さらなる協力関係が築けると思っていた矢先、紗枝は先ほど、ノヴァが担当者を交代させたことを知らされた。麻衣は唇を噛み、目に涙を浮かべ、まるでいじめに遭っているかのような弱々しい姿を見せている。直輝は胸を締め付けられる思いに駆られ、足早に歩み寄った。「佐藤さん、女同士でそこまでいじめなくてもいいじゃありませんか。これは紬さんが自ら署名した辞退および権利譲渡書です」直輝は麻衣を背後に庇うように立ち、協議書を差し出して見せた。紗枝は譲渡書を読み進めるにつれ、顔色が次第に沈んでいった。「……交通事故が原因だというのなら、確かに惜しいわね。ですが、紬さんは本当に、もう筆を執ることもできないのですか?」先日、上層部からの指示で試合が延期された際、紗枝は烏羽の配信を見ていた。紬の手には確かに包帯が巻かれていた。惜しい――紬は、今回のコンペとは縁がなかったのかもしれない。直輝もまた、惜しむような表情を浮かべた。「ええ、手の傷がかなりひどいようでしてね。僕もずっと、しっかり休養するよう説得していたんです。今回、紬さんがA国へ行ったのも、仕事のほかに専門医に診てもらうためでもあるんですよ」紗枝は静かに頷いた。「分かりました。では、ご武運を。紬さんによろしくお伝えください」「もちろんです」直輝の瞳に、計画通り事が運んだことへの狡猾な光が一瞬よぎった。――紬が直輝に電話をかけた時、試合はすでに正式に開始されていた。「直輝さん。これほど手間をかけて私を追い出したのは、大塚さんをコンペに出場させるためだったのですね?」「紬さん、そんな言い方をされると心外だな。A国でのあんな絶好の機会を、他の誰でもなく紬さんに与えたのは、君を信頼し、君のためを思ってのことだよ。会社の問題は急を要したし、紬さんも急いで出発したから説明が足りなかった。誤解するのも無理はないがね」直輝は煙草を指に挟み、悪びれる様子もなく答えた。紬は鼻で笑った。「では、神谷商事のコンペはどうなのですか?私の知る限り、私が出発する前にはすでに会社に通知が届いていたはずですが、なぜ教えてくださらなかったのですか?」「ああ、それは紬さんが仕事に集中できていないようだったから、ゆっくり休ませてあげようと思って伏せておいたんだよ。それに、その後も君
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