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All Chapters of BL小説短編集: Chapter 111 - Chapter 120

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陽さんΣ(oДo;;)

(うへぇ、躰が重ダルい。おかしいな……。昨日の荷物の搬入は、キツいものじゃなかったはずなのに。もしや陽さんを感じさせようと、昨晩頑張りすぎちゃったせい?) ベッドの中で痛む腰を撫でながら、ある部分の違和感も感じていた。力を入れてみるが、余計に変な尻応えがある。 まるで使い込んだみたいな感覚に、眉根を寄せながら隣で寝ている橋本に視線を飛ばした。「……何で俺が寝てるんだ?」 隣で寝ているはずの橋本が、そこにはいなかった。その代わりに見慣れた顔の自分が、カーテンの隙間から入り込む光を受けて、とても幸せそうな面持ちで寝ていた。 茫然としたまま痛む腰にカツを入れて起き上がり、そっと布団を捲ってみる。 昨夜美味しくいただいたブツが、堂々とぶら下がっているのを目の当たりにし、慌てて布団を被せた。「ひっ、ひゃあぁっ……」 意味なく両頬を撫でさすってから、髪の毛に触れてみる。 短髪のごわごわした髪じゃなく、絹糸のような柔らかな手触りを感じて、恐れおののいた。大好きな橋本の髪は、寝る直前まで宮本が撫でまくるものなので、間違いようがない。(――俺ってば、陽さんになっちゃった!) 他にも叫びだしたい衝動を塞ぐために、手で口元を押さえながら心の中でシャウトする。 どうして、こんなことになってしまったのか。どうやって、元に戻るのか――どんなに考えを巡らせても寝起きの頭では、到底解決するはずがなかった。 入れ違ったまま生活するには、かなりの支障をきたす。 デコトラを運転する自分が、橋本が運転している黒塗りのハイヤーのハンドルを握らなければならない。しかも乗せる客は、高収入の偉い人ばかり。キョウスケのような気さくな人物ばかりじゃないのは、目に見えていた。 困ったことは、そればかりじゃない。 中身は橋本だと分かっていても、自分を相手におっ勃つ自信がなかった。行為に及ぼうとキスするのに目をつぶるが、鏡で見慣れた顔を直前まで見つめ続けるのである。 あまりに困難すぎる状況に、がっくりと萎えるであろう。 間違いなく橋本も同じ心境に陥ることが、容易に想像ついた。
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陽さんΣ(oДo;;)2

「これは夢だ。そうに違いない。寝たらもとの姿に戻って――」 呟きながら頬をつねってみる。摘まんだ感触から捻りあげる痛みまで、しっかり感じることができた。(あ~そういえば、登場人物が入れ替わりするアニメや映画があったな。なぜだか前前前世的な曲が頭に流れるのはしょうがないとして、トラックに轢かれてもとに戻るという手は、危ないから絶対にできない) 腕を組んで知ってるアニメを思い出しながら、戻る方法を考えてみた。しかし次の瞬間には違う内容が、宮本の脳裏を駆け巡る。 普段の自分なら、顎に手を当てて考えようが腕を組もうが、どんなポーズをとっても様にならない。だが、今の姿は橋本なのである。きっと、ものすごく格好いいだろう。 静かにベッドを抜け出し、床に落ちている下着を手に取りかけてハッとした。「危ない危ない。これは俺ので、あっちは陽さんの」 橋本の下着をきちんと着用し、棚に置いてある手鏡を取りに行った。足の長さが違うせいでバランスをとるのが難しく、トランクスを履くだけで一苦労するとは思わなかった。 手鏡を顔の前に掲げて、ドキドキしながら覗き込む。「陽さんだ、陽さんがいる!」 顔も橋本、唇を動かして声を出しても橋本。大好きな橋本になってしまった嬉しさは、筆舌しがたいものがあるけれど――。 微妙な腰痛と違和感が残る尻について、眉根を寄せつつ昨夜のやり取りを思い出した。 それは行為を終えてシャワーを浴び直し、布団にくるまったときだった。『雅輝、インプのブレーキパッドが減ってることに、気がついていたか?』「むぅ? ちょっとだけブレーキの利きが悪いなとは思っていましたけど、原因はやっぱりそれでしたか」 ついこの間、インプを運転したときに感じたことを思い出しながら、ぽつりと返事をしたタイミングで、頭を殴られた。『異変を感じたらすぐに言えよ、クソガキ! 俺が乗らなかったら危なかったろ』「すみません。ちょっとだけだったので、大丈夫かと思って」『お前の場合は高速走行するんだから、実際はちょっとじゃなかったはずだぞ。クレイジーな雅輝のことだ、そこのところを喜び勇んで曲芸みたいな技を使って、難なくやり過ごしたんだろうが、もっと大事に扱ってくれなきゃ、インプが持たなくなる』 じろりと睨む橋本の視線が突き刺さり、身の置き場がなくなった。両手で布団を引き上げ、目の下ま
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陽さんΣ(oДo;;)3

