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鏡の転移
鏡の転移
Author: ちばぢぃ

エピソード0:鏡の囁き(プロローグ)

Author: ちばぢぃ
last update Last Updated: 2025-10-01 08:00:55

 

※あらすじ※

佐藤悠真、21歳の冴えない大学生は、退屈な日常に閉塞感を抱きながら、夜な夜な異世界ファンタジーの小説に没頭していた。ある晩、アンティークショップで手に入れた古い鏡に触れた瞬間、彼の人生は一変する。鏡の向こうに広がるのは、ミラリオス――鏡の破片が浮かぶ幻想的な異世界。そこで彼は「魂の門」の力を持ち、世界のルールを無視するチート能力「鏡の改変」を手に入れる。しかし、この力は世界を崩壊させる危険を孕み、悠真は「偽の調停者」として異世界の住人から追われる存在に。

 

ミラリオスの内戦が激化する中、悠真は鏡の守護騎士団の女騎士リアナ、反逆者のカリスマ・カイル、現代で彼を追う幼馴染の美咲と出会う。彼らの欲望と信念が交錯する中、悠真は自分の力と向き合い、現代と異世界の間で揺れる心の奥底に眠る情熱を呼び覚ます。鏡の囁きが彼を誘う先は、救済か破滅か――。このプロローグでは、悠真の転移の瞬間と、ミラリオスでの最初の試練を通じて、物語の核心となる「自由と責任」のテーマと、R-18らしい大人の感情や緊張感を提示する。

 

 

 

 メインキャラ紹介

1. 佐藤悠真(さとう・ゆうま)

   - 年齢・職業: 21歳、大学生(現代日本)。

   - 外見: 平均的な身長、黒髪に少し疲れた目元。普段は地味だが、感情が高ぶると鋭い眼光が現れる。

   - 性格: 内向的で皮肉屋だが、頭の回転は速く、現代の知識(推理や論理的思考)が武器。異世界に憧れるオタク気質だが、実際に転移すると戸惑い、責任感と欲望の間で葛藤する。

   - R-18要素: 悠真は抑圧された日常の中で、異世界への憧れと同時に心の奥に秘めた情熱を持つ。ミラリオスで出会うリアナや美咲との関係で、彼の内なる欲望(力への渇望、愛情への切望)が表面化。プロローグでは、鏡の誘惑を通じて、官能的な雰囲気の中で彼の心の揺れを描く。

   - 役割: 主人公。チート能力「鏡の改変」を持ち、世界のルールを書き換えるが、その代償に世界を危険に晒す。

 

2. リアナ・シルヴァリス

   - 年齢・職業: 24歳、ミラリオスの鏡の守護騎士団の隊長。

   - 外見: 銀髪を高く結い、鋭い青い瞳。鍛えられた体に、鏡の装飾が施された鎧をまとう。凛とした美貌だが、戦士としての傷跡が物語る。

   - 性格: 真面目で忠義に厚いが、過去の裏切りから他人を信じにくい。悠真の軽口に苛立ちつつも、彼の行動力に惹かれ始める。

   - R-18要素: リアナは自分の感情を抑える傾向があり、悠真との関係でその抑制が解ける瞬間が官能的。プロローグでは、悠真を捕らえた際の緊迫した身体的接触や、彼女の内に秘めた情熱が匂わされる。

   - 役割: ヒロイン兼監視者。悠真を「偽の調停者」と疑い、行動を共にする。

 

3. カイル・ヴォルド

   - 年齢・職業: 27歳、反逆者集団「破鏡の徒」のリーダー。

   - 外見: 褐色の肌に、鋭い鷹のような目。乱れた黒髪と、鏡の破片を編み込んだマントが特徴。カリスマ的な魅力を持つ。

   - 性格: 狡猾で口が上手く、目的のためなら手段を選ばない。だが、内に秘めた過去の傷が彼を突き動かす。

   - R-18要素: カイルは欲望と野心に駆られ、悠真を誘惑するような言葉や仕草で操ろうとする。プロローグでは、彼の危険な魅力と、悠真への挑発的な態度が示唆される。

   - 役割: ライバル兼黒幕候補。悠真を利用し、ミラリオスの支配層を打倒しようとする。

 

4. 高橋美咲(たかはし・みさき)

   - 年齢・職業: 21歳、悠真の幼馴染、大学生。

   - 外見: ショートカットの栗色髪に、親しみやすい笑顔。カジュアルな服装だが、行動的な一面が垣間見える。

   - 性格: 明るくお節介だが、悠真への想いを隠している。異世界に関わることで、内に秘めた強い意志が目覚める。

   - R-18要素: 美咲は悠真への長年の想いを胸に秘め、彼の失踪を追う中で感情が爆発。プロローグでは、悠真を追う決意と、鏡を通じた神秘的で親密な繋がりが描かれる。

   - 役割: 現代側のヒロイン。後に「鏡の修復者」として異世界に影響を与える。

 

