บททั้งหมดของ 触れるたびに溺れる浅ましさ: บทที่ 21 - บทที่ 30

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 どのくらいの時間、どのくらい距離を走ったのか? 気付けば、アルは領主館の見える場所に転び出ていた。「はあっ……、はあっ……」 館が見えたことで、少し冷静さを取り戻して、足を止める。 握っていた剣を見ると、刃毀れが酷い。 額を拭い、息を吐く。 よろよろと厩へ向かい、井戸から水を汲むと、そのままざぶりと頭から被った。「アルフォンス様、どうしました?」 そこで、馬に飼葉を与えていたマークが、アルのただならぬ雰囲気に声を掛ける。「なんか……出た……」「なんか……とは、なんでしょう?」「わからん……」 要領を得ない発言に、マークは戸惑っているが── アルとて、今は冷静に状況を話せる状態ではない。「おーい!」 朗らかな声が聞こえ、アルとマークはそちらに目をやる。 馬に乗ったクリスともう一人、フードを被った男を連れてこちらに向かってきていた。「到着日時を知らせておいたのに、出迎えもなしか〜?」「今日の午後か、明日の朝とのお話でしたが?」「そうだっけ?」 クリスはケロッとした顔で返し、とんっと馬を降りる。 後ろの男も馬を止め、静かに降りた。「ご要望の召喚士を連れてきたぞ」「召喚士?」 クリスの後ろの男が、マントのフードを外す。「お久しぶりです、アルフォンス様」「カイルじゃないか」 アルは驚いたが、マークは当然と言った顔で、カイルに歓迎のハグをしている。「どういうことだ?」「なんだ、聞いてないのか? マークが開墾地の整地がしたいから、使役獣を呼び出せる召喚士を連れてきてくれと連絡を寄越してきたんだ」「いつの間に……」「だが&hel
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 マークとクリス、それにカイルを伴って、アルは領主館の執務室をノックした。「どうぞ」「失礼します」 次々と入ってきた面々を見て、ジュリアンは驚きの顔になった。「マグワイア卿に……、カイル? どうして、きみたちが……?」「あの〜、イアン様。俺もみなと同じくクリスって呼んでくれませんかね?」 ぽりぽりと頬を掻き、落ち着かない顔でクリスが言った。「いや……、でも……」「王都にいた頃は、俺が第二騎士団所属で、イアン様は第三だったり、警邏隊だったりしましたが。今は準男爵様ですから、俺を敬称付きで呼ぶ必要ありませんし。ホントは、以前からそう思ってましたから」 周りがうんうんと頷いている。 ジュリアンは、諦めのため息を吐いた。「分かった。では、クリス。それにカイル。きみたちがなぜここに?」「それに関しましては、私が──」 マークが挙手をして、一歩前に出る。「──クリストファー様は情報収集に優れているので、王都に残ってもらっていました。人員や物資の調達などもお願いしています」「クリスには、クリスの仕事があるだろう?」「あ、それは大丈夫です。今は遠征から帰ったばっかりなんで、休暇中です」 にこりと笑って返され、ジュリアンは黙らされた。「カイルは、開墾地の整地のために来てもらいました」「待ってくれ! 開墾地を整地したいのは山々だが、今は召喚士を雇えるような金はないぞ」「私は、ボランティアで参りましたから、給料は必要ありません」 こちらもまた、にっこり笑ってカイルが告げた。「いや……、いやいやいや……、だめだ! 召喚士は、騎士団の中でも希少職だぞ! 抜けた穴は、そう簡単に埋められないだろう」「第一の方たちからは〝職業騎士〟だの〝牛飼い騎士〟だのと蔑まれておりましたし。さほど必要とされても
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 ふと、ジュリアンがアルの顔を見た。「アル。顔色が悪いが、具合が悪いのか?」 昨晩、肌を重ねたあと。 ジュリアンは視線を合わせてくれずに、背を向けてよそよそしい態度になった。 前回と同じく、黙って体を清めて部屋を去ったが。 結局、今朝から挨拶も出来ないまま、マークに〝態度がおかしい〟とまで指摘されてしまった。 だが、そんな気まずい空気のままのはずなのに。 ジュリアンが、自分の些細な変化に気付き、気遣ってくれるのがたまらなく嬉しい。「いえ、体調は別に……、ただ……」 そこまで言って、アルは言い淀んだ。 山の中であったことは、どうにも説明がしにくかったからだ。「どうもその、上手く説明が出来ないんですが……」 しどろもどろに、事実を語る。 終わったところでクリスが首を傾げた。「瘴気が足に絡んだ?」「あり得ないでしょう?」 