บททั้งหมดของ 三十路OL、セーラー服で異世界転移 ~ゴブリンの嫁になるか魔王的な存在を倒すか二択を迫られてます~: บทที่ 51 - บทที่ 60

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第四十八話 5人麻雀大会・イン・異世界・イン・スーパー銭湯

※前書き:変則麻雀のルールが出てきますが、おぼえる必要はないです。「ロンです!」「ごめんなさい、ロン」「ロンでございます」「……ロン」「ふぁっ!?」 セーラー服を着たまま、お風呂に浸かりつつ4人同時ロンというおそらく全異世界を総合しても一人として味わったことがないであろう体験をしているのがわたしこと、高町みさき満三十歳である。この世界では天が灰色に染まる時に一斉に歳を取る数え年制がメジャーなようであるが、わたしは地球人であり日本人である。つまり、誕生日までは歳を取らない。三十一歳まではまだ数ヶ月の余裕があるはずだ。繰り返すがあるはずなのだ。念のためもう一度言っておくと、わたしはまだ満三十歳である。 スーパー銭湯に案内されたわたしたちが手にしているのは耐水性のマージャンカードだ。通常、麻雀といえば親指程度の大きさの小さな牌を使って行われる遊戯なのだが、マージャン卓を用意できない環境でも遊べるように、牌をトランプのカードのように仕立てたものが市販されていたのである。 どうしてこんなことになったかと言うと、原因はメカクレちゃんである。どうしてもマージャンで遊びたかったのか、遅れてやってきたかと思うとこの耐水性マージャンカードを持ち出したのだ。おもちゃ屋さんだか雑貨屋さんだかから持ってきたらしい。そんなにまでしてマージャンがやりたかったんかい……。 そんなわけで、まずはメカクレちゃんとメガネちゃん、そしてわたしの3人でお風呂に浸かったままの3人マージャンというエクストリーム・スポーツがはじまったわけなのだが、それを興味津々に見守っていたのがミリーちゃんとサルタナさんである。「せっかくだから、みんなで遊びませんか?」「……うん」 というメガネちゃんの一声に同意したメカクレちゃんは、初心者込みの5人でも遊べる変則ルールを即興で考え出した。まず、手牌は通常12牌であるが、これを4牌とする。これは通称4枚マージャンと言われるもので、マージャン初心者向けに基本ルールを教える時に実際にプレイされているものである。 そして、フリテンやドラなどのややこしいルールはなし。捨て牌もきれいに並べたりはせず、卓の真ん中にババ抜きのように適当に捨てていく。これは中国式マージャンと同じだ。マージャン発祥の地は中国のはずなのに、日本やアメリカで魔改造されたルールがいまやメジャ
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第四十九話 日本でやったら絶対怒られるやつだ

「それでは第一回マージャン大会が無事完了しましたことを祝いまして、かんぱーい!」「「「「かんぱーい!」」」」 フードコートの一角に陣取り、ジョッキを打ち合わせ、ごくごくごくと喉を鳴らして黄金色に輝く液体を飲み干す。ぷはーっ、と思わず息を吐いて味わっているのは生ビールだ。やはり風呂上がりはこれである。なお、ビールを飲んでいるのはわたしとミリーちゃんとサルタナさんの三十路組で、メガネちゃんとメカクレちゃんの未成年組は炭酸水だ。「おいしーい! エールともエンペールともぜんぜん違うんですね!」「なんという澄んだ味わいにございましょう……。これほどのものは皇都でも味わったことがございません」 みんなお腹が空いてるだろうし、わたしも空いているので酒の肴はひとまず簡単なものを用意した。冷凍のフライドポテトを揚げたものに刻んだアンチョビとドライパセリを和えたものと、茹でた枝豆をオリーブオイルとにんにく、鷹の爪、ベーコンでさっと炒めたペペロン枝豆だ。簡単だけれど、ビールのお供には最強のタッグである。ちなみに食材はドラム缶ロボにお願いをすると超速で取ってきてくれた。有能過ぎる。「フライドポテトも枝豆も、一工夫するだけでこんなに変わるんですね」「……うまい」 料理の方はメガネちゃんとメカクレちゃんが感心した様子で味わっている。ミリーちゃんは予想通り一心不乱にもぐもぐと、サルタナさんは優雅に味わっているがその手は止まっていない。ふふふ、まず一発目は当たりのようだ。 料理を作るに当たって、メガネちゃんとメカクレちゃんには普段どんな物を食べているのか簡単に聞いていた。このショッピングセンターは多くの部分を地球と同期させているそうで、食材や料理メニューは日本にあるモデルとなったショッピングセンターと同じものが出るようになってるのだそうだ。しかも、在庫はいつの間にか回復するとのこと。どんな仕組みやねん。 一通りのレギュラーメニューは食べ尽くしてしまったので、いまでは日替わりメニューを食べたり、あえてコンビニ弁当を家具店のソファーで食べたりしているとのこと。うーん、ちょっと楽しそうだなそれ。日本でやったら絶対怒られるやつだ。一回やってみたい。 なんでも好きなように出せるようリクエストしてもよかった気もするが、あまり過剰な要求をするとあの女
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第五十話 ホタテの旨味にサザエの食感を合わせたような

 正直、この料理は半ば冒険の要素がある。しかし、例の某有名イタリアンレストランチェーン店があるのならば試さずにはいられないものだ。わたしが幾度も夢想した、夢の組み合わせでメインを仕上げるのだ。 まずは食材の確認だ。調理前のあれがどのような姿になっているのかを知らない。厨房に戻ったわたしは、ドラム缶ロボに用意してもらった。それを見る。 ……うーん、見た目は普通に冷凍ホタテ的な? そう、あれだのそれだのもったいつけてみた食材とは、エスカルゴである。テレビやネットなどで仕入れた情報だが、このレストランチェーンで扱っているエスカルゴは、日本で入手可能な物の中では最上級の品質らしく、ミシュランで星が付くような店のシェフでさえ「同じエスカルゴを仕入れさせて欲しい」と願うほどのものなのだ。まあ、ステマかもしれんけど。 ともあれ、実際に食べてみると美味しいのも事実だった。本場イタリアなりフランスなりで味わったことがないので比較はできないが、ホタテの旨味にサザエの食感を合わせたような、妙に後を引く味であった。これをオリーブオイルや各種調味料で味付けし、おしゃれ度合いを十倍に引き上げたたこ焼きプレートのようなものに入れてオーブンで焼き上げたものが本来のメニューである。 これの調理は一旦、アシスタントに付いてくれているドラム缶ロボに任せる。メガネちゃんによると、各店のマニュアル通りの調理をはすべてこなせるそうなのだ。高性能過ぎる。ただし、マニュアルから外れた行動は取らないため、自主的な創意工夫には期待できないらしい。そのへんは、セーラー服君に合い通じるものを少々感じる。 わたしの方はパスタの準備だ。太さは1.6ミリの標準的なロングパスタ、いわゆるスパゲッティだ。合わせるソースが少々冒険的なので、麺の方は無難な選択をする。ただし、品質は最上級だ。輸入食材店から一番高いやつを持ってきてもらった。こういうことを言うとしゃらくせえと思われるかもしれないが、パスタは本当に味が値段に正比例する。 パスタなんてどうせ全部同じ味だろうと1キログラム数百円の激安品をずっと愛用していたわたしだったが、一度もらいものの高級パスタを茹でてみたらあまりの味の違いに愕然となり、それ以来パスタの品質にはこだわるようになったの
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第五十一話 こういうのでいいんだよ、異世界転移は

「もぐもぐ……パスタ、でしたっけ? こんなのはじめて食べました! つるつるしてて、歯ざわりもよくておいしいです!」 不慣れな手付きでフォークにパスタを巻きつけ、すごい勢いでパスタをもぐもぐしているのはミリーちゃんだ。麺料理ははじめてのようだが、物怖じすることなく食べてくれている。「麺料理とはひさしぶりですね。しかし、これほど完成度の高いものは食べたことがございません」 器用にフォークを使いつつ、一口ずつ確認するかのように味わっているのがサルタナさん。エスカルゴをまじまじと見つめてから頬張り、「これは……貝? しかしこのような味は……」などと首を傾げている。 うーん、そういえばこの世界に来てからカタツムリを見たことがないぞ。こっちにおけるカタツムリの扱いがわからないので、ネタばらししていいものか迷う。ゲテモノを食わせたと思われるのは嫌だしなあ……。まあ、巻き貝の一種だということにしておこう。別に嘘は言っていない。「いつも食べてたパスタとぜんぜん違う……」「……麺がうまい」 パスタを食べ慣れているはずのメガネちゃんとメカクレちゃんにも好評のようだ。そう、パスタ料理というのはパスタそのものの品質で味が何ランクも変わるものなのだ。超高級店や味にこだわる個人店は別として、チェーン店はコスト重視でそれほど高級なパスタを使用できない。原価を無視できる時点で勝ち確は約束されていたのである。 茹でたパスタの重量は2キログラムを超えており、それにアンチョビポテトにペペロン枝豆、小エビのサラダもあったのだが、みるみるうちに量が減り、きっちり完売となった。わたしとミリーちゃん、サルタナさんはがんがんに身体を動かしてきた後だし、リアル十代の二人の食欲も年齢相応で大したものだった。ちょっと余るかな……くらいに考えて作ったのだが、もう少し多めでもよかったのかもしれない。「そしたら次は、食後のデザート……ってところなんだけど……」 みんなの視線が一斉にわたしに集まる。あー、まいったな。ぶっちゃけお菓子作りは苦手なのだ。性格が大雑把にできているので、細かな計量や繊細な作業が必要なお菓子は何度チャレンジしてもうまくいかなかったのでトラウマなのである。とはいえ、期待されているとなれば応えねばなるまい。「うーん、そしたらドラム缶ロボ君?」 アシスタントのドラム缶ロボにお使いをお願
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第五十二話 なんでJKから昭和なプロポーズされてるんですかね

「ひっ……ひぐっ……こんなの、こんなの食べたの、おばあちゃんが、しっ、元気だったころ以来で……ごめ、ごめんなさい」「……だいじょうぶ。だいじょうぶだから。もう全部忘れよ」 朝食の席で突然ぼろぼろと泣き出したメガネちゃんの背中をさすって慰めているのはメカクレちゃんだ。一体どういうことよ……。セリフから非常に重たいものを感じるぞ……。 みんなよりひと足早く起き出したわたしは、厨房を借りて朝食の準備をしていた。昨日の夜から冷蔵庫に入れて水を浸漬させていた高級米を、これまた家電量販店でゲットした最高級炊飯器で炊き、おにぎりを作っていたのだ。 あとは油揚げとわかめのお味噌汁に、フォークでも食べやすいよう一口大に切った塩鮭、出来合いの漬物を少々、というシンプルな和朝食である。お味噌汁に関しては、ひさびさにちゃんと出汁を引いた。って言っても、顆粒出汁に頼らず出汁パックを使ったってだけだけど。 お米を仕込むときに、ついでにお味噌汁用として出汁パックを水に漬け、冷蔵庫に入れておいたのだ。こうして沸かさずに冷水でじっくり出汁を取ると、雑味のない上品な味わいになるという寸法だ。 こんな機会はめったにないし、ミリーちゃんとサルタナさんにも米を味わってもらおうと考えた結果がこれだった。お椀に盛ったごはんは慣れないと食べにくいが、おにぎりなら食べやすい。海苔で包んでしまえばお米の粒も見えないから、視覚的な抵抗感も薄れるだろう……という狙いだったのである。 それが……どうしてこうなった。お味噌汁を一口飲んだメガネちゃんが、突然ぼろぼろと泣きはじめてしまったのだ。二人の会話から洩らされるのは断片的な情報でしかないが、どうもメガネちゃんのおばあちゃんは亡くなっていて、それにまつわるトラウマのようなものがあるようなのだ。 完全に予想外のところで地雷を踏み抜いてしまった。お味噌汁自体がトラウマのキーだったのか、勝手に朝食を作ったのは失敗だったか……などと考えていると、どうもそういうことではないらしく、メガネちゃんは泣きながらも「おいしい……おいしいです……」と言いながらきれいに完食してくれた。 突然の出来事に、メガネちゃん以外は手が止まったままだ。それに気づいたのか、メガネちゃんは涙を拭き取ると、気恥ずかしげに居住まいを正した。「ごめんなさい。急に取り乱しちゃって。こ
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第五十三話 ピーマンにされたら、勝てない

 フリーズしたわたしに、メガネちゃんが不思議そうな視線を向けてくる。 あっれー? いまのって、そういう意味じゃないの? あっ、ていうか「私に」じゃなくて「私たちに」って言ってたな。つまり、わたしはメガネちゃんとメカクレちゃんの共有嫁になる? あ、いやいや、そうじゃなくて、うーん、いや待てよ? いまの十代女子に「毎朝俺の味噌汁を作ってくれ」ってプロポーズはそもそも意味が通じてない可能性があるぞ。そんなん昭和の世界だ。平成世代のわたしだって、創作物の中でしか見たことも聞いたこともないセリフである。んん? となるとさっきのセリフはどういう意味だと解釈すればいいんだ? わからん、わからん、わからんぞぉぉぉおおお!!「すみません、唐突に変なお願いをしちゃって……やっぱりダメですよね。大切な旅の途中ですし、私たちと一緒に暮らして、ごはんを作ってほしいなんて」「……毎日、食べたい」 思考の迷路に陥っていたわたしの態度を否定と受け取ったのか、メガネちゃんとメカクレちゃんが言葉をつないだ。ああ、そういう。裏の意味はなくて、普通に毎日ごはんを作ってほしいってリクエストだったわけですね。すみませんね、耳年増なもので。変な意味に捉えてしまいました。あとな、いま「リアル年増だろ」って思ったやつ。あとで体育館裏な。 あー、でも、魅力的な提案であることは否定できない。このショッピングセンターにいる限り、日々の暮らしにも困らないし、瘴気領域の中に女子高生二人が暮らしていて無事だったのだ。安全も確保されるとみて間違いない。ドワーフ村の問題についても、このショッピングセンターの物資を提供できるのなら解決できるだろう。「申し訳ございません。主人は多くの子を為すか、瘴気領域の主を倒すかという使命を帯びているのです。せっかくのお誘いですが、一つ所に留まる安寧はそれを果たすまで享受できません」 って、考え込んでたらいきなり口を挟んだのがセーラー服だ。おまえ、いつの間に起きとったんじゃい。つかさ、瘴気領域のボスを倒すにしても、このショッピングセンターの超パワーを借りられるのなら楽勝な気がするし、けっこう合理的じゃね?「そういえば、高町さんには使命があったんですね……」「……忘れてた」 突然言葉を発したセーラー服に一瞬きょとんと
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第五十四話 プロアスリートのようにむっきむきに引き締まっている

 そして4日後。わたしたちは4つの車輪がついた鉄の箱――すなわち、自動車に乗って瘴気領域の荒野を疾走していた。「みさきさん! これなら地潜りゴブリンも、でっかいやつも追いつけなそうですね!」「我が地を這う稲妻号とは比較になりませんが……このハンドルに伝わる手応え、大地に近い疾走感……これはこれでいいッ!」「あー、サルタナさん。あんまり飛ばすとバッテリーがもたないんで、30キロくらいでお願いします」 スピードメーターを指差し、このへんですよと数度目かの念押しをする。サルタナさんに地球の数字は読めないが、針がこのへんに来たらダメですよーというのは当然伝わる。やはりこの手の計器は直感的なのが一番だ。 ハンドルを握っているのはサルタナさん。わずかな練習ですっかり運転を身に着けてしまったのはさすがスピード狂だ。あらゆる乗り物に対する天性の勘的なものが備わっているのかもしれない。教習所で何度も実技試験に落ちて、やっとこさオートマ限定免許を取ったわたしとは大違いだ。 そう、この自動車こそがメガネちゃんたちからの報酬だった。最新式のソーラーカーで、薄曇り程度の日照があれば時速30キロ程度での連続走行が可能。一日中ぼんやりと明るいこの世界にはぴったりの性能だ。 タイヤはエアレス式のものに取り替えているのでパンクの心配はなく、すり減ってダメになるまでは乗り続けられるだろう。ガソリンでの走行も可能なので一応満タンにしてあるが、補給の目処がない以上、これは緊急時以外では消費したくないところだ。 太陽光発電だけでまともに走れる自動車なんて、わたしが日本にいたころには発売されていなかったが、どうやらひと月前ほどに発売された新製品のようだった。あのショッピングセンターの品揃えは地球と同期しているため、新製品も常に入荷しているのだ。 変化に乏しい環境で暮らしているあの二人にとって、新製品というのは何でも娯楽になるらしく、ショッピングセンターの一角にあるカーディーラーに入荷されたのを見つけて、適当に走らせたりして遊んでいたそうだ。 そして、メガネちゃんからのお願いごとというのは、料理を教えてくれというものだった。そもそも料理をしようという発想がほとんどなかった上に、二人とも日本にいたころはコンビニ弁当や菓子パン、スーパーの惣菜などばかり食べていたため、料
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閑話4 メガネちゃんとメカクレちゃん

 ショッピングセンターの一角。無数の調理台が並べられたキッチンで一人で何かをしているのはメガネちゃんだ。ここは料理教室や、料理体験イベントなどで使用されていたスペースである。「メガネちゃーん! また理科の実験やってるの?」 そこへ明るい声とともに現れたのはメカクレちゃんである。メカクレちゃんは極端な人見知りで、メガネちゃん以外とはハキハキと話せない。高町みさき一行とはずいぶん親しくなったつもりだったが、メガネちゃんに見せるほどのフランクな態度は出せなかったのだ。 なお、小説の地の文で「メガネちゃん」や「メカクレちゃん」などと愛称で呼ぶことは本来好ましいことではないが、日本における本名を捨てたいという彼女らの希望を汲んでこのままの呼称とすることをお許しいただきたい。「うん、そうだよ。やっぱり、気になることが多くってさ」 メガネちゃんはそう言うと、ビーカーの水にストローで息を吹き込んだ。すると水が白く濁る。何のことはない、石灰水と二酸化炭素の反応を確かめる実験である。「こういうのも、普通なのにねえ」 今度はメカクレちゃんが、なんらかの水溶液に刺さっていたストローを吹き、シャボン玉を作り出す。やはり何のこともない。石鹸液でシャボン玉を作っただけだ。「なのに、こうすると……」 メガネちゃんが小さなろうそくに火を付け、それをガラス製のビーカーで蓋をする。調理台は真っ平らで、空気が入る隙間などない。地球の物理法則に則れば、このまま、燃焼に必要な酸素を消費しきったら火が消えるはずである。 しかし、蓋をして、どれだけ待っても火は消えない。「見た目はほとんど、地球と変わらないのにね」「うーん、やっぱり異世界だからじゃない?」 あはは、身も蓋もないね、などと笑いながら、メガネちゃんがビーカーを外してろうそくの火を吹き消す。放っておけば、ろうそくが燃え尽きるまで消えないのだ。「ぱっと見たかんじは地球と一緒だけど、根本的なところが地球と違うんだよね」「なのに、家電とか、鉄砲とか、フツーに使えるのはホント不思議だよね」 そうなのだ。原子、素粒子レベルで世界の成り立ちが違うのなら、精密機器や化学反応を用いたそれらがまともに動くのはおかしい。電化製品であれば回路がまともに働かないだろうし、銃であれば火薬が意図通りに燃焼するかわかったものではない。にも
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閑話5 貧乳フェチとピーマン魔王

 高町みさき一行が交易都市に着こうとしていたころ、いまや滅びた皇都に向かって歩く一個の鉄塊があった。高さは人間の男の胸辺り、円筒形で、前面と思われる方にスリットが何筋か刻まれている。誰かが中に入って歩いているようだ。「さすがに暑いし……重い……。でもみさきさん! 待っててください! このカガは必ずやあなたの力になります!」 そう、鉄塊の中身はカガである。高町みさきが旅立った後、仲間のドワーフたちの目を盗んで抜け出し、後を追っていたのだ。しかし、サルタナが駆る異様な速度の馬車には到底追いつけず、何日も遅れることとなった。 そうして開いた差を埋めるために考えたのが皇都を突っ切るという作戦だった。高町みさきたちは皇都を迂回し、瘴気領域を通ると聞いている。この作戦が成功すれば、数日分は差を縮められるだろうという目算だった。 問題となるのはいまでも皇都に居座っているという緑の魔王だ。噂によると、魔王は生き物であればなんでも野菜に変えてしまう恐ろしい魔法を操るという。つまり、生き物に見えなければ魔法は効かないか、見逃されるのではないかと考えたのだ。 皇都の最寄りの町の鍛冶屋で金属を買い、鍛冶場を借りて突貫で作り上げたのが、いまカガが身につけている……というか、被っている鉄塊だった。カガは陶器班ではあるが、ドワーフの嗜みとして鍛冶仕事もある程度できる。歩いている姿を見られれば生き物だと思われるかもしれないが、止まって身をかがめてしまえば金属製の円筒にしか見えない。怪しまれる可能性は十分にあるものの、少なくとも生き物だと思われることはないだろう。 と、書いてはきたものの、これは何の確証もない賭けである。常人なら旅程を数日早めるためだけにこんなリスクは犯さない。だいたい、わざわざ追いかけなくても待っていればドワーフ村に帰ってくるはずなのだ。それをこんな無謀な行動に駆り立ててしまうとは、げにおそろしきは愛の執念である。 順調に街道を進み、ついに皇都に入る。だいぶ前から生き物の気配をどこにも感じない。往時であれば厳重な検問があったであろう立派な門も開け放しで、衛兵の姿もない。街に入っても同じく無人。建物が破壊された跡は一切なく、それがかえって不気味な静けさを醸し出していた。 愛に目が曇ったカガもさすがに不安になり、急ぎ足で道を進む。事前に
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
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閑話6 とある女神の害虫退治

 くるくると切り替わる極彩色に視界の一切を覆われ、非連続に切り替わる万華鏡のような世界。精妙なる調べと暴力的な轟音が共存し、反発し、時に溶け合う世界。目を塞ごうと、耳を塞ごうと、容赦なく脳を苛んでくる世界。もし我々のような三次元に生きる知的生命体がこの世界を訪れることがあったとすれば、数分と待たずに正気を失っているであろう世界。 そう、これは我らが物語の主人公である高町みさきの言うところの女神モドキ、すなわちだるっだるのスウェットを着た爆乳の金髪美女であるフレイアの話だ。 例によって、冒頭の調子で描写を続けるとどれだけ紙数を費やしても話が前に進まないし、読者諸賢であってもまったく理解の及ばない話になってしまうため、我々三次元に住む知的生命体であっても理解可能なように翻訳した形で描写することをお許しいただきたい。これはお互いのためなのだ。そのまま書き続けたとしてもつまらないし、それ以上に筆者も読者も狂気に陥る恐れがある。 さて、くどくどしい前置きはこれくらいにしておこう。本閑話で主人公をつとめるフレイアであるが、これが何をしているかと言うとにやにやしながらパソコンのディスプレイを眺めている。映っているのは彼女が管理を代行している世界に送り込んだ低次知性体が、自らの体長をはるかに超える巨大な瘴気由来生物と戦っている映像だ。こうして眺めている間にも、再生数のカウントは次々と増えていっている。「これはもうさあ、ブロガーとか配信主になっちゃっても食っていけちゃうかんじだよね」 ぐふぐふと汚く笑いながら、高濃度アルコールチューハイの缶をズズズとすする。念のため、くどいようだが繰り返すが、これは高次元知性体の正確な姿を描写しているわけではなく、あくまで地球人類でも理解できるように翻訳しているだけである。 そう、フレイアは「閑話3」でアップした記事、及び動画がバズりにバズり、これまで見たことがないような桁に膨れ上がるアクセス数に酔っていた。はじめはほんの1件でも新しい仕事の受注につながればラッキーくらいに考えていたのだが、次々にやってくる世界管理代行の依頼や、世界創生グッズに関わるメーカーからのコラボ依頼に完全に舞い上がっているのである。 とはいえ、まだ経験は浅くともフレイアはいっぱしの事業主だ。調子に乗
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