 

 

※プロローグ

 

1. 退屈な夜と鏡の誘惑

 

佐藤悠真は、狭いワンルームの部屋で、スマホの画面をスクロールしながらため息をついた。画面には、異世界転生小説の最新話。剣と魔法、英雄と美女が織りなす冒険譚は、彼の冴えない日常とは正反対の世界だった。「こんな世界に行けたらな…」と呟きながら、彼はベッド脇に置いた古い鏡を何気なく見つめる。

 

その鏡は、今日、大学の帰りに立ち寄ったアンティークショップで衝動的に買ったものだ。重厚な銀の枠に、複雑な模様が刻まれ、表面には不思議な光沢があった。店主の老女は「この鏡は、望む者の心を映す」と意味深に言ったが、悠真は半信半疑だった。

 

夜が更ける。部屋の蛍光灯がチラつき、鏡の表面がゆらめく。悠真は思わず手を伸ばし、冷たいガラスに触れた。その瞬間、指先から電流のような衝撃が走り、視界が白く染まる。「な、なんだこれ!?」叫ぶ間もなく、彼の体は鏡の中に吸い込まれた。

 

 

 

2. ミラリオスへの転移

 

目を開けると、悠真は見たこともない世界に立っていた。目の前には、巨大な鏡の破片が浮かぶ浮遊大陸。空は紫がかった夕暮れで、遠くには鏡の反射で輝く都市が見える。「ここ…どこだよ…?」呆然と呟く彼の背後で、轟音が響く。振り返ると、ガラス質の鱗を持つ巨大な獣――鏡獣が咆哮を上げていた。

 

「くそっ、逃げなきゃ!」悠真は咄嗟に走り出すが、足元に転がる鏡の破片に触れる。すると、頭の中に囁きが響く。「汝、魂の門の鍵を握る者よ。改変せよ。」直感的に、悠真は獣を指さし叫んだ。「消えろ!」鏡の破片が光り、獣の姿が一瞬でかき消える。だが、その直後、地面が揺れ、近くの岩が空間の裂け目に飲み込まれた。

 

「何…?俺がやったのか?」息を切らしながら、悠真は自分の手に宿る異様な力を感じる。だが、考える暇もなく、金属音と共に銀髪の女騎士が現れる。「偽の調停者め!その力を抑えなさい!」彼女――リアナの剣が、悠真の喉元に突きつけられる。

 

 

 

3. 緊迫の出会い

 

リアナの青い瞳は、怒りと疑念で燃えていた。「お前が鏡の力を乱した。世界を壊す気か?」彼女の声は鋭いが、鎧の隙間から覗く白い肌や、汗で張り付いた銀髪が、悠真の目を一瞬奪う。彼は動揺を隠し、軽口で返す。「壊す気はないけど、こんな美人に剣突きつけられたら、ちょっと心揺れるな。」

 

リアナの頬がわずかに紅潮するが、すぐに剣を押し付ける。「ふざけるな!調停者の力は神聖だ。お前のような者が持つべきではない。」彼女の手が悠真の胸を押さえ、距離が近づく。その瞬間、彼女の体温と、鎧越しに感じる柔らかな感触が、悠真の心をざわつかせる。だが、リアナは一歩退き、冷たく言い放つ。「お前を連行する。抵抗すれば、この剣が容赦しない。」

 

連行される中、悠真は鏡の囁きを再び聞く。「汝の欲望は、世界を変える。」その言葉に、彼の心に秘めた情熱――退屈な日常を壊したいという衝動が、熱く疼き始める。

 

 

 

4. 現代の波紋

 

一方、現代日本。高橋美咲は、悠真のアパートを訪れ、彼の失踪に気づく。机に残された鏡を手に取ると、表面に悠真の姿が一瞬映る。「悠真…どこにいるの?」彼女の指が鏡を撫でると、温かい脈動が伝わる。それは、まるで悠真の心臓の鼓動のようだった。美咲の胸に、悠真への長年の想いが疼く。「絶対に見つけるから。」彼女の決意は、鏡を通じてミラリオスに微かな波紋を生む。

 

 

 

5. 物語の幕開け

 

ミラリオスの監獄に閉じ込められた悠真は、リアナの監視の下、鏡の力の真実を知る。ミラリオスは内戦の危機に瀕し、貴族派と反逆派が「魂の門」を巡って争っている。そこに、カイルと名乗る男が現れる。「よう、偽の調停者。俺と組めば、この腐った世界を変えられるぜ。」彼の危険な笑みと、鏡の破片を弄ぶ仕草に、悠真は惹かれつつも警戒する。

 

鏡の囁きが、再び悠真の心を揺さぶる。「汝の力は、欲望の鏡だ。何を映し、何を壊す?」悠真は、現代の退屈な自分と、異世界で求められる英雄の間で揺れる。この力は、自由をくれるのか、それとも破滅を招くのか――。

 

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