騙されましたわね、王子様!「メロメロ」にして国を乗っ取ってやりますわ!

騙されましたわね、王子様!「メロメロ」にして国を乗っ取ってやりますわ!

last updateTerakhir Diperbarui : 2025-11-23
Oleh:  霧原いとBaru saja diperbarui
Bahasa: Japanese
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純真令嬢、ハニートラップを仕掛けようとしてスパダリ王子に返り討ち!? 『私の使命は、王子様をメロメロにして国を乗っ取ることですの!』 父の冗談を真に受けた8歳の公爵令嬢エリザベスが大暴走。 しかし婚約者の王子様はスパダリだった。 「私がメロメロになるんじゃないんですの! 私がメロメロにするんですのー!」 手強い王子様に、果たしてエリザベスは勝利できるのか!? 成長するにつれて少しずつ変化していく二人の関係は、やがて大事件に発展する! 8歳から15歳までのエリザベスと王子の関係を綴った、胸キュンラブコメです。

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Bab 1

第1話 メロメロ大作戦ですわー!(8歳)

「ふっふっふ、ついにこの日がやってきましたわね!」

 私はエリザベス・スパイシュカ、8歳。

 アゼラン王国の公爵家令嬢である私は、今日、同い年であるこの国の王太子殿下と婚約を結ぶことになっている。

「でも、それは表向きの話ですわ。私には、重大な使命がありますのよ!」

 私はテディベアの"ランランちゃん"に、声を潜めながら伝える。

 これは極秘任務だから、他の誰かに聞かれる訳にはいかないのだ。

「私の大いなる使命は、王子様を騙してこの国を乗っ取ることですわー!」

『ええーっ、す、凄いね、エリザベス!!』

 私は裏声を駆使して、ランランちゃんにも台詞を喋らせる。

「国を乗っ取れば、ケーキも食べ放題ですわー!」

『最高だよ、エリザベス!』

「ランランちゃんには、特別に分けてあげますわー!」

『ありがとう、エリザベス!』

 きゃっきゃとはしゃぐ私を遠目に眺めつつ、お父様とお母様が何かお話されている。その内容が、私に届くことは無い。

「貴方、本当に大丈夫なの? この婚約はハニートラップ目的だなんて、エリーに嘘を吐いて」

「いやぁ、婚約の顔合わせがあると言ってから、あまりにエリーが緊張して夜も眠れていないようだったから……気分を紛らわせようと冗談を言ったつもりだったんだけど、真に受けるとはなぁ。はっはっは」

「笑い事じゃないわよ! どうするの、あの子に本当のことを言わないと」

「このままで良いんじゃないかな? 楽しそうだし。可愛いし」

「また、そんないい加減なこと言って!」

 お母様が溜息を吐きながら頭を抱えている。

 きっと、お疲れなのね。この国を乗っ取れば、お母様にも元気になって貰えるはずだわ。頑張らないと!

 私が気合を入れたところで、迎えを知らせるノック音が響いた。

◇ ◇ ◇

「お初にお目にかかります、スパリオ王子様。エリザベス・スパイシュカですわ」

 王宮の応接間で、私は優雅にカーテシ―をする。

 私の作戦はシンプルだ。ずばり、王子様を可愛い私にメロメロにさせて、そのまま国を乗っ取ってしまおう大作戦である。

 お父様は私のことをいつも「世界で一番可愛い!」と言ってくださるから、この作戦は完ぺきなはずだ。

 しかも、今日の私は凄くおめかしをしている。

 自慢の栗色の長い髪を、お気に入りの赤いレースのリボンでまとめて、ドレスだってリボンとお揃いの赤いフリル付きだ。

(どうだぁ……!)

 私は勝利を確信して、ゆっくりと顔をあげる。

 きっと、そこには私にメロメロになった王子様がいると信じて――!

