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第9話:槍の番人と北の闇

last update تاريخ النشر: 2026-08-27 21:31:43

雪は止んでいたが、道には白さが残っていた。

馬のひずめが凍った地面をコツコツと刻む。息が白く舞い、風が頬を削る。奈世は野介の腹に腕を回したまま、前方を見据えていた。無口な男は相変わらず何も言わない。呼吸のリズムだけが背中越しに伝わってくる。

「そういえばな」

後ろから、党吉の大きな声が飛んできた。源次が必死で背中にへばりついているような状態ながら、平気な顔で話し始める。

「昨日も少し語ったが、軍師の永井ナニガシのことで、もう少し詳しい話を思い出したのだ。妻を追い出した翌日、都へ早馬はやうまを飛ばしたらしい」

奈世はわずかに野介の腹に回した腕の力を強めた。少しだけ党吉に振り返って、努めて表情も崩さず尋ねる。

「早馬、だと?」

「ああ。仔細しさいは知らん。ただ妻を追い出した翌日に都へ早馬とは、そこに何か繋がりがあるような気はせぬか?」

党吉は笑っている。その笑いが、ただの世間話なのか、探りなのか、判然としない。

奈世は前を向き、小さく息を吐いた。

離縁を突き付けた翌日に、都へ早馬。自分たちの素性を知る刺客が付けきていたことと重なる。康夜は、ただ妻を
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