บททั้งหมดของ 触れるたびに溺れる浅ましさ: บทที่ 11 - บทที่ 20

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3-3

 夜になると、アルが桶に湯を持って部屋にやってくる。「こんなに毎晩。そんなにお湯を使ったら、本当に貴族みたいじゃないか」 瘴気に侵された土地で、飲料水は貴重だ。「井戸に浄化の付与して、安全な飲水確保してあるじゃないですか」「私はちゃんとした結界師じゃない。浄化を付与した石を井戸に置いてあるが、充分と言い切るのは危険だろう」 ジュリアンの答えに、アルは肩を竦める。「この水は、俺が術を掛けて作ったものです。別に特別贅沢じゃないですよ」 タオルを絞り、ジュリアンの背中を拭こうとして、アルは手を止めた。 片側に寄せ、肩の前へと垂らした金糸の髪は、以前の輝きを失っている。 それでも、痩せたうなじにはらはらと掛かるその姿は、変わらず美しい。 どれほど奪われ、虐げられても── この背中は、常に誰かを守るためにきりと背筋を伸ばしている。 湯気の立つタオルをそっとあて、背を柔らかく撫でた。 今も生々しく盛り上がり痕を残している、魔獣の爪痕。 スタンピードのさなかとはいえ、もっときちんとした治癒を施されていれば、ジュリアンの左腕はまだ動いたかもしれない。 それとも──? ジュリアンの騎士としての高い能力を妬んだ誰かが、わざと雑な治癒しかさせなかったのだろうか……と疑ってしまう。「痛い……ですか?」「いや、今更なんともないよ?」 タオルを湯につけ、絞る。 肩を、腕を、脇を、順々に丁寧に清めながら── アルは、いつしか目線をそらしたまま、ジュリアンを見られなくなっていた。「アル?」「え? ……あ、はい?」 いつの間にかこちらを向いていたジュリアンが、スウッと右手を伸ばして、アルの顎を捉えた。「手伝って、あげようか?」「な……にを……」 ジュリアンの目線が、下に落ちる。
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3-4

 ジュリアンは奉仕をしながら、ちらりとアルの顔を見た。 真っ赤になって、唇を震わせ、快感に呑まれている表情。 髪を掴んでいる手が、さらなる刺激を欲して力を込めたいが、ジュリアンを慮って力を込めるべきではないと押しとどまっているのか、迷いで震えている。 かなり常軌を逸した行為ではあるが、ジュリアン自身はそれをさほども気にしてはいない。 騎士団に入ってから、背中の負傷で退団するまでの十二年間。 嫌がらせの噂が広がるにつれ、望まぬ場所で望まぬ行為を強いられることもままあった。 あまりに日常的に繰り返される暴行に、嫌悪も屈辱もとうの昔に擦り減り、傷つく心は残っていない。──やっぱり、こんな遊ぶところもない場所じゃあ、いろいろ溜まっているんだろうなぁ……。 丹念に奉仕を施しながら、考えていたのはそんなことだ。「……イア……様……」 荒く息をついたアルが、切羽詰まった声で呼びかけてくる。 様子を伺うように、もう一度目線を上げると、ぴたりと視線が合った。 その瞬間、アルの顔が更に赤みを増し、片腕で口元を抑え、ジュリアンの頭に添えていた手に力が込められ、髪を掴まれる。「うわっ」 引き剥がされたと思ったところで、そのままベッドに押し倒された。「こんなこと、想い合ってる相手とするんじゃないんですかっ!」「なんだ、意外にロマンチストなんだな」「こんな……こんなこと……」 がばと覆いかぶさったアルは、ぎゅうとジュリアンの体を抱きしめる。──追い込みすぎたか……? アルの手が、ジュリアンの肩に食い込む。「どうした? やっぱり、男相手じゃ不満か?」「あなたはっ……!」 なぜかアルは顔を歪め、俯き、それから噛み付くように、ジュリアンの首筋に顔を埋め
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3-5

