生温かい液体が、太ももの内側を伝って流れ落ちた。三久はゆっくりと視線を下げる。スカートの裾が徐々に濡れていき、続いて下腹部に鈍い痛みが走った。あまりに突然のことに、まるで夢を見ているような感覚だった。恐怖と混乱が入り混じり、三久はこれまでにないほど途方に暮れていた。紫織は一瞬緊張の色を浮かべたものの、目の奥に冷酷な光が宿った。もう手を出してしまった以上、絶対に成功させなければ。紫織は三久の細い体を見据え、再び突き飛ばそうと手に力を込めた。「早坂さん!お前、早く秦先生を呼べ!」廊下の奥にいたスーツ姿の男二人が驚いた声を上げ、そのうち一人が慌てて駆け出した。紫織が顔を上げると、それが高崎家のボディーガードだと気づく。自分が三久に手を出したと高崎家の人間に知られれば、ただでは済まない。彼女はとっさに診察室の外へ踏み出しかけた足を引っ込め、ドアを閉めた。ドアの外では、慌ただしい足音と龍太郎の緊張した声が響いていた。「どうしたんだ?早く救急処置室に運べ!」「は……秦先生」三久の声は震えていた。「お願い、この子を助けて!」「大丈夫、何も心配ない!」龍太郎は反射的に彼女を慰めたが、恐怖に満ちた三久の目と向き合った瞬間、自分の言葉があまりに軽く感じられた。三久の涙がぽろぽろとこぼれ落ち、両手はしっかりとお腹を抱え込んでいる。今日は梨々香に用事があって、彼女は一人で病院に来ていた。見知らぬ白衣の医師たちに囲まれ、専門家だとは分かっていても、今の三久にとって心の支えにはなり得なかった。彼女はすべての望みを龍太郎に託すしかなかった。「秦先生、もし私に何かあったら、赤ちゃんを優先してください!」「馬鹿なことを言うな!子供を一人にするつもりか?」龍太郎は反射的に問い返した。「梨々香がこの子の面倒をちゃんと見てくれる。お願い、絶対にこの子を助けて!」三久の頭は混乱していて、自分の判断が正しいのかどうかすら分からず、ただ母としての本能がそう叫ばせていた。「二人とも助かる。それ以上言うな、検査するぞ」龍太郎は彼女を処置室へ運び入れ、基本的な検査を行った。三久はまだ若く、体力も十分にあった。それに紫織も、力いっぱい突き飛ばしたわけではなかった。外部からの衝撃で破水はしたものの、子供の命に別
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