セラは窓の外を見て、目を細めた。 黒曜宮にあるジェイドの執務室には、心地よい陽光が差し込んでいる。 王都への帰還に向けた準備は着々と進み、城のあちこちで荷造りまで行われている。セラも、ダンスや作法から、社交界における暗黙のルールのようなものまで、一通り習い終え、もうあとは、王都への出発を待つばかりだった。 そうして準備をすすめる中で、ジェイドの身体に目覚ましい変化があった。 毎日欠かさず手を繋ぎ、呪いの魔力をセラが取り込み続けた成果により、いまやジェイドが人の姿を保てる時間は、七時間をこえるようになった。日中のほとんどの時間を、人の姿で過ごしている。 今も、執務机に向かい、端正な顔立ちで書類に目を通す彼の姿は、まさに第一王子らしい。 ジェイドが書類を置くタイミングを見計らって、セラは声をかけた。 「あの……ジェイド」 「ん? どうしたんだい?」 「王都へ発つ前に……この黒曜宮の周り……ジェイドの領地にまだ残る呪いの魔力を、取り去る時間はとれるでしょうか」 「領地の瘴気を?」 「はい。黒曜宮から見えるあなたの領地は、とても美しい場所です。ゆるされるのなら、残った瘴気を綺麗に取り除いてから、王都へ向かいたいのです」 セラは、ジェイドが与えてくれる優しさに、常々何かを返したいと考えていた。それに、はじめて大きな青空を見せてくれた場所に愛着も感じている。 ジェイドは、心配そうな顔をして言う。 「そう考えてくれるのは嬉しいが、危険——」 すると、それまで静かに控えていた侍従長のバーニーが、身を乗り出して言った。 「素晴らしいご提案でございます、セ
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-27 อ่านเพิ่มเติม