(陽さんさすがだなぁ。微妙な違和感からインプの異変を感じとれるところを、ぜひとも見習わなくちゃ!)『この間の、潮吹きさせたこともそうだ。俺を感じさせたい気持ちは分からなくもないが、ほどほどにしてくれないと壊れるぞ』「はーい、ごめんなさいです」『最近の雅輝は、手加減をしなさすぎる。この躰と変わってほしいくらいだ』 そんな橋本の望みを聞いた神様か仏様が、宮本と入れ替わりさせた――。のか?「オーマイガー! 南無阿弥陀仏! ごめんなさい、本当にごめんなさいっ! これからは陽さんを大事にしながら、大切に取り扱いいたします、多分……。いや絶対に! だから、もとに戻してくださいましぃ」 持っていた手鏡を戻し、崩れるようにその場にしゃがみ込むなり、あちこちにいるであろう神様仏様に拝み倒した。 すっかり弱りきった顔でトランクス一丁のまま、ぺこぺこ土下座する橋本の姿が格好悪いことを、宮本は知らなかった。「どうした雅輝、大丈夫か?」 騒々しい宮本の声で起きたのか、ベッドで寝ていた橋本が起きあがり、心配そうな眼差しで見下ろしてきた。「あれ?」 聞き覚えのある声に、よろよろと頭を上げてベッドを見たら、何やってんだという表情の橋本がそこにいた。どこからどう見ても、橋本そのものだった。「雅輝、しっかりしろ。具合が悪いのかよ?」 不思議なのはベッドにいる橋本の声と一緒に、天井からも橋本の声が聞こえてくる。「はて?」 両目を擦ってもう一度目を開けたら、見目麗しい橋本のアップが飛び込んできた。しかもベッドの上に横たわった状態でいることに、驚きを隠せない。「お前、相当うなされていたぞ。大丈夫なのか?」 しっとりとしたあたたかい手が、頬を撫でさする。その感触で、これが現実だと思い知った。
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陽さんΣ(oДo;;)4

「陽さん、俺の顔が陽さんになってない?」「寝ぼけてるのかよ、雅輝は雅輝だって」「良かった~。もとに戻ったんだ」 触れられている橋本の手をぎゅっと握りしめながら、思う存分歓喜した。 喜び勇んだ宮本に呆れながら説明を求めた橋本に、夢の中の出来事をぽつりぽつりと話して聞かせる。「俺になった気分は、そんなに最悪だったのかよ?」 喋っているうちに落ち着いた宮本を、布団に入り直した橋本が腕枕をして抱きしめた。密着する素肌から伝わってくる熱が、とても心地よく感じた。「最初は喜んだよ。『わーい、陽さんになっちゃった』っていう調子で小躍りしたあとに、隣で寝てる自分の姿を見て、思いっきりショックだった」「ショック?」「そう。自分相手に、いかがわしいことができないでしょ」「ああ、確かに。ヤル気がみるみるうちにダウンするな」「それとね、陽さんの躰が前夜の行為でボロボロになってるのを、身をもって思い知った」「どんだけボロボロだったんだ、俺の躰……」 見るからにつらそうな表情を浮かべた宮本に、橋本は微苦笑する。「これからは大事にするよ。短期回数勝負にする!」「それってさ結局のところ、今と変わらないんじゃないのか。短くした分だけ、回数をこなそうとするだろ」「するかな?」「するだろ、雅輝だからな」 目尻に皺を作って笑った橋本が、顔を寄せてキスをした。最初は触れるだけだったものが次第に熱を帯びて、深いものに変わっていった。「陽さ……んっ」「俺を心配させたバツ、お前の躰で何とかしろよ」「しゃぶってほしいの?」 腰骨に当たる、形の変わった橋本の大きくなったモノを感じて、 握りしめながら訊ねてみた。「んうっ、それも含めて雅輝に愛されたい」「挿れても大丈夫?」「ほどほどにしてくれたら大丈夫。お前を受け止めるために、それなりに頑丈だからな」 誘い文句を耳元で甘く囁く橋本に、宮本は断る余地はなく――目の前にある躰を押し倒して、いつもより優しく行為に及んだのだった。続く
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雅輝( ゚艸゚;)

