その声に、姿月は弾かれたように勢いよく振り返った。本当に景凪が目の前にいるのを見て、彼女の瞳孔がきゅっと収縮し、顔が怒りと信じられないという表情に染まる。「穂坂……景凪っ!どうしてあなたが……きゃあっ!」言葉の途中で、姿月は床に転がっていた万年筆を踏みつけてしまった。体勢を崩し、前のめりによろめいた彼女は、為すすべもなく景凪の目の前に膝から崩れ落ちる。まるで跪くような格好になった。景凪は水の入ったグラスを片手に、悠然と彼女に歩み寄る。そして、床につかれた姿月の手を、躊躇なく強く踏みつけた。「いっ……!穂坂景凪!あんた、目が見えないのっ!?」甲高い悲鳴を上げる姿月を、景凪は冷ややかに見下ろし、わざとらしく驚いてみせる。「あら、ごめんなさい。痛かった?早く立ちなさいよ、再会していきなりそんな大層なご挨拶、どうしちゃったの?」景凪は少し後悔した。今日、こいつに会えるってわかってたら、ピンヒールを履いてきたのに。そしたら、もっと痛めつけてやれたのに、と。「穂坂景凪っ!」姿月は怒りに我を忘れ、みっともなく立ち上がると景凪に掴みかかろうとした。ここには二人きり。猫を被る必要もないと判断したのか、その表情には剥き出しの憎悪が浮かんでいる。車田教授のオフィスに監視カメラがないことも、彼女は計算済みだった。何者もここから物を持ち出すことなどできないのだから、設置する意味がない。一方の景凪は少しも慌てず、飛びかかってくる姿月を見据え、「親切心」から忠告してやる。「小林さん、車田教授はいつ戻られてもおかしくないわよ」「……っ」その一言だけで、姿月の動きがぴたりと止まった。彼女は燃え盛る怒りを無理やり心の奥に押し込めると、服についた埃を払い、綺麗に化粧を施した目で、ねめつけるように景凪を睨みつけた。姿月の頭は、一瞬の休みもなく高速で回転していた。この女狐、どうして車田教授のオフィスにいるの?すぐに、答えに思い至る。間違いなく、小池郁夫だ。あの男を誑かして、手引きさせたに違いない!でも、景凪はもう西都製薬との共同研究を手にしているはず。それなのに、どうしてまたここに首を突っ込んでくるのか。まさか……姿月の眼差しが、ますます陰湿で棘のあるものに変わっていく。その視線は、まるで景凪の顔に穴を開けてしまわんばかりの憎悪に満
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