即座に、マークが否定する。「だが、他に説明のしようがないんだ」「アルほどの騎士が、説明できないとは……。かなりの異常事態と見ていいだろう」 ジュリアンは、全く否定をしなかった。「信じるんですか?」「当然だ。アルは素人じゃない。……だが、手練の騎士がそこまで混乱する状況となると、地の利を知らない我々だけで向かうのは危険かもしれないな」「あの……」 そこで、カイルが挙手をする。「なんだ?」「私はローデンフェル出身です」「そうだったのか?」「はい。私が幼少の頃、魔法の才があると分かり、父は私をヴァレンティン家の騎士養成所に入れるため、本領に移住してくれました」「カイルは今年三十七だったか? その移り住む前は、麦の収穫はどうだった?」「良くありません。父は元々農家だったのですが、やっていくのがかなり
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 クリスが調達してきたのは、新品の箱馬車だった。「待ってくれ。いったい、いくらしたんだこれ?」 扉は特殊仕様になっていて、開くと同時に杖をついていても昇降がしやすいステップが現れる。 中の座席も、たっぷりと中綿が詰め込まれた革で出来ており、御者席には道の先を遠くまで照らす、魔物避けの灯りまで付いていた。「良いでしょう? 座席に使ってる革はケルピーですから、水をこぼしてもお手入れ簡単なんです。イアン様の家紋がわからなかったので、入れられなかったのが残念ですけど。決まったら入れましょうね」「家紋? 一代限りの準男爵に必要ないだろう?」「ないわけないでしょう。貴族なんだから。あとでみんなで考えましょうね」「いや……、いやいやいや、そうじゃなくて! 金額の問題を……」「出世払いのツケですから。今は、気にしないでください」「……マグワイア卿、本当に、こういうのは困る」 ジュリアンが姓を呼んだことで、クリスは空気が変わったことを察した。「では言わせていただきますがね、ヴァレンティン準男爵様。勉強家のあなたのことですから、父上のヴィクトル閣下がローデンフェルを手に入れた経緯、ちゃんとご存知なんでしょう?」「まだレイヴンクロフト伯爵家の三男だった十九歳の時に、武功を上げて陛下から所領と騎士爵を賜った……はずだ」「王都を出る前に、その辺りの話をかなり聞き込んできたんですがね。当時のシンフィールド子爵は、そりゃもうブチギレしてたって話なんですよ」「そう……なのか?」「はい。ですから、こっちが見くびられるのは悪手です。少なくともあっちは、あなたを〝土地泥棒の息子〟と見做しますし、ぬけぬけと〝相続したつもりか〟と言ってくるかもしれませんから」 クリスが、いつものふざけた態度でない様子から、ジュリアンも事情を飲み込んだ。「分かった。……だが、こういう分不相応な物を調達されるのは、本当に今後は止
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 クリスが調達した馬車の中には、ジュリアンとカイルが乗っていた。 御者席にはマークが乗り、アルとクリスは騎乗して、馬車の左右を守っていた。「マークたちが村で集めた噂を整理すると、奇跡の泉の話は、年代によって認知に差がありますね」「そうだな。カイルより若い世代になると、泉の話を知っている者の数が急激に減っている」「ですが、私の父の年齢ぐらいの者たちは、みな知っている様子です。話したがらないので、言質を取れていませんが……」 馬車は、シンフィールド子爵の屋敷に向かっていた。 ジュリアンの手紙を届けたカイルは、子爵からの〝了承〟の返事を持って帰ってきた。 日程を合わせ、ようやく面会にこぎつけたのだ。「シンフィールド家は子爵ですが、歴史が古い家系です。あまり信用なさって、なんでも話してはだめですよ」「きみにまで、言われるとはな……」 その話は、朝から全員に口酸っぱく言い聞かされた。「私だって、貴族のしきたりを学んできているよ?」「しきたりを知っていても、ジュリアン様は腹芸ができませんから」「それを言われるとなぁ……」 ローデンフェルの土地を抜けると、周囲の空気がふっと軽くなり、窓の外の景色も紫から緑に変わる。「この距離で、これほど変わるか……」「ローデンフェルは山間なので、どうしても空気の流れが淀みがちですし」 馬車はそのまま、シンフィールド子爵家の本邸へと乗り入れた。
