仕事が終わり、退勤の時間になった。瀬奈は一応主婦であるため、夜遅くまでは働くことができない。社長も湊斗の妻である瀬奈に残業をさせるわけにはいかないと思っているのか、余分な仕事を押し付けてくることもない。彼女に気を遣っているのは社長だけではなく、他の社員たちも同じだった。瀬奈としてはそのような気遣いなど不要だったが、こればっかりは仕方がない。「お疲れ様でした」「お疲れ様、神宮司さん」瀬奈は荷物をまとめ、挨拶をしてオフィスを出た。既に迎えの車が来ているはずだから、早く外まで行かないと。しかし、そんな彼女の行く手を阻んだ人物がいた。「――神宮司さん、ちょっといいかな?」「…………松永さん?」いつ追いかけてきたのか、松永が帰ろうとする瀬奈を引き留めた。(どうして松永さんがここに……)彼は笑顔で軽く手を振りながら、瀬奈に近づいた。彼女は何かする気なのかと身構えたが、彼はポケットから取り出した一枚の小さな紙を彼女の手に握らせた。「これ、旦那さんと喧嘩したらいつでも連絡しておいで」「……何を」軽くウィンクをすると、松永はそのまま踵を返していった。一人残された瀬奈は、彼から持たされた紙をそっと広げた。中に書かれていたのは、松永の連絡先だった。可愛らしいハートマークまで添えられている。(ちょっと、どういうつもり?)瀬奈は彼の行動を疑問に思いながらも、渡された紙を手に握りしめたまま、会社を出た。彼女が出た頃には、既に迎えの車が到着していた。松永と話していて遅くなった瀬奈は、慌てて車に乗り込んだ。「すみません、遅くなってしまいました―――って、どうしてあなたがここに」大きな車両の後部座席のドアを開けると、先に乗っていた人物がいた。「――別にいついてもいいだろう?俺はお前の夫なんだから」後部座席の右側に乗っていたのは湊斗だった。仕事が早く終わったのだろうか。彼は瀬奈が来るのを待ち続けていたようだ。「そ、それはそうだけど……いると思わなかったからちょっと驚いちゃって」「お前をビックリさせたかったんだ。お前は……俺に会えて嬉しくないのか?」拗ねたようなその言い方に、瀬奈はクスリと笑みを溢した。あの神宮司湊斗が、こんな子供みたいな理由で拗ねるだなんて。「まさか、そんなわけないでしょう?」車に乗り込んだ瀬奈の腰を、湊斗が強く抱いた。瀬奈は彼の
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-24 อ่านเพิ่มเติม