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第22話

Author: 夕暮れ
血の海に倒れる凛を見た瞬間、雫の心臓の鼓動は止まりそうになった。

この幼い子供が、これほどまでに狂気じみた行動に出るとは予想だにしていなかった。

空想の中で描き続けた娘と同じ顔だ。その幼い姿を前に、雫の心はついに折れた。彼女は叫ぶようにして医師を呼び、凛の状態を確認させた。

幸いなことに、出血こそひどかったが命に別状はなかった。ただ、片方の脚を骨折していた。

幼い身にはあまりに苛烈な激痛のはずだが、凛は声を上げて泣き叫ぶのを必死に堪えていた。

彼女は雫の手を力いっぱい握りしめ、瞳に涙を溜めながらも、頑なにそれをこぼそうとはしなかった。

「ママ……」

凛の声は、今にも消え入りそうだった。

「私、泣かないから。だから嫌いにならないで、捨てないで……

ずっとずっと探してたの。ママ、ただあなたの傍にいたいの」

凛の瞳に宿る驚くほどの執念を目の当たりにし、雫は困惑と無力感に満ちた溜息をついた。

医師の診断によれば、骨折した脚は静養するしかないという。後遺症を避けるためには、超一流の専門医による処置が必要だ。さもなければ、この幼さで一生消えない障害を抱えることになる。

その言葉を聞き、雫は長い沈黙に陥った。

この街の医療設備は乏しく、より優れた医師を探し出す時間も当てもなかった。

沈黙を守る雫を見て、凛の幼い顔に突如として申し訳なさが浮かんだ。

「ママ……私のせいで困らせちゃった?

ごめんなさい。わざとじゃないの。ただ、すごく会いたかったから……ママが行っちゃうと思ったら、急がなきゃって」

雫は溜息をつきながら、凛の手から自分の手を引き抜いた。

そして、傍らにいた医師に向かって口を開いた。

「骨折の治療なら私ができる。残るよ。この子の処置をするわ」

言い終えると、雫は期待に満ちた顔をする凛を冷ややかに見据えた。

「ただし条件があるわ。二度と私のことを『ママ』と呼ばないこと。呼び続けたら、私は今度こそ去るわよ」

凛は慌てて何度も頷いた。

その時、司がボディーガードを引き連れて部屋に入ってきた。

彼は千秋に向かって微笑んだ。

「人手はもう手配してある。広田さんが連れてきた連中も合わせれば、外でどんな不測の事態が起きても、広田さんの身は守れる。

良ければ、まずは広田さんだけここを離れようか?

安心しろ。この間、雫のことは俺がきちん
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