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 書斎で書類に目を通していたアンソニー・シンフィールドは、扉のノックに「入れ」と返した。「ジュリアン・ヴァレンティン準男爵様がご到着にございます」「分かった。応接間に通しておいてくれ」 執事が出ていくと、奥の安楽椅子に座っていた老人が、意味ありげに咳払いをする。「なんですか、お父さん」「会ってやる必要なぞ、なかったんじゃないのか?」 しわがれたガラガラ声の、小柄な老人。 だが未だ矍鑠とした前シンフィールド子爵であるオーガストは、不満げに息子の顔を見やる。「ローデンフェルを父上から召し上げたのは、陛下でしょう?」「生意気なヴィクトルが陛下にねだりさえしなければ!」 吐き捨てるようにオーガストは言った。 父が、ローデンフェルを理不尽に取り上げられてからずっと、ヴィクトル・ヴァレンティンを──いや、ヴィクトル・レイヴンクロフトを恨んでいるのは知っている。 事あるごとに、恨み言を聞かされ続けたアンソニーは、父がどれほど恨んでいるかを理解している一方で、そこまで恨み続けている父を嫌悪していた。──確かにローデンフェルを取られたのは大きい。 父が領地経営をしていた時代の書類を見れば、ローデンフェルをなくした直後の打撃の大きさは想像に余りある。 それ以上に、シンフィールド家にとってローデンフェルは、一族の歴史で最も古い〝最初の土地〟でもあった。 なぜならローデンフェルは、初代当主エイドリアン・シンフィールドが拓いた土地だからだ。「シンフィールドの歴史の始まりの場所だ!」「ローデンフェルは麦が名産ですが、我が領の主要産業は絹織物です。あの地を陛下に召し上げられた時、既に領都はこちらに移したあとだったじゃないですか」「だからといって、易々と盗られてよい道理はない!」「それで? ヴァレンティン準男爵との面会に、父上も立ち会われるのですか?」「当然だ。盗人の顔を、しっかりとこの目に焼き付けてくれるわ」
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 応接間の扉を開けると、そこに従者を一人連れたジュリアン・ヴァレンティン準男爵が立っていた。「この度は、お時間を割いていただきありがとうございます」 だらりと下がったままの左腕、体をようやく支えている右手の杖。 こちらに向き直り、頭を下げる仕草から、右足が上手く動かないことも容易に察しが付いた。──この体で、立って待っていたのか……? オーガストはジュリアンをほとんど見ようともせず、さっさと腰を下ろしてしまった。「おかけください」「ありがとうございます」 アンソニーに勧められて、ジュリアンはようやく座った。「この度は、準男爵の叙爵とローデンフェル領の領主就任、誠におめでとうございます」「いえ、ご挨拶が遅れまして……」「ジュリアン殿は、ヴァレンティン騎士団長様の御子息と伺っておりますが。あまり似ておられませんな」「はい。父ほどの技量があれば良かったのですが……」 はははと謙遜するジュリアンの様子は、気の弱そうな印象を受ける。 だが、本当に弱々しいわけでもなさそうだ。 先程からオーガストがあからさまな敵意をむき出しにした殺気を放っているが、それに怯む気配が全く無い。 オーガストは、若い頃は血気盛んに武功を上げ、褒章をいくつも得ている実力者だ。──父上の殺気に晒されて、動じないとはな。傷さえ負わねば、ヴィクトルを超える騎士になれたかもしれぬな……。 そんなことを考えて、アンソニーは〝まさか〟と心の内で頭を振る。 ジュリアンの履歴は、ローデンフェルの領主となった時に簡単に調べた。 騎士を志望するなら、十八歳で受けるはずの入団試験。 それを、二十歳まで遅らせているのは、普通に考えれば無才の者だ。「それで、本日はどのようなご要件で?」「はい。図々しいお願いだとは思うのですが、ローデンフェルに伝わる〝奇跡の泉〟のお話を伺いたく、まかりこしました」
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 オーガストは、それまでのふてぶてしい態度から一転し、顔を強張らせた。「ありえん……、ローデンフェルに瘴気だと!」「父上、落ち着いてください。どうされました?」 唇をわなわなと震わせ、シワだらけの顔を真っ青にし、オーガストは椅子から立ち上がった。「ワシは、少々ヴィクトルの若造を困らせてやろうとしただけだっ!」「父上っ?」 オーガストが何を言っているのかが分からず、アンソニーは自分も立ち上がって父の傍に寄った。「ワシは……、あ……、あ……ワシはっ! あの美しい土地を穢してしまったっ!」 周囲の声など耳に入らぬ様子で、オーガストは半ば錯乱したように叫び、両手で顔を覆っている。「誰かあるっ!」 アンソニーが呼びかけると、執事と使用人が部屋に駆け込んできた。「父上を、お連れして」「離せ! アンソニー! エイドリアン様の意志をっ! ……ワシはっ!」 