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アウルム地方Ⅵ

Autor: エチカ
last update Data de publicação: 2026-04-11 07:45:32
 庭で話していた時とは違う、重く冷たい空気が足元を這っている様だ。

「アウルム修道院の奥にある無縁墓地に新種の植物が蔓延っていると、シスターから相談があったのが二か月前。内密に調査を開始した所、どうやら根と思われる場所は墓石のない場所でした」

「なのに、掘り返したら遺体が出たと言う事ですね?」

「義姉上が仰った通り蔓状の植物でしたが、掘り起こした遺体は白骨化しており、根が蔓延って骨も砕けてしまっていた様です。なので、分かったのは遺体が子供であると言う事くらいです」

「では、その遺体と植物の関係は、分からないと言う事ですね」

「えぇ、おそらく死んだのは十年以上前ではないかと、医者が」

 オルタナはただ黙って一番下座の席に座って話を聞いていた。

 これ、何の話だろうか。聞いて良い話だろうか。

 何の為に王妃陛下は此処へ来て、自分がここに呼ばれたのか。

「ミレー中尉、あの植物をオルタナに見せてあげて」

「はい、陛下」

 そう言って席を立ったミレーは、瓶に入った枝の様な物をオルタナの前に差し出した。

 そして王妃陛下はこう聞いた。

「オルタナ、これから貴方は私の友人。ここにいる全ての者と対等に
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  • 魔女ドーラの孫(仮)   秘密の花園 Ⅴ

    「つまり、事件の担当を割り振ると?」 そう聞いた公爵に、ウケイはコクリと頷いた。「現状、王も王妃も派手な動きは出来ない。その上、特警の皆様の負担が大きく、移動や燃費を考えても効率が悪い。得意な者が得意な場所で、事に当たるのが最善かと」「なるほど。それで、お前はどう考えているのだ? ウケイ」「モリガン兵の毒殺、ラカンの種芥子密輸、教会の“聖水”問題、そしてアウルムの件。先の三件は繋がっている可能性が高く、即解決とは行きますまい。しかし、アウルムの件は人的被害が出る前に解決する必要があります」「つまりアウルムの件を自分に任せろ、と言っているのか? ウケイ」「それが一番効率的ではありませんか?」「私情か?」「……私情です」 オルタナは黙って話を聞いていたが、アウルムの件にウケイが当たるのは至極当然に思える。 王が言う私情と言うのが、夜葡萄の研究に関わる事だったとしても、謎の植物の研究者がいると言うのは、不幸中の幸いと言っても過言じゃない。「ふはっ、良かろう。他に望みはあるか?」「オルタナ殿に、私の補佐を頼みたい」 そう言ったウケイが、こちらへと視線を寄こした。「え……?」「あっはっは、ヴィーからオルタナを取り上げるか。やられたなぁ、ヴィー」「公爵様の番の発表は少し後になります故、その間、彼の事は私が必ず守るとお約束しましょう」 公爵は少し沈黙した後、ゆっくりと口を開いた。「良いでしょう。ウケイ殿に貸しを作るのも悪くない」「いや、あのっ……でもっ……」「何だい? オルタナ」「あの、王陛下。ラチア様の側近と言うか&he

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    「……王陛下、どうなさるおつもりで? サリバン公爵には運命の番との婚姻を宣告されたはず。彼を番だと公表すれば、それは婚姻の表明と同義では?」「そうだなぁ……。教会が煩いだろうけれど、まぁ、イケるんじゃないか?」「運命の番が見つかるまでの、要は愛人と言う事ですか? 発情しないΩと?」「ウケイがこの話を良く思わないのは分かるけどね。彼の命には代えられんだろう?」「それはまぁ……そうですが」 オルタナは王の膝の上に乗せられているこの現状で精一杯で、話が耳に入って来ない。 何でこんな状況になっているのか。 早くここから降りたい。  降りたい。  降ろしてくれ。「オーリィ、こっちへおいで」 見かねた公爵のその言葉を聞いた瞬間、オルタナは王の膝の上から脱兎のごとく飛び出し公爵の後ろにしがみついた。 怖かった……。何だ、コレ。「おや、逃げられてしまった」「大丈夫だ、オーリィ。兄上は子供が好きすぎる変態なだけだ」「変態って言うな。お前だってその子を番にしたいんだろう?」「オーリィは立派な青年です」「見た目は少年だが?」「見た目は関係ないでしょう? 王妃陛下だって立派なレディでは?」「ラティは私の唯一だ。他の誰にも真似の出来ないファーストレディだよ」 この兄弟は本当に頭が良いのだろうか。 オルタナはようやく耳に入って来た会話に首を傾げた。 よくよく俯瞰で見れば、王と元王弟と王妃の側近がここにいるだけで、何やら異様な空気が漂っている。 異国には三人寄ればナントカ……って諺もあるらしいが、この三人が寄っていたら国家転覆ですら朝飯前に見えてしまう。「オルタナ殿はどうなのですか? この話、納得されてますか?」 そうウケイに聞かれて、一瞬公

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