Semua Bab 罪状『無知』: Bab 11 - Bab 20

29 Bab

秘密の友達2

「兄ちゃんだけスマホ買ってもらったの、ずるくね?」「はぁ? なにそれずるーい」 男子達がまたスマホの話をしている。歳の近い兄弟だけ買ってもらってずるいという話は、毎日のように出てくる。(ゆうは持ってるよ。ゆうだけがクラスの中で持ってるの。羨ましいでしょ) 言いたいけど、ぐっとこらえた。 帰宅してスマホを見ると、聖愛からLINEが来ていた。『学校お疲れ様。どうだった?』『楽しかったよ。皆スマホ持ってないんだって』『優子ちゃんが1番乗りだね。通話できる?』『うん、できるよ』 LINE通話が聖愛からかかってくる。すぐに出て耳に押し当てる。「もしもし、優子ちゃん。今どこにいるの?」「おうちのお部屋だよ」「そっか。ママにバレない?」「ママ、今お買い物してるから大丈夫」「よかったよかった。スマホで分からないことない?」「うん、パパに教えてもらったから、大丈夫」「そっか、よかったね。ねぇ、お願いがあるんだけど、いいかな?」「なぁに?」「明日、一緒にお買い物してほしいの」 それは優子にとって嬉しいお願いだった。大人の友達と買い物なんて、楽しいに決まっている。それも、聖愛となら。ただひとつ、問題があった。「行きたいけど、ママが……」「お友達と宿題するって言えばいいよ。お買い物終わったら、宿題見てあげるから。ちょっとお菓子とか食べたいからお小遣いちょうだいって言えば、きっとくれるよ」「うん、言ってみる」「決まりね。明日、学校に迎えに行くから」「楽しみにしてるね」「うん、またね」 通話が終わると、優子はスマホを充電器に戻し、宿題を始めた。水樹にお願い事をするなら、宿題を先に済ませておいたほうが叶えてくれる確率があがるからだ。 優子が宿題を終わらせてすぐ、水樹が帰ってくる。「おかえりなさい、ママ」「ただいま、優子。今日はプリン買ってきたから、夕飯の後に食べようね」「うん、大好き!」 抱きつくと、水樹は抱き返してくれる。「あのね、ママ。お願いがあるの」「なぁに?」「明日ね、お友達と一緒に宿題するって約束したんだ。お菓子食べながらしようってことになったの。だから、お小遣いちょうだい」「いいよ。冷蔵庫に色々仕舞ってからね」 水樹は冷蔵庫に買ってきた食料品を入れると、財布を出して300円を優子に渡した。「お菓子なら、これ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-11
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お買い物

 放課後、優子が校門で待っていると、ピンク色の可愛らしい軽自動車が停まった。聖愛は車から出てくると、手招きをする。「優子ちゃん、こっち」「うん!」 駆け寄ると、聖愛は助手席に優子を座らせ、ランドセルを後部座席に置いた。「今日はありがとね」「ううん。どこに行くの?」「デパートだよ。今度、優子ちゃんのおうちにお邪魔するんだけど、優子ちゃんのママになにかあげたくて。一緒に選んでくれる?」「うん、いいよ」「ありがとう。とっても助かる」 デパートにつくと、聖愛はカジュアルなデザインの商品を取り扱っている雑貨屋に足を踏み入れる。「お皿プレゼントしたいんだけど、どれがいいかな?」「うーん、ママはね、落ち着いた色が好きって言ってた。紺色とか、水色とか」「いいわね。これとかどう?」 聖愛は水色の食器セットを手に取り、優子に見やすいように身をかがめる。「わぁ、可愛い! きっと喜ぶよ」「じゃあ、これにしようかなぁ。他にママが欲しがってるものとかある?」「えー、なんかあったかなぁ……」 店内を見回すと、スリッパに目が行く。「あ、そうだ。ママのスリッパ、昨日だめになっちゃったの。後で買いに行くって言ってたよ」「じゃあ、スリッパ買おうかな。食器は水色だったから、紺色のスリッパでいいかな」「うん、きっと喜ぶよ」「決まりね」 聖愛は食器セットとスリッパをレジに持っていく。優子は店内を見て回りながら会計が終わるのを待つ。「お待たせ。ここ、美味しいカフェがあるの。そこで宿題しよっか」「うん」 聖愛の案内でカフェに行く。白と黄緑を基調とした可愛らしくも落ち着きがあるカフェだ。「ごちそうするから、好きなものなんでも頼んで」「ありがとう」 メニューを開くと、美味しそうなケーキやパフェの写真があって、目を引く。「わぁ、このパフェ美味しそう」「でも、パフェ食べたら夕飯食べれなくなって、怪しまれちゃうよ? 食べたいのは分かるけど、小さめのにしよう。ほら、マカロンとかどう?」 聖愛が指さしたのは、3種類のマカロンセットだ。ショコラ、ヴァニーユ、フランボワーズの3種類で、とても可愛らしい。「マカロン? 食べたことない。どんなお菓子なの?」「優子ちゃん、マカロン食べたことないの? 可哀想……」 聖愛は口元をおさえ、憐れむような目で優子を見つめる。優子
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-11
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愛の証

