寮の方は六人部屋での雑魚寝で、プライバシーなんてあってないようなものだったけれど、幼い頃からもっと劣悪な環境で寝起きしていた京介には全然問題なかった。 それよりむしろ、寮母がついていて朝と晩の食事はガッツリ栄養バランスの取れたものを食べさせてもらえる寮生活は快適そのもの。自分としては昼飯の心配だけすればよかったのは本当に有難かった。 昼食にしても若い衆を可愛がってくれる社長や上役のお陰で、結構な割合で美味い飯をおごってもらえたりしたし、働き始めて一年を過ぎた頃には京介はかなりガッチリした男らしい体型になっていた。 将継との交流はお互いの進路が分かたれたあともずっと続いていて、時間を見つけては近況報告をし合っていた。「相良、お前どんどんデカくなるな」 クスクス笑う将継に、京介は「美味いもん沢山食わせてもらって、ぐっすり寝てるからな」とニヤリと笑う。 実際、かつては将継の方が大きかったのに、いつの間にか京介の方が将継の身長を越えていて、ガッツリ筋肉もついて逞しくなっていた。日々外で働くこともあって、元々色素の薄い将継と並ぶとまるで白黒のオセロの駒のようだと思ってしまったくらいだ。「今のお前とやり合ったら、俺、瞬殺される自信がある」 冗談交じりで笑う将継に、「バァーカ」と返しながら、京介は大切な人を守れる力が付けられているんだとしたら、最高だと思った。***「久しぶりね、京介」 現場で働くようになって二年が過ぎた頃、どこでどう聞きつけたのか、京介の元を母親が訪ねてきた。「……今さら何しに来やがった」「まぁ、無愛想ね。お母さん、せっかく京介のこと探して会いに来てあげたのに」 当初の目的はたった一人の肉親である息子への金の無心だったようだが、当然京介は彼女を突っぱねた。 陽だまりへ預けられた時にこの女との親子の縁は切れている。 だがそんな京介に、あろうことかかつて母親だったそいつは、うっとりとした〝女の顔〟で縋りついてき
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