All Chapters of 有給休暇は異世界で: Chapter 11 - Chapter 20

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第11話:一日の終わり

 ちゃんと日が落ちる前に南門から街中へ帰る。「お、ちゃんと帰ってきたな、えらいぞ」 門番からはちゃんとお使いできてえらい! と褒められた。40過ぎのおっさんが、だ。でも、新人冒険者には違いないからな。言われたことをきちんと守るのも冒険者の務めなら、今日一日は立派に過ごせたということになる。 にしても、腰を痛めなくてよかったな。最近は歳のせいか、ぎっくりの気配が近寄ってくると、察知できるようになってきたが、今日は中腰仕事を半日してもいつもなら現れるであろうぎっくりの気配がかけらも来なかった。これも異世界転移特典だったりしてな。わはは。 さて、冒険者ギルドに戻って仕事の報告だ。今日の成果をきちんと提出して、その分の報酬をいただかなくてはいけない。 冒険者ギルドに戻り、カウンターへ今日の成果である薬草類とホーンラビットの死体を受付に提出する。「はい、では鑑定していきますね。薬草類は……はい、丁寧に根っこから抜いてくれてありますね。量もそれぞれ問題ありません。ホーンラビットは……綺麗に処理してくれてありますね。ちょっと毛が血で濡れてますけど、このぐらいなら許容範囲です。五体ありますから……はい、OKです。では、ホーンラビット5体、ホルム草16束、ハププ草5束で合計銅貨228枚分になりますので……銀貨2枚、大銅貨2枚、銅貨8枚での支払いになります。問題はありますか? 」「いえ、思ったよりお金になったなと」「そうですね。薬草の品質が良いのと、ホーンラビットが綺麗に血抜きされてるのが高い買取料金の理由ですね。普通は適当に抜いてきていたり、毛皮がボロボロだったりでお金にならないケースがあるんですが、今回はそれらの事情は一切なし、ということでこの金額になります」「そうですか、ではありがたく受け取ります」 食事が三食銅貨8枚として、一泊銀貨1枚だから銅貨80枚分の儲けか。6日繰り返せばショートソード代も捻出できそうだな。いや、明日は奴隷商のところへ行ってあの子を……彼女を救い出す&he
last updateLast Updated : 2026-04-23
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第12回:説得

 翌日、朝日の出とともに目覚める。角部屋で窓にカーテンがないためだが、それにしてもまぶしい部屋だなここ。誰だこんな部屋借りたの……俺か。 二度寝を決め込もうとも考えたが、今日は大事な日だったな。これは寝てはいられないし、微妙に日当たりが良すぎて暑くもなってきそうだ。よし、起きるか。 昨日履いたパンツを、井戸の横に設置されていた、桶と洗濯板で洗う。ここで洗い物していいんだよな……? パンツだけは毎日替えないと気分悪いからな。洗ったパンツは後で干しておこう。 パンツの洗濯が終わったところで部屋に戻って縄を使って……多分、こうしておくためのものなんだろう、という形で干しておく。そもそも服をそう数枚も持つような文化でもなさそうだし、着たきりスズメの人も多いだろう。もしかしたら体をぬぐった後の桶の水で洗濯するような横着者もいるかもしれないしな。 パンツを干したらそのまま顔を洗い、すっきりしたら朝食の時間だ。今日の朝は何かな。同じメニューかな。それとも昨日の残りかな。 食堂に入って朝食を頼むと、朝食も変わらず銅貨8枚。そしてメニューは昨日の残り物。だが、パンが違う。朝食をとる人はそう多くないため、そもそも夕食の残りを提供しているだけにしているらしい。その代わり、パンが多めで白パンをつけてくれた。 店としても、あまりものを出してしまうぐらいなら少しでも消費に手伝ってくれたほうが嬉しいし、これでも利益はちゃんと出ているらしい。パンは店で焼いたものでもないらしく、これも一定量を毎日仕入れているので、もしも売れ残ったら捨てる類のものらしい。 昨日の昼と夕食よりも顎をこき使わずに済んだところで、改めて昨日の奴隷商のところへ出かける。目的は、あの女の子の保護だ。名前も種もわからないが、同じ異世界人として見逃せぬ。一緒に暮らしていくことこそできないだろうものの、せめて奴隷の身分からは解放してやりたい。 だが、そこも本人の意思を確認してからだ。もしかしたら奴隷のままの生活のほうがいいと言い出す可能性だってあるわけだからな。その場合はどうするかな。まずは本人の意見を聞いてから&he
last updateLast Updated : 2026-04-24
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第13回:奴隷少女の生きる道