「なんで?」「だって、300円じゃ大して買い物できないよ? 昔はそれで充分だったけど、今は板チョコが200円もするんだもの。宿題頑張るって言ってる優子ちゃんに、それしか渡さないなんて、おかしいよ」「そうかなぁ……」「そうだよ。私だったら、1000円はあげるかなぁ」「1000円……」 優子にとっては大金だ。千円札なんて、お年玉でしかもらったことがない。「ねぇ、毎月お小遣いいくらなの?」「500円だよ」「えぇ、少ないね。何も買えないじゃない。私だったら、5000円は渡すのになぁ」 聖愛が同情しながら言ったタイミングで、注文したものが運ばれてきた。「愛情たっぷりマカロン、召し上がれ」「いただきます」 フランボワーズのマカロンを手に取り、ひと口かじる。ほのかな酸味と甘さ。そしてクリームの滑らかな舌触りとサクッとした食感。優子にとって未知の味だった。「美味しい?」「うん、美味しい!」「よかった。これあげる」 聖愛は優子の小皿にフランボワーズのマカロンを置いてくれた。「ありがとう、聖愛さん」「いいのよ。さ、宿題やっちゃいましょ」「うん」 聖愛に教わりながら、掛け算の宿題を片付けていく。聖愛の教え方は丁寧で分かりやすく、どの問題もスラスラ解けていった。「お疲れ様。帰ろっか」「うん!」「そうだ、これあげる」 聖愛はポケットからうさぎのマスコットを出し、優子に差し出した。「可愛い!」「ふふ、おそろい」 聖愛はもうひとつ、同じマスコットを出して見せた。「友達の印だよ」「嬉しい。ありがとう」「どういたしまして。喜んでくれて嬉しいよ」 ふたりは荷物を片付けると、聖愛の車に乗る。聖愛は自宅付近で停車すると、優子に向き直った。「おうちまで送りたいけど、優子ちゃんはお友達と宿題してることになってるからね。ここで降りてくれる?」「うん。ありがとう。バイバイ」「うん、バイバイ」 手を振り、車から降りると、家に向かって歩き出す。「えへへ」 思い出し笑いをしながらポケットに触る。中にはおそろいのマスコットが入っている。「ただいまー」「どこ行ってたの!」 玄関を開けると同時に、水樹の怒声が響く。「皆心配したんだからね!」「え? え?」 何故怒られているのか分からず、困惑する。水樹の後ろには、使用人のひとりが立っていた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-11
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侵蝕1

