一同は言葉を失った。「……」忠はついに堪えきれず、仁志を指さして罵声を浴びせた。「ふざけるな、兄妹の情だと?!仁志、今日はお前を殺してやる!この卑劣な馬鹿野郎!」怒りで理性を失い、そのまま仁志に突っ込もうとする。靖が慌てて腕をつかんだ。「忠、落ち着け!」忠は髪を振り乱し、全身を震わせる。「落ち着けだと?!どうやって落ち着けって言うんだ!あいつらは、一円も払わずに俺の株を奪ったんだぞ!」追い打ちをかけるように、仁志が静かに笑った。声は穏やかなのに、どこまでも冷たい。「お褒めにあずかり、ありがとうございます。無恥なことはこれまでもしてきました。ですが、ここまで無恥なのは初めてです。もっとも、忠さんのような優秀な先生がいれば、無恥にならないほうが難しいんです。拉致をし、実の妹に株を差し出させようとする行為も、決して高尚とは言えません」忠は跳ね上がるように叫んだ。「ほら見ろ!認めたぞ!こいつ今、認めた!」仁志は眉を上げる。「はい、認めました。ですが――僕は何を認めたのでしょうか?」忠がさらに言い募ろうとした、その瞬間。正道の冷たい声が場を斬った。「もういい、忠。これ以上、恥をさらすつもりか」忠は目を真っ赤にして父を見上げた。「父さん、俺はもう何もかも失ったんだ!今さら恥なんて怖くない!」正道は小さく息を吐き、星へ視線を向ける。「星。原株を譲渡したくないのなら、無理にとは言わん。だが……忠の普通株は、返してやることはできないか?」星は心の中で冷笑した。自分の原株が忠に奪われたとき、誰ひとり「返せ」なんて言わなかったくせに。彼女は穏やかに微笑む。「父さん。もし株の譲渡が、子どもの遊びみたいにいつでも取り消せるものだと言うなら――会社の他の株主のみなさんからも、株を返してくれる?幸い、今の雲井グループは資金に困っていないよね。残りの株式を買い戻すことも、難しくないはず」その一言で、空気がひっくり返った。夜派だけじゃない。正道を支持していた株主まで、彼を見る目が変わる。正道は自分の失言に気づき、顔をこわばらせた。そのとき忠が、憎々しげに吐き捨てる。「星、俺の株を独り占めできると思うな。裁判に持ち込めば、お前の原株も俺の普通株も、すぐ仮差し押さえになる。俺が手に
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