「ご丁寧にありがとうございます、エリザベス嬢。第一王子のスパリオです」

「……!?」

 しかしそこにいたのは、輝くばかりの美しい微笑みを浮かべた少年だった。

 サラサラの金髪、透き通るような青い瞳、品の良い衣装、お辞儀する華麗な身のこなし、どれをとっても完璧だった。

 絵本に出てくる王子様でも、こんなに素敵じゃないわ。

「か、かかかかか、かっこよ……!?」

 私は硬直した。

 いけない、王子様は思った以上に素敵な方だったわ!

 でも、私には使命があるの。

 心の中で、ランランちゃんが応援してくれる。

 ――頑張れ、頑張れエリザベス。ケーキとお母様のためにも、頑張るんだ!

「ふふっ、可愛い子ですね」

「ぎゃふっ」

 私が何とか気合を入れ直そうとしたところで、王子様からの追撃が入った。

 私は真っ赤になって、よく分からない奇声を発し、今度こそ完全に固まる。

「大丈夫かい、エリー!?」

「すみません、この子、緊張しちゃっているみたいで……」

 お父様とお母様の声が、遠くに聞こえる。

「いやいや、構わないよ」

「可愛らしいではないですか、ふふふ」

 王様と王妃様の声も聞こえる。

「素敵なご縁を頂き、嬉しいです」

 同い年のはずなのに、少し大人びた笑みを浮かべてスパリオ王子様が言う。

 その笑みを見つめるだけで、胸の中がドキドキして、頬がカーッと熱くなって、私はどうしたら良いか分からなくなってしまう。

 ――まさか、これは!

 ――これは王子様からの新手の攻撃かしら!?

 ならば負けるわけにはいかないわ。私は必死に深呼吸して、なんとか言葉を取り戻す。

「なっ!!」

「な……?」

 私が発した言葉を、王子様は優しく見守るように繰り返す。

 その姿にまた固まりそうになるのを、必死にこらえて続きを叫んだ。

「なかなかやりますわね、王子様! 今日のところは、これくらいにして差し上げますわー!!」

 私は言いたいことだけ言うと、急いで身をひるがえして扉の方へと走った。

 小さな手で必死に扉を押し開けて、最後にこう告げる。

「でも、これで終わりだと思わないでくださいませ? 私は貴方を、メロメロにするんですから!!」

 こうして、呆然としているお父様とお母様、王様と王妃様、王子様を置き去りにして、私は応接間から逃走した。 

「ま、待って、エリー! この後、お茶会があるんだよ! まだ切り上げちゃ駄目だよー!!」

 お父様の声が聞こえてきたが、今は構っていられない。

 前に絵本に書いてあったもの。困った時は、逃げるが勝ちだって!!