「離してよ!」「今なんて言った!? 300円じゃ何も買えない? ふざけるんじゃない! これはパパが頑張って稼いだお金なの。お金のありがたみが分からないの!?」「聖愛さんが言ってたよ。300円じゃ何も買えないって!」 玄関が開き、恭介と聖愛が入ってくる。「あなた……! 今はお客さんを呼んでる場合じゃないの」「奥様、申し訳ありません。私が優子ちゃんを連れ回しました」 聖愛が深々と頭を下げる。「あなた誰? どういうこと?」「この人は俺の秘書の安藤聖愛さんだ。玄関でってのもなんだし、向こうで話そう。君、お茶を頼めるかい?」「はい、旦那様」 使用人は一礼すると、キッチンに向かった。水樹も使用人と一緒に行く。「パパぁ……」 優子は泣きじゃくり、恭介の足にしがみつく。「大丈夫か? 優子。あれ、顔が腫れてるな」「ママがぶった……」「なんだって!?」「ひどい、優子ちゃんが可哀想」 3人は靴を脱いで家に上がる。恭介は優子を抱き上げ、大股でリビングに行くと、優子をおろして水樹の髪を掴んだ。「痛い!」「お前、優子を殴ったのか!? なんてことをしたんだ! 虐待だぞ!」「しつけの範囲よ。いつも家にいないくせに、こういう時だけ騒がないで!」「うぅ、ひっく……。うわあぁんっ!」 痛みと恐怖で、涙がとめどなく溢れてくる。「優子ちゃん、大丈夫だからね」 聖愛が優子を抱きしめると、水樹は聖愛を睨みつける。「私の子に触らないで!」「お前に母親を名乗る資格はない」「なんですって!?」「やめてください! 私が悪いんです!」 聖愛は間に入ると、水樹の髪を掴んでいる恭介の手を握る。「この手を離してください。奥様は、優子ちゃんの心配をしてたんです」「お前は優しいな」 恭介は聖愛に微笑みかけながら手を離すと、水樹を睨みつけた。「お前に見習ってほしいモンだ。優子を可愛がってくれてる」「あなた、なんなのよ……」「私は秘書です。この前、社長と外回りをしてる時に優子ちゃんと会って、それからは優子ちゃんと仲良くさせていただいて……」「なんでうちの娘を連れ回したの!?」「申し訳ありません。来週、お伺いする予定だったのですが、その時に奥様にお渡しするプレゼントを、優子ちゃんに選んでもらっていたんです。今は昔よりも防犯などにうるさいことを失念してしまって……
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-11
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侵蝕2

 荷物をまとめた優子は、聖愛に手を引かれ、玄関へ向かう。「待って、優子!」「いや!」 水樹に腕を掴まれそうになり、優子は聖愛の後ろに隠れる。「ママなんかだいっきらい!」「優子……!」「奥様、今日は諦めてください。私が説得しておきますから。行こう、優子ちゃん」 聖愛に腕を引かれ、優子は家を出た。玄関のすぐ近くには、聖愛の軽自動車が停まっており、後部座席に恭介が座っていた。「優子ちゃん、私の隣とパパの隣、どっちがいい?」「今は聖愛さんの隣がいい」「ふふ、じゃあ助手席に座って」 聖愛は助手席のドアを開けると、優子に座るよう促した。「聖愛、ホテルを予約した。住所は送ってある」「はい、あなた」 聖愛は後部座席の恭介に微笑みかけると、スマホで地図アプリを開いてから車を走らせた。 約10分のドライブで着いたのは、都内のプリンスホテル。きらびやかな内装に、優子ははしゃいだ。「わぁ、どこもピカピカだぁ!」「優子、他のお客さんの迷惑になるから、静かにな」「はーい」 恭介が優子を抱き上げてあやしている間に、聖愛がフロントで手続きをする。「お待たせ。行きましょう。優子ちゃん、今からすっごいお部屋に行くよ」 聖愛は鍵を片手に戻ってくると、優子と目を合わせ、楽しそうに言う。「どんなお部屋?」「ついてからのお楽しみ」 3人は優子を真ん中にして手を繋ぎ、エレベーターに乗る。最上階に着くと、聖愛の案内で部屋に行く。「ここよ、お姫様」 聖愛がドアを開けると、絢爛豪華で広々とした部屋が視界に飛び込んでくる。テレビもソファも大きいくて、豪邸のようだ。月野家の家も豪華だが、ホテルのスイートルームほどではない。照明は暖色系で、木目調の家具が多く、高級感がありながらも、モダンな部屋だ。「すごいお部屋!」「今日はここに泊まろうね」「明日は一緒にいよう。学校はお休みだ」「いいの!? パパも聖愛さんも大好き!」 優子がふたりに抱きつくと、ふたりは嬉しそうに顔を見合わせる。「優子ちゃん、向こうにベッドがあるのよ」 聖愛がドアを開けると、大きなベッドがふたつ並んでいる。優子の部屋にある、子供用のベッドとは大違いだ。「今日はパパと一緒に寝るか」「うん!」「優子ちゃん、このお部屋にはおっきいお風呂がついてるの。一緒に入らない?」「うん、入りたい」「
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-12
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知らなくていいこと

