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第7話(4)

Auteur: 北川とも
last update Date de publication: 2025-11-26 11:00:45

 障子を通して、朱色を帯びた陽射しが部屋に差し込んでいるのを、薄目を開いた和彦は初めて知る。眠り込んでいるうちに、夕方になったのだ。

 もうそろそろ体を起こせそうだと思った次の瞬間、ある気配を感じて体を強張らせる。部屋にいるのは、和彦だけではなかった。いつの間にか足元に、人の姿があったのだ。

 反射的に体を起こそうとした和彦だが、獣のように飛びかかられるほうが早かった。布団の上に押さえつけられながら、覆い被さってきた相手の顔を見上げる。

 和彦としては、安堵の吐息を洩らせばいいのか、呆れてため息をつけばいいのか、微妙な相手だった。

 賢吾は、自宅の安全性を過信していたようだ。和彦を守るための獣が何匹も揃っていると言っていたが、獣の中に、一番手がかかる〈子犬〉を含めて考えていたらしい。

「……お前は、ぼくが昼寝を楽しんでいるように見えたのか? なんだ、この態勢は」

 滅多にないほど真剣な顔をした千尋が、犬っころが甘えてくるように肩に顔をすり寄せてきた。
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  • 血と束縛と   第36話(28)

     末恐ろしい高校生だなと思いながら、ちらりと笑った和彦は玲の胸元に唇を押し当てる。舌先でくすぐり、柔らかく肌を吸い上げ、確認しながら小さな鬱血を残していく。 引き締まった腹部から胸元に舌を這わせてから、自分がされたように腕の内側に吸い付く。軽く歯を立てると、玲がビクリと身を震わせた。 切ない声で呼ばれ、口づけを交わす。腰を抱き寄せられ、擦りつけられたので、男を甘やかしたいという和彦の本能が疼く。舌を絡ませながら、手探りで玲の欲望を掴むと、精を溢れさせる内奥に呑み込んでいく。玲の息遣いが弾み、同時に、内奥深くまで受け入れた欲望が震えた。 体を繋げる快感を知ったばかりの玲を驚かせないよう、ゆっくりと腰を動かす。心地よさそうに玲が目を細め、掠れた声を上げた。 欲望を柔らかく締め付けながら和彦は、全身を使って玲を甘やかし、愛していく。玲は驚くほど柔軟に、貪欲に、快楽に馴染んでいく。もっと、もっとと欲していく。和彦の腰に両手をかけ、自らぎこちなく突き上げるようにして、律動を刻み始めていた。「あっ、あっ、い、ぃ……」 玲の眼差しが、律動に合わせて揺れる和彦の欲望へと向けられていた。反り返ったものは、先端から止めどなく透明なしずくを垂らしている。「佐伯さんがイクところ、見たいです。まだ一度も、イッてないですよね。俺ばかり気持ちよくなって、申し訳ないです」 玲の手が欲望にかかりそうになったが、和彦は柔らかく拒む。その代わり、自身のてのひらで包み込んだ。「んっ……」 欲望を扱き始めると、意識しないまま内奥を収縮させる。玲の欲望がゆっくりと膨らんでいくのを感じながら、そっと腰を上げ、すぐにまた下ろす。玲は、自分が何をやるべきか思い出したらしく、再び和彦の腰を掴んで、自ら動き始めた。 間欠的に喘ぎ声をこぼしていた和彦だが、激しさを増す玲の動きにバランスを保てなくなり、たまらず片手を布団に突く。「あうっ」 一際大きく下から突き上げられた拍子に、初めて絶頂を迎える。迸り出た精が、玲の腹部から胸元にかけて飛び散り、きれいな体を汚してしまったと思った途端、和彦は身を貫くような快美さ

  • 血と束縛と   第36話(27)

