【2019年3月下旬】東京都・新宿区その日の最初にキヨミを指名した客は、自らの名をテラダマコトと名乗った。身長は高く、全身がやたら白い。もうすっかり桜も満開の時期なのに、雪を思い出させるような色だ。ひょっとしたらこの日も、店へ足を運ぶまで一歩も外出しなかったのではと思うほどに。ただ、そのように日の光を避けて生きるヴァンパイアのような人種は、ここ歌舞伎町ではそう少なくはないと聞く。「ごめんなさい、こんなガリガリのみすぼらしい裸で」湯船から上がってバスタオルを腰に巻いた客は、キヨミに視線を向けられているのを恥じてか、両腕を胸の前で組んで体を隠すような仕草を取っている。キヨミは「大丈夫ですよ」となだめながら、ベッドの淵に客を腰かけさせた。筋肉がほとんど無いようにすら思える胴体は、かつらむきした大根の皮を連想させた。胸のあたりからペキリと折れそうなほど、体が薄い。「痩せてる人、好きですよ」社交辞令で述べただけのキヨミのセリフで、少し客は安心したのか、腕をほどく。現れた客の乳首はレーズンのように黒く、白い肌の上でよく目立った。「私の体も見てください」そう言いながら、キヨミは客の手を取り、自分の体に巻いたタオルに触れさせる。客は恐る恐るといった様子でタオルに触れた手を引いた。ファサッ、と床に落ちるタオル。露わになったキヨミの肌を前にして、客は眩い光でも見たように目を細める。「そのまま、私に委ねてくださいね」裸になったキヨミは、そう囁きかけながら客の胸に顔を近づけ、その乳首を舌でなぞる。「あっ」と声を漏らす客に、「ごめんなさい、ここ、苦手でした?」などと、言葉だけの謝罪を口にした。大概の男はいいえと否定するもので、その客も同様、「気持ちいいです、うっ、続けて、くださ、はぁっ」と懇願した。しばらく乳首を舐め、薄い胸板をなぞりながら首に向かっていく。やや髭の剃り残しのあるザラザラした顎を舌で撫でてから、唇に軽くキスをする。キヨミはそこで、やや上目遣いに客を見た。興奮のあまりか、客は目を閉じてしまっている。童貞らしいなと思いながら、キヨミは客の両手を取り、そのまま覆いかぶさるようにして客の上体をベッドに倒した。仰向けの体勢になる客。その薄い唇を自らの唇で覆い、舌を深く潜り込ませる。緊張に縮こまっている客の舌を引きずり出し、互いの唾液をかき混ぜた。呆れる
最終更新日 : 2026-04-08 続きを読む