 熱を放ち、余韻に震えるジュリアンの体を、アルは思わずぎゅうと抱き寄せた。 頬も耳も、荒く息をしながら上下する胸までも赤く染めたジュリアンの姿が、あまりにも艶かしく── こんなことを、こんなかたちで成してしまうのは、アルの望むことではなかったが。 それでも、長年望んだ〝その人〟を、腕にした事実に胸の内の騒ぎが止まらない。「……イアン様……」 顔を隠すようにしていた腕が動き、ジュリアンはアルの胸を押す。「イアン様?」「……済まない……。少し……休ませてくれ」 アルは、ハッとなった。 慌てて体を離し、ジュリアンの姿を見る。 こちらを向いたジュリアンの顔は、のぼせたように頬に赤みが残ってはいた。 だが、浮かべられた微笑みには、なんの温度もない。「申し訳ありません……」「落ち着いたか? 済まないな、こんななにもない場所で。あまり、……頑張りすぎないようにな」 あまりにも普段と変わらぬ態度に、アルは微かな落胆を覚える。──いや、当然だな……。 騎士団で受けた辱めを思えば、アルの気持ちが本物であろうがなかろうが、関係ない。 自分は、彼らがしたのと同じように、ジュリアンを穢しただけだ。──こうなってしまったのは、不本意だが……。 なにがあっても、誠意を見せ続ける以外に、自分の〝誠〟を伝える術は、それしかない。「あの……、お体の清拭を続けさせてください」 桶の中の湯は、既に冷え切っている。「ああ……、うん……。いや……」 アルはベッドを降り、桶の中の水を温めて、タオルをすすぐ。
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4-1

 翌日、ジュリアンは執務室に顔を出した。「ジュリアン様、もう起きてよろしいのですか?」 執務室で仕事をしていたマークが、驚き顔で問う。「寝ていると、落ち着かなくてね。それよりマーク」 改まった口調のジュリアンを見て、持っていた資料を置き、マークは向き直る。「なんでしょう」「私のことを思いやってくれるのは嬉しい。だが、……きみほどの騎士が抜けてしまったら、損失は計り知れないぞ。今からでも、戻って……」「申し訳ありません。ですが、戻るつもりもありません」 マークは、真っ直ぐジュリアンを見つめて言った。「きみは、私の背中の傷が、自分の所為だと思っているようだが。それは違う。これはただ、私が未熟だっただけだ」「あの大氾濫の中、市民を守ることすら危うい状況でした。その中で部下の命まで守ろうとされたジュリアン様を、未熟と呼べる者などおりません」 敵に背中を見せなければ、負傷するわけがない。 十年前、ジュリアンは〝不名誉の象徴〟の傷を負ったと言って、罷免された。「あの時。ジュリアン様の進言をギルバート様が聞き入れてくださり、援軍が来ていれば、市民の被害もずっと小さかったはずです」「だが、スタンピードの確証を提示できなかったのも、私だ」 ジュリアンはふるふると首を振る。 マークは唇を噛んだ。「ジュリアン様。私はなにも、その傷一つの話をしているわけではありません。第三騎士団に所属し、第七分隊の一員として、あなたの下で働かせて頂いた年月。その全てにおいて、あなた以上の上官はいないと思っています。騎士となるために頂いたご指導、命を助けられたことは数え切れません」 そこでマークは、スッと跪く。「どうか。私に、あなたの騎士になることをお許しください」「おい、よさないか。私のような半端者に、騎士などもったいない……」「いいえ、やめません。騎士と認めていただけるまで」「
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4-2

 マークは、執務室の大きなテーブルに、詳細な地図を広げた。「こちらの点が、ジュリアン様の設置された結界杭。瘴気の濃度は、ジュリアン様が作成した資料より、やや低めです」「イアン様の設置した結界杭が、効果を発揮しているんでしょう」「それだけではない。村を囲む柵は、魔物を避けるための魔道具が取り付けられていた。あれらの効果もあるだろう」 アルがちらと目をやると、マークが〝それはありえない〟と首を横に振る。「瘴気の分布を見ると、領主館の周辺が意外に濃いですね」「発生源が、領主館の裏手にある山だからじゃないかな」「代官が、使ってなかったんですか、この屋敷?」「村長の話では、王都住まいで、時々来るだけだったらしいよ?」 それは、代官の役目を果たしていないのでは? とアルは思ったが。 同じことを思ったらしいマークも、眉をひそめていた。「見に行こうとしたんだが、杖と山道は相性が悪くて……ね」 冗談めかして笑うジュリアンに、アルとマークは呆れた顔を向ける。──いざともなれば、その不自由な片足で山でも森でも駆けていくくせに。 その嘆息を、アルは言葉にしなかった。「やっぱり、協力してもらえると早いなぁ。もう検地が終わったんだ」「はい。結界杭の効果で、植物の育成状況がかなり改善されています。ですが、すぐに食糧事情が改善されるのは少々むずかしいかと」「見た感じ、芋を中心に植えているみたいだけど。収穫期間の短いものを調べて、回せないか試したい。ラディッシュとか、葉物を作付けしてくれないか、村人に聞いておいてくれないか?」「分かりました。それと、素人考えで恐縮ですが。開墾したまま放置になっている土地が、惜しく思えます」「私もそれは、感じているが……。しかし現状の人材では、無理だろう」「ですね。騎士団ならば、召喚士に地ならしをしてもらえましたが……」 真面目に返すマークに、ジュリアンは笑う。「希少職の召喚士
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4-3

