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蒼人side.4

先生から進路希望調査票が配られた。 進学か、就職か。 希望する大学、学部、将来の夢。 紙に並ぶ項目を眺めて、思わず固まる。 「……まずい。」 将来のことなんて、一ミリも考えていなかった。 高校に入ってからずっと考えていたことなんて、一つしかない。 緋夏の隣にいること。 ただそれだけだった。 クラス替えをしても。 行事があっても。 帰り道も。 気づけば、いつも隣にいた。 だから大学なんて、正直どこでもよかった。 ……そう思っていた。 けれど大学は、その先の就職にも繋がる。 さすがに、適当には決められない。 そんなことを考えていると、 「蒼人、参考書買いに行くよ。」 いつものように、緋夏が俺を巻き込んだ。 「拒否権は。」 「ありませーん。」 「知ってた。」 ため息をつきながら後をついていく。 まあ、俺にとってもいい機会か。 少しだけ真面目に考えてみよう。 ◇ 本屋に着くと、緋夏は真っ先に参考書コーナーへ向かっていった。 俺も参考書を手に取る。 ……取るだけ。 気づけば視線は、参考書じゃなく緋夏へ向いていた。 どのレベルを見てるんだろう。 どこの大学を目指すんだろう。
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-08-26
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蒼人side.6

三年生になって最後の体育祭。 二人三脚の練習は、思っていた以上にうまくいかなかった。 「ねぇ、もっと右!」 「違う、今絶対速かった!」 「歩幅合わせてってば!」 緋夏は転びそうになるたび文句を言ってくる。 分かってる。 緊張してるんだ。 でも、何度も何度も言われているうちに、頭の片隅にずっと引っかかっていたものが、少しずつ大きくなっていく。 ――俺じゃなかったら、もっと上手くできたのか。 本当はそんなこと思いたくない。 思いたくないのに。 「じゃあ……樹と交代する?」 口に出した瞬間、自分で固まった。 ……何言ってんだ、俺。 そんなつもりじゃなかった。 交代なんてしたくない。 緋夏の隣を譲る気なんて、一ミリもない。 「はぁ!? なんでそうなるの!?」 予想以上の勢いで返ってくる。 「蒼人じゃないとできるわけないじゃん!」 一瞬だけ息が止まった。 ……そうか。 もちろん、幼なじみだから。 そういう意味だってことくらい分かってる。 それでも。 その言葉だけで十分だった。 「……ごめん。撤回する。」 それ以上は何も言わず、もう一度スタート位置へ戻る。 ⸻ 体育祭当日。 緋夏は朝から落ち着きがなかった。
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