私は袖を引っぱって、ちょっと気まずそうに口を開きかけた。素直に説明しようとしたそのとき――宴会場から、突然どよめきが起きた。「うそでしょ!」誰かが叫んだ。「藤原家のお嬢さんが倒れた!救急車呼んで、早く!」次の瞬間、それまでずっと俯いていた男が、ばっと立ち上がって飛び出していった。風のような勢いだった。藤原のおばあさんも驚いて立ち上がり、何も言わず、使用人に支えられながら足早に出て行った。応接室には、私と来依だけが残された。「……ほら、もう行こ」来依が私の腕を引いた。「他人のことなんて気にしてもしょうがないよ。あの子には家族も、尽くしてくれる婚約者もいる。でも、あんたは自分で自分を大事にしなきゃダメ。早く病院行こ。あのときみたいになったら大変だよ」宴会場はすでに大混乱だった。本当に心配してる人もいれば、ただ藤原家にいい顔をしたいだけの人もいた。病院に着いて、採血を数本済ませ、私は点滴室で来依を待っていた。でも――痒みがまったく引かない。来依が支払いに行っている間に、私は首を掻きすぎて、とうとう皮が破れてしまった。皮膚がヒリヒリしても、どうにも止まらない。あまりの痒さに、泣きたいどころか死にたくなるレベルだった。「うわっ!」来依が戻ってきて、私がサルのように顔や腕を掻きむしっているのを見て、慌てて手を押さえた。「ちょっと!顔やめなって!あんたもう二十歳そこそこの若さじゃないんだから。今掻いたら傷になるよ。跡残ったらどうすんの?一生ものだよ?」「もう……今の私なんて、見るも無惨でしょ……」目に涙が滲む。病院に向かう途中、バッグから小さな鏡を取り出して自分の顔を見た。蕁麻疹が広がっていて、鏡の中の自分が信じられないほど酷かった。来依は私の気持ちを察して、すぐに声をかけた。「今だけのことだから。先生も言ってたよ、点滴して薬飲めば、すぐ治るって。ほら、点滴終わったらアイス買ってくる。少しでも冷やしたら楽になるってさ」私は救われたような気持ちで、彼女の手から薬を受け取った。「うん……点滴、行ってくる」「一緒に行くよ」冬のこの時期、風邪をひいた子どもたちで点滴室はごった返していた。順番待ちの列も長い。ようやく私の番が来た頃――点滴室の外からバタバタと足音が
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