 奴隷商で茶を出される。ちゃんと商売をしている以上飲み物に何かを混ぜられたりはしていないし、鑑定で鑑定してもただの茶葉……といってもそれなりに値段はするらしいので、これは客だ、と見込まれて出されたことになる。普通なら水か白湯、というところだろう。「さて、まずは奴隷を探しに来た理由を聞こうか」「知り合いの子が昨日奴隷として売られていたのを見た……では理由として薄いか? 」 知り合いではないし、一方的に知っているわけでもない。ただ、出自は俺と同じだろう、ということだけがわかる。そんな微妙な関係だが、知り合いということにしておいたほうがわかりやすいだろう。「いや、よくあることだ。親類縁者が奴隷に落ちていて、救い出すために金を出し合って買い戻すなんてのは日常の内だ。それで奴隷から解放されて、一般人に戻れる奴だっている。買う側としても立派な理由だし、最も多い話ではある。知り合いなことを黙って前を通り、こんな時だけ他人のフリかと罵倒合戦になることだってしょっちゅうある。それに比べれば静かで、そしてまっとうな買い主だと思うね」 冷静に語ってくれる。こっちが商売としては初めてなことも察せられているのだろう。奴隷として買わなくちゃ、と俺が焦っていることも考えると、多少吹っ掛けられる可能性もあるな。ある程度まではRMTで出せるので、手持ちの資金とも勘案してよく考えておこう。「さて……では、昨日仕入れた奴隷を一通り見ていってもらおう。その中にいるんだろう? 」「ああ、見ればわかるはずなので連れてきてほしい」「わかった、ちょっと待っていてくれ」 奥にいったん引っ込むと、中から幾人かの奴隷を連れてきた。奴隷といっても鎖につながれているわけではなく、どうやらシエキジュツ……使役術かな? というスキルにより行動、発言に制限が加えられた状態で存在するため、そういった物理的制約はしなくてよく、反する行動をとろうとした際には強い自己抑制が働き、それにより無理やり押さえつけられるような形で行動が制限されるらしい。 順番に通されてく
last updateLast Updated : 2026-04-25
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第14話:価格交渉

 話し合いが終わり、さっきまでいた店員を呼びに奥へ顔を出す。「すまない、話し合いが終わった。この子を買い取ることにしたい。いくらだ」「そうですか。お決めになりましたか。この子は……正直なところ性格も暗く、まだ幼いのでこれから育つ分も考えると……金貨4枚というところでしょうかね」 指を4本、差し出してきた。「ちなみになんだけど、人が一年間生活するのにいくらぐらいかかる? 」 小声でイアンちゃんに確認する。「そうですね、家がある前提だと金貨2枚ってところでしょうか。なので人一人分としてはかなりお安い値段になってると思いますよ」「なるほど、ここからさらに値切るかが俺の腕にかかってるわけだな」「どうするつもり……あ」 イアンちゃんは気がついたらしい。そう、俺には鑑定がある。奴隷をそれぞれ鑑定して値札をつけさせることによって、商売上の売り文句になるってわけだ。どんなスキルを持っているかわからない奴隷より、はっきりわかっている奴隷のほうが売れ行きが良くなるんじゃないか。「さて、金貨4枚用意できますか? 」「用意できる。それはさておき、ちょっとした商売の話をしないか? 」「ほう、商売ですか。どのようなものをお出しできるのですか? 」「俺は鑑定のスキルを持っている。バアさんたちみたいに固定で居るわけでもなく、それらのスキルを人数分、書き出すことも可能だ」「なるほど、奴隷に値札をつけてくれるってことですか。……それはなかなか魅力的な相談ですね。2人で銀貨1枚ってところでどうですか? 」「それはさすがに安すぎる。出張サービスつけて、3人で銀貨2枚だ。これ以上は譲らん。そっちとしても、奴隷が1人売れてさらに安値で出張鑑定までしてもらえる。これで十分だろ」「んー……そうですね、それで納得しておきますか。では、次々に連れてきても? 」「ああ、さっそく始めよう。紙とペンを頼む。それぞ
last updateLast Updated : 2026-04-26
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第15話:仕掛け人ここでネタ晴らし