非常事態が発生した。「陽さん、ごめん。俺、ダメみたい」「えっ?」 声をかけられる前から、おかしいと感じていた。橋本に跨っていた宮本が力なく躰をズラし、背中を向けて横になる。布団の中で見えないように事後処理をして何の言葉も発することなく、だんまりを決め込む。(ヤバい、どうやって慰めてやったらいいのか分からん。男として、これはかなりヘビーな問題だろ) 宮本が中折れした――理由はさっぱり分からない。(もしかして俺の中がガバガバになったせいで、刺激が足りずに感じられなくなったんじゃ……) 心当たりのある原因を模索してみたものの、自分に非があるようにしか思いつかなかった。昨日までは大丈夫だったのに――。「ま、雅輝。その……、俺が悪かった」「陽さんのせいじゃないんだ。俺が今まで、無神経すぎたのがいけなかったんだよ」「無神経?」 背中を向け続ける宮本に、そっと寄り添ってみる。本当は後ろから抱きしめながら頭を撫でたりして慰めてあげたかったが、宮本の心中を察し、それ以上のことをあえてしなかった。「夢の中で陽さんになってみて、はじめて分かった。あんなに躰に負担がかかっていたなんて、思いもしなかった」「お前それって夢の中の話であって、実際の俺の躰とは違うと思うぞ」「だけどさ、あんなに激しく何度も出し入れしたり、腰に響くほど奥を突いたりしていたら、翌日には絶対に違和感が残ってるでしょ?」 ちょっとだけ振り返った宮本の顔は、どこか泣きだしそうな表情に見えた。「確かに多少は残るけど、慣れちまったのもあるし平気だ」「ごめんね、陽さん」「俺の躰の心配するなら、違和感じゃない方面の心配をしてほしいんだけどな」 思いきって後ろから抱きつき、耳のふちを下からペロリと舐めあげてみる。「ひっ!」「中でも感じはじめた俺を、このまま放置プレイする気なのかよ」「でも……」「つらいときはきちんと言うし、それでもヤろうとするなら最終手段として、蹴っ飛ばしてでも止めさせる手くらいあるんだぞ。お前をねじ伏せるくらい造作のない俺が、そのままでいる理由、分かるだろ?」「…………」「雅輝に愛されたい、俺のすべてを捧げたいんだ」 抱きつく橋本の腕の力を跳ね返し、くるりと振り返ってぎゅっと躰を抱きしめてきた宮本。「陽さん、大好き――」 その後は互いの優しさに酔いしれながら
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雅輝( ゚艸゚;)2

*** 目が覚めて隣を見たら、自分が横たわっていた。口を開けて涎を垂らしながら寝ているアホ面を目の当たりにして、微妙な心境になる。(雅輝だと、こんな寝方をしていても可愛いなで済むのに、自分だと冷めた目でしか見られない……) これは夢の中の出来事――そのことに含み笑いをしつつゆっくり起き上がってから、うーんと伸びをしてみる。 いつも感じる、年齢による躰の重ダルさがまったくなく、むしろ爽快感しかなかった。 宮本としては中折れ後にうまいこと復活し、半日イチャイチャして過ごしたお蔭もあるだろう。夢の中だけどメンタルと躰がばっちりな状態なのを、橋本はしみじみ体感した。意味なく右腕を曲げて、力こぶを作ってみる。「20代のこの躰、そして漲るエネルギッシュな筋肉! ジムに行って汗を流してみたい」 右腕だけじゃ飽き足らず、左腕もぐいっと曲げて力こぶを出してみた。 プロレス系の格闘技にバッチリな体形を羨ましく思いながら、布団をバサッと捲ってみる。橋本自身とは違うモノがぶら下がっている股間を、じーっと眺めてしまった。 最近、コレに感じさせられるようになってからというもの、躰が疼きはじめると、脳裏に映像化した宮本のモノが出てくる。ほしくて堪らなくなるなんて、最初の頃は思ってもいなかった。 だからといって、横たわっている自分を相手にできるわけがないので、残念ながら放尿以外の使い方はできそうにない。 だったら、やることはひとつだった。「雅輝、早く起きろ!」「はい? いきなり何ですかって、うわぁあっ! 俺がいる!!」「入れ替わりを楽しもうぜ。デートに出かけるぞ」 宮本がいつもする親指を立ててニッコリ微笑むポーズをとってみせたら、ショックを受けた顔をした。「自分で自分を見ているのに、ときめいてしまうなんてすっごく気持ち悪い。中身が陽さんだと分かった瞬間からカッコ良さが増すなんて、不思議すぎるんですけど~」 そんな文句を完全無視した橋本は、宮本が着ていた服をさっさと身に着けたのだった。
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チェンジ The デート

