信行の横暴さに、真琴は激しく顔をそむけ、彼を見ようとも、もがこうともしない。その反応に信行の興奮はすっと冷めていく。キスする動きもぴたりと止まった。腕の中に閉じ込めた真琴をしばらく見つめ、不意に、信行は素早くその身を起こした。「臭うんだよ。さっさとシャワーを浴びてこい」真琴は彼が脱がしかけた服を引き上げ、ベッドから降りると、黙って洗面所へ向かう。部屋の中で、信行はその後ろ姿を一瞥し、次いでテーブルのそばへ歩み寄る。腰をかがめてタバコとライターを手に取り、少し苛立った様子で一本に火をつけると、また窓際へと向かった。――本当に次の相手を探しているのか?本気で、自分と離婚するつもりなのか?――ありえない。あいつが計算ずくで片桐家に嫁いできた時から、この結婚が離れられないものであることは、分かっていたはずだ。重々しく煙を吐き出す。信行の心は、この煙の輪と同じくらい重かった。一方、真琴は洗面所で二時間もシャワーを浴びている。やがて、信行はとうとう我慢できなくなり、直接歩み寄ると、バンバンとドアを叩いて彼女を呼ぶ。「おい」「何か御用?」中から聞こえる声に、信行は手をポケットに戻し、冷たい声で言う。「犯罪現場の証拠隠滅だって、そんなに時間はかからねえよ。ドアを蹴破られたくなければ、さっさと出てこい」自分に触れさせないために、随分と手の込んだことをするものだ。一瞬にして、信行もそういう興味を失う。実際には、真琴が激しく顔をそむけ、絶望したような表情を見せた時、彼はすでに興味を失っていた。……今頃、階下のレストランはまだ賑やかだ。ずっと注目の的ではあったが、信行がいないので、由美はやはり少しがっかりしている。あまり長くは遊ばず、彼女も部屋に戻った。……翌朝、真琴が目を覚ました時、頭はぼーっとし、背中も首も痛い。四肢はだるく、体中が不快だ。デスクの方で、信行はすでに起きている。真琴が目を覚ましたのを見て、感情のこもらない声で言う。「もう遅い。起きて着替えろ」腕を目に乗せ、真琴は力なく言う。「もう少し後で行きます。先に行ってください」両手はキーボードを叩きながら、信行は平然と言う。「今日は取材がある」その言葉に真琴は理解する。彼には今日、取材がある。彼女
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