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03:思い出した推しの死2

ผู้เขียน: 灰猫さんきち
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2025-06-10 15:19:11

 次の問題は闇落ちの原因だ。

 ゼノンの心理は複雑で、ファンの間でも解釈が分かれていた。

 一つ、高潔で完璧な無私の聖騎士を目指すあまり内面が空虚になって、自分を見失ってしまったから。

 二つ、アレクにずっとコンプレックスを抱いていたが、誰にも相談できずにこじらせてしまったから。

 三つ、心から崇拝し敬愛する女神に選ばれなかったから。

 漫画のゼノンは気高く高潔であろうとする心と、コンプレックスに苛まされ嫉妬に歪む心の間で悩んでいた。

 この世界のゼノンはまだ十五歳。

 悩みはあったとしても、まだそこまで深刻化していないかも。そう信じたい。

 一介のモブに過ぎない私にできることは限られている。

 アレクや信頼できる聖騎士の仲間と違って、私の言葉など聞いてもらえないかもしれない。

 そしてこの世界はあくまで現実で、漫画の中のお話ではない。漫画の設定に引っ張られすぎると思わぬ落とし穴がある可能性もある。

 けれども何か少しでも手助けができれば。それが彼の心を少しでも穏やかにできれば。

 この世界にゼノンがいる以上、私の心は決まっていた。

「よし。やってやるんだから」

 ――さあ、私の異世界転生はここからが本番だ。

 そんなわけで。決意を固めたところで両親と兄が部屋に入ってきて、はちゃめちゃに心配されたのだった。

「エリー、本当に大丈夫かい? 昨日倒れたばかりなのに、今日仕事に行くなんて」

「お父さん、大丈夫だから。職場まで兄さんに付き添ってもらうし」

 翌日、そんなやり取りをして家を出た。

 叙任式の場で倒れた私を家族は心配しまくっていて、昨日からずっとこんな調子なのである。

「エリー。馬車が来たよ」

 兄が言う。

 普段は徒歩出勤なのだが、心配し過ぎの家族が今日は馬車を呼んでくれた。

「ねえ兄さん。聖騎士は魔術訓練をするのよね?」

 馬車に揺られながら兄に聞く。兄はうなずいた。

「ああ、実戦こそが最良の訓練とはいえ、叙任されたての聖騎士ではそうもいかない。中級や上級の魔術士の中から相性の良い者を選んで、魔術訓練の担当官を決めるよ」

 兄は準聖騎士。聖騎士を補佐する立場の役職にある。

「ということは、昨日の二人の訓練官はこれから決めるのかな」

「アレクとゼノンか。彼らは新人ながらも、非常に潜在能力が高いと評判だ。あれだけの人材が同時に二人も出たとなると、本当に女神降臨が近いのかも」

「……私、ゼノンの訓練官に立候補しようと思って」

「え」

 兄は思わず、という様子でまばたきをした。

「さすがに無理じゃないか? エリーはまだ下級魔術士だろう。年も十七歳で若すぎる。聖騎士の訓練は楽じゃないよ。やめておきなさい」

「でもゼノンの魔力属性は闇と地と氷よね。地と水の私と相性がいいと思うの」

「……どうしてそれを知っているんだい?」

 あ、しまった。つい原作知識が出てしまった。

 けれど兄さんの口ぶりでは属性はそれで合っているようだ。

 ちなみに属性は普通一つで、二つ持っていれば優秀。三つは超優秀だ。アレクは光と火と雷の三つ。

「まさか一目惚れした? あの少年たちは見た目がいいから……」

「ち、違うって」

 兄の目がすわった感じになったので、慌てて否定した。このシスコンめ。

「新人聖騎士の訓練は、めったにある機会じゃないでしょ。魔術士として興味があるし、自分のためにもなるかなと思ったの」

 聖騎士は毎年叙任されるわけではない。それだけ厳しい基準をクリアした者だけに与えられる立場なのだ。

「まあ、それはそうだが。でもなぁ……」

「ねー、お願い。兄さんからもちょっぴり後押ししてくれないかなぁ?」

 身内のコネでも何でも使えるものは使う。私はゼノンの闇落ちを回避するためなら何でもすると決めたのだ。

 そうして馬車を降りる頃には、説得された兄としてやったりの顔をした私がいたのだった。

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