 食事を終えた後、宿の部屋に戻る。メリーさんにはちゃんと今日から二人になるけど追加料金が必要かどうかを確認しておく。 どうやら一部屋いくらの計算らしく、よほどうるさくしたり人数を詰め込んだりしない限りは人数としてカウントしないらしい。それにセルフィはまだ子供でもあるし、子供で一人にカウントするのは問題だ、ということのようだ。ここはメリーさんの温情に感謝だな。 部屋に戻り、まだ何もない部屋に移動すると、さっそくセルフィと正面に向かって話し始める。こっちは椅子に座って、セルフィはベッドに腰かけて、足をブランブランさせながらこっちに向いて話しかけ始める。「ご主人様は、私の親戚の人ではないですよね? 」 セルフィが、確信を突いた一言を真っ先に向けてくる。「なぜそう思うんだ? 」「私の親戚は私とみんな肌の色が同じでした。ご主人様は私ほど日焼けしたお肌をしていません。それなのに、どうして親類縁者だと言い張れるのでしょうか。ご主人様の持っていたカンテイのおかげなのでしょうか」 さてネタ晴らしをしていくか。「鑑定の結果なのは間違いない。そして、君が俺とは血のつながりがないのも確かだ。だが、間接的に関係はある」「間接的に……というと、どういう意味なのでしょう」「君の先祖と俺とは同郷……同じ国の生まれなんだ。ここではない、特殊な生まれでな。かくいう俺も、あと300と18日すれば元の国に帰らなければならない」「じゃあ、また私はそれだけの時間が過ぎたら捨てられて奴隷に逆戻りということになるんですか? 」「そうならないように、それまでにセルフィ一人で暮らしていけるように色々教えていくつもりだ。といっても、俺も教わる側ではあるんだが……そこでイアンちゃん」「え、私ですか? 」 自分の話になると思っていなかったイアンちゃんが驚いて自分を指さしている。「冒険者として立派にやり遂げられていくかどうか、イアンちゃん目線で確認してほしい。もし俺かセルフィ、どちらかが冒険者としてや
last updateLast Updated : 2026-04-27
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第16話:冒険準備

「とりあえず、冒険者として恥ずかしくない格好はしないといけないな……着たままの服一着だけでは洗濯もできないだろうし、サイバルさんのところへ行くか。服は……俺も一着しか持ってないけど、セルフィは女の子だし、洗濯して乾かしてる間の服も必要だろう。よし、まずは服、その次に装備、それが終わったら……時間があればお金を稼ぎに行こう」「はい、頑張ります」「とりあえず武器は……これを持っててもらうか」 アイテムボックスからショートソードを取り出し、セルフィに見せる。「それをセルフィちゃんに持たせたら、タカナシさんは何を使うんですか? 」 イアンちゃんが不思議そうにしている。「なに、俺にはちょいと不釣り合いな装備だ、もうちょっと小さいナイフなんかでもいいし、今薬草採取やモンスター退治に行くような範囲なら、これでもちょっと過剰装備なぐらいだ、どっちにせよ鍛冶屋には寄ることになるんだし、その時に店主のおすすめでも聞いて、もしかしたら逆にセルフィにナイフで俺にはショートソードのほうがいい、って話になるかもしれないしな。それに、もし剣聖ならナイフよりもショートソードのほうが様になるだろ」「それはそうかもしれませんが……まあ、お付き合いします。私がついていればそんなに無理なことにはなりそうにはないですからね」「それに、イアンちゃんに見立ててもらわないとセルフィの服装をまさか俺が選ぶわけにもいかないだろうからな。薬草採取やモンスター退治にも着まわせる服装を一揃いお願いするよ」「まあ、そのぐらいはいいですけど。まずはサイバルフクショクテンに行くんですね? 」「うむ、そうしよう」「口調移ってますよ」 宿から十分ほど歩いて、昨日ぶりのサイバルフクショクテン。店に入ると、ちょうどサイバルさんが店内の整理をしていた。「うむ、タカナシどの。昨日ぶりですな。今日はどのような用事かな? 」「こっちの子の服を見立ててもらいに来ました。昨日の収入のお
last updateLast Updated : 2026-04-28
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第17話:剣聖だった

