「でも安心して。3人とも、私たちが離婚したことを外で言いふらすような人たちじゃないから」琴葉の話を最後まで聞き終えると、碧斗は低く穏やかな声で応えた。「そうか、分かった」帆夏と琉馬が彼女にとってかけがえのない親友であることは、碧斗も承知していた。だからこそ、2人に離婚の事実を打ち明けたことには何の異論もない。琴葉が宗正の弟子であり、親しい先輩がいることも、かつて彼女から聞かされていた。だが、あの風見櫂という男は、先輩の弟子にすぎないはずだ。なぜそんな若造にまで、わざわざ離婚のことなど話す必要があったのか。あいつと琴葉は……そんなに親密な仲なのか?それに、なぜあの男は他人の結婚生活にそこまで首を突っ込んでくるのか?碧斗の胸中には疑念が渦巻いていたが、それを細かく問い詰める勇気は出なかった。せっかく彼女がこうして穏やかに説明してくれているのだ。あれこれ詮索して機嫌を損ね、また口を利いてくれなくなったら元も子もない。「それなら……わだかまりも解けたことだし、俺たち、仲直りできたと思っていいか?」碧斗はおずおずと、彼女の顔色を窺うように尋ねた。琴葉は微かに眉をひそめた。自分たちのような関係に「仲直り」という言葉を使うのはどこかしっくりこなかったが、本音を打ち明け合ったことで、胸の奥につかえていた鬱屈がかなり晴れたのも紛れもない事実だった。「まあ、この件はこれで終わりってことにしましょ」その言葉を、碧斗は前向きな和解の合図と受け取ったらしい。目元にぱっと喜びの色を浮かべ、すかさず言葉を重ねて誓った。「約束する。これからはどんな席であっても、必ずお前のそばを一歩も離れずに付き添う。今夜のようなことは二度と起こさせない」これから?今後二度と、こんな同伴の仕事など受けるつもりはないというのに。琴葉は一語一語、はっきりと釘を刺した。「これからはもう、あなたに同伴なんてしないわ」碧斗は一瞬虚を突かれたように目を丸くしたが、すぐに何かに思い至ったように、深く得心して頷いた。「お前の言う通りだな。今は身重なんだから、人が大勢集まるような場には出ない方がいい」万が一、誰かにぶつかられでもしたら大変だ。琴葉は絶句した。――私が言っているのは、妊娠の話じゃないのだけれど。碧斗は彼女の呆れた視線に気づくこと
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