Semua Bab 愛されなかった武士の娘が寵愛の国へ転身~王子たちの溺愛が止まらない~: Bab 71 - Bab 80

159 Bab

71.募る孤独と葵の決意②

「薬草の採集に行きたいんです。新しい種類も探したいし生育環境もこの目で確かめたい」ある日、国立図書館に向かう予定だったが護衛たちに行先の変更を懇願した。彼らは私の安全を心配して最初は難色を示した。「王宮の外へ出るだけでも、細心の注意が必要なのです」と、いつものように警戒を口にしたが、私の目に宿るただならぬ決意と必死な様子に、最後は根負けしてくれた。彼らの警戒の目をどうにか掻い潜るように、私は王宮の外へと向かった。向かった先は、古くから薬草が多く自生していると伝えられる場所。それは、隣国ゼフィリア王国の国境線に近い人里離れた森の奥だった。以前なら、王子たちの許可なく、外出することも、ましてや予定を変更して違う場所に行くなど考えもしなかっただろう。だが、今の私を突き動かしていたのは、そんな常識を打ち破るほどの、自分の存在価値を見出すための、必死の行動だった。もがき、もがき、ただひたすらに、自分がまだこの世界に必要とされる人間だと信じたくて、私はそこへと向かったのだ。 (もしかしたらこの新しい薬草がこの国の誰かを救うかもしれない。そしてまた、私が「必要とされる」理由になるかもしれない。そうすれば、サラリオやルシアンも、また私に目を向けてくれるかもしれない。)そんな微かで、けれど胸を締め付けるほど切実な願いが、私をその危険な場所へと突き動かしていた。誰かを救うことが私自身を救うことに繋がるような気がした。日本で夫に顧みられなかった経験が、私の心に「無価値」という深く傷となっていた。この国で一度はそれが拭い去られたと思っていたが
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-19
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72.困惑する王宮と葵の危機

その頃、王宮はにわかに騒然とした空気に包まれていた。「葵様が、ゼフィリア王国近くに行ってしまいました!」メルの悲痛な叫びが執務室に響き渡った瞬間、それまでサラリオとアゼルを隔てていた張り詰めた空気は一瞬にして凍りついた。兵士たちがざわめき、奥からルシアンとキリアンも駆けつけてくる。「ゼフィリア王国の近くに行くなんて……危険すぎる!それでなくともゼフィリア王国は葵の存在に好奇と、そして危機感を示しているのだ。もし、万が一、捕らえられたりしたら……!」サラリオの顔からは血の気が引き、言葉の端々に焦りが滲む。彼の脳裏には、ゼフィリア王国から送られてきた書簡の文面とアンナ王女が漏らした「誘惑する異国の女」という言葉が鮮明に蘇っていた。「おい、兄さんどういうことだ。ちゃんと説明してくれ!」アゼルはサラリオの胸ぐらから手を離し、今度は彼の両肩を掴み問いただした。その瞳には混乱と、何よりも葵への途方もない心配が宿っている。サラリオは大きく息を吸い込んだ。もはや隠している場合ではない。彼はアゼルと、そしてその場にいたメルとルシアン、キリアンにアンナ王女が再訪した際にルシアンが聞き出したゼフィリア王国の真の目的――「葵」の存在を探るために送り込まれたこと、そして葵を守るために、彼女との接触を控え情報を秘匿していたことを全て説明した。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-20
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73.葵をかけて国の戦い勃発?

自分の下した決断が最善策だと思い込んでいたが、それが葵を深く傷つけ、結果として危険に晒すことになった。後悔の念が津波のように押し寄せる。「もう過ぎたことはしょうがない!俺は葵のところへ行く!」アゼルは、そう言い放つと迷うことなく扉へ向かっていった。 「待て!ゼフィリア王国の近くなら、万が一に備えてもっと人数を多くしてから行った方がいいのではないか!」サラリオは冷静であろうと努めながら、焦燥と後悔に揺れる心でアゼルを呼び止めた。国家を統べる者として感情に流されるわけにはいかない。最善のリスクヘッジを考えなければ。しかし、アゼルはサラリオの言葉に聞く耳を持たなかった。彼の頭の中にはただ一点、危険な場所に向かってしまった葵の姿しかなかった。「そうしたければそうしろ!後から来ればいい!とにかく葵の身が心配だ!俺は今すぐ助けに行く!」アゼルは、そう叫び執務室を飛び出していった。その背中には一切の迷いがなかった。「あいつはもう……。」サラリオは大きくため息をついた。その場に膝をつきたいほどの絶望感と無力感に襲われたが、同時にアゼルが少しばかり羨ましかった。自分も
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-20
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74.葵の危機、商人の悪意

