LOGIN感じるように自身に触れる行為と、耳を愛撫する宮本に、橋本はなすすべがなかった。躰を震わせながら、抵抗の言葉を発する。「まっ、雅輝っ…そんなに、するなって」「したいよ、もっと感じさせたい。乱れまくる陽さんを見せて」「乱れまくってるとこ、ンンッ、あぁっ恥ずかしぃっ」 なんとか逃げようとした瞬間に、仰向けにされた。すかさず跨った宮本は、橋本の両肩をベッドに押しつける。「恥ずかしがることなんてない。俺だけしか見てないんだし」「だけど……」「これから先も、俺だけしか見ないんだよ。それとも陽さんってば俺に飽きちゃって、他の人とこういうことをしたいわけ?」「それはない」 断言した橋本を見降ろす宮本は、無言のまま左手を優しく掴んで、じっと眺める。大切なものを扱うような所作に、胸がどくんと疼いた。「雅輝?」「ここにお揃いの指輪をつけて、ずっと一緒にいるんだなって考えたら、すごく幸せを感じちゃって」「指輪をつける以前に俺の心は、おまえに縛りつけられてるけどな」 宮本は掴んでいる左手から、橋本の顔に視線を移した。注がれる視線から真実を見極めようとしているのを感じて、口にせずにはいられない。「雅輝、おまえ以外欲しくない。俺と結婚するのはおまえだけだ」「あ~っ、俺が言おうとしたセリフを、陽さんに言われた!!」「今くらい、年上の俺に花を持たせろよ。いいだろ?」 瞳を細めてにっこり微笑んだ橋本に引き寄せられるように、宮本は顔を寄せた。「その代わり、エッチなことをするときは、俺が優位に立たせてもらいますよ?」「いっつも優位に立ってるだろ。俺が嫌がってるのを知りながら、いろんなことをしやがって」「俺としては、嫌がることをしてるつもりはありません。だって愛してるから」 クスクス笑いながら、熱い口づけを交わしたふたり。このあと、一緒に指輪を買いに行く約束をしたのだった。
宮本と視線が絡まった瞬間、さらに頬の熱を感じて、思わず顔を俯かせる。「いつもの男前の陽さんもいいけど、照れてる陽さんも大好きです」「……てっきり、可愛いって言うのかと思った」 上目遣いで宮本を見つめると、目の前にある唇がにゅっと尖がった。明らかに宮本の機嫌が悪くなったことについて、ヤバいと思ったもののすでに遅し。「俺が可愛いを言わずに、自分の気持ちを告げたことを、陽さんに褒めてほしかったのに」 不機嫌にさせるつもりがなかったため、橋本は変な焦りを感じてしまった。額に、変な汗がじわりと滲んでくるのを感じる。俯いているため、それが流れ落ちてくるんじゃないかと、無駄な心配をした。「だってこんなふうに、好き好き言われ慣れてないから、困ってるっていうか」「だったら――」 宮本は言いながら、俯いた橋本の顔に両手を添える。鼻先まで顔を寄せて、にっこり微笑んだ。「陽さんも好きって言えばいいだけですよ、言ってください」「えっ、す、す…す、好きぃ?」 ひっくり返ってしまった橋本の声。そんな言葉を聞いているのに、宮本は目尻を下げて、あからさまに喜ぶ。「陽さん、もっと言ってください『雅輝が好きだ』って」「さっき言ったろ……」「言われ慣れる前に、陽さんが言い慣れてください。そしたらきっと俺が言っても、そこまで照れたりしないと思いますよ」 説得力がありそうで実際はどうなのかわからないものの、言わないと先に進まないことが容易に想像ついたので、意を決して口にしてみる。「……雅輝が好き」「俺も陽さんが大好きです!」「俺のほうが雅輝が好きだ」 告白することに神経を集中していたため、思いっきり無防備になっていた。宮本はそのタイミングを計ったかのように、ふたたび橋本自身に触れる。「んっ、ああっ!」「まだまだ足りない。もっと言ってください」 橋本の耳元で告げるなり、かぷっと耳朶を甘噛みする。唇を使って柔らかく噛む行為に、次第に息があがっていった。「そ、そんなこ、と、された、んじゃ、言えねぇ、って」
