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第1667話

Author: 桜夏
「俺に一億円もの金があるわけないだろう!?」

博明はたちまち声を荒らげた。

「自分の会社だって、手元の資金に余裕はない。ここ数年の蓄えは、息子を国外へ留学させるために使ってきたんだ」

博明は、新井のお爺さんから金をもらっていたわけではない。与えられたのは小さな会社一つだけで、あとは自力でやっていけと言われていた。だから、これまで使ってきた金は、すべて博明自身が稼いだものだった。

当然、綾子の手元にもそんな大金があるはずがなかった。綾子は専業主婦で、収入源などなかった。日々の出費も、すべて博明が渡していた。

そこまで考えたところで、博明は眉をひそめた。

問題はそこだった。綾子は、その一億円をどこから用意したのか。

そんな金を用意できる力があるなら、なぜ自分の事業に回さなかったのか。どうして人を買収し、新井のお爺さんを害するような愚かなことに使ったのか。

博明には分からなかった。どう考えても理解できなかった。だが今は、警察の調査結果を待つしかなかった。

待合室。

蓮司は一時的にそこへ連れて行かれ、執事が付き添う形で中に残された。扉には外から鍵がかけられていた。

蓮司は
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    「俺に一億円もの金があるわけないだろう!?」博明はたちまち声を荒らげた。「自分の会社だって、手元の資金に余裕はない。ここ数年の蓄えは、息子を国外へ留学させるために使ってきたんだ」博明は、新井のお爺さんから金をもらっていたわけではない。与えられたのは小さな会社一つだけで、あとは自力でやっていけと言われていた。だから、これまで使ってきた金は、すべて博明自身が稼いだものだった。当然、綾子の手元にもそんな大金があるはずがなかった。綾子は専業主婦で、収入源などなかった。日々の出費も、すべて博明が渡していた。そこまで考えたところで、博明は眉をひそめた。問題はそこだった。綾子は、その一億円をどこから用意したのか。そんな金を用意できる力があるなら、なぜ自分の事業に回さなかったのか。どうして人を買収し、新井のお爺さんを害するような愚かなことに使ったのか。博明には分からなかった。どう考えても理解できなかった。だが今は、警察の調査結果を待つしかなかった。待合室。蓮司は一時的にそこへ連れて行かれ、執事が付き添う形で中に残された。扉には外から鍵がかけられていた。蓮司はドアノブを回したが、開かなかった。さらに強く扉を叩き、怒鳴った。「何のつもりで俺を閉じ込めてる!?俺は何も犯罪なんてしていない!ここから出せ!!」「申し訳ありません。あなたの感情があまりにも高ぶっているため、こちらの取り調べに支障が出ないよう、しばらく待合室でお待ちいただくことになります」警察は扉の小窓越しに、中へ向かって説明した。蓮司はそれを聞いて歯を食いしばり、どうにか冷静さを取り戻そうとしながら言い返した。「あいつらは俺の爺さんを害した犯人だ!こんな状況で、誰が冷静でいられるんだ!」警察は言った。「お気持ちは理解しています。ですが、どうかこちらの業務にもご協力ください。このあと、水野さんが実行犯を連れてこちらへ来ます。新井さんがさらに強い刺激を受けないよう、今回の取り調べには立ち会わないでいただきます」そう言って警察が立ち去ろうとすると、蓮司は小窓の格子を両手で強く掴み、大声を上げた。「駄目だ!俺には取り調べを傍聴する権利がある!出せ、ここから出せ!」しかし、今度は警察は振り返らなかった。そばにいた執事がなだめるように言った。「若旦那様

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