 ――そして私は10分間の逃走劇の末、迷子になって泣いていたところを侍女さんに保護されたのだった。

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第1話 メロメロ大作戦ですわー!(8歳)
「ふっふっふ、ついにこの日がやってきましたわね!」 私はエリザベス・スパイシュカ、8歳。  アゼラン王国の公爵家令嬢である私は、今日、同い年であるこの国の王太子殿下と婚約を結ぶことになっている。「でも、それは表向きの話ですわ。私には、重大な使命がありますのよ!」 私はテディベアの"ランランちゃん"に、声を潜めながら伝える。  これは極秘任務だから、他の誰かに聞かれる訳にはいかないのだ。「私の大いなる使命は、王子様を騙してこの国を乗っ取ることですわー!」『ええーっ、す、凄いね、エリザベス!!』 私は裏声を駆使して、ランランちゃんにも台詞を喋らせる。「国を乗っ取れば、ケーキも食べ放題ですわー!」『最高だよ、エリザベス!』「ランランちゃんには、特別に分けてあげますわー!」『ありがとう、エリザベス!』  きゃっきゃとはしゃぐ私を遠目に眺めつつ、お父様とお母様が何かお話されている。その内容が、私に届くことは無い。「貴方、本当に大丈夫なの? この婚約はハニートラップ目的だなんて、エリーに嘘を吐いて」「いやぁ、婚約の顔合わせがあると言ってから、あまりにエリーが緊張して夜も眠れていないようだったから……気分を紛らわせようと冗談を言ったつもりだったんだけど、真に受けるとはなぁ。はっはっは」「笑い事じゃないわよ! どうするの、あの子に本当のことを言わないと」「このままで良いんじゃないかな? 楽しそうだし。可愛いし」「また、そんないい加減なこと言って!」  お母様が溜息を吐きながら頭を抱えている。  きっと、お疲れなのね。この国を乗っ取れば、お母様にも元気になって貰えるはずだわ。頑張らないと! 私が気合を入れたところで、迎えを知らせるノック音が響いた。◇ ◇ ◇「お初にお目にかかります、スパリオ王子様。エリザベス・スパイシュカですわ」 王宮の応接間で、私は優雅にカーテシ―をする。 私の作戦はシンプルだ。ずばり、王子様を可愛い私にメロメロにさせて、そのまま国を乗っ取ってしまおう大作戦である。 お父様は私のことをいつも「世界で一番可愛い!」と言ってくださるから、この作戦は完ぺきなはずだ。 しかも、今日の私は凄くおめかしをしている。  自慢の栗色の長い髪を、お気に入りの赤いレースのリボンでまとめて、ドレスだってリボンとお揃いの赤いフリル
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第2話 お茶会は最高ですわー!(8歳)
 王宮での迷子大事件の後、保護された私は応接間のソファーでお父様によしよしされていた。「うえええっ、ひっく、ひっく……」「怖かったねぇ、エリー。もう大丈夫だよ」 どれだけ慰められても、泣き止むことが出来なかった。  だって、王宮って広くてガランとしていて、すれ違うのも知らない人たちばかりで、とても怖かったのだ。「すみません、王様。うちの娘が」 「ははは、構わんよ。お転婆で良いじゃないか。王妃の子供の頃のようだよ」 「あら、嫌ですわ、陛下!」 お母様と王様と王妃様が談笑している内容も、ほとんど耳には入ってこない。 私は悲しすぎて、何が何だか分からなくなってきた。今日は何をしていたのだっけ。  ああ、そうだ、王子様との婚約の初顔合わせだったんだわ。 ――そして私の使命は、王子様をメロメロにして国を乗っ取ること! そのためにも早く泣き止まなくちゃと思うのに、涙は全然止まってくれない。「大丈夫ですか、エリザベス嬢?」 そんな私に、スパリオ王子様が優しく声を掛けてくれた。 跪くようにしながら身をかがめて、ソファーに座っている私に目線を合わせてくれる。  透き通るような彼の青い瞳が、柔らかく細まった。「お辛かったですね。どうでしょうか。お茶会には、お菓子も沢山用意しています。甘い物でも食べて、元気を出しませんか?」 そして、彼は輝くばかりの微笑を私に向けたのだ。「はっ、はむにゃん!?」 びっくりした。美しすぎて変な声が出た。  何なんですの、この王子様! なんでこんなに格好良いんですの!?  ともあれ、驚きすぎて涙が引っ込んだ私は、目をごしごし擦りながら高笑いをするのだった。「お、おーっほっほっほ! どうしてもと仰るなら、お茶会をご一緒して差し上げても宜しくってよ!」「うん、嬉しい。ありがとう」 私の言葉に、王子様が本当に嬉しそうにそう答えるものだから、私の頬は一気にぶわっと熱くなる。「ふえぇ……」 真っ赤になる私を、「あらあら」と遠巻きに大人たちが見守っていたのだが、そんな様子にも当然気づいてはいないのだった。◇ ◇ ◇ お茶会の会場に辿り着いた私は、目を輝かせた。 白いレースのテーブルクロスの上に、焼き菓子やフルーツの飾られた大皿が幾つも並び、中心には三段のケーキスタンドまである。「ふわあっ! こ、ここは夢の国
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