盆休みに入ってから、実質的に体を休められたのは何日だっただろうかと、ぐったりとシートに体を預けた和彦はそんなことを考える。指を折って数えるまでもなかった。 本来であれば、今日いっぱいは三田村とゆっくり過ごせるはずだったのに、長嶺組を通して総和会から仕事の依頼が入り、朝から出かけることとなった。連れて行かれた先で待っていたのは、顔を変える必要があるという患者だ。 命に関わる怪我でないのなら、今日でなくてもいいのではないかと、頭の片隅でちらりと思わなくもなかったが、重要な行事を終えてしまった総和会にとっては、盆休み中で美容外科医の体が空いているという程度の認識なのかもしれない。そして和彦は、指名されたら出向くしかないのだ。 今日はせめて、夕食だけでも三田村と一緒にとりたいと考えていたのだが、半日がかりの施術を終えたところで、仕事に戻るという三田村からのメールを確認した。今、車は長嶺の本宅に向かっている最中だ。 このまま本宅に泊まることになるか、総和会本部に送り届けられるのか、和彦にはわからない。自宅マンションでのんびり過ごしたいと控えめに希望は出すつもりだが、あまり期待はしていなかった。 無意識のうちに大きなため息をつきそうになったが、寸前のところで堪える。決して、本宅に行くのが嫌なわけではないのだ。 現実逃避というわけではないが、三田村と過ごした穏やかな時間の余韻に浸っていると、携帯電話の無粋な着信音が車内に響き渡る。軽く眉をひそめつつ携帯電話を取り出した和彦は、一瞬電源を切りたくなった。しかしそれは、前に座る組員たちが不審がるだけだと思い直し、仕方なく電話に出る。『――お前今、どこにいる?』 こちらが声を発する前に、前置きもなく鷹津に問われる。面食らった和彦が口ごもると、苛立ったようにさらに言われた。『言えないようなところか?』「……車で移動中だ。今から帰るんだ」 どこに、とは問われなかった。電話の向こうから、鷹津が思案するような気配が伝わってきて、和彦としても普段とは何かが違う様子が気になる。いや、最近の鷹津は様子がおかしいことばかりだが――。「何かあったのか…&helli
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