「やっと寝たわね」「やっと? すぐに効いただろ」「私は1秒でもはやく、あなたと愛し合いたいの」「可愛いヤツめ。俺も風呂に入るから、待ってろ。ただし、裸でな」 恭介は聖愛のバスローブを脱がせると、腰紐で腕を後ろ手に縛った。「やんっ♡もう、ドSなんだから」「好きなくせに」 恭介は聖愛の頬にキスをすると、浴室に向かう。残された聖愛は隣のベッドで寝息を立てている優子を見て笑う。「これからも利用させてもらうわね、可愛いお馬鹿さん。一緒にアンタのママを地獄に突き落とすのよ」睡眠薬を盛られて眠っている優子は、気付きもしない。聖母のフリをした悪魔の声にも、父の不貞行為にも。そして、自分が母親を傷つけていることも。「いい子にしてたか?」 戻ってきた恭介は、聖愛の大きくて形の良い乳房を揉み上げる。「あぁんっ♡」「おい、声がでかいぞ」 顔をしかめる恭介に、聖愛はいたずらっぽく笑う。「あら、いいじゃない。多めに睡眠薬を飲ませたんだから。それに、子供って1度寝ると、なかなか起きないものよ。今日は特に、感情がジェットコースターで疲れてるから、問題ないでしょ」「それもそうだな」 ふたりは醜く笑い合うと、何度も肌を重ねた。その行為は激しくも下品で、窓際やテーブルの上。洗面台に浴室。挙句の果てには、優子の上でも行われていた。「あぁんっ♡もう、こんなにナカに出して……。見て、抜いた時に、優子ちゃんの顔にかかっちゃった」「かまうもんか」 ふたりは夜更けを過ぎても、行為を続けた……。 優子が目を覚ましたのは、翌日の昼過ぎのこと。起きてまず気づいたのは、嗅いだことのない妙なにおい。どことなく生臭く、大人びたにおい。「おはよ、優子ちゃん。もうお昼だけど」「おはよう、聖愛さん」 心做しか、聖愛が昨日よりも綺麗に見える。においのことを聞きたかったが、何故か聞いてはいけない気がして、何も言えなかった。「優子ちゃん、今日は3人でお買い物しましょうね」「うん!」 浴室から恭介が出てくる。彼もいつもと雰囲気が違ったが、起きている優子に気づくと、パパの顔に戻る。「起きたか。優子、すぐに着替えて。今日はたくさんお買い物したり、遊んだりするからな」「はーい」「私達は向こうでお茶を飲んで待ってるから、ゆっくり着替えてね」 ふたりは優子をベッドルームに残し、隣の部屋に
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-14
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眈々と、淡々と