     背に玲が覆い被さってきて、ちろりと肌を舐められる。背後からきつく抱き締められながら、次にうなじに唇が押し当てられた。荒い息遣いが耳朶に触れ、和彦は甲高い声を上げる。 玲が夢中で腰を動かしているとわかる。内奥から欲望を出し入れされ、ぐちゅっ、ぐちゅっと淫靡な音を立てて濡れた粘膜が擦れ合い、その音が、一層欲情を煽り立てる。「んっ、んんっ、あっ、あっ、玲、く……」「その声も、いい――。んっ、また、出していいですか……? 出したい」 中に、と掠れた声で囁かれ、鳥肌が立った。 誘い込むように玲の欲望を締め付ける。内奥深くに、二度目の精を受け止めていた。 玲の額が背にぐりぐりと押し当てられ、和彦は息を喘がせながらも笑ってしまう。 玲は今度は、和彦の背に愛撫の痕跡を残し始める。肌にときおりチクリと走る小さな刺激だけではなく、微かに聞こえる濡れた音に鼓膜を刺激され、和彦は自分の両足の間にそっと片手を這わせる。まだ一度も絶頂を迎えてはいないが、中からの刺激に反応していないわけではなく、十分に熱くなり、反り返っていた。「はっ……ん、ふっ、は、あぁ――……」 玲の愛撫を受けながら、自らを慰めようとしたが、ふいに内奥から欲望が引き抜かれ、背から玲が退く。肩を掴まれて、なんとなく意図を察した和彦が仰向けとなると、勢いよくしがみつかれた。 汗で濡れた体をぴったりと重ね、擦りつけ合う。和彦は、いまだに力強さを漲らせている体をてのひらで愛撫する。しなかやな筋肉を覆う肌の感触も心地よかった。「こうしていると、よくわかる。本当に、きれいな体だ。……たまに考えるんだ。君たちぐらいのとき、ぼくはこんなふうに、圧倒されるぐらい眩しい存在だったんだろうか、って」「君たち?」 和彦は自分の失言に気づいたが、うろたえたりはしなかった。玲が知ろうと思えば、明日にでも耳に入ることだ。「ぼくをオンナにしている一人が、君とそう歳が違わない」「――……犬っころみたいな奴。昨

  • 血と束縛と   第36話(26)

     和彦の内奥は、侵入者を見境なく締め付ける。玲はまだ快感を味わえてはいないだろう。 玲が緩く腰を突き上げながら、少しずつ侵入を深くしていく。和彦は浅い呼吸を繰り返し、なるべく下腹部に力を入れないよう努める。内奥の圧迫感と異物感が増していき、馴染みのある感覚に安堵する。 何度か出し入れを繰り返し、内奥の肉を押し広げていく。玲なりに、和彦に苦痛を与えまいと努力しているのが伝わってきて、じわりと胸の奥が温かくなる。「んうっ」 切羽詰った声を上げたのは玲だった。内奥に欲望を根元まで埋め込むと、和彦の胸元に倒れ込んでくる。熱くなった体からはすでに汗が噴き出し、濡れている。 繋がっているせいもあり、玲の力強い鼓動がこちらにまで伝わってくるようだった。一回り以上も年下の青年の生命力をこんな形で感じて、繋がった部分が疼く。 しがみついてくる玲の背を何度も撫でながら、和彦は低く囁く。「もう少し待ってくれ。中が柔らかくなって、具合がよくなる」 顔を覗き込んできた玲が笑った。「――エロいな、あなた。すごく」 ここで唇を重ね、貪るように唇と舌を吸い合う。短い間に、玲の口づけはどんどん和彦好みのものへと変化していた。 差し出した舌先を擦りつけ合い、唾液を交わす。それから舌を絡め合いながら、和彦は腰を揺らす。内奥で息づく熱い欲望の存在を強く意識して、吐息を洩らしていた。玲がぎこちなく欲望を動かし、やはり吐息を洩らす。「本当だ。中、柔らかくなってきました。でも、締まってます」「痛くない?」 和彦は息を詰め、内奥を収縮させる。玲が呻き声を洩らし、欲望が小刻みに震えた。「気持ちいい……。すげー、いい。腰が溶けそうです」 玲が腰を揺すり、和彦は小さく喘ぐ。意外にがっしりしている腰に両腕を回して抱き寄せると、玲は呻き声を洩らす。 あっ、と和彦が声を洩らしたときには、玲は内奥で達していた。 ビクビクと震える欲望の蠢きに、和彦は快感にも似た愛しさを感じる。相手が誰であろうが、自分が快感を与えられたと強く実感できるこの瞬間は、好きだった。 ポタポタと汗

  • 血と束縛と   第36話(25)

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  • 血と束縛と   第36話(24)

    「……ぼくをオンナにしている人に、初めて抱かれたとき、部屋に、若武者の掛け軸がかかっていた。ぼくに似ていると言われたけど、自分ではまったくそんなふうに思えなかったんだ。ぼくとはあまりに違う。若く、凛々しいきれいな顔立ちをして。本当に君によく似ている。一目見て、惹かれた」「掛け軸の若武者に? それとも――」 ハッと我に返った和彦は、ここでやっと肝心なことを玲に尋ねる。「君はどうして、この部屋に……?」 それに、今の自分の格好だ。和彦は慌てて体を起こそうとしたが、玲の肩が手にかかり、動けない。玲は体重をかけないよう気遣いながらも、和彦の体の上にしっかりと馬乗りになっていた。「欲が出ました。父さんがしていたように、俺も――、オンナを抱きたいです」 大胆な告白に、今の状況も重なって、怒りを感じるべきなのかもしれないが、まず和彦は戸惑う。夕方交わした口づけで、自分が玲を煽ってしまったという自覚もあった。その自覚は、罪悪感とも呼べる。 これは、やはり年下である千尋と初めて口づけを交わし、体の関係を持ったときですら、抱かなかった感情だ。そもそも千尋との出会いは、あくまで後腐れのない享楽的なものから始まり、複雑な事情も、厄介な男たちの存在も、当時の和彦は一切関知していなかった。 今、体の上にいる青年は、個人としては普通の高校生かもしれないが、少なくともオンナの存在を把握している。それどころか、毒され、魅了されていると言ってもいい。 玲の父親である龍造は、どれほど〈オンナ〉を魅力的に語っていたのかと、内心で詰っていた。刺激が強すぎて、未成年に語っていい存在ではないはずなのだ。「……ダメ、だ……。それは、ダメだ。君は、これ以上ぼくに関わるべきじゃない。ぼくをオンナにしているのは、怖い男たちだ。君の父親の立場も考えたら、ぼくと君の手に負えない事態になる」「関係ないです。俺には、父さんの立場なんて。今、俺の目の前には、あなたしかいない」「子供のような屁理屈を言うなっ」 声を荒らげたところで、玲がその子供であることを思い出

  • 血と束縛と   第36話(23)

     微かに濡れた音を立てながら、玲の舌を優しく吸い、自分の口腔に誘い込む。和彦のマネをするように玲の舌が蠢き始めた。されるに任せながら、初めて見たときから惹かれていた玲の背にてのひらを這わせる。 まっすぐ伸びたきれいな背筋を何度も撫で、清廉さがそのまま現れているようなうなじを指先でくすぐる。同時に、玲の舌を甘噛みする。玲の反応は素直で、再び体を震わせた。 際限なく口づけを続けてしまいそうで、和彦はなんとか頭を引く。追いすがってきた玲の口元をてのひらで覆った。「ここまでだ」「……嫌です。まだ、続けたいです」「思い出にはなっただろ。ほら、清道会の人が来るから、君は部屋に入っていろ。その顔じゃ――」 二人揃って唇を赤く腫らして、人前に出るわけにはいかない。和彦が言おうとしていることを理解したらしく、玲はあからさまに残念そうな顔で一旦体を離したが、次の瞬間、思い直したようにまた和彦を抱き締めてくる。 体を締め付ける腕の感触に、心臓の鼓動が大きく跳ねる。ズルリと音を立てて、自分の中にある感情の塊が玲に引き寄せられたのを、このとき確かに和彦は感じていた。** 枕元のライトの明かりが、ぼんやりと天井を照らす。布団に横たわった和彦は、きれいな木目をじっと見上げていたが、両足の熱が気になって、結局起き上がる。 今日は歩き過ぎたせいで、足の裏が熱をもっている。ふくらはぎは少し痛かった。和彦はパジャマのパンツの上から足を丁寧に揉みながら、鷹津と街をさまよった日のことを思い出す。ずいぶん遠い日の出来事のように思えるが、まだ一か月も経っていないのだ。 その間、自分は――。 夕方、玲と交わした口づけが蘇り、布団に突っ伏したくなる。羞恥からではなく、どうしようもない罪悪感からだ。 夕食は、和彦たち三人以外に、準備を手伝ってくれた清道会の組員たちも加わって、ずいぶんにぎやかなものとなったのだが、和彦は、なんでも見通してしまいそうな御堂の色素の薄い瞳が、非難の色を浮かべるのではないかと気が気でなかった。その点玲は、何事もなかったように堂々としていた。 あの一度の口づけで気が済んだ

  • 血と束縛と   第1話(28)

    「おもちゃで遊ばれている姿を見ながら感じていたが、お前がつき合ってきた男は、きちんとここを開発してくれていたようだな」  喉を反らして感じる和彦に対して、賢吾は容赦なく内奥の浅い部分を攻め立てながら、汗ばんだ胸元を舐め上げてくる。生理的な反応から涙を滲ませながら、和彦は緩く首を左右に振る。このときまた、三田村と目が合っていた。  同性と体を重ねる以外で、特殊な性癖は持ち合わせていないつもりの和彦だが、このときから自信がなくなる。見られることが、もう一つの愛撫になっているようだった。 「こっちを見ろ」  賢吾に言われ、反射的に従ってしまう。す

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     突然のことに声も出せない和彦は、大きく目を見開く。南郷は、手荒な行動とは裏腹に、静かな表情で和彦を見つめていた。 こんなときに限って、マンション前には人はおろか、車すら通りかからない。 南郷の大きく分厚い手が眼前に迫ってくる。絞め殺されるかもしれないと、本気で危機を感じた和彦だが、仮にも総和会に身を置く男がそんなことをするはずもない。 南郷の手は、和彦の首ではなく、両頬にかかった。「これが、長嶺組長のオンナ……」 和彦の顔を覗き込みながら、ぽつりと南郷が呟く。淡々とした声の響きにゾッとして、和彦は手

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  • 血と束縛と   第17話(24)

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  • 血と束縛と   第16話(44)

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