王宮の騒乱を知る由もなく、私はゼフィリア王国との国境に近い静かな森の中で薬草の採集に没頭していた。そう、背後から視線を感じるまでは。一人の男が私の姿を遠巻きに観察していた。それはゼフィリア王国の商人だった。彼は、珍しい野草を真剣な様子で調べ、時折何かを呟いている私をじっと見つめていた。(変わった容姿の女がいるな。この黒髪に、透き通るような白い肌……バギーニャの連中とはまるで違う。そう言えば最近、噂でバギーニャに王子たちを夢中にさせる『異国の女』がいると聞いたな。まさか、あれがその『魅惑の女』か?まあ、もし違ったとしても、これほど珍しい顔立ちの若い女だ。東方のどこかの貴族の娘か、あるいは珍しい奴隷としてでも、高値で買い取る者がいるかもしれない……)商人の脳裏には金儲けの算段が次々と浮かんでいた。私の存在は、彼にとってただの「商売道具」だったのだ。その瞳には、すでに獲物を見定めた獣のようなギラつきが宿っていた。護衛たちの目を盗むように商人はゆっくりと私に近づいていった。この場所にはバギーニャの国民も薬草採集に来ることがあるため、護衛たちは見た目だけでは判別がつかず、疑わしい動きがない限り遠巻きに見守るしかできない。そのわずかな隙を商人は見逃さなかった。 「何をしているんですか?」そうにこやかに声を掛けられて私はハッと顔を振り向けた。そこに立っていたのは、一見して人の好さそうな笑顔を浮かべた商人だった。しかし、その瞬間、私の背筋には
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-21
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75.葵の危機、救世主の登場

恐怖で体が動かない。商人の不気味な笑みを見た瞬間、足がすくんで地面に縫い付けられたように一歩も動けなくなっていた。商人はそんな私を品定めするように、ゆっくりと私に近づいてくる。指先がガタガタと震え始めた。その様子を見てニヤリと唇の端を吊り上げ、いやらしい笑みを浮かべていた。その笑みはまるで獲物を見つけた獣のようで私の背筋をぞっとさせた。(怖い、怖いよ……助けて……誰か……)心の中で何度も叫んだ。声にならない声が喉の奥で詰まる。このまま捕まってしまうのだろうか。奴隷にされる?そんな想像が頭をよぎり全身の震えが止まらなくなったその時だった。「おい、そこで何をしている。」聞き慣れた、力強く、そして少し荒々しい声が響いた。顔を上げると、そこにいたのは、白馬に乗り腰に武器を携えたアゼルだった。(まさかアゼルがここまで来てくれるなんて……。)商人は武器を持ち白馬に乗ったアゼルを見て、瞬時に只者ではないと悟ったようだ。先ほどまでの不気味な笑みは消え失せ、一転して愛想の良さそうな笑顔に変わっていた。「いや、別に。ただ珍しい野草を摘んでおられるようでしたので、何をしているか声を掛けただけですよ。」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-21
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77.アゼルの急変、命の危機?

アゼルに助けられ、安堵と心細さが入り混じるまま、私は王宮への帰路についていた。アゼルは私を馬に乗せ、彼は隣を歩いていたのだが、先ほどから、私の傍らを歩くアゼルの身体が、少しずつ左右に大きく揺れている気がした。彼の歩調が、どこか不自然に感じられる。小休憩を取るために馬を降りた時、私はアゼルに近づいた。アゼルの顔は心なしか赤く、いつもの覇気がなく元気がないように見えた。その表情には、私を助け出すために駆けつけてくれた時の、あの力強い輝きはなかった。「アゼル?どうしたの?体調でも悪いの?」私の問いかけに、アゼルはゆっくりと顔を上げた。その瞳は、わずかな倦怠感が浮かんでいた。「……なんでもない。大丈夫だ」そう言って立ち上がろうとしたアゼルだが、ふらつき、危うくバランスを崩しそうになった。慌てて手を差し伸べると、その腕は信じられないほど熱い。「熱い!アゼル、もしかして熱があるの!?」「これくらい大丈夫だ」そう言って出発しようとするアゼルを制し、近くの木陰に座らせた。彼の首に触れると、明らかに熱を帯びている。そして、彼の左の二の腕に赤く腫れ上がった何かに刺されたような跡があるのが見えた。「もしかして、これが原因……?」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-22
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78.初めてのキス、アゼルへの想い