優子が恭介達と出ていった後、水樹はしばらく呆然としていた。愛する我が子を叩いてしまったこともそうだが、知らないとはいえ、娘が不倫相手を選んだのがショックだった。「優子……」 視界の隅に、見慣れないものをとらえる。先程贈られたプレゼントだ。「あの女、馬鹿にしてる」 水樹は贈り物がなんなのか、まだ知らない。けど、払い除けた時、割れる音がした。割れ物をプレゼントにするのはマナー違反だ。関係が壊れる、別れることを連想させるため、贈ってはいけない。特に、パートナーがいる相手には。 それを知らずに贈る人がいるが、聖愛は確実に分かっていた。手渡す時に、見下すような、勝ち誇ったような顔をしていたのだから。それに、人の夫を奪うような最低女でも、大手企業社長の秘書だ。知らないわけがない。「はぁ、片付けなきゃ」 分別するために開けると、ラッピングされた箱とピンクのギフトバッグが入っている。きっと箱が割れ物なのだろう。「なんだろ、これ」 ギフトバッグを開けると、水色のスリッパが入っていた。水樹は怒りのあまり、スリッパを床に叩きつける。「どこまで馬鹿にすれば気が済むのよ、あの女狐!」 スリッパも贈り物としてはNGだ。靴下、スリッパ、靴などの履物は、相手を踏みつける、下に見ているという意味があるから、贈ってはいけない。 月野家ほどではないが、水樹も富裕層出身だ。そういったマナーは幼い頃から叩き込まれた。特に、恭介との結婚が決まってからは。「奥様……」 使用人の遠慮がちな声を聞いて我に返ると、水樹は笑顔を作り、使用人を見上げる。「取り乱してごめんなさいね。もう大丈夫。悪いけどこれ、捨ててくれる? こっちの箱は割れ物みたいだから、箱ごと捨てて」「はい、奥様」 使用人は床に転がっている贈り物達を拾うと、水樹に一礼して捨てに行った。「準備しないと……」 水樹はどこかに電話をかける。短い会話を終わらせると、立ち上がり、背筋を伸ばす。「えりちゃん、みかちゃん、みなちゃん、お仕事しましょ」「はい、社長」 3人の使用人は生き生きとした表情で返事をすると、水樹と一緒にある部屋に入っていく。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-15
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夢のような時間

優子は恭介と聖愛に連れられ、ショッピングモールへ足を運ぶ。子供服の店に行くと、聖愛は優子と一緒に服を選ぶ。「どれがいい?」「うーん、どうしよ……。これも、これも可愛い」「迷うなら、全部買ってあげる。今着たいものだけ決めて、欲しいと思ったものは、全部買い物かごに入れるといい」恭介は買い物かごを差し出し、微笑みかける。恭介の提案に、優子は天にも昇るような気持ちだった。「いいの!? ママはいっつもひとつかふたつしか買ってくれないよ」優子の言葉に恭介は顔をしかめ、聖愛は寂しそうな顔をする。「ママには、毎月充分お金を渡してるんだけどな……。優子の服を買うって聞いた時は、毎回別にお金を出してるし……」「優子ちゃん、可哀想……。きっと自分のものにして、こっそり贅沢してるのよ。酷いママね」ふたりの言葉に、怒りが沸々と沸き上がる。お小遣いも少なければ、買って欲しい服もまともに買ってもらえない。それなのに、ママは贅沢をしてるなんて、許せない。「ママサイテー」「本当にね……」「優子、ごめんな。パパ、気づかなくて……。ママにはキツく言っておくから」 恭介は申し訳無さそうに優子の頭を撫でる。優子は大好きなパパにそんな顔をさせるママが、許せなかった。「さ、暗い話はここまでにして、服を買おう」「うん!」 楽しいショッピングが始まった。聖愛は優子が選ぶものすべてを、可愛い、似合うと言ってくれたし、恭介は嫌な顔ひとつせず、全部買ってくれた。色違いで迷っていたら両方買ってくれるし、水樹が絶対に買ってくれないようなアクセサリーも買ってくれる。 お姫様になったような気がして、気分がいい。「えへへ、似合う?」 優子はピンク色のワンピースにピンク色のネックレス、イヤリング、指輪を身に着けていた。「うん、似合うよ」「優子はパパのお姫様だ」 恭介に抱き上げられ、聖愛に頭を撫でられ、有頂天になっていた。短い人生の中で、今が1番楽しい。「次行きましょ」 聖愛は降ろされた優子と手を繋ぎ、別の店に入っていく。 この日、優子は今までにないくらいの贅沢を許された。優子が少しでもほしいと思ったものはすべて買い物かごに入れられたし、お昼や3時のおやつだって、迷っていればすべて注文してもらえた。少しずつ食べて、残しても怒られない。 夕方、聖愛の車には、たくさんの箱や袋がぎっしり
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-16
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暴君令嬢