 今日は東門から出るらしい。東門から出るほうが草むらに近く、また薬草の採取場からは離れているうえにこちらはモンスターが出やすい方向だということらしい。東のほうに行けば行くほどモンスターも強く、ゴブリンの巣なんかもできやすいとのことで、戦闘を行う冒険者は大体東門から出ていくらしい。「さて、では行きますよお二方」 イアンちゃんが先頭に立って歩みを進める。「はい、イアン先生」「なんですかタカナシさん」「このあたりには何が出るんですか? 」「このあたりにはスライム、ホーンラビット、ミニボアの三種類が出ます。お勧めなのはミニボアですね。小さいですがお肉は中々の美味しさです。ホーンラビットはもう戦ったことがあるとは思いますが……セルフィさんは戦闘経験は? 」「一切ないです。さっき剣を振るったのが最初です。後は近所の、お母さんの悪口を言う子供をボコボコにするぐらいしか」「なるほど。では、実践訓練含めて一つ一つ積み上げていきましょう。まずはモンスターに遭遇するまで適当にうろうろします。モンスターが出てきたら教えますので、それぞれ戦ってみてください」「はーい」 茶番を一つやった後、東門から出た草原へ向かう。こっちは草むらというような見た目もなく、草原というより平原といったほうが正しいのかもしれない。ちょっとした丘を越えると、その先にはモンスターがうようよとうごめいていた。 モンスター同士が共闘したり戦いあったりしないのが不思議な程度の密度だ。社会性のあるモンスターなら……ああ、だからゴブリンが巣作りして適度に密度を保ったりするわけなんだな。「では、一番近いそこのホーンラビットを、タカナシさんまずやってみてください。その次にセルフィちゃんに真似してもらいます」「はい! 」 ホーンラビットがこっちを見かけて、まっしぐらにこっちへ向かってくる。ホーンラビットを避けずにそのまま首をはねるようにしてショートソードを振り、胴体と頭を泣き別れにする。ホーンラビットぐらいなら今の俺の体力なら数匹まとめて来ても問題ないだ
last updateLast Updated : 2026-04-29
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第18話:剣聖、初日の成果に満足する

 日が暮れる前に門まで戻ってきちんと出入りを終える。「さて、急がないとな。今日は買い取ってもらうものが昨日より多いし、夜の鐘に間に合わないかもしれないな。血抜きはしてあるからある程度はいいとして、数があるからな。できるだけ急いで買取に出さないといけない、テンポよく行こう」「はい! 」 一日体を動かしてやる気があふれているのか、セルフィが鞘に入ったままの剣をぶんぶん振り回しながら町中を進む。「まず、冒険者ギルドに向かう。そこで今日の稼ぎを換金してもらって、それからそのお金で夕食をとって、宿を取ろう……もう宿は取ってあるんだけどな」「はい」「夕食は……それなりに硬いが、食べられないよりはいいし、味もそれほど悪くない。何より安くて腹にたまる」「はい」「セルフィのおかげで綺麗な形でモンスターを討伐できたからな。きっとそれなりにいい値段で買い取ってもらえるだろう。えらいぞ」 頭をなでてやる。「えへへ」「もうすっかり仲良しさんですねえ。よかったです」 イアンちゃんがまだついてきてくれているので、セルフィとその間に仲良しタイムを取れた。お互い過去のことは気を使いつつ、何をしていくのか、ということについて話し合った。 とりあえずしばらくはモンスター退治をしてお金稼ぎをして、何か思いつくようなことがあれば話すようにしている。「じゃあ、私の父もご主人様と同じでお休み? でこの世界に来てたんですか。そのあいだにお母さんと付き合ってたと」「たぶんそうだね。特別プランって奴で異世界へ来たんだ。俺はお前のお父さんみたいなへまをするつもりはないからな。立つ鳥跡を濁さずって奴で、セルフィのこともきれいに片づけていくつもりだ」「それまでにしっかり鍛えてもらわなくちゃいけませんね。もっと危険なこともしましょう」「そうだな……俺の手に余らない範囲でなら徐々に手を広げていこう。とりあえず東門周辺なら問題なさそうか? 」「そうですね&h
last updateLast Updated : 2026-04-30
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第19話:ちょっといいお店