私は急いで薬草を煎じて調合し始めた。苦さはあるが、即効性が高く、今のアゼルには良薬だ。しかし、私が調合している間に、アゼルの身体はどんどん熱くなり、呼吸もどんどん苦しそうになっていった。額には脂汗がびっしりと浮かんでいる。出来上がった頃には、彼の呼吸は「はあはあ」という声が聞こえるほど浅くなっており、自力で薬を飲むことすら難しくなっていた。唇は乾き、意識も朦朧としているようだ。「アゼル……お願い。飲んで」私は、彼の枕元に膝をつき必死に呼びかけた。アゼルは、うっすらと目を開け、こちらをじっと見つめている。普段の覇気に満ちた瞳とは違い、今はその瞳が弱々しく助けを求めるように映り、胸を切り裂かれるような気持ちになった。(なんとしてもアゼルを助けたい。どうやったらこの薬を飲んでもらえるだろう……)焦燥感が募る。このままではアゼルは危険だ。その時、私の頭に一つの方法が閃いた。躊躇する暇などなかった。考えることもせず、次の瞬間には、私は薬と水を自分の口に含んでいた。そして、ゆっくりとアゼルに顔を近づけ、震える唇を彼の唇に重ねた。熱を帯びたアゼルの唇が、私の唇に触れる。それは、私にとって人生で初めてのキスだった。薬をこぼさないように、ゆっくりと口を開いていく。唇を少し動かすたびに、柔らかく弾力のある熱を帯びたアゼルの唇や舌の感触が伝わってくる。薬の苦さに、顔をそむけようとするアゼルの頬を、私は両手で優しく包み込み、少しずつ、少しずつ、薬と水を彼の口の中へと流し込んで
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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79.アゼルの目覚め、そしてもう一度

「うう、ん……」小さいが確かなうめき声が耳に届き、私はハッと顔を上げた。数時間前まで高熱にうなされ苦しそうにしていたアゼルがゆっくりと目を開けたのだ。彼の瞼が震え、碧い瞳が私を捉える。「あ、アゼル!起きた!?調子はどう?大丈夫!?」私は、彼の額にそっと触れた。薬の効果か熱も明らかに下がっている。先ほどのつらそうで見るに耐えなかった表情はどこにもなくいくらか血色が戻っていた。「葵……。」アゼルがか細い声で私を呼んだ。そして真っ直ぐに私を見つめ、ゆっくりと手を差し出す。私は彼の言葉を聞き漏らすまいと耳を彼の口元に近づけようとした。まだ、喋るのも大変なのだろうか。その瞬間、アゼルはふわりと私を抱き寄せた。彼の差し出した手が、私の頭にそっと触れ、私の唇を自身の唇へと導いていく。薬を飲ませた時のような弱々しさはなく、アゼルの唇ははっきりと意思を持って、そして力強く動いている。「ん、んっ!!!」驚きに目を見開く。唇が重なり、薬の苦みなど一切ない、アゼルの温かい吐息が私を包む。一瞬の戸惑いの後、私は慌てて唇を離した。アゼルは口元を手の甲で拭い、私の反応を楽しんでいるかのようにニヤリと笑って見せた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-23
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80.新たな嵐の予感

サラリオは、アゼルが小屋で休んでいる間も王宮で気を揉んでいた。護衛が数人だけ先に戻ってきてアゼルの体調が急変したことを聞いた時、冷静沈着なサラリオが珍しく焦燥を隠せない様子で兵士たちに追加の指示を出し自らも出立の準備を進めていたそうだ。そしてその数時間後。遠くに見えたアゼルと私の姿にサラリオは心底から胸を撫で下ろした。馬に乗って戻ってきたアゼルは、顔色はまだ完璧ではないもののいつもの活力を取り戻しているように見える。彼の隣には少し頬を赤らめた私がいる。「アゼル!無事だったのか!良かった、心配していたんだぞ!」サラリオは、安堵の表情を浮かべ弟の無事を心から喜んだ。しかし、アゼルが馬から降りて放った言葉に、その安堵は一瞬にして消し飛んだ。「ああ、おかげさまで。葵はずっと側で俺の手を握って看病してくれたんだ。それに……」アゼルは、わざとらしく私の顔をちらりと見てにやりと笑った。「口移しで水や薬も飲ませてくれたし、そのおかげかもな」その言葉がサラリオの耳に届いた瞬間、サラリオの顔から表情が消えた。嫉妬の炎が瞳の奥で音を立てて燃え上がった。(口移し……?葵が?アゼルに?)サラリオの理性
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-07-24
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