──そのとき、事件は起こった──「このカガは、その平らかな胸に包まれて眠りたい! 我が槌をその平らかな胸に捧げることを、料理の聖女にして災厄を打ち払いし偉大な武人たる貴女にどうか許していただきたい! 我は天突く岩の氏族の陶器職人徒弟カガ! みさきさん、貴女に地霊の試しを申し込む!」 初戦闘訓練後の宴会で、カガさんというヒゲモジャさんが詰め寄ってきた。周りのドワーフたちが「うおおおーーー!」と盛り上がっている。なんすかねこれ。ちょっと圧が強いんですけど。「婚姻の申し出じゃな。まさか男衆と交じってから雷鳴をいくつも数えんうちにとは、わしの若い頃にも負けんわい」 女子高生Lカップアイドルみたいなオババ様の若い頃とか言われてもよくわからんですたい。っていうか、婚姻の申し出? オババ様によると、先ほどのカガさんの宣言は天突く岩の氏族の伝統的プロポーズの口上なんだそうだ。相手によってバリエーションはあるけれど、名乗りを上げ、相手を称え、地霊の試しとやらを申し込むのが定形フォーマットなんだそうだ。平らかな胸って二回言ったよな? それ褒め言葉のつもりだったのかこら? 急に地霊の試しとか言われてもわからん。っていうか君誰よ? わたしはまだローガンさん以外のドワーフ男性の見分けがよくつかんぞ。「あっ……すみません、あの、ぼくは陶器職人の徒弟をやってまして……。次の灰色の空の刻でちょうど40歳になります。ひと目見たときから、みさきさん、貴女のことを愛してました!」 あっばー。あばば、あば。今度はどストレートな告白で攻めてきやがった。えっ、まっ、はっ? そういうの慣れてないんですけど、やめてほしいんですけど。カガさんを見返すと……ヒゲモジャの奥の顔はすっきり細面なアイドル系男子にも見えなくもない。体つきも他のドワーフ男性と比べると比較的スマートで、樽マッチョならぬゴリマッチョ止まりだ。これならアリか……いやいや、そうじゃない。脳がバグってるぞわたし。見た目だけで結婚を相手を選ぶなんて最低だ。もっとお互いのことを知ってから……いやそうじゃなくて。あれ、カガさんどこ見てるの? こういうときは相手の目を見つめるものじゃない? 明らかにあなたの視線はちょっと低くてさ。完全に胸のあたりに視線を感じるんですけれども。 頭の上に、ピコーンと豆電球が灯る。
ปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13 อ่านเพิ่มเติม