 イアンちゃんのおすすめのお店に連れて行ってもらう。だが、少し血の匂いが残っている以上、まずは身支度を整えるのが先だ。イアンちゃんも一旦血の匂いを落としてから行きたいとのことなので、家へお互い戻って体を拭いてから再合流することになり、イアンちゃんに迎えに来てもらうことになった。 セルフィと宿に戻る途中で夜の鐘が鳴る。これは急がないといけないな。急いで宿に戻って、メリーさんに湯を二人分頼む。部屋に戻ると、ベッドがもう一つ運び入れられていた。どうやらセルフィ用にもう一つ運び入れてくれたようだ。ありがたいことだな。寝床をどうしようか少し悩んでいたところだ。「私のベッド……ちゃんと用意してくれたんですね」「さすがに一緒に寝る……というのはな。それに言われる前に用意してくれたようで、後でお礼を言っておこうな」「はい」 しばらく今日使ったショートソードや防具の手入れをしていると、メリーさんが湯を持ってきてくれた。「セルフィ、向こう向きな。背中はやってあげよう。ただ前と……それ以外の部分は自分でやってくれ。さすがに年齢的にまずいだろうしな」「わかりました。では、背中お願いします」 髪を洗うのは最後でいいな。セルフィの長い銀髪を軽く持ち上げて縛り、邪魔にならないようにしてから背中を拭いてやる。「あう……」と気持ちよさそうな声が聞こえるので、しばらく体も洗えていないんだろう。奴隷とはいえ、ある程度綺麗にしておかなきゃ売り物にもならないとは思うんだが、その辺は良いんだろうか。 セルフィの背中を拭き終わった後、背中合わせになってお互い自分のあちこちを綺麗にしていく。ふと、湯を掬うための手ぬぐいを洗うタイミングが一緒になり、手が触れ合う。ビクッとびっくりしたセルフィだったが、すぐに俺の手だと気づいて元に戻る。後一年こんな関係が続くんだから慣れていかないとな。 血の匂いが落ち着き、体も綺麗になったところでセルフィの髪を洗ってやる。体を拭いた後の湯なので綺麗だとは言いがたいが、今のままの髪で居るよりはよほど綺麗になるはず
last updateLast Updated : 2026-05-01
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第20話:これから何をしようか

 食事を終えて、満腹になる。結局、もも肉の茹でたやつを追加で注文して、お金は定食と合わせて銅貨30枚ということになった。いいお店を教えてくれたのでここは俺のおごりだ。「さて、今後何をしていくかだが……ダンジョンへは一度向かってみたい。ダンジョンではどういう稼ぎができるんだい? 」「では、まず説明を。ダンジョンでは、モンスターの死体が残らず消滅します。その代わり、モンスターの体内に存在する魔石が必ず落ちてきますので、それを冒険者ギルドに出すことで報酬を得られます。モンスターが強いほど魔石の質もいいものが落ちると考えてください。そして、ダンジョンの性質上奥に行けば行くほどいい収入になる、と考えてください」「直接現金になる、ということか。血抜きしたり薬草を束にしたりしなくてもいい分だけ手軽ではあるな。魔石をそのまま売り買いできるってこともわかったし、ぜひ一度試してみたいな」「でも、ダンジョンは危険だって聞いてますよ」 セルフィもダンジョンが危険なことはわかっているらしい。だが、セルフィは剣聖だ。俺が一人で立ち入ることはなかっただろうが、二人ならなんとかなるかもしれない。「二人ならまあ、なんとかなるかな。浅いところで一日活動してみて、できるところまで深く潜ってみて、そこでどれだけ稼げるかを探ってみよう。高報酬の仕事は無理でも、ダンジョンで出来高払いという形ならなんとかなりそうだ。お弁当持って探索に出かけよう」「お弁当ならリンカちゃんに頼めば、スープはともかくとして一食分なら作ってもらえると思いますよ。本当に軽いものですけど」「空腹でダンジョンで彷徨うぐらいなら軽くてもそのほうがいいかな。ちなみに、冒険者ランクでダンジョンの階層が制限されてたりはないよね? 」「ありますよ。ダンジョンによってはあからさまに力不足だということで、ダンジョンによっては入る際にチェックされて入場拒否されるダンジョンもあります」 ふむ、その辺はちゃんとしてるのか。冒険者ランクをちゃんと定めている意味はあるってことだな。「じゃあ……Fランクでも入れるダンジョンが近くにあ
last updateLast Updated : 2026-05-02
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