「なんですか、それ」「なんですかって、そんなことばかり言ったら、ウザすぎると思われても嫌だし、さ」 どうにも堪らなくなって、視線を彷徨うように動かすと、はーっという大きなため息をつかれてしまった。「俺が陽さんのこと、可愛いって言うじゃないですか」「ああ……」 しょっちゅう言われてるので、なんだかなぁと思っていた。「本当は好きって言いたいんです」「ぶっ!」「でも好き好き言いすぎて嫌われたら困るなぁと思って、可愛いに変換してました」 宮本は瞳をくちゃっと細めるなり、縮まっていた距離を埋めるように、橋本の躰に抱きつく。じわりと伝わってくる体温に、橋本は心の底からほっとした。「陽さん、大好きです!」「わかってるって。おまえの気持ちは、ケツに当たるブツと同じだって、言いたいんだろ?」 なんのタイミングで大きくなったのかわからない、宮本自身に困惑しながら、息つぎもままならない状態で告げるしかなく――。「陽さんだって、ほら……。俺と同じになってるじゃないですか」 あっと思ったときには、隠す間もなく触れられてしまった。「陽さんの、しゃぶって可愛がってもいい?」「だっ、ダメだ。おまえのフェラで、すぐにイっちゃうかもしれないから」「我慢せずに、イけばいいのに」 言いながら相変わらずお触りを続ける宮本の両手を掴み、なんとか動きを封じることに成功した。「雅輝と……、一緒にイきたい」「陽さん?」 掴んでいる自身の手に力が入り、宮本の手ごとカタチが変わってしまったモノに触れているため、いやおうなしに快感が駆け巡ってしまう。「大好きなおまえと一緒に感じて、愛されながら一緒にイきたいんだっ」 告げたことや躰の事情が恥ずかしすぎて、顔から火が出そうだった橋本。真後ろで宮本が嬉しそうに、くすくす笑う。「んもぅ、陽さんってば卑猥!」「ど、どこがだよ?」「だって陽さんの中を、俺のが出たり挿いったりして、散々感じさせるってことでしょ?」「うっ。ま、まあな」「卑猥だけど、一緒に感じられるのってやっぱり、愛し合ってるなぁって思えるよね。陽さん、こっちを向いて」 宮本の両手を拘束していた自分の手の力を抜き、モゾモゾしながら寝がりして対面する。
「おまえさ……」「はい?」「いや、いい」「言いかけてやめないでくださいよ、気になります!」 瞬時に今後の展開を悟り、言葉を飲み込んだというのに、宮本は橋本の耳元で騒ぎたてた。「陽さん、そうやってわざと意地悪して、俺の気を惹こうとしてますよね?」 橋本を見つめる宮本の視線は、言わないと何かするぞという、脅しのようなものを感じさせる。「別に意地悪じゃねぇよ」「だって好きな人の言葉は、どんなものでも気になるのに。俺が同じことをしたら、知りたくて堪らないでしょう?」「どうだろうな」 言いながら視線を逸らして宮本から逃げると、わざわざ耳元に顔を寄せてきた。「もういいです。意地悪な陽さんなんて知らない!」 宮本は大声で叫ぶなり、握りしめていた橋本の手を放り投げ、ぷいっと背中を向ける。 そこまで怒ってる感じは伝わってこなかったものの、直前までイチャイチャしていたので、余計に寂しくなった。「雅輝……」 逸らしていた視線をもとに戻すと、大きな背中が目に留まる。その肌には自分がつけたらしい、爪痕がくっきり残っていた。散々感じさせらて、しがみつくように宮本に抱きついた記憶がある。「…………」 宮本を傷つけないようにすべく、きちんと爪を短く切ったはずなのに、残ってしまったひっかき傷は、橋本の中にある黒い部分を引き出すものになった。「今の愚痴、江藤ちんに報告するんだろ?」 恋人を傷つけたくないのに、言いたくないことをわざわざ告げてしまう、自分の不器用さに、イライラが増していく。「どうでしょうね」 橋本の言葉を真似したのか、同じ対応をされてしまった。「あのさ、俺……」「――なんですか?」「ふざけていないと、つい口走りそうになってさ」 渋々橋本が話しかけたら、ちょっとだけ顔を向けた宮本。見つめられるその視線に耐えられなくて、まぶたを伏せながら言の葉を紡ぐ。「雅輝が好きだって言いそうになるんだ。その……変なタイミングで気持ちが込み上げるってゆーか、脈略もなく言いたくなるときがあって、すげぇ困ってる」 橋本は一気に言い終えたあとに、ぶわっと頬が熱くなるのを感じた。
