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【第2話】「好きに触ってくれてもいいんですよ?」・前編(カシュ・談)

last update Date de publication: 2026-06-22 08:57:33

 だがしかし、求婚した相手の名前が『華さん』ということがわかり、心が弾む。

 綺麗な人に華麗な名前だ……あぁ、このお姉さんホント、ボクのツボです。

 小腹でもいいから満たせないかと周囲を徘徊していた時に、偶然見掛けただけだったのだけど、もう一目惚れ最高です。

 このまま死んでも……あ、言い過ぎました。

 華さんをお嫁さんに貰うまでは、まだ死ねません。

 早く喰べたいです。

 あの、結婚はまだですか?いつになったベッドに行けるんでしょうか。

 ——そう思うと、本気でシュンとしてしまう。

「ちょっと触らせなさい」

「はい、喜んで!」

 即座に返事をしたはいいが、『え?本当に?触ってくれるという事はもうベッドインですか?』と少し驚いた。心待ちにした瞬間がもうきたのかと、どうしたって心臓がばくんと跳ねる。

 あぁ、なんと話の早いお姉さん——もとい、華さんだろうか。

 これはもう、ボクと結婚してくれるって事ですね?

 黒くて細い尻尾がボクの気持ちと連動し、べちんべちんとラグマットの敷かれた床を叩いてしまう。犬の尻尾みたいに激しく動き、華さんがそれを見てギョッとした。そんな顔も素敵で——(以下略)。

「さぁどうぞ!どこからでも。あ、ボクからしますか?しましょうか?しますよ!多分得意です!淫魔のクセに、初めてだけど!」

 正座をしたまま両手を広げ、『さぁ!』と瞳を輝かす。

 残り少ない魔力を全て瞳に回し、全開で魅了チャームの魔法を華さんに向けた。これでもう淫猥に蕩けない人間は皆無だ。このまま押し倒し、やっとボクは長年探しに探した『お嫁さん』をゲット出来る。

(一五〇年間にも及ぶ婚活生活とも、コレでやっとおさらばだ!)

 そう考えただけで恍惚とした眼差しになり、より“魅了”の効果を上げる。

 ちょっとやり過ぎたかな?このままじゃ媚薬を一瓶一気に飲ませてしまったみたいな目に遭わせてしまうけど……まぁ、それはそれで、華さんは気持ちいいだろうからいいかぁ。

 ——なんて考えていたのだが、次の瞬間にボクが得たのは、顔面への蹴りだった。

「角に、触らせてくれるだけでいいのよ。何を期待しているの?坊や」

 ボクの“魅了”が……華さんには微塵も効いていなかった。何でだろう?と、蹴りを喰らったまま首を傾げる。

(あぁぁぁぁっ。足裏からもいい匂いがするとか、もう舐めてもいいですか?)

 どうでもいい事を考えつつ、顔に感じる痛みさえ気持ちよくって、ボクの方が魅了の魔法をかけられたみたいにドキドキしてしまった。

「ど、どうぞ。大人しくしていますんで」

 トキメキ過ぎて、ちょっとどもってしまった。

「いい子ね、ありがとう」

 広げていた腕を下げて、膝に置く。本心的には足裏とカモシカのような脚を撫で回し、舐めたいし、噛みたいけど、華さんの命令には不思議と抗い難かった。

 椅子から立ち上がり、ビーナスのような全身像をボクに見せてくれる。

 Tシャツにショートパンツ姿というラフな格好なのに、何でか品を感じるのは、華さんの纏う空気が妙に高貴な為だろう。

 ボクの前にしゃがみ、そっと頭から生える黒い角に華さんが触れてくれる。金色の髪を軽くよけ、根元の部分を観察されて、背中がぞくりと震えた。感じる体温が心地よく、彼女から香る匂いはまるで芍薬しゃくやくみたいだ。

「……本物だわ。“人外”って、本当にいるのね」

 そんな驚く声すら美しかった。

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  • 魔女に呪われた“淫魔”達だけど、愛されたい!   【第84話】魔女の呪い④(華・談)

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