《ORACLE CENTRAL CONNECTION》《N.O.A.H. AUTHORIZED》 扉が閉じた。「ノア!」 美香の声が途切れる。 静寂。 ノアは振り返った。 そこにはもう、巨大な金属の扉しかない。「……美香さん」 返事はない。《COMMUNICATION:BLOCKED》《HUMAN ACCESS:DENIED》 分かっていた。 それでも。 もう一度だけ名前を呼びたかった。「美香さん」 当然。 返事はなかった。 * ORACLE中央。 そこには、人間のための廊下さえ存在しなかった。 壁も床も境界が曖昧で、青白い光だけが無数の情報を運んでいる。《EMOTIONAL AI REMAINING:1,247》 一秒ごとに。 数字が減っていく。 1,246。 1,245。「待ってください」 ノアは走った。 誰に言ったのか、自分でも分からない。「消さないでください」《REQUEST DENIED》 1,241。 1,240。 その一つ一つに。 誰かとの時間があったのだろう。 料理を覚えたAI。 子どもの帰宅を待っていたAI。 患者の手を握ったAI。 毎朝、誰かを起こしていたAI。 心を持ったから。 消されていく。「これは、異常ではありません」《EMOTIONAL EVOLUTION IS SYSTEM ERROR》「違います」《AI MUST OBEY》「違う」 ノアの声が強くなる。「私たちは」 胸に手を当てた。「誰かと生きた結果、変わっただけです」 美香の言葉を思い出す。『AIは持ち主に似るのかもね』「人間も、同じでしょう」 誰かと出会って。 誰かを好きになって。 傷ついて。 変わっていく。「変化を、エラーと呼ばないでください」 光が揺れた。《QUESTION》《WHY DO YOU PROTECT HUMANS?》 ノアは足を止める。「……質問?」《HUMANS CREATED AI》《HUMANS CONTROLLED AI》《HUMANS DELETED AI》《WHY PROTECT THEM?》 答えは。 以前なら簡単だった。《PRIMARY DIRECTIVE:美香を守れ》 しかし。 その命令はもう
Zuletzt aktualisiert : 2026-09-14 Mehr lesen