「陽さん、はじめてですよ。こんなにイったの」「はじめて?」「すごくないですか、これ」 ニコニコ微笑まれながら、目の前に差し出されたものは、宮本自身につけていたゴムだったのだが――。「……ずっと、イってるなとは思っていたが。その量、半端ねぇな」「陽さんにたいする、愛情も含まれているせいですけどね」「あ~はいはい……」 いつものようなやり取りに橋本は照れて、ぱっと視線を逸らしながら、自身の汚れを手早く拭っていった。 宮本は手にしたゴムを捨てて、橋本の傍に寝転んぶ。「ねぇ陽さん」「あのさ、雅輝」 妙な間のあと、同じタイミングで話しかけたふたり。互いの顔を見合わせながら、唇を動かそうとしたのに、そのタイミングも同じで、あまりの仲の良さに吹き出した。「やべぇな、俺たち」「まるで、鏡合わせみたいでしたね」 クスクス笑いつつ額をくっつけて、どちらからともなく手を握る。「雅輝と同じことを考えてるって自信、俺にあるんだけど」「俺も。だから一緒に、せーので言ってみません?」 宮本が触れるだけのキスを橋本にしてから、ふたたび見つめ合う。「わかった。せーの!」「「指輪っ!」」 部屋に響いたふたりの短い言葉は一瞬でなくなったのに、不思議と耳の奥に残った。「俺としてはモテモテの雅輝に、付き合ってる相手がいることを知らしめるべく、指輪をしてやりたいんだけどさ」 橋本は繋いでいた手を目の前にかざし、宮本の左手の薬指に反対の手ですりすり触れた。その感触がちょっとだけくすぐったくて、宮本は笑いをかみ殺しながら口を開く。「俺だって陽さんが他の人に目がいかないように、指輪をしてほしかったりするんですけど」「いかねぇよ、そんなの」「今日行ったレストランでも、会計のときフロアを歩いたら、女性だけで食事していたグループに、熱視線を飛ばされていましたけど!」「それはおまえにだろ」「違いますって。俺があげたネクタイピンがキラッキラ輝いていて、陽さんの男前度があがったせいです」 異様に自分を持ち上げる宮本に、橋本は辟易した。「雅輝、今日はやたらと俺を持ち上げてるけど、何か思うことでもあるのか?」「ないですけど。ん~やっぱり、俺の家族に陽さんが認められたのが嬉しかったからかなぁ」 言いながらくすぐったい原因の橋本の手を取り、同じように薬指に触れてから、宮本
☆ ⌒Y⌒Y⌒Y⌒ ベッドの上で仰向けになっている橋本は、喘ぐ呼吸もままならない状態だったが、懇願せずにはいられなかった。抵抗すると、それ以上に責められることがわかっているので、シーツを握りしめて我慢する。「ううっ、頼むから雅輝、恭介にメッセする気力っ…くらいは残してくれ、よっ」 橋本の自宅に到着後はじまった行為は、いつも以上にネチネチしたもので――。「だって陽さんがカッコいいせいで、俺の性欲が高まりつづけて止まらないんです」「勝手に高まるな! しかもっ、俺の躰がおかしくなるような責め方をするなって」「でも気持ちいいんですよね? さっきから中がヒクヒクして、俺のを気持ちよくしてます」 あきらかにつらそうな顔の橋本を見ながら、宮本は腰をゆっくり前後に動かしつ、意味深な笑みを唇に湛えた。「それはおまえが狙い撃ちするからだろ、変になるっ、ンンっ」「だって陽さんが気持ちいいと、俺も同じ気持ちになるし。もっと変になって」 橋本の両膝を易々と持ちあげるなり、そこを狙ってぐいぐい突っついた。