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0009-五芒星学院

Auteur: chocho
last update Date de publication: 2026-01-29 11:19:46

駅から歩いて、およそ十五分。

静かな住宅街を抜けたその先で、視界は一気に開けた。

――まるで、物語の中にしか存在しない舞台へと足を踏み入れたかのように。

そこにあったのは、五芒星学院だった。

正門は大きなアーチ型で、その中央には巨大な星図のレリーフが掲げられている。

銀色の五芒星は朝の光を受けてきらめき、中心に刻まれた学院の紋章は、まるで太陽に呼び覚まされたかのように、ほのかに光を帯びていた。

門の内側に広がるのは、白を基調とした新古典主義風の校舎群。

アーチ状の窓が整然と並び、正面の塔楼には星の文様が彫り込まれている。

直線と曲線が織りなす造形の上を、光と影が静かに流れていく――

一目見ただけで、思わず息を呑んでしまうほどだった。

ここは、学校というよりも。

どこか別の世界へと繋がる「入口」に近い。

「……まるで、異世界だ」

その呟きはあまりにも小さく、自分の耳にすら届かないほどだった。

けれど、胸の奥に溜まっていた感情は、すべてそこに詰まっていた。

新入生たちは一列に並び、真新しい制服に身を包んでいる。

その表情には、緊張、期待、不安が入り混じっていた。

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    翌日。奥田はひどい隈を目の下に浮かべたまま登校してきた。航平は一目で異変に気づく。「寝不足か?」奥田は二秒ほど黙り込んだ。それから、鞄の中から一枚の紙を取り出して差し出す。楽譜の切れ端だった。端は黒く焦げている。まるで火に焼かれたようだった。航平は目を見開く。昨日、旧音楽室で見た楽譜とまったく同じ紙だった。「どこで手に入れた?」奥田は低い声で答える。「夢の中で」航平は反射的に、そんなはずがないと言いかけた。だが。楽譜の裏面を見た瞬間、言葉が止まる。そこには見覚えのある筆跡があった。神谷澪の字だった。【鐘の音が鳴ったら、振り返るな】空気が静まり返る。二人は同時に黙り込んだ。もはや偶然では説明できない。・・・・・・放課後。二人は再び旧音楽室へ向かった。夕陽が窓から差し込む。教室の中は相変わらず無人だった。だが今回は違う。ピアノの音が、彼らを待つように先に鳴り始めた。ポーン――ポーン――ポーン――途切れ途切れの旋律。まるで誰かが意図的に導いているようだった。奥田は音を追う。教室の一番奥まで歩く。そして足を止めた。そこには古いロッカーがあった。普段は鍵が掛かっている。だが今日だけは違った。扉がわずかに開いていた。航平がそっと開く。中には何もない。ただ一つだけ。錆びた真鍮の鍵が置かれていた。鍵には黄ばんだタグが付いている。そこに書かれていた文字は――【旧時計塔】二人は顔を見合わせた。学校の裏山。そこには確かに古い時計塔がある。十年以上前に使用停止となった施設。老朽化が進み、生徒の立ち入りは禁止されていた。・・・・・・午後六時。二人はフェンスを越え、時計塔の前へ辿り着いた。夕陽は完全に沈んでいる。巨大な黒い影のような時計塔が、森の中に静かに立っていた。木々を揺らす風。葉擦れの音。なぜだろう。航平は妙な既視感を覚えた。来たことがある気がする。だがそんなはずはない。ギィ――古い木製の扉が開く。埃が舞い上がった。内部は真っ暗だった。螺旋階段が上へ続いている。二人は懐中電灯を点けた。一段ずつ慎重に登る。三階に差し掛かった時。奥田が突然立ち止まった。「聞こえたか?」航平は首を傾げる。「何が?」奥田は眉をひそめた。「誰

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