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第 226 話

Author: スイカのキノコ
互いに自己紹介を終えると、浅里は紗月の腕を組みながら言った。「その髪の色、かっこいいね」

「あなたもかっこよくなれるよ」紗月は笑って浅里をからかった。

二人はこうして親しくなった。

浅里は彼女たちを個室に案内した。

真依は個室の中に怜と雅義が座っているのを見て、さりげなく眉をひそめた。

「真依ちゃん、さっきは会えて嬉しすぎて、つい言い忘れた。実は彼らと一緒に来たけど」浅里はこの時になって、ようやく申し訳なさそうな顔で真依に説明した。

紗月は怜を見ても驚かなかったが、雅義を見た時、目元の驚きを隠しきれなかった。

「真依さん......こんばんは」怜は立ち上がり、穏やかな笑みを浮かべて挨拶した。

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