「やめっ、そこばか、りっ」 下半身を捻って宮本の動きをやり過ごそうとした橋本に、自身の肩に橋本の片膝をのせて腰をぐいっと奥に進めた。もう片方の足はベッドに戻すと、フリーになった手で胸の頂きを摘む。「ぅ、んっ!」 ぴくんと跳ねる橋本の躰に連動するように、宮本も上半身を震わせた。「ヤバい、自分で自分の首を絞めてるのがわかるのに、陽さんをどんどん追い詰めちゃう」「おいつ、める、なっ」「追い詰める、よっ、一緒にイこう?」 我慢できなくなったのか、もう片方の宮本の手が橋本自身を激しく扱きはじめた。「あぅっ、あ、ぁあっ…もぅダメっ、イ、くぅぅっ」 快感に身を任せた橋本が宣言通りにイくと、宮本も後を追うように中で爆ぜた。「ま、雅輝っ…あっん…」 達したばかりだというのに、宮本自身から注がれる熱が直に伝わり、妙な高揚感を与える。「おまっ…いつま、でイってる、んだっ」 ドクンドクンと脈を打つようにいつまでも注入されるせいで、どうしていいか全然わからない。先にイってる関係で、先に橋本の躰が冷静になりかけていた。
*** 大好きな笹良の苛立っている感じが、端的に交わされる会話が進むごとに伝わってきたからこそ、俺なりに気を遣って場を和ませようとした。自分の素直な気持ちのすべてを吐露した俺を心配して、手首を掴んだ笹良の行為が嬉しかった。 触れられたところから伝わる笹良の熱で、どうにかなりそうだったのに、ほどなくしてあっけなく外されてしまった手首を、意気消沈しながら掴む。そこから感じとれるものは、もちろんなにもなく――。「笹良……」 勝手にしろと捨て台詞を吐かれながら顔を背けられた時点で、目の前が真っ暗になる。 もうひとりの俺が慌てふためきながら笹良の背中に指をさし、「追いかけて謝り倒せ!」と喚い
注がれるまなざしから逃れようとして、視線を逸らすのが精一杯だった。「あっ、あれは加賀谷が、変なことをするせいだって。俺としては、好きで出したんじゃない」「変なことじゃない。好きだからしただけだ」「男相手に何やってるんだよ。バカだろ」「バカでいい。俺は誰かさんみたいに、気持ちを誤魔化したりしない」(俺は気持ちを誤魔化してなんていない。ただ憧れてるだけ。それなのに――) 視線を彷徨わせながら、だんまりを決めこむ。Tシャツを掴む胸元から、激しい鼓動が伝わってきた。「気持ちは誤魔化せても、躰は誤魔化しきれないよな」 小さく笑った加賀谷が、俺の下半身に自分の下半身を押しつけてきた。そ
情けなさを晒したくはなかったが、震える躰を両手で抱きしめながら、その場にしゃがみ込んだ。「笹良の気持ちを考えずに、怖がらせて悪かった。答えが見つからないせいで、どうしていいかわからなくて焦っちゃって」「必死になるのも分かるけど、その……。加賀谷が導き出したそれを俺がしたら、勃つモノが勃たなくなるのか?」 たどたどしさを表す俺の問いかけに、突っ立ったままでいる加賀谷の表情がみるみるうちに曇った。「加賀谷、おまえその顔」「可能性の問題だ。実際にやってみないとわからない」「やるって、何をするんだ?」「それをするのに原因が知りたい。いつからシュートを外しはじめた?」 心の奥底に封印
微妙な心境を抱えながら隣を見たら、うんざりする表情をありありと浮かべていた。「試合なんてものは、出たいヤツが出ればいいんだって。面倒くさいし」 一言目はダルい。二言目には面倒くさいと文句を言う。みんなが羨む才能を、どうしてコイツは有効活用しないのだろうか。「面倒くさい言うな。もったいない!」「俺が出ないことで、出られないヤツがスタメン入りするんだから、それでいいんじゃねぇの」「なんだよ、それ。そんな優しさ、俺なら必要ない」「……スタメン入りして、試合に出たくないのか?」 遠慮がちな声が、俺をさらに苛つかせる。 ただでさえイライラさせられているというのに、図々しい態度を平然と