数人がかりで抑え込み、使用人たちに連れ出されたオーガストの声が遠のいていく。 最後に執事が扉を締めて、声は完全に聞こえなくなった。「お見苦しいところをお見せしまして……」「いえ、……なにかこちらが、オーガスト様のお気に障るような発言をしてしまったようで、申し訳ございません」 ジュリアンが頭を垂れる横で、カイルも深々と頭を下げている。「準男爵殿、顔を上げてください」「はい。ありがとうございます。……ところで、最初にお渡しすべきでしたが、うっかり忘れておりました」 ジュリアンが目配せをすると、カイルは鞣した毛皮をアンソニーに差し出した。「これは?」「本日、お時間を割いて頂いたお礼に、お持ちしました。魔獣化したグリズリーの毛皮です」「こちらは、先日ジュリアン様が仕留めた
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 シンフィールド子爵から譲り受けた地図を手に、装備を整えた一行は、満を持して〝奇跡の泉〟の探索へ向かった。「この地図、実に詳細ですね」「逆に領主館の資料がどれだけ杜撰だったかって話だ」 地図の出来栄えを褒めるマークに対して、苛立った口調で、不快の念を隠さずアルは言った。「ですが、シンフィールド様の言い分も、わからなくはないです」「だからって、領民が飲料にも使ってる水源に、魔獣の死体いれるか?」 カイルのコメントに、クリスが返す。「そう言うな。元はと言えば、父が悪い」 苦笑しながら、ジュリアンが言った。「イアン様、大丈夫ですか?」「ああ。皆が合わせてくれるので、問題ないよ」 クリスの労りに、ジュリアンは笑みを返す。「荷物ぐらい、持ちますよ?」「莫迦を言うな。行軍で各自が自分の荷物を持たずにどうする」 足を引きずり杖をつくジュリアンが、背嚢まで背負っている。 皆は、ジュリアンの同行を肯定的には考えられなかったのだが。 ジュリアンは、留守番させられることを絶対に許容しなかった。「私の見ていないところで、きみたちだけを危険に向かわせるわけにはいかない」 と。 もちろん、アルの遭遇した敵のことを考えると、身動きのままならないジュリアンが、最も危険に晒される。「俺たちは、一線で働いてきた騎士です」「遅れは取りません」「安心してまかせてください」 などと、口々に訴えてみたが、ジュリアンは頑として譲らなかった。「きみたちの足を引くようなことはしない。それに、この中で最も浄化の術に長けているのは私じゃないか」 それは事実だ。 ジュリアンが現役だった時代、魔力の低い平民出身のマークやカイルは、浄化をバックサポートで掛けてもらっていた。「絶対に、前に出ないでくださいね」 と念押しをし、常に傍にマークが付いていることを了承させての同行となったのだ。 荷を背負い直すジュリア
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「投げ込んだと言っているのだから、この水面下に死体がある……ってことですかね?」 マークが何をしていたのか問う前に、周囲を警戒していたクリスが喋りだしてしまい、聞きそこねる。「小さな小川はありますが、流れはさほど早くもない。これでは、死体が流れていった可能性も低いでしょう」 カイルがそう言った時だった。 ざわめいた水面から、ぶわりと黒い霧状のかたまりが立ち上がり、それがまるで触手を伸ばすように伸びて襲いかかってくる。 第一線で現場の魔獣退治に明け暮れている騎士たちは、初撃に対してそれぞれが的確に対処した。 だが……。「きりがないなっ!」「それに、この酷い匂い!」 生臭さと腐敗臭が入り混じったような、鼻を突く不快な匂いが爆発的に広がる。 霧は濃度を増し、新たな触手を次々と伸ばして襲いかかってくる。「元がオクタクルだけのことはある。動きが立体的すぎて厄介だ……」 後ろでジュリアンが浄化を使い、瘴気を少しは押し返しているが。 泉の水が湧くのと同じように、立ち上がる黒い霧は無限に湧き続けているようだった。「マーク、これを」「なんですか?」「浄化の付与をしてある矢だ。一番瘴気が濃いところを狙って撃ってくれ」「はい」 マークは弓を構えると、ひゅうっと軽快な音を立てて矢を放った。 瞬間、耳を覆わんばかりの咆哮が上がる。「うわっ!」「ぐっ……」 威圧のようなプレッシャーに、全員がその場で身をかがめた。 かろうじて剣を取り落とすことはなかったが、屈んだ姿勢から戻れない。「なんだ……これ……」「断末魔なら……いいんだがな……」 奥歯をぎりと噛み、下腹に力を込めて、アルは両手を握りしめた。
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