 夜半、アルは清拭のための湯を持ってジュリアンの部屋を訪れた。「お湯を持ってきました」「ありがとう。あとは、自分でやるからいいよ」 にこりと笑うジュリアンに、アルはやや尖った視線を向ける。「俺に、手伝われるのが、怖いですか?」「なに変なこと言ってるの?」 こつこつと杖を付き、ジュリアンは湯桶の傍へと歩み寄ってきた。 アルは、わざと距離を詰めて背後に立つ。「どうしたの?」 微かに、ジュリアンは動揺しているように見えた。「昼間のあれは、なんですか?」「あれって?」「嫁を探せとか、若い女の子が案内に付くとかってやつです」「深い意味はないって、言ったじゃないか」 アルの手からタオルを取ろうとするジュリアンの腕を、掴む。「危な……」 よろめく体を、しっかりと抱きとめる。「俺を子供扱いして、からかうのはやめてください」「良識ある大人は、こんなことをしないよ」 体を離そうとするジュリアンを、アルはひょいと横抱きにして、そっとベッドに降ろした。「アル?」「俺には、あなただけです」 真っ直ぐに瞳を見つめて、アルはその言葉を口にした。 今の自分の、正直な気持ち。「莫迦を言っちゃいけない。私のような厄介者と関わって、きみに得することは一つも……」「俺はもう、騎士じゃない」 ピシャリと、言い訳を遮る。 ジュリアンは、スッと視線をそらした。「こんな田舎だから、なにもなくてごめんね……」「俺は別に、生理現象の解消のためにこうしているわけじゃありません」 揚げ足を取るような言い回しをわざと選ぶと、ジュリアンの視線が戻ってくる。 それをアルは、正面からジッと見つめた。「嫌なら、嫌だと。止めろと……言ってください」 
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4-4

 熱を煽られて、ジュリアンは混乱の中にいた。 アルは「嫌なら断ってくれ」と言う。 実際に、彼はジュリアンが「止めろ」と言えば、本当に引き下がっただろう。 だが、ジュリアンには断る選択ができなかった。──なんと卑しい体なんだろう……。 アルが油薬を取り出す前から、自分の後ろはとうに濡れそぼっている。 騎士団で乱暴に扱われた時に、それは散々〝娼婦のジュリーちゃん〟と嘲られた話題の一つだ。「おまえは、男が欲しくて濡れているのだろう」 そんな言葉が、脳裏に蘇る。 アルの指に探られて、奥のもっとも感じるポイントを撫でられた瞬間、腰が浮いた。「やっ……! あ……」 声が、抑えられない。──私は……。私の体は、先をねだっている? この行為を嫌悪していたはずなのに── そう思う反面、指ではないもっと質量の大きな熱を穿たれたいと、腰が浮いている。──男に犯されることを、求めている? 理性的に考える余裕など、もうなかった。 欲しいと思う気持ちと、止めろと叫ぶ心とかせめぎ合う。「挿れて……いいですか?」 問いかけに、ジュリアンは更なる混乱に陥った。 そんなことを、問われたことはない。 いつだって、ジュリアンの都合は関係なかった。「お……ねが……」 続けて〝助けて〟と言いそうになり、唇を噛む。 今、体を覆い尽くす熱からなのか、自分を取り巻く運命からか。 なにから助けて欲しいのか? それすらわからない。 だがアルは、途切れたその言葉を了承と受け取った。 求めてやまなかった熱が、空虚に感じていた場所に満たされる。「あああっ!」 泣きながらシーツを掴み、ジュリアンは背を仰け反らせた。
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5-1

「アルフォンス様、ジュリアン様となにかあったんですか?」 厩で、裏手の山へ向かうための準備をしているアルに向かって、村に出かける支度をしていたマークが問うた。「なにも……」 リュックサックに道具を詰めていたアルは、マークに背を向けたまま答える。「そうですか……」 静かにそう返したマークは、しばらく黙っていたが。「今日か明日には、クリストファー様がこちらに到着しますから。それまでに、そのおかしな態度を改めてください」「お……おかしな態度って、なんだ?」 振り返ると、マークは真っ直ぐアルを見ていた。「その、挙動不審な態度全般です」「どこが……」「ですから、全部です」「それじゃあ、わからん!」「具体的にあげろと?」「そうだ」「まず、挨拶をされてませんよね、今朝。それから朝食の席で、ジュリアン様と目も合わせず、会話もありませんでした。ジュリアン様は、アルフォンス様にだけは軽口を叩きますが、それもありません。それから……」「もういい!」 口数の少ないマークだが、別に口下手というわけでもない。 数々の観察と指摘に、アルはたじたじになって言葉を遮った。「一つだけ、よろしいですか?」「なんだよ?」「アルフォンス様が、ジュリアン様を一途に想ってらっしゃることは、私も充分理解していますが。あなたがジュリアン様に無体な働きをするならば、私は全力であなたを排除します」 一瞬だが、マークは明らかな殺気を持ってアルを睨んだ。「俺は……!」 言いかけて、アルは口ごもる。 繋がっていた間は、あれほど蕩けて縋ってくれていたのに。 熱が引いた途端に、ジュリアンはアルに背を向けた。 ジュリアンにとっての自分は、結局〝手のかかる後輩〟から脱却できていないのだ。
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5-2

 山の中は、瘴気の濃度が村よりもずっと濃い。 べったりと張り付くシャツの感触は、ただの汗の不快さだけではない。──山って、もっと涼しいもんじゃねぇのかよ……。 額の汗を拭うために、アルは立ち止まる。 ついでに、持っていた地図を広げてみた。──見辛い……のは、かすれているせいだけでもないのか……? ぐるぐると上下を変えてみたり、明るい場所で透かしてみたり、紙面を四苦八苦しながら眺める。「役に立つかはわからないが、持っていくと良い」 昨日のうちに渡された地図だが、その時にジュリアンが言っていたことを思い出す。「その地図は、ヴァレンティン伯爵の前──つまりシンフィールド子爵の雇っていた代官が作成したものだ。子爵から伯爵に土地が譲渡される時、少々いざこざがあったらしくて、書類に不備が多いんだ」──まぁ、シンフィールド子爵にしてみりゃ、割譲どころか追い剥ぎみたいなもんだろうしな……。 ここへ来る前に、クリスが言っていた「特別良い所だからって、わざわざ褒章でもらったトコ」という言葉を思い出す。 当時のヴィクトルは入り婿前で、レイヴンクロフト伯爵家の三男だった。 武功を上げ「望みの報酬はなにか?」と問われた時。 家督が継げないヴィクトルは、実入りの良い土地──つまりローデンフェルを所望した。 望みを叶えると約してしまった王は、シンフィールド子爵の領地だったローデンフェルをヴィクトルに与えたのだ。──そして持て余したら、イアン様に押し付けた……か。面倒事をなんでもおっつけやがって……。 騎士団長として、何度か顔を見たことはある。 だが、アル自身は個人的にヴィクトル・ヴァレンティンと対峙したことはない。──クソ伯爵め……。 乱暴に地図を鞄へ押し込み、アルは再び歩き出した。
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5-3

 瘴気の濃度が、目に見える霧になっている。──なんだよ、ちょっと先まで見えねぇじゃんか……。 人が入らなくなり、道は雑草に覆われていて、そもそも道の境界がはっきりしていない。 そこにこの霧では、さほど高くもない山であっても、迷いそうだ。──ライトで明るさを確保すれば……? いや、魔力は温存して、いざとなったら身体強化で強引に降りること考えるべきか……? 騎士団の遠征で状況判断には慣れていると思っていたが。 こんな場所で一人きりとなると、意外に決断に迷うと知った。──いっそ、引き返すか……。 そう考えた時だった。 霧の向こうから、なにか大きな気配が迫ってくる。「……っ!」 咄嗟に抜剣し、身構えたが── 突然、気配が消えた。「なんだ……、気の所為……か?」 構えたまま、アルは気配察知に集中した。 異様なまでに、周囲がしんと静まり返っている。 だが、不意に〝ナニカ〟に足首を掴まれ、道から外れた藪へと引きずり込まれた。「うわあっ!」 最初は完全にただ引きずり回されたが、剣を握る手に力を込め、身体強化で身を起こす。 そして、自分の足を握っている〝ナニカ〟に向かって、剣を振るった。「な……っ?」 確かに自身の足首に、まるで綱か紐が巻き付いているような感覚がある。 身を起こした視線の先に、黒いものがズルズルとアルの体を引きずり蠢いているはずなのに。 振るった剣に、なんの手応えもない。「くっそぉ……」 引き回されながら、アルは剣に浄化の術を掛け、もう一度それを断ち切るように振るった。 途端に引き込む力は消え、慣性のまま、藪の中をゴロゴロと転がる。 
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