(最近、雅輝の服のセンスがだいぶ良くなったと思ったが、やっぱり手をかけなきゃダメか――)「あのさ雅輝、今は俺の姿をしてるんだぞ。それを分かってて、その服を選んだのか?」 お泊り用に置いてあった宮本の服を着終えた橋本が、苦笑いしながら橋本のなりをしている宮本に声をかけた。「はい。いつも陽さんの服装はシックな感じだったから、俺なりに遊び心をちょっとだけ加えてみたんですけど」「そうか……。遊び心をプラスしたことにより、ダメンズさが加算されていると思う」 秋葉原界隈でよく見かけるリュックサックを背負っていたり、ウエストポーチをつけているような方々の服装を感じさせるそれを目の当たりにして、額に手を当てながら首を横に振った。「陽さんなら、どんなものでも着こなせると思っていたんですけど、駄目でしょうか?」 しょんぼりした宮本の顔(正しくは自分の顔)を見て、しまったと思わずにはいられない。「たっ確かに着こなしてはいるが、今日の俺のファッションと合わないと思うんだ。ほぉら、よく見てみろ。これに合うものをセレクトしてほしい」 黒っぽい長袖のTシャツにジーンズ、MA-1を着込んだ自分の姿を見て、むぅと唸ったあとに、橋本がいつも身に着けているような服を選ぶ。「雅輝、やればできるじゃん。惚れ直した」「ほんとに?」「ああ、ほんと。とりあえずいつものファミレスに行って、腹ごしらえしようぜ。運転してくれよな」 着替え終えた宮本に、インプの鍵を投げて渡した。 互いにインプの鍵を持っていたが、一緒に出かけるときはこうして、自分の鍵を宮本に渡していた。 いつものやり取りをすべく、橋本は中身が入れ替わっていることをすっかり忘れて鍵を投げたところ、思った以上に勢いがついたことに、投げてから気がついた。「よっ☆」 それなのに宮本は難なく、それを引っ掴む。常人離れした動体視力のお蔭だった。「悪い。勢いがつきすぎた」「安心してください。陽さんから渡されるものは、どんなものでも受け止めますよ」「雅輝……」 嬉しげにニコニコする自分の顔は見ていて気持ち悪かったが、中身は宮本なんだと言い聞かせて気分を持ち上げつつ、地下駐車場に向かった。
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チェンジ The デート2

(入れ替わった状態を楽しむなら、徹底的にいろいろ試してみたい――) そんな橋本の決意も露知らず、宮本はインプに乗り込みシートベルトを締める。ちょっと遅れて助手席に乗り込んだ橋本が、エンジンをかけたばかりの運転席に身を寄せた。「よ、陽さん?」「……目をつぶれ」 あからさまに狼狽える自分の顔を目の当たりにして、吹き出したくなるのを抑えながら命令してみた。「それってつまり、キスしようとしてます?」「目をつぶっちまえば分からないだろ」「それはそうですけど……。陽さんってば自分の顔を見ながら、よくもそんなことをしようと思えますよね」 俺なら無理だとか、ブツブツ文句を言い続ける宮本の口を塞ぐべく、強引にくちづけた。「んふっ!」 驚く自分の顔を見ないようにするためにぎゅっと目をつぶり、舌を挿入させた。宮本を感じさせようとして、ふと気がつく。 キスしている相手は自分自身――いつものようにしても感じられないことに気がつき、宮本にされて感じる行為を思い出しながら実践してみる。 押しつけている唇をちょっとだけ離し、舌先を使って歯茎を左右になぞった。「んんっ……ぁっ…」 唇の隙間から甘い吐息が漏れる声を聞いて、宮本がしっかり感じているのを確認してから、ふたたび深くくちづける。「ぁ、ん…っも…だめっ!」 宮本がギブアップして、橋本の肩に両手を置いて引き剥がした。「よよっ、陽さんってばあんなに激しいキスして、このまま俺を食べる気ですか?」 潤んだ瞳で抗議する宮本――まるで生娘みたいに顔を赤らめる自分の顔に呆れ果てて、白けた表情を見せつけた。 橋本としては見せつけたつもりだったが、現在は宮本の顔なので正直なところ、げんなりしていることが伝わったかは不明である。
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チェンジ The デート3

