LAUの本社ビルを出た後も、二人の顔色は土色だった。特に璃々子の怒りは凄まじかった。「あんた、どういう調査してたわけ!?LAUのバックがあの女だってことくらい、なんで調べられないのよ!あんな大恥かかせて!」斉藤も思わず反論する。「正式なルートで調査依頼を出せば、結果が出るまで最低でも一ヶ月はかかるのよ。それを『待てない』って急かしたのはあなたでしょう……」「私のせいにする気?」璃々子が鬼のような形相で睨みつけると、斉藤はすぐに口をつぐんだ。それにしても、誰が想像できただろうか。あのミキが、LAUという巨大企業のトップに君臨しているなどとは。やり場のない怒りに震える璃々子は、停めてあった社用車のタイヤを思い切り蹴り上げた。「なんであいつばっかり!何の才能もないくせに、なんであんなデカい会社の社長なんかになれるのよ!」「……きっと、白彦さんのおかげよ。白彦さんの威光を借りたに決まってるわ」斉藤はそう結論づけた。璃々子もまた、そう信じたかった。だからこそ、その事実が余計に妬ましくてたまらない。斉藤はここぞとばかりに囁いた。「あなたも白彦さんにお願いすればいいのよ。資本を持つ側に回れば、売れっ子スターなんて操り人形も同然なんだから」その言葉は、璃々子の功名心に火をつけた。帰りの車中、彼女はずっと考えを巡らせていた。どうすれば白彦の力を利用して、自分もあの場所へ這い上がれるのか。どうすればミキを見下ろせる立場になれるのか。甘美な野望に浸っていたその時、隣でスマホを操作していた斉藤が悲鳴のような声を上げた。「きゃああっ!」思考を遮られた璃々子は、不快そうに顔をしかめた。「ちょっと、何騒いでるのよ」しかし、斉藤の顔からは血の気が完全に引いていた。「大変……終わったわ……」この業界に身を置いて二十年。並大抵のトラブルなら鼻で笑い飛ばしてきたベテランマネージャーの斉藤が、これほど取り乱すとは異常事態だ。璃々子はひったくるように斉藤のスマホを奪い取ると、画面に釘付けになった。「嘘……誰が……!誰がこんなの撮ったのよ!」画面には、目を覆いたくなるような動画が流れていた。璃々子は震える指で、すぐさま動画の元凶と思われる人物――映画プロデューサーの成沢に電話をかけた。呼び出し音は虚しく鳴り続けるだけ。
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