しかし今日は、花見会に出席してほんの数時間ほどしか経っていないというのに、一気に情報に触れすぎたようだ。それに人にも酔った。少し頭がぼうっとしている。 縁台に腰掛けた和彦は池を眺めながら、ペットボトルに口をつける。午後に入ってから気温が上がってきて、雲一つない晴天ということもあり汗が滲む。冷たい水が喉を通る感触が心地よく思えるほどだ。 守光に許可を得て、一人で庭を散策できる時間ができて助かった。人前で無様な姿を晒しては、和彦一人が恥をかくならともかく、守光の顔に泥を塗るところだった。 短く息を吐くと、頭上を仰ぎ見る。釣殿を意識したものらしい池の辺にあるこの建物は、風通しがいいよう周囲を吹き放ちにしており、屋根は四本の柱で支えられている。おかげで陽射しは遮られ、休憩をするにはうってつけの場所だ。 何よりありがたいのは、人が来ないということだ。 すっかり気を抜いた和彦が手すりに腕をかけようとしたとき、砂利を踏む音が耳に届く。反射的に振り返ると、賢吾が立っていた。「どうして――」 思わず和彦が洩らすと、陽射しを避けるように賢吾も屋根の下に入ってくる。周囲をぐるりと見回してから、当然のように和彦の隣に腰掛けた。「こんなところに一人でいると、怖い男にかどわかされるぞ、先生」「あんたみたいな男が、他にいるわけないだろっ……」 ムキになって言い返すと、賢吾がニヤリと笑う。その顔を見て、胸の奥がじわりと熱くなる。素直には認めたくないが、賢吾の声を聞いて安心したのだ。ずっと守光の側にいたため、今日賢吾と会話を交わしたのは、これが初めてだった。「少しの間、様子を見ていたが、オヤジの毒気にあてられたような顔をしていたな」「……悪趣味だな」「何を吹き込まれたのかと、考えていたんだ」 実は賢吾は、自分と守光の会話をどこかで聞いていたのではないかと、ありえないことを一瞬本気で和彦は考えてしまう。 警戒心を露わにした和彦の反応に満足したように、賢吾は目を細める。「オヤジはやけに、先生に執心だ。息子と孫が骨抜きになっている色男を、物珍しがっている
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