「優子ちゃん、起きて」 聖愛の天使のような声で、目を覚ました。「うぅん、まだ眠いよぉ」「お部屋で寝ような」 恭介の声で窓の外を見ると、家の前だった。優子は途端に悲しくなった。また水樹と使用人3人の5人で暮らさないといけないのかと思うと、気が重い。「やだ、帰りたくない」「今日はパパもいるから、な?」「聖愛さんは?」「私は用事があるの、ごめんね」 聖愛が申し訳無さそうに言う。本当はずっと一緒にいたいが、大好きな聖愛を困らせるわけにはいかない。「うん、分かった……」「いい子ね」 聖愛が優子を抱きしめると、華やかで大人びた香りがふわりと香る。「行くぞ」「うん」 恭介は車に積まれていた荷物の中で比較的小さなものを優子に手渡し、いくつか大きな袋を持って、チャイムを押した。「旦那様、これはいったい……」 出てきた使用人は大きな荷物を持つ恭介を見て、目を丸くする。「荷物がたくさんあるんだ、他の使用人も呼んで、手伝ってくれ。全部優子の部屋に運ぶんだ」「は、はい」 使用人はそそくさと家の中に戻り、他の使用人ふたりを呼びに行った。「あなた、なんなの、これは」 水樹は訝しげな顔で出てきたと思ったら、優子を見て小さな悲鳴を上げる。「優子、その服は、アクセサリーは何!?」「可愛いでしょ。ママは意地悪だから買ってくれないけど、パパと聖愛さんは買ってくれたよ」 見せつけるように、くるりと回る。「今すぐ脱ぎなさい! 外しなさい!」 優子のもとへ駆け寄る水樹を、恭介は突き飛ばした。その拍子でスリッパが脱げ、注を舞う。(あ……) 優子が見ていたのは、倒れる水樹。ではなく、脱げたスリッパだ。今まで履いていたものでもなく、プレゼントしたものでもない、新品のスリッパだった。「痛っ!?」「せっかく買ってやったんだ、無理に奪おうとするな。それでも母親か?」「そうですよ、奥様」 いつの間にか、箱を持って現れた聖愛が同調する。「せっかく優子ちゃんが自分で選んだものを奪うなんて、親のすることですか?」「そうだそうだ!」 3人の言葉に、水樹は大きなため息をつく。「優子は肌が弱いの。だから、化学繊維の服も、メッキのアクセサリーも、よくないの」「お前が楽しそうにしてる俺達に嫉妬してるだけだろ? 僻んでる暇があるなら、お前も荷物を運ぶのを手伝え。優子
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-16
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暴君令嬢2

 優子は立ち上がると、引き出しから服を全部引っ張り出し、先程座っていた場所に、無造作に放り投げた。「優子ちゃん、どうしたの?」「新しいお洋服、いっぱいあるし、ママが選んだダサい服なんかいらない」 優子の言葉に、聖愛の口元が三日月を描く。「そうね、新しいお洋服、いっぱいあるもんね。その服は、優子ちゃんにはちょっと、地味かな」「そうだよね。いらない」 優子は座り直すと、服をズタズタに切っていく。憎しみを込めながら。 思い出すのは、ミシンを懸命に動かし、優子の服を作っていた水樹の姿。あたたかい、大事な思い出。今はただ、憎らしい、忌々しい思い出。それすらも服と共に切り刻む。「私はタグを切ってるからね」 聖愛はタグを切っては、新しい服をタンスに仕舞っていく。 優子は切り刻んだ服を近くにあった袋に入れると、まだふたりが怒鳴り合っている1階に下りていく。「だから、優子は肌が弱いの! なにかあったらどうするの!?」「お前が過保護にするからだろ!」 ふたりは怒鳴り合っていて、優子に気づかない。優子は水樹に向かって、袋を投げつけた。大きな袋は優子の力ではそれほど飛ばず、水樹の近くで落ちて、フローリングを滑って水樹の足にぶつかって止まった。「優子、これはなに?」「ママ、だいっきらい! 最低! 死んじゃえ!」 ありったけの憎しみを込めて叫ぶと、駆け足で部屋に戻っていき、聖愛に抱きついた。 水樹は恐る恐る投げつけられた袋の中を見る。中にはいっていたのは、愛の残骸。どれも優子のために選んだり、作ったりした服だ。「優子、なんで……」「自業自得だ」 恭介は嘲り笑い、水樹の背中を蹴った。水樹は顔から床に衝突する。皮肉にも、水樹のダメージを軽減したのは、優子が切り刻んだ服の残骸だった……。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-12-16
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