「いくら飢えてるからってどんなに頑張っても、自分相手にヤル気は起きねぇよ」「うっ、飢えてるなんて信じられない。昨日あれだけシたのに……」「誰かさんがいいトコロで止めたりするもんだから、途中すげぇ悶々とさせられた」 しれっと中折れしたことをネタにしつつ、アピールするようにその部分に触れてみた。当然ふざけてやっているので、感じることはない。「うわぁ陽さん、さりげなく俺を煽ってるでしょ?」「煽ったところで、何もできないだろ。キスでさえ10秒もたせるのがやっとだったし」 言いながらシートベルトを装着し、困り顔した運転手を肘で突っついた。 微妙な表情を浮かべる自分の顔は、文句が言いたいのか、それとも呆れ果てているのかすら判別できないものだった。 とりあえずマイナスな感情を和ませようと、宮本がよくするニンマリした微笑みを思いきってトライしてみる。「陽さん、変な笑い方して、わざとウケようとしないでくださいよ。俺ってば、いつもそんなアホ面で笑ってるんですか」「俺としてはオーバーに笑ってるだけだから、これよりはマシなんじゃないか?」「マシ……。これよりはマシ、なのか」 更に口元を引きつらせた宮本はギアをいれて、インプを静かに発進させた。 正直その表情もいただけないなと、内心こっそり思った橋本だった。
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チェンジ The デート4

*** ファミレスで頼んだものをそれぞれ平らげ、食後のデザートを待っていた。 いつもなら注文したものを訊ねてから、目の前に置いていくウエイトレスが、週末のお昼時の忙しさらか、それをせずに置いていった。「見た目で判断されると、やっぱこうなるよな」 宮本になってる自分の前には、大きなチョコレートパフェがででんと置かれていた。「陽さんの姿でデザートを食べるのは、大変そうですね」 橋本の姿になってる宮本が、苦笑いしながらエスプレッソが入った小さなカップとチョコレートパフェを入れ替える。「それを食べる俺が、見るからに似合わないからな。しょうがないだろ」 パフェ用の長いスプーンを使って、チョコソースがふんだんに塗されている、甘ったるそうなソフトクリームを掬う自分の姿を目の当たりにし、うへぇという表情を浮かべた。 中身が宮本と分かっているから、何とか直視することができるが、ほっぺが落ちます的な、幸せな感情を露にする自分は正直なところ、似合わないを通り越して、別な人間になっていると思われる。「陽さんが俺の中に入っていると、何ていうか格好良く見えます。表情だけじゃなく、言うことがいちいち格好いいんです」「は? 自画自賛かよ」 にんまりした宮本を見ながら、ずびびとエスプレッソを口にする。 程よい苦みが舌の上に染み込んでいくと共に、鼻腔を通してコーヒーの香りを楽しむことができた。いつもより苦みを堪能することができるのは、宮本の舌だからだろうか。「……美味い」 ぽつりと呟いた橋本の言葉を聞いて、宮本がスプーンを口に咥えたまま、テーブルをバンバン叩いた。小さな子どもがしそうなその態度に、思いっきりドン引きするしかない。「雅輝、店のものを壊すなよ。どうした、そんなに興奮して。あと俺の姿で、変な行動をしないでくれ。二度と店に来られなくなる」 さりげなく注意を促したというのに、宮本は興奮を抑えきれないのか、く~~~っなんていう奇声を発した。
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