「兄ちゃんだけスマホ買ってもらったの、ずるくね?」「はぁ? なにそれずるーい」 男子達がまたスマホの話をしている。歳の近い兄弟だけ買ってもらってずるいという話は、毎日のように出てくる。(ゆうは持ってるよ。ゆうだけがクラスの中で持ってるの。羨ましいでしょ) 言いたいけど、ぐっとこらえた。 帰宅してスマホを見ると、聖愛からLINEが来ていた。『学校お疲れ様。どうだった?』『楽しかったよ。皆スマホ持ってないんだって』『優子ちゃんが1番乗りだね。通話できる?』『うん、できるよ』 LINE通話が聖愛からかかってくる。すぐに出て耳に押し当てる。「もしもし、優子ちゃん。今どこにいるの?」「おうちのお部屋だよ」「そっか。ママにバレない?」「ママ、今お買い物してるから大丈夫」「よかったよかった。スマホで分からないことない?」「うん、パパに教えてもらったから、大丈夫」「そっか、よかったね。ねぇ、お願いがあるんだけど、いいかな?」「なぁに?」「明日、一緒にお買い物してほしいの」 それは優子にとって嬉しいお願いだった。大人の友達と買い物なんて、楽しいに決まっている。それも、聖愛となら。ただひとつ、問題があった。「行きたいけど、ママが……」「お友達と宿題するって言えばいいよ。お買い物終わったら、宿題見てあげるから。ちょっとお菓子とか食べたいからお小遣いちょうだいって言えば、きっとくれるよ」「うん、言ってみる」「決まりね。明日、学校に迎えに行くから」「楽しみにしてるね」「うん、またね」 通話が終わると、優子はスマホを充電器に戻し、宿題を始めた。水樹にお願い事をするなら、宿題を先に済ませておいたほうが叶えてくれる確率があがるからだ。 優子が宿題を終わらせてすぐ、水樹が帰ってくる。「おかえりなさい、ママ」「ただいま、優子。今日はプリン買ってきたから、夕飯の後に食べようね」「うん、大好き!」 抱きつくと、水樹は抱き返してくれる。「あのね、ママ。お願いがあるの」「なぁに?」「明日ね、お友達と一緒に宿題するって約束したんだ。お菓子食べながらしようってことになったの。だから、お小遣いちょうだい」「いいよ。冷蔵庫に色々仕舞ってからね」 水樹は冷蔵庫に買ってきた食料品を入れると、財布を出して300円を優子に渡した。「お菓子なら、これ
Terakhir Diperbarui : 2025-12-11 Baca selengkapnya