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第3話

Auteur: ピタコ
オリヴィアは黙って夕食の支度を終える。

彼女の料理の腕は良い。料理の匂いを嗅ぎつけたサイモンが、部屋から駆け出してくる。オリヴィアが熱い海鮮スープを運んでくるのを見て、その小さな顔に悪意に満ちた笑みを浮かべた。

男の子は足を伸ばし、オリヴィアを転ばせる。そして、彼女の身体に海鮮スープがこぼれ、その熱さに思わず苦痛の声を上げた。

だがその声は、次の瞬間、サイモンの泣き声にかき消される。

「叔母さん!僕が嫌いなのは知ってるけど、わざと熱いスープをかけるなんてひどいよ!

うわーん、ママ、痛いよ!」

泣き声を聞きつけたセシリアとレナードが、急いで駆け寄ってくる。

セシリアはサイモンを胸に抱きしめ、目に涙を溜める。

「オリヴィア、仕事を辞めることで私に不満があるなら、私にぶつけてちょうだい。サイモンをいじめるのはやめて!」

オリヴィアが弁明しようとしたその時、レナードに激しく突き飛ばされる。

彼女はよろめき、腰をそばの棚に打ち付け、痛みで身を起こすこともままならない。

レナードはこちらの苦痛に目もくれず、嫌悪感を露わに言い放つ。

「オリヴィア、サイモンはまだ子供だぞ。それに、兄貴のたった一人の息子なんだ!なんて悪辣な女だ!」

オリヴィアは顔を上げ、サイモンの腕にある、爪の先ほどの赤みと、自分の腕一面にできた水ぶくれを見比べ、ただ皮肉に思う。

ほんの小さな傷で、よくもこれほど大げさな非難ができるものだ。

だが、そのほんの小さな傷を、レナードはひどく心配し、病院へ行くと言って大騒ぎを始める。

去り際に、レナードの腕に抱かれたサイモンが、オリヴィアに向かってあっかんべーをした。

オリヴィアは彼の表情を見て、ふと、サイモンが高熱を出した時のことを思い出す。

セシリアはどこかへ出かけており、レナードは軍で任務中。彼女が仕事から帰ると、サイモンは熱で朦朧としていた。

最終の路面電車はもうなく、病院へ向かう車も見つからない。オリヴィアはよろけながらサイモンを背負って走り、病院で二日間、彼の点滴に付き添った。

本当に、サイモンを自分の子供のように可愛がっていた。

前の人生で自分の子供を持たなかったオリヴィアは、その分、全力でサイモンを支えた。

両親が遺した財産も、自分では使わずに、サイモンのために車を買い、家を買った。

その結果が、これだ。

死ぬ間際の、あの自慢げな電話。そして、目の前の子供の悪意に満ちた挑発。オリヴィアは心の底から、自分のしたことが無価値だったと感じる。

真心が報われることなどないと、オリヴィアは悟る。サイモンはまだ幼いというのに、その魂はねじ曲がってしまっている。あんな愚かな祈りを、二度と捧げはしない。

彼女は部屋に戻り、自分で傷の手当てをする。

腕の水ぶくれは恐ろしいほど大きい。オリヴィアは歯を食いしばり、火で炙った針でそれを突き破り、薬の粉を振りかけるが、それでも激しい痛みが走る。

気を紛らわせるため、オリヴィアは荷造りを始める。

しばらくして、彼女がまとめることができたのは、小さな荷物一つだけ。

考えてみれば笑えてくる。レナードと共に過ごした年月で、オリヴィアが持っているのは、数着の服と数足の靴だけなのだ。

数少ない装飾品は、亡くなった両親の形見だけだ。

アームストロング家の暮らし向きは悪くない。両親も退役の帝国軍人であり、レナード自身もかつては軍事情報総局の大尉を務め、月の手当は数千帝国マルクにもなった。

だが、計算してみると、彼女はこれまでレナードから一銭も受け取ったことがない。それどころか、自分の給料で家計を支え、自分のために金を使うことさえ惜しんできた。

一方で、学校教師として月の給料が数百帝国マルクのセシリアは、金のネックレスも金のペンダントも、一つも欠かさず身につけている。

改めてレナードの偏愛を思い知り、オリヴィアは心に細い棘が突き刺さるような痛みを感じる。

彼女は荷造りを続け、ついに引き出しの奥から、かつて大切にしまっていた二人の婚姻を証明できる軍属家族登録証を見つけ出す。

レナードがその登録証を持ち帰った日、その顔が罪悪感に満ちていたのを、彼女はまだ覚えている。

「兄貴が亡くなって間もない。俺たちの結婚式を盛大に挙げることはできない。すまない、オリヴィア」

「これからは、お前がこのアームストロング家の女主人だ。必ず、お前を大切にする」

今思えば、彼が本当に申し訳なく思っていたのは、式を挙げられないことだったのだろうか?

ただ短い二言は、どちらも偽りだった。

自分の一生を騙し、あまりに惨めな思いをさせた。

オリヴィアは涙をこらえ、紙くず同然の偽の軍属家族登録証を、粉々に引き裂いた。
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