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第4話

مؤلف: 雨森ふみ
律希が私の手を取ろうとした。「もう意地を張るなよ。ウェディングドレスは俺が持ってきたから、早く中に入って着替えて」

私はその手を避けた。「芹那は?」

「体調が悪いんだ」

「昨日の夜、激しすぎて疲れたの?」

突然、幸子が私を突き飛ばした。「口を慎みなさい!こんなめでたい日に、自分の男にそんな濡れ衣を着せてどうするの!」

腰をご祝儀受付のテーブルの角にぶつけ、あまりの痛みに私は身を屈めた。

母がすぐさま駆け寄ってくる。「暴力まで振るうつもりですか!」

しかし、母は律希の叔父・榊原裕之(さかきば ひろゆき)と従姉・榊原光希(さかきば みつき)に行く手を阻まれた。

「あんたの娘が、どうしても私たち榊原家に恥をかかせたいっていうんでしょ!」

幸子は私の鼻先に指を突きつけた。「おとなしく結婚式を挙げるか、今ここで跪いて、榊原家の招待客全員に謝るか。どちらかにしなさい!」

律希が私の体を支えた。「母さん、彼女を追い詰めるのはやめてくれ」

「まだこの子をかばうの?」幸子は怒りに顔を歪めた。

「澪花は俺の妻だ」

私は冷笑し、彼に言い聞かせるように告げた。「まだ婚姻届も出してない。私たちは何の関係もないわ」

それでも律希は、私を掴む手にさらに力を込めた。「澪花、もう意地を張るのはやめてくれ。昨日の夜、俺が間違ったことをしたのは認める。結婚式が終わったら、ちゃんと埋め合わせするから」

「あなた、今でも私が駆け引きしてるとでも思ってるの?」

律希は私を見つめ、その目には信じられないことに、わずかな困惑さえ浮かんでいた。「まさか本当に、俺がたった一度犯した小さな過ちのために、7年間の関係を全部壊すつもりなのか?」

そのとき、式場から司会者の華やかな声が聞こえてきた。「それでは、新郎のご入場です!」

招待客から一斉に拍手が湧き起こり、律希は満面の笑みを浮かべて会場へ入っていった。

扉の向こうには幻想的なスポットライトが輝き、見渡す限りの花々が会場を埋め尽くしていた。優雅なウェディングマーチが流れる中、司会者が高らかに告げる。

「続きまして、新婦のご入場です!」

私は全身黒ずくめで、まるで葬儀に参列するような姿のまま、長い間待ち望んできた結婚式の会場に立った。

芹那はブライズメイドのドレスを着て会場前方に立っていた。目は泣き腫らしたように赤く、その手には今もあのシンプルなリングがはめられている。

私が入ってきたのを見るなり、彼女は先に涙を流した。「澪花、やっと来てくれたのね。昨日の夜は、ただ気分が落ち込んでて、律希と少しお酒を飲んだだけなの。お願いだから誤解しないで。私たち、本当に何でもないから……」

そう言いながら、彼女は私のそばへ寄り、まるでそこにウェディングドレスの裾でもあるかのように、手を伸ばした。

司会者が新郎に新婦を迎えるよう促すと、律希は何事もなかったかのように微笑みながら私の前まで来ると、恭しく手を差し出した。

私も手を差し出した。

しかし次の瞬間、くるりと向きを変えると芹那のドレスの胸元を掴み、そのまま勢いよく前へ引き寄せた。

「きゃっ!」

芹那は悲鳴を上げ、そのまま律希の胸へ倒れ込んだ。

会場中がどよめき、招待客たちは何が起きたのかと互いに顔を見合わせた。

私はスマホを操作卓のスタッフに渡し、新居のリビングに設置していた監視カメラの映像を再生した。

映像が大型スクリーンに映し出された瞬間、会場は一気に静まり返った。

最初に芹那がドアを開けて部屋へ入り、そのあとから律希がやってくる。

二人はリビングで抱き合ってキスを交わし、芹那のブライズメイド用のドレスがソファの上に落ちた。

そのまま絡み合うように主寝室のドアへ向かっていく。

映像はそこで途切れていた。

私は会場にいる全員に向かって告げた。「今日の結婚式は中止します。理由は、新郎が私たちの新居で、私のブライズメイドと浮気したからです」

すると突然、芹那が笑い出した。「顔、映ってないじゃない」

彼女は画面に映るぼやけた横顔を指差した。

「偽物よ!みんな信じないで!この動画、そもそも正面の顔が全然映ってないでしょ!

澪花はデザイン系の学科で映像編集もやってたから、動画編集なんてお手のものなの。これは結婚をやめる口実を作るために、AIで合成したフェイク動画よ!」

律希の上司・鷹取海人(たかとり かいと)まで立ち上がった。「椎名さん、こういうことはね、肝心な部分が映っていない動画一本だけで、簡単に人を悪者扱いするものじゃないよ」

裕之もテーブルを叩いて立ち上がった。「そうだ!横顔すらまともに見えないじゃないか。映ってる女は、お前かもしれないだろ!」

光希も立ち上がり、私を指差した。「そうよ!この花嫁、いったい何なの?偽動画まで作るなんて、結納金目当ての結婚詐欺だったんじゃないの?」

次から次へと非難の言葉が浴びせられた。

律希は私の前まで歩いてくると、手を差し出した。「元の動画を削除しろ。そうすれば、俺を中傷したことは追及しない」

幸子は司会者からマイクを受け取った。

「皆さん、今のを聞きましたよね?今日、椎名さんは息子に濡れ衣を着せ、わざと結婚を破談にしようとしています。

結納金の760万円は倍にして返してもらいます。挙式と披露宴の費用も、すべて椎名家に負担してもらいますからね。

それだけじゃありません。椎名さんには公の場できちんと謝罪させ、今後二度とこの件を持ち出して、律希の評判を傷つけないと約束してもらいます!」

私は幸子と、会場を埋め尽くす招待客たちを見渡した。

無数の赤い糸が彼らの頭上から伸び、縦横無尽に交差して、まるで薄汚れた巨大な網のように会場を覆っている。

先ほど私に濡れ衣を着せた裕之。その頭上から伸びる赤い糸は、このホテルの女性支配人へと繋がっていた。

私を罵った光希の赤い糸は、三つ向こうのテーブルまで伸び、彼女の親友の夫の頭上へと繋がっている。

そして、息子の潔白を声高に訴えている幸子でさえ、頭上には一本の赤い糸があった。

その糸はまっすぐ、メインテーブルへと伸びている。

私は司会者の手からマイクを奪い取った。「監視カメラの映像を見ても信じないというのなら、別の方法で確かめましょうか」

幸子が冷笑した。「今度はどんな作り話をするつもり?」

私は手を上げ、メインテーブルを指差した。「ではまず、幸子さんと鷹取社長の不倫関係からお話ししましょう」

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  • 赤い糸は裏切りを教えてくれる   第9話

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  • 赤い糸は裏切りを教えてくれる   第5話

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