を思い出し、すぐに従う。 枕元には、見覚えのある文箱と折り畳まれたスカーフがあった。体を強張らせた和彦の背後で襖が閉まり、手を取られて布団の傍らに立つ。穏やかな声音で守光に言われた。「服を脱いで見せてくれないか。先生」 いまさら裸を見られたところで、という気持ちはある。しかし、脱がされるのと、自ら脱ぐのとでは心構えはまったく違う。和彦はすがるように守光を見たが、意に介した様子もなく守光は畳に正座する。 さあ、とでも言うように見上げられ、ぐっと喉が詰まる。できませんとは、口が裂けても言えなかった。 和彦は機械的にトレーナーを脱ぎ捨ててから、数秒のためらいのあと、パンツと下着を一気に下ろす。このときすでに、それでなくても熱くなっていた全身は、うっすらと汗ばんでいた。 脱いだものを畳もうとして、手首を掴まれる。引っ張られるまま膝をつくと、守光に顔を覗き込まれた。「そのままで」 そう言って守光がスカーフを取り上げる。薄い布をどう使うか、もちろん和彦は知っている。今の守光との関係では、もう必要としていない小道具であることも。 今晩は、いつもと何かが違う――。 本能的な怯えから、ざわりと肌が粟立った。頬にスカーフの滑らかな感触が触れ、和彦は顔を背けようとしたが、かまわず両目を覆われ、きつく後頭部で結ばれた。

  • 血と束縛と   第43話(21)

     そうだ、と守光が大きく頷く。「賢吾の将来を見据えるとき、同時に千尋の将来も考えなければならない。あれにはもっと経験を積ませ、知恵をつけさせ、自分の力で人望も得なければならない。賢吾がやってきたように。権力の移譲とは驕った言い方かもしれんが、わしからうまく賢吾に引き継げられれば、あとは千尋へと続くはずだ。そうやってあれこれ考えると、どうしても突きつけられる現実がある。何かわかるかね?」 口に出すのははばかられ、和彦は控えめに守光を見つめ返す。守光は、笑みを深くした。「優しいな、先生。今、わしに気をつかってくれたんだろう」「優しいなんて……」「――時間が足りない。正確には、わしの時間が。息子や孫のことを思い、総和会会長の地位に恋々とした感情を抱くが、一方で、耄碌したわしは、かつてわしがそうしたように、誰かに追い落とされるだろうとも思う。そういう惨めな姿は、身内の者に見せたくはない。自分の引き際は自分で決める」 一度唇を引き結んだ守光は、思い出したようにお茶を啜る。「そういうことをずっと考えていたわしにとって、あんたとの出会いは僥倖としか言いようがない。あんたもまた、わしの〈運命〉となるんだと確信している」「……ぼくを、どうしたいのですか?」「ただ、長嶺の男の側にいて、よく尽くし、よく支え、よく愛してほしい。あんたは喜んで、わしらの血を受け入れてくれるだろう。そうやって互いに生かし合う」 この言葉を聞くのは二度目だった。最初に守光から言われたとき、和彦は惑乱の中にあって真意を問うことはできなかったが、ただその重みだけは感じることができた。「不安がらずともいい。あんたならできる。これまでわしらから逃れる機会は幾度もあった。きつい選択もさせた。それでもあんたはここにいる。ただ強い力に身を委ねてきただけだと言うかもしれんが、そうできるのもまた、あんたの強さだ」 底知れぬ力を持った化け物に、拒否権のない選択を迫られていると思った。守光が和彦に突き付けてくるのは常にそういったものであったが、今は、秘密を共有し合っているような後ろ暗さも伴っている。 守

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  • 血と束縛と   第4話(27)

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  • 血と束縛と   第19話(21)

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