บททั้งหมดของ 三十路OL、セーラー服で異世界転移 ~ゴブリンの嫁になるか魔王的な存在を倒すか二択を迫られてます~: บทที่ 31 - บทที่ 40

124

第二十八話 時間というものは地球人類社会における大いなる共同幻想

 さて、腹も満ちたし、いよいよ冒険者ギルドに出発だ! なんてことにはならない。 ローガンさんが席を立ち、店の奥の壁に向かっていく。そこに無数の張り紙があるのだ。張り紙の内容は「裏庭の雑草を抜く手伝いをお願いします」とか「ペットが迷子です。見つけた方には謝礼差し上げます」みたいなものが中心だ。要するに、雑用である。人が集まる飲食店にこうした張り紙をして、その日暮らしの労働者を募集しているというわけなのだ。 文字が読めない者も多く、給仕にチップを払って手頃な依頼を探してもらうことも多いそうだ。そしてわたしもその文字が読めないものの一員であるが、セーラー服君が視界に投影してくれる翻訳済みの日本語があるので問題はない。 その日雇い労働者が通称「冒険者」である。現地語を直訳すると「危険を冒してもなお栄光を求める者」といった意味合いの言葉らしい。なんでも昔に大出世した元冒険者が「日雇い英雄」というあだ名を付けられたのを嫌い、私財を投じて新しい名称を広めるべく一大キャンペーンを張ったそうなのだ。まったく、暇な英雄もいたものである。 店としては、張り紙の存在は一応客寄せになるし、付き合いもあるので手数料も取らずにやっているが、直接収入にならないので内容にはほぼ関知しないとのこと。これは勝手に貼られたもので、当店には関係ございません、というスタンスなわけだ。「13歳以下の女性限定。住み込みでできる簡単なお仕事。高収入保証!」みたいな怪しいものはさすがに断るそうだが。誰だよその依頼をしたやつは。いますぐ街から追い出した方がいいぞ。 ローガンさんが張り紙のうち一枚を手に取る。繰り返し貼って剥がせる糊みたいなものでくっついていたのか、壁も紙も綺麗なままだ。地球では二十世紀に入ってからの発明だったと記憶しているけれど、こちらの世界でも似たようなものがすでに発明されているらしい。 ちなみにローガンさんたちも文字は読める。ドワーフの赤ちゃんは人間に比べるとごく短い妊娠期間で出産され、父母のお腹の袋の中での生活に移行するので、袋から出ないうちに簡単な文字が読める程度までは教育を済ませてしまう。有袋類的な生態を活かしたメリットだと言えるだろう。胎教ならぬ、袋教だ。「こいつがちょうどいいな。このへんに出るやつなら岩ゴブリンよりずっと弱ぇから嬢ちゃんなら楽勝だし、ミリーにもちょうどいい相
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第二十九話 草が詰まった頭で人間様を出し抜こうなど数億年早い

 視界いっぱいに広がる緑の草むら。その中を駆け回る二人の少女。このシーンだけを切り取れば、極めて穏やかな農村のある日の一風景、といったところであろう。少女と言いつつ、二人とも三十路だけど。「ミリーちゃーん。そっち一匹行ったよー」「はい! みさきさん!」 ニホンザルの全身を青草で覆ったような異形がミリーちゃんの方へ駆けていく。ミリーちゃんが手にした槌ですれ違いざまに胴に一撃を叩き込むと、進行方向とは真逆に吹き飛ばされてゴロゴロと転がり沈黙。うーん、お見事。撲殺天使ミリーちゃんの称号を授けよう。 なぜミリーちゃんも一緒に「試し」を受けているのかと言えば、「村の危機を救おうとみさきさんが動いてくれようとしているのに、私たち自身が何もしないのは氏族の名折れです!」と助太刀を買って出てくれたのだ。ありがてえ……。ローガンさんが反対するかと思ったけれど、意外なことにあっさり承諾してくれた。 なお例によってカガ君も必死にアピールしていたが、わたしがものすごく嫌そうな顔をしているのを察した陶器班の先輩がみぞおちに拳を打ち込んで気絶させていた。ありがとう、陶器班パイセン。 目の前の草むらがガサガサと動く。おっと、わたしもサボってる場合じゃない。黒い戦鎚を草に紛れているゴブリンの頭に向かってボカンと振り下ろす。沈黙。一打必殺。楽勝である。ドワーフ村での戦闘訓練で教わったので、戦鎚の扱いもいまや手慣れたものだ。 いまわたしたちが相手をしているのは農村から駆除依頼のあったゴブリンだ。正確には草ゴブリンである。全身に青草のような体毛をもっさもっさと生やし、まだ直接目にはしていないが皮膚も樹皮のようで、このような草地での擬態に特化しているらしい。岩ゴブリンといい、この世界のゴブリンには変異種しかいないのか。っていうか生物学的な共通性が薄いようにしか見えんぞ。 人目に隠れて野菜や鶏のような家畜を盗む農家の大敵であり、見つけ次第駆除するのが農家の習わしだそう。戦闘能力は低いので、大人の男が農具でガツンとやれば十分に退治できるのだが、少し規模が大きな群れがやってくるとそう簡単に行かない。草むらに隠れた草ゴブリンに一斉に石を投げつけられ、大怪我を負ったり当たりどころが悪くて死んでしまう、という事故も時々あるらしい。 そんなわけで、自分たちで対応する
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十話 来た時よりも美しくが冒険者のモットー、かは知らない

 倒した草ゴブリンたちは村の外れに集めて積み上げていく。草ゴブリンたちから回収できる素材はなく、燃やして灰にし、畑に撒くくらいしか利用法がないそうだ。生前は農家に迷惑をかけ、死後もそれほど役に立たない。まったく迷惑な連中である。農家のみなさんが仇敵と憎むのも納得できるというものだ。 来た時よりも美しくが冒険者のモットー、かは知らないが、この手の駆除依頼は片付けまでが含まれていることが基本なのだそう。まあ、汚れ仕事なんてそんなもんですよね。なお、草ゴブリンの焼却作業は農家さんの受け持ちである。下手に飛び火でもして火事になったら洒落ではすみませんからね。危険で面倒なことは任せたいけれど、火の扱いまでは一見には任せられんということだ。 せかせかと草ゴブリンの死体の片付けを進める。急いでいる理由は、サルタナさんにどうしても聞きたいことができたからだ。最後の一体を運び終わり、腰を伸ばしているとありがたいことにサルタナさんの方から話しかけてきてくれた。「見事な手際でございました。実力を疑うような真似をして申し訳ございません。武術の腕前は言うまでもなく、草ゴブリンを苦もなく見つける探索技術と観察眼。まったく文句のつけようもございません」 えへへ……と思わず照れ隠しに頭を掻いてしまう。まあ、ゴブリンを見つけたのはセーラー服君の索敵機能によるものなので、文字通りのチートなのだが。「それはそうと、わたしも聞いてもいいですか? さっきのゴブリンを燃やしたのって……その、いわゆる魔法って言うやつですかね?」「ええ、そのとおりでございます」 いい年をして口にするのが恥ずかしい単語に思わず言いよどむが、サルタナさんはあっさりと肯定した。「といっても、わたくし自身の術ではなく、道具に封じたものを使っただけですが」 そういってサルタナさんはスカートのスリットからすっと一本のナイフを取り出してみせた。ありゃー、清楚っぽいデザインの服なのに、そんな深くまで切れ込み入ってたんだ。逆にエロい。じゃない。いまはそこじゃない。サルタナさんの太ももから視線を剥がしてナイフに移す。「この投げナイフの柄に、火の魔術を封じた魔石を仕込んでおりまして、投げつけると先ほどのように燃え上がる、という次第でございます」 おおー、なるほど。魔法の武器ってやつか。ロマン溢れるな。「しかしながら
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十一話 大きなお友達の何かを刺激する恐れがあります

 無事、護衛契約が締結された後、草ゴブリンの駆除完了を報告をするために依頼主の農家さん宅を訪れた。奥さんが応対してくれたが、そういう話は旦那としてほしいとのこと。家の裏手で鶏の世話をしていると伺って、そちらに回る。「ゲギャー! ゲギャギャー! タマゴ、カエセ! タマゴカエセ! ゲギャギャー」 そこには無数の怪生物に囲まれて、蹴りつけられ、爪を立てられている依頼主のおじさんがいた。意にも介さず熊手のようなもので掃除をしている。取り囲んでいるのは鶏の頭を美少女フィギュアと入れ替えて、髪を振り乱しているような生き物である。もしかしてこれが……。「みさきさん、生きてるプチハーピーってこんな風なんですね」 そうですよねえ、どう考えてもこれがプチハーピーですよねえ。これまで意識して「鶏」に脳内変換して頭から排除していた可能性だが、やっぱりハーピーって人面鳥なんですねえ。……見るんじゃなかった。「はい、こんなかわいい生き物だと知っちゃうと、ちょっと食べるのに抵抗ができちゃいますよね」 え、かわいい? ミリーちゃん視点だとこの人面鶏がかわいいの? はじめて知るミリーちゃんの独特な感性に震えていると、こちらに気がついた依頼主のおじさんがこちらにやってきた。「おいおい、お嬢ちゃん方、そんなこと言ってたら肉なんてなんにも食えなくなっちまうぜ」「そうですよね。それにこんなにおいしいものを我慢はできないです!」「はっはっはっ! たしかにそうだな。美味い肉に生まれついちまったのがこいつらの運の尽きだ」 プチハーピーの肉の味を褒められてうれしかったのか、おじさんが上機嫌で笑う。「しかし、随分と戻ってくるのが早いなあ。草ゴブリンが見つからなくて一旦戻ってきたか?」「いえ! ちゃんとぜーんぶやっつけてきましたよ!」「お嬢ちゃん、冗談はよしてくれ。そっちのドワーフのあんちゃんよ、何匹ぐらい狩れたんだい?」「ミリーの言ったとおりだ。21匹。取り逃しはねえと思うぞ」 ミリーちゃんの言葉を信じなかったおじさんがローガンさんに問い直したが、返ってきた言葉に目を丸くした。「噂には聞いちゃいたが、岩山のドワーフってのはまじでとんでもねえんだな……」とつぶやきつつ、わたしたちに同行して草ゴブリンの死体を積み上げた現場へ向かう。「はぁー、話だけじゃふかしこいてるの
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十二話 お嬢ちゃんも生卵を食べたことがあるんだねえ

 農家の居間に通され、テーブルを囲んで座る。この依頼主は村長的な存在で、おうちもそこそこ大きいらしい。4人が座っても、まだまだ椅子が余っている。「作るのにちぃっとばっかしかかるからなあ。まずはこいつでも食っててくれ」 籐細工のような籠に入って置かれたのは茹で卵だ。これならこの世界に来てからも何回か口にしているので、どうもありがたみがない。そんな微妙な反応を見て取られたのか、おじさんが付け加える。「街には茹でてからもってくからよう、どうしたって臭くなっちまうんだ。これはさっき茹でたばっかりのもんだから、ぜんぜん味が違うんだぜ」 そこまで言うなら……ということでコンコンとテーブルの端で殻を割って剥く。見た目には差を感じないが、料理というのは結局味だ。とくに過剰な期待を抱くこともなく一口いただく。 ふむ、たしかに嫌な匂いがない。ドワーフ村で食べた茹で卵には硫黄のような匂いが若干あり、ぶっちゃけそれほどおいしくなかった。買い出しの直後でなければ食べられないものとして村のみんなにも一応の人気はあったが、臭みを嫌って一切手を付けない人もいた。申し訳ないが、感動するほどのものではないけれど、美味いことは美味い。日本の食べ物に例えるなら、The・茹で卵である。そのまんまか。「おいしいですねえ、これ。村で食べる卵はこんなにおいしく感じなかったですけど、これならいくらでも食べられちゃいそうです」「うれしいことを言ってくれるねえ、お嬢ちゃん。だけどまだ後があるからな。土産にも持たせてやるからそう詰め込まなくていいぜ。北の雷鳴の頃までに食っちまえば味は変わらねえぜ」 次々に殻を剥き、喜んで食べているのはミリーちゃんだ。おじさんが頬を緩めておいしそうに食べる様子を見ている。北の雷鳴の頃……というと、寝る前までに食べればよいということだ。どうしても味の判定が日本基準になってしまうわたしより、ミリーちゃんの反応の方が当てになるだろう。お土産に持って帰れば買い出し班のみんなが喜んでくれそうだ。「茹でたての卵ははじめて食ったな。なかなか悪くねえ」「街では手に入りませんからね。領主様も街で茹でて売ることを許してくださればよいものを」 あ、ローガンさんもサルタナさんももぐもぐしてる。この世界基準ではやはり十分に美食判定のようだ。日本の食に慣れた自分を基準にすると色々間違えそうだな
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十三話 世界のすべてを呪うような顔

「へー、生卵があるとそんなに色んなお料理が作れるんですね」「そうそう、マメに自炊する人ならいつも家に生卵が置いてあるくらいだったんだよ」「そのニワトリって生き物も交易都市で売っているんでしょうか」「売ってたらいいね。火を通す料理ならプチハーピーの卵で試してみてもいいけど、毒味必須だからなあ」「それはカガさんでいいんじゃないですか?」 しれっと言い放つミリーちゃんに戦慄しつつ、それはそれでありかもと思うわたしもいる。でもなあ……なんか変なフラグが立ちそうな気がして嫌だな。やっぱその案はナシで。 無事に草ゴブリン退治を終えて街へと帰る途中、わたしとミリーちゃんは未だ味わえぬ卵料理についてあれこれ雑談に花を咲かせていた。ローガンさんは女子トークに割って入るほど無粋ではないし、サルタナさんは黙って何やら考え事をしているようだ。護衛の目処が立ったことで、交易都市への具体的な遠征計画でも練っているのだろうか。 街の門をくぐったところで、サルタナさんが口を開いた。「急な話で大変恐縮なのでございますが、交易都市への出立は明日、ということでお願いできないでしょうか?」「あんたにしちゃずいぶん焦った話だな。何か事情でもあるのかい?」 サルタナさんと付き合いの長いローガンさんが尋ねる。わたしは短い付き合いだけれど、たしかにそんな急に話をすすめるタイプには感じられなかった。「はい、理由は三つございます」 立ち止まったサルタナさんが指を三本立て、一本を折る。「ひとつめは、交易の再開が可能なのであれば一日でも早いほうが当商会の利が増えること。これはまあ、わざわざご説明差し上げるまでもございませんが」 立てた指をさらに一本折る。「ふたつめは、陽陰の入れ替わる刻が近いことです。信憑性は半々、といったところなのですが、陽陰が入れ替わる刻には瘴気領域に潜む魔物が大人しくなると言われております。それまでに瘴気領域のすぐそばまで移動をし、空が灰色のうちに可能な限り瘴気領域を進みたく存じます」 立てた指をさらにもう一本折る。これでグーだ。なんか若干力を込めて握りしめている気がする。「みっつめは……私事で大変お恥ずかしいことなのですが、明後日には当代である父が支店視察と称した物見遊山から帰ってくるのです」 ありゃ、親子の確執的なものがあるのかな。日本でも
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十四話 爬虫人類大家族計画

「それで嬢ちゃん、明日はどうするんだ?」「うーん……そうですねえ……」「みさきさん! やっぱりこれそのまま食べるよりずっとおいしいです!」 門の前でサルタナさんと別れたわたしたちは、出発前に立ち寄った食堂に戻っていた。もう北の雷鳴の刻も近いので夕食である。 給仕のお姉さんはわたしの料理のアイデアを素直に試してくれたらしく、試作品ということで石パンをスープで煮た品を出してくれていた。食感はたとえるなら高野豆腐。石パンのままガリボリするよりはずっとマシだが、ざらざらした食感がどうもスープに合わない。むう、もう一工夫いりそうだ。 って、料理のことを考えている場合じゃない。慌てて言葉をつなぐ。「まあ、引き受けるしかないですよねえ」 ついつい爬虫人類大家族計画から逃れることを中心に考えてしまっていたが、ドワーフ村大不況危機を救うためだと考えると断るわけにもいかない。陽陰の入れ替わる刻……だっけ? そのときに危険度が下がるというなら、たしかにチャンスなのだろう。これを逃せばまた一年待たなければいけないかもしれない。 ローガンさんの表情が若干曇っている。ミリーちゃんがサルタナさんの試しを受けることに同意したとはいえ、こんなに慌ただしく旅に出ることになるのは想定外だろう。しかし、そもそもなぜローガンさんはミリーちゃんがこの旅に同行することを承知したんだろうか。「おれら天突く岩の氏族は年を食っちまえばもう郷から離れられねえ。あちこち見て回るってんなら、いましかねえだろうと思っただけだよ」 ローガンさんがぶっきらぼうに言う。日本でわたしのリアル妹たちが結婚すると聞いた時の父親の態度を思い出してちょっとクスリとしてしまった。どこの世界でも、父親というのは愛娘が手元を離れるのに抵抗を覚えるものなんだろう。 そんなことを話している間に買い出しを終えた他のみんなが返ってきてガヤガヤと食事を始めた。煮込み石パンに多少戸惑っていたが、「あのガチガチをそのまま食うよりずっとマシ」ということでおおむね好評のようだ。店側も今回はまだ試作の段階だし、これからどんどん味の改善が進んでいくだろう。旅から帰ってきたときにどんな料理になっているかを想像して少しわくわくする。 そんなこんなで翌日の東の雷鳴の刻。わたしとミリーちゃんは西の門へ向かっていた。実際の
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十五話 いやこれ昇天の準備をしてるだろ

「いやぁぁぁあああ無理ぃぃぃいいい止めてぇぇぇええええ!」「天突く岩に宿りし偉大なる地霊様……どうか御身許に送られしときは憂いなき安息をお与えください……」「はっはぁー! ひさびさで悪かったなぁ! 地を這う稲妻号よ! いまこそあらゆる鬱憤を晴らして大地を駆け巡るのだッ!!」 悲鳴を上げているのはわたし、高町みさき満三十歳である。享年になる可能性も現在進行系でやや存在している。そして地霊様に祈っているのがドワーフのミリーちゃん三十歳。ただし見た目は赤髪のKカップJCアイドルである。そして御者台に座り、小型の馬車を牽く六本足のウマを駆っているのが青髪のハリウッド女優のようなサルタナさん、おなじく三十歳である。「商会の馬車」ではなく、「わたくしの馬車」と言っていたところからどうも嫌な予感がしていたのだ。サルタナさんに着いて案内された馬車は、御者台の他には二人分の座席に、わずかな荷が載せられるだけのスペースがついただけの客車だった。 そしてそれを牽くのは漆黒の毛並みを誇る巨大な六本足ウマ。周りを見渡してもこんなにでかいウマはいない。体高で言うと五割増し以上はある。単純に考えると、体重はその三乗に比例するはずだから、普通のウマが500キロだとして……1.5トン以上という計算になる。なんだよそれ、世紀末覇者とか戦国時代一の傾奇者とかが乗ってるやつじゃないのか。 そんなサルタナさんの愛馬であり怪馬である「地を這う稲妻号」に牽かれて我々は街道を驀進しているのである。「ちょっ、ちょっ、サルタナさん!? こんなにしてまで急ぐ必要あるんですか!?」 客車から必死に叫ぶとサルタナさんが御者台から振り返る。「はい、次の天が灰色に染まる刻までは時間が限られてございますからね。少なくとも北の雷鳴が響くまでには、2つ先の街まではたどり着きたく存じます」 その表情は普段どおりのクールビューティそのままだ。その涼やかな笑顔が逆に怖い。「少々揺れが激しいのは申し訳なく存じますが、それも馬車の醍醐味の一つ。この爽やかな風と共にどうかお楽しみくださいませ。いくぞッ! 地を這う稲妻号! まだまだいけるはずだッ! お前ならきっと風になれる!!」 サルタナさんが軽く手綱を振ると馬車がますます加速する。客車の上下動もますます激しくなる。なんとかサルタナさんを静止し
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十六話 徹頭徹尾ヌルヌルした感じの製品

「もぐもぐ……ああ、やっぱり普通のパンはおいしいですねえ……もぐもぐ」 サルタナさん自慢の巨馬、地を這う稲妻号に牽かれること三日。わたしたちはひとまずの目的地である街に着き、酒場で食事を摂っていた。普通の馬車でも一日走ればいまは滅んだ皇都に着くという位置にある街だ。わたしたちが突っ切ろうという瘴気領域はこの街の北西に拡がっている。 先ほどからミリーちゃんがもぐもぐしているのはいわゆる普通のパンである。大人の男のこぶしくらいの大きさで、表面にほどよい焼き目が付いている。日本で食べたパンに比べればそれでもまだ固いが、「あーそうそう。パンってこういうものだよねえ」というレベルのしっとりふわふわ感がある。 ちぎってみると断面に黒いつぶつぶが見え、口に放り込むと小麦の味と香りがしっかり口の中に広がる。材料は全粒粉ってやつかな? バターや砂糖などは使っていないようで淡白な味わいだが、これをスープに付けて食べると主食としてちょうどよい。そうそう、こういうのでいいんだよ。 酒場の壁には料理の名前が書かれたメニュー表が張り出されており、客たちは給仕を呼んでは様々な料理を注文している。麓の街の領主の権限もこの街までは及んでいないようで、ここではなんでもかんでも保存食にするような蛮行は行われず、自由に料理ができるようである。ミリーちゃんの反応を見るに、「石パンしか作っちゃダメだぞ」令が施行される以前にはドワーフ村でもパンが食べられていたようだ。「えっと、この街に丸一日滞在して、次の次の東の雷鳴の刻に街を出るんだっけ?」「はい、そのとおりでございます。陽陰が入れ替わるのは三日後のこと。一日も歩ければ瘴気領域のほとりに着き、ちょうどそのころに天が灰色に染まりはじめるでしょう」 わたしの質問に答えたのはサルタナさんだ。日程を聞けば、たしかにぎりぎりのタイミングだったことがわかる。サルタナさんが主張した通り、凄まじい速度で進むわたしたちの馬車を襲撃してくる魔物も野盗もおらず、ここまでは目立ったトラブルもなく旅を進められている。 よくある馬車の振動のせいでお尻や腰が痛くなった……ということもない。高速移動を前提として作られたあの馬車は内装にも十分な予算がかけられており、座席には衝撃吸収パッドのようなものが備えられつけられていたのだ。 なんでも、ヌルパッドという数年前にどこかの冒
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม

第三十七話 瘴気領域って一体何なわけ?

「女三人で旅たぁ、見た目に似合わずずいぶんと肝が座ってやがるんだなあ」「おう、まったく物騒だ。なんならおれたちを護衛に雇わねえか?」 酔っぱらい冒険者たちの席に合流すると、さっそくそんな声をかけられる。「もちろん他にも旅の仲間はおりますよ。用を済ませている間、わたくしたちだけで食事をしていた次第でございます」 非実在男性仲間の存在をちらつかせるセリフをサルタナさんが返すと、酔っ払いたちのテンションがちょっと下がったようだ。うーむ、手慣れている。「なんでえ、男連れかよ」「まあこんな美人のねえちゃんが酌してくれるんだ。それだけでもありがてえってもんよ」「ふふふ、まったく光栄でございますわ」 サルタナさんが男たちが差し出す杯に次々と酒を注いでいく。一杯飲むごとに、男たちの機嫌は増していくようだった。「わたくしどももこちらに来たのは久方ぶりでございまして。そちらの御方はたいそう立派な腕輪をされておいでですが、最近の流行りでございましょうか?」「いや、こいつは流行りなんてもんじゃねえ。おれが瘴気領域まで出張ってな。とある場所で手に入れてきたもんよ」「なんと、瘴気領域にそんなものが」 酔っぱらいは自分の戦利品がよほど誇らしいのか、自慢気に左手に巻いた腕時計を見せつけてくる。「こいつはすげえ代物でな。ほら、この針を見てみろ。ずっと同じ調子で動いてるだろ? こいつはな、次の雷鳴の刻までどれくらいあるのか、ぴたりわかっちまうのよ」 腕時計を観察すると、どうやら高価な機械式時計のようだった。どこかで見覚えがある。日本にいた頃に、伊達男気取りの会社の役員がつけていたものに似ているような……。どうしてそんなものがここにあるんだ?「持ち帰れるお宝は二つだけだったからな、片方は宝石にして、そいつを売り払ってきたってわけさ」「あの、いったいどんなところで手に入れたんですか?」 口を挟んだわたしを酔っ払いが見返してくる。「こんなちっこい嬢ちゃんまで連れて旅するたあ、ご苦労なこった。こいつはな、瘴気領域の中でおれが見つけた白い神殿で見つけたもんよ」 ちっこいは余計だ。それにわたしは三十路である。ともあれ、そんなところに引っかかってはいられない。「日本とか、地球とか、聞き覚えありますか?」「ニホン? チキュウ? 聞き覚
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-13
อ่านเพิ่มเติม
